計画保全の保全基盤構築のシステム化

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カテゴリ: 第6回
1.緒言
11.1 保全基盤システム化の背景 ・ これまで、弊社では旭化成グループの保全管理実績 を元に構築してきた「計画保全」と計画保全支援シス テム『TMQシリーズ』を多くの業界に提供してきた。 「計画保全」とは、単純に設備の保全作業のスケジュ ールを実行するものではなく、設備の最適な保全管理 様式を元に「効率的」に保全作業の計画を管理してい くことである。具体的には、保全現場における業務の この考え方は、1980年代始めに旭化成延岡支社で考案され、旭化成グループの中で30年余りに渡り、 これまで、弊社では旭化成グループの保全管理実績 運用され大きな成果を挙げてきた。 を元に構築してきた「計画保全」と計画保全支援シス Fig.2にその事例(故障を約 1/20 に削減)を示す。 テム『TMQシリーズ』を多くの業界に提供してきた。「故障修理件数」推移('82を100とす 「計画保全」とは、単純に設備の保全作業のスケジュ ールを実行するものではなく、設備の最適な保全管理 様式を元に「効率的」に保全作業の計画を管理してい くことである。具体的には、保全現場における業務の 流れを、Fig.1 の中に示すPDCAに沿って整理し、各 ステップを「保全標準」としてまとめていくものであ る。 計画保全の流れ「TMQ」システム 保全対象設定
Fig. 2 Asahi(Nobeoka branch) to improve reliability ・0. 2作成システム
performancePLAN ACTION 保全方式の設定・・・・・1. 機器管理システム * この「計画保全」を構築していくためにコンピュー 保全の目標・方針の決定の作成ターシステムとして開発されたのが計画保全支援システム「TMQシリーズ」である。両者の関係は Fig.1 3.保全システム。のようになる。計画保全の各ステップに応じてTMQ システムの各プログラムが連携している。しかし、実際に保全PDCAサイクルを効果的に、かつ論理的に運用していく事は簡単ではない。特に計 保全の記CHECK 保全データの解析、故障原因分画保全構築に欠かせない「機器重要度評価」、「機器別 ................. 15.保全業価システム - 保全成果のHM -1準管理基準」等のPLAN領域の内の『保全基盤:Basis』 Fig.1 Conceptual diagram of Planned Maintenance 部分の作成が難しい。その理由は『保全基盤』を決定 連絡先: 緒形次郎〒105-0081 東京都港区港南 4-1-8するためには、長い年月をかけて蓄積した保全履歴の リバージュ品川ビル 13F 旭化成エンジニアリング (株)PL 技術部 電話: 03-5462-4607、URL:http://www.asahikasei-eng.com工場一織維 - 繊維-2| 100織織織化化爆 維 学学食品・・・・・・・プラスチック 一番一動力全体14.6182 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 (年Basisb00eaan設航重度ランクの設定oooooooooooo経営方針 生?計画 投画保全計画の作成eeeeeeeeee.OO2.保全 シ ステム 保全カレンダーDO技日常保全業務の実施・日常保全(Cotto)oooooooooooご理技術管理 の正・最適化・クリーニング ・老朽化が理・更新予実算管理 保全資料管理 予備品管理 保全作業手続・安全性 seesan04.保全業務システム業務スケジュール・ 造・改善 保全業務の検収。-156る。計画保全の流れ「TMQ」システムBasisCooooooopeooooooo06.0000保全対象の設定0.書作成システム 航度ランクの設定) ACTIONPLAN 保全方式の設定11. 機器管理システム 「経営方針 保全の目標・計の決定 生産計画」設計画 保全計画の作成12保全システム DODO 日常保全業務の実施保全カレンダー 技術基準・日常保全(CoMo) 管理基準 ・検査・診断13.保全システム ・体理・整備予実算管理ワークオーダー ・ 管理保全資料管理 技術管理部門・クリーニング の修正・最適化 ・老朽化理・更新予備品管理保全作集手続安全性 ●お造・改善 保全業務の検収 ope..........04.保全業務管理システム 保全の記録業務スケジュールCHECK 保全データの解析、 原因分 析15.保全法 -保全成果の評価基 準 Fig.1 Conceptual diagram of Planned Maintenance・塗装、oooooooooooo連絡先: 緒形次郎 〒105-0081 東京都港区港南 4-1-8 リバージュ品川ビル 13F 旭化成エンジニアリング (株)PL 技術部 電話: 03-5462-4607、URL:http://www.asahikasei-eng.com as この考え方は、1980年代始めに旭化成延岡支社で 考案され、旭化成グループの中で30年余りに渡り、 この考え方は、1980年代始めに旭化成延岡支社 考案され、旭化成グループの中で30年余りに渡り、 運用され大きな成果を挙げてきた。 Fig.2にその事例(故障を約 1/20 に削減)を示す。集約と分析評価の実施、ベテラン保全員の現場ノウハ ウの見える化(形式知化)が必要である為である。 この為順調に実践している会社は少なかった。この暗 黙知の多い保全基盤部分を運用・維持管理していくた めに、弊社ではこれまでマニュアル構築等によるコン サルを行うことで保全現場を支援してきた。今回、本 部分を保全管理システムとして始めてシステム化をし た。本報ではこの開発内容を紹介する。11.2 保全基盤システム化の目的 今回、この『保全基盤:Basis』部分を効率的かつ形式 知化して進めるために、本部分を「TMQ-Basis」とし てシステム化した。「TMQ-Basis(TMQ-B))は、旭化成グループで培 った実績に基づいた“根拠ある”「機器重要度評価」、 「機器別管理基準」、「指示検収書」等の保全基盤構築 の詳細部分を始めて システム化した。TMQ-BB:Basie|お店ランク評価基準の設定 2:機器別管場基準の設定 3指標・校収票の設定保全基盤の設定保全方針・計画の作成TMQIV1機当別・作業別長期計画の作成 の長期計画作業標準の登録 る部位別保全計画の作成 4修費予算の作成保全業務の実施「1保全依頼のやりとり(製造・保全) 12日常保全計画の作成 13週間・月間保全計画の作成日常保全履歴の登録 ら記録故碑原因分析書の作成保全結果の評価11保全月報用データ抽出 12作業・故障・修費の分析 【3MP設計情報の登録Fig.3 Planned Maintenance and TMQ-Basis本「TMQ-B」により、今まで運用・維持管理する ことが難しかった計画保全の PDCA サイクルを技術的 にかつ効果的に回すための「計画保全基盤:Basis」を システム上で効率的に再構築することができる。2.計画保全支援システム概要2.1 計画保全支援システム開発の経緯 TMQシリーズは、計画保全の構築支援システムと して1982年の「TMQ」販売開始以来、メンテナ ンス業界に販売を続けている。TMQII、TMQII、 TMQIWebとソフトを改善しバージョンを上げて きたが、これらはパソコン環境のオペレーティングシ ステムの変化やデータベースツールの進化など情報環 境の変化に対応することが主であった。Fig