旭化成グループにおける回転機の振動傾向管理の取組み

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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
している。検査方式は、五感を主体とした日常点検に加えて、常時監視か定期診断の何にするかについ 近年、設備の安全・安定運転の確保、効果的なメンても重要度ランクと設備の信頼性の評価から基本的に テナンスの必要性が益々高まり、CBM(Condition Based 決めている。 Maintenance)の有効性が再認識されてきている。CBM を支える設備診断技術の中でも多くの実績があるのが 表1設備重要度ランクと保全方式・検査方式 回転機の振動診断である。重要 | 保全方式検査方式 旭化成グループでは、1970 年代の半ばから回転機の 度 「TBM CBM BM常時」定期「日常」 設備管理の重要性から、回転機の診断に関する研究開 | ランク監視診断 | 点検 発を開始している。携帯型の振動計を自社開発し、1980 | A | 0 | 0 | |o|0|01 年頃から現場への定着化教育後、設備の傾向管理に活 用してきた。その後、精密振動解析装置、単ループの◎10 オンライン振動計測器、大規模なオンライン設備診断 システムを開発し、異常の早期発見を含め設備の信頼◎割合が多い ○割合が少ない 性向上に効果を上げてきた。 弊社の機器開発の特長は、社内・外のフィールドで
3. オンライン(常時監視) 設備診断システム 長年に渡り蓄積した設備診断における測定と管理に関
最新のオンライン監視システム(e-LEONEX) は図1、 するノウハウを組み込んできたことである。2のように大規模用と小規模用の2種類を用意してい 1. 本稿では、診断機器の紹介と旭化成グループ内で導る。大規模用は図1に示すように、集中的に常時監視 入している回転機の振動管理の取組みについて、事例するタイプである(ホスト監視タイプ)。また、小規模 を交えて紹介する。用は図2に示すように、ホスト監視コンピュータを使 2.重要度ランクと保全方式、検査方法わず、データ収集加工機能を有する e-Station に、監視者が必要に応じて Web ブラウザを使って監視できる 旭化成グループの設備管理は、安全性・トラブルのタイプである(ローカル Web 監視タイプ)。 影響を評価し設備の重要度ランク付けを行っている。いずれのタイプでも最新システムの特徴は、IT(eその重要度ランクと設備の信頼性を評価することによメール、Web ブラウザ監視)機能を充実させた事であ り、基本的な保全方式を設定し、設備管理「計画保全」る。 を実施することを基本としている。表1は、重要度ラ旭化成グループでは、主に大規模用のホスト監視タ ンクと保全方式、検査方式の概ねの状況を示す。イプを活用している。本システムでは、集中常時監視 保全方式は、重要度ランクと設備の信頼性から決定とともに、異常発生時は社内 LAN を経由して、関係者ILI I J PUH-CNVcrwo UDI を支える設備診断技術の中でも多くの実績があるのが 表1設備重要度ランクと保全方式・検査方式 回転機の振動診断である。重要 | 保全方式 | 検査方式 旭化成グループでは、1970 年代の半ばから回転機の 度 「TBM|CBM|BM | 常時 | 定期「日常」 設備管理の重要性から、回転機の診断に関する研究開 ランク監視診断 点検 発を開始している。携帯型の振動計を自社開発し、1980 A | 0 | 0 | | 0 | 0 | 0 | 年頃から現場への定着化教育後、設備の傾向管理に活 | B | o | 0 | | 0 | 0 | 9 用してきた。その後、精密振動解析装置、単ループの| C | | | 0 | | 0 | 0 | オンライン振動計測器、大規模なオンライン設備診断 | D | システムを開発し、異常の早期発見を含め設備の信頼◎割合が多い ○割合が少ない 性向上に効果を上げてきた。弊社の機器開発の特長は、社内・外のフィールドで 3. オンライン(常時監視)設備診断システム 長年に渡り蓄積した設備診断における測定と管理に関最新のオンライン監視システム(e-LEONEX)は図1、 するノウハウを組み込んできたことである。2のように大規模用と小規模用の2種類を用意してい 本稿では、診断機器の紹介と旭化成グループ内で導る。大規模用は図1に示すように、集中的に常時監視 入している回転機の振動管理の取組みについて、事例するタイプである(ホスト監視タイプ)。また、小規模 を交えて紹介する。用は図2に示すように、ホスト監視コンピュータを使 2.重要度ランクと保全方式、検査方法わず、データ収集加工機能を有する e-Station に、監視者が必要に応じて Web ブラウザを使って監視できる 旭化成グループの設備管理は、安全性・トラブルのタイプである(ローカル Web 監視タイプ)。 影響を評価し設備の重要度ランク付けを行っている。いずれのタイプでも最新システムの特徴は、IT (eその重要度ランクと設備の信頼性を評価することによメール、Web ブラウザ監視)機能を充実させた事であ り、基本的な保全方式を設定し、設備管理「計画保全」 を実施することを基本としている。表1は、重要度ラ旭化成グループでは、主に大規模用のホスト監視タ ンクと保全方式、検査方式の概ねの状況を示す。イプを活用している。本システムでは、集中常時監視 保全方式は、重要度ランクと設備の信頼性から決定とともに、異常発生時は社内 LAN を経由して、関係者る。
Web6339社内LAN異常通知メール??・ホスト(集中監視)型 ・全体の監視画面(オンライン専用ソフト) ・異常時に異常通知メール送付Oracle・通常:1時間毎にデータ送付 ・異常時:検時にデータ送付・専用LAN (イーサーネット)Web View 機能なし+3htoneSalon2statan2-Station 2アラーム し等)図1 ホスト監視タイプの構成例WebブラウザWeb.S?!ブラントLAN (IPILAN)異常通知Web ViewBAE|アラーム・現在値 ・トレンド ・FFT ・異常ログ ・登?FFTe-Stafon-Stefan図2ローカル Web 監視タイプの構成例へ異常通知メールが自動で発信でき、専門の診断技術 レーキングが発生していた。 者は、遠隔でも Web 機能にて監視ホストの監視画面内 容等を参照しながら、診断を実施するができる。 94/05/12 04:08 g 加速度(A) 0/A10.00 8.00危險? ガス圧縮機6.00. 4.00注意値 方向 02 H 2.00. ?輪機驅動側 ....。 月03/ 04/05/ 日 13 17 21 25 29 02_06 10 14 18 22|26_30040812 一 分解整備 -運転開始警報3 mm/s (V) 0 /A 5.00 4.00注意値 ガス圧縮機」32.00 方向 O2 H_ 1.00. 圧縮機駆動側 04 月03/ 04/05/ 日 13 17 21 25 29 02 06 10 14 18 22 26 30 04 08 12図4 経時振動データ次にオンライン設備診断システムにて異常検出した 事例を紹介する。図3に機器の略図を示す。モーター 定格容量 210 kW 回転数 3,580 rpm増速機・圧縮機」 回転数 27,200 rpm異常図3 機器略図図4に、振動の経時変化グラフを示す。上段が振動 加速度値、下段が振動速度値である。分解整備を終了 し、4/23 から運転を開始している。運転開始直後は振 動値が管理値内で安定していたが、5/4 頃から上昇が 顕著になり、5/11 に振動速度値の管理値(4mm/s)を超 えて警報が発報した。診断結果から、入力側上部軸受 の外輪にフレーキング(疲労剥離)が発生していると 判断し、経験的に1週間程度の運転は可能と判断した。 結果的には4日後に機器を停止し分解整備を実施した。図5に分解点検後の軸受写真を示す。診断通りにフ レーキングが発生していた。- 137 -剥離406 7 8 9 11 12 13 本機は、2段のギアにて増速しており高速回転でも あることから、正常状態でもギアからの運転音が大き く、五感での判断も難しい装置である。また、高速回 転の装置は、異常が発生してからの劣化スピードも速 いことから、常時監視にて致命的な損傷に至る前に異 常を検出し、計画的に停止して整備することができた【振動値測定】測定2007/07/10 13:100m456789011 12 13 1【ルート1重合工程Aルート 【POS101 【機器名】フィールドポンプ 【DIRTH モード測定直単位判定傾向注意|危険] V o/a 12.3 mm/s→ 14.018.0 A o/a 3.571 &1 11.513.0 Bro/a 1.48 g All 10.85|2.01 LCFI2.51→13.016.0 Do/ a 1531up-p0 1→2001400] | 温度 80CC|o|!|100|150] メモリ保存 前スキップ後スキップ傾向解析図5 分解後の軸受写真【傾向管理グラフ]|傾向解析グラフ 2007/07/10 13:10 1回 【ルート】重合工程Aルート【POS101 【モード】A_ofa 【機器名】フィールドポンプ 【DIRTH本機は、2段のギアにて増速しており高速回転でも あることから、正常状態でもギアからの運転音が大き く、五感での判断も難しい装置である。また、高速回 転の装置は、異常が発生してからの劣化スピードも速 いことから、常時監視にて致命的な損傷に至る前に異 常を検出し、計画的に停止して整備することができた 一例である。 4. オフライン(定期)振動診断システム2008年にオフライン振動診断システム (MD-320) と管 理ソフト R Machine Trend Master を改良開発した。 MD320 は、従来困難であった各種の測定値と合わせて FFT までの一括計測を可能にしている。また、Machine Trend Master は、MD-320 で一括計測した各種のデータ から管理に必要な各種の解析やグラフ等を容易に分 析・診断できるようになっている。図6に MD-320 の外観を示す。防塵、防滴構造で雨天 や粉塵といった悪環境化でも測定が可能である。図7 は、振動計本体の画面表示例として振動値測定画面、 傾向管理グラフ画面、周波数解析 (FFT)画面を示す。測12月01月02月03月04月05月06月07月08月09月 06年02月02日02日 02月02日02日 02日02日 02日02日Vo/aA o/aBro/aCF【FFT 解析】FFT*** 2007/07/10 13:1000 【ルート1重合工程Aルート 【POS】 01 【モード】A 【機器名】フィールドポンプ【DIRTH 【振動値]123.501AJM 0 12.5kHz 115k30k(Hz)再解析 | 登録 ピークリストズーム」3C100]です。FFT までの一括計測を可能にしている。また、Machine Trend Master は、MD-320 で一括計測した各種のデータ から管理に必要な各種の解析やグラフ等を容易に分 析・診断できるようになっている。図6に MD-320 の外観を示す。防塵、防滴構造で雨 や粉塵といった悪環境化でも測定が可能である。図7 は、振動計本体の画面表示例として振動値測定画面、 傾向管理グラフ画面、周波数解析(FFT)画面を示す。oliwhi mawilowk 0 12.5kHz 15k 再解析 | 登録 「ビークリストズーム」30k(Hz)IMG110・1Fです保存料エギンフトミミッ検110-080図7 測定器画面 管理ソフト” Machine Trend Master は、機器データ ベース、判定基準、巡回ルート情報等の傾向管理に必 要な情報を登録することで、測定データや周波数分析 等の解析データを容易に管理できるようになっている。 また、オンライン設備診断システムと同様に、異常時 のメール通知(MD-320 については現在開発中)やWe b参照機能も搭載した。図6. MD-320 外観(右:ソフトケース付)定機能としては、振動管理に必要な各種測定モード(振 動変位、速度、加速度、Br 加速度、クレストファクタ) オプショ に加え、オプションで温度測定も可能である。また、 振動速度、加速度の周波数分析機能やエンベロープ 解析機能等を装備している。 - 1381,3方向比較顔向グラフ機器名称冷却水ポンプ位置 | 2 方向|V機器番号(Tag No.) |12009/05/20 11:1720にほん1※3方向比較傾向グラフ 冷却水ポンプ位置:2 方向:●=V A=H_X=A戦争状態危険値VHAモード別傾向グラフ:MD-220[MP-320加速度加速度(2)分解整備3方向 比較グラフ............ JVHA3方向比較 傾向グラフみらい10.1のドッとあがめている。位置向グラフおいでんがらがら「いっている「noanaってる!06/06/19)方向一位置FFTHUE測定モード 変位 | B-0/A 速度 | Br-CF 加速度 温度。一振動がAr履歴マーク 1.回転数電圧値。 電流値 | 回転数、 圧力表示フィールド トレンド出力測定値 比較表示経歴MB3REE TIQUE Bファイル戻る図9 経時振動データ 事例を紹介する。図8に冷却水移送ポンプの略図を示 す。本機は、一般的な両吸込みの遠心タイプの冷却水 ポンプであり全4台の内、夏場は3台が稼動状態で冬 場は運転負荷の関係で2台で運転している。図 時振動データを示す。'08/10/7 の測定にて振重 値の垂直方向(V)が注意値(2G)を超えた。 て軸受異常であるが軽度と判断し継続監視とし 12/18 の測定では水平方向も注意値を超えたこ り稼動台数が少ないことから分解整備を計画し 10に分解点検後の軸受写真を示す。軸受の内 レーキング(疲労剥離)が発生した為、振動加 が上昇し、損傷の進行に伴い上昇傾向を示した次にオフライン振動診断システムにて異常検出した 事例を紹介する。図8に冷却水移送ポンプの略図を示 す。本機は、一般的な両吸込みの遠心タイプの冷却水 ポンプであり全4台の内、夏場は3台が稼動状態で冬 場は運転負荷の関係で2台で運転している。図9に経 時振動データを示す。'08/10/7 の測定にて振動加速度 値の垂直方向(V)が注意値(2G)を超えた。診断に て軸受異常であるが軽度と判断し継続監視とした。図10 分解後の軸受写真 12/18 の測定では水平方向も注意値を超えたことや冬 場であり稼動台数が少ないことから分解整備を計画し* 5.結言 た。図10に分解点検後の軸受写真を示す。軸受の内 輪にフレーキング(疲労剥離)が発生した為、振動加 1) 旭化成グループのオンラインおよびオフラインの 速度値が上昇し、損傷の進行に伴い上昇傾向を示した 振動診断システムについて紹介した。 ものと考える。2)事例を通して振動監視による早期異常検知の重要 性を示した。異常人参考文献 [1] 安西康治、妹尾始朗、福永辰也、“オンライン 設備診断システムの活用実践事例”, PlantEngineer Mar. 2008, pp2-8. [2] 福永辰也、“オンライン設備診断システム「e-LEONEX Web」”、 日本メンテナンス工業会会報 [3] 荒木竜二“ポータブル振動診断システム「MD-320」”、 日本メンテナンス工業会会報回転数:875 rpm定格容量:240kW 図8 機器略図本事例は、振動加速度値が注意領域に到達後も、そ の損傷程度を推定し、傾向管理しながら運転を継続し異常1000本事例は、振動加速度値が注意領域に到達後も、そ の損傷程度を推定し、傾向管理しながら運転を継続し 分解整備の時期を見極め、計画的に分解整備を実施し ている一例である。図10 分解後の軸受写真 振動診断システムについて紹介した。 )事例を通して振動監視による早期異常検知の重要 [1] 安西康治、妹尾始朗、福永辰也、“オンライン| - 設備診断システムの活用実践事例” , PlantEngineer Mar. 2008, pp2-8. [2] 福永辰也、“オンライン設備診断システム「e-LEONEX Web」““、 日本メンテナンス工業会会報 [3] 荒木竜二“ポータブル振動診断システム - 139 -“ “旭化成グループにおける回転機の振動傾向管理の取組み“ “妹尾 始朗,Shirou SENOH,福永 辰也,Tatsuya FUKUNAGA
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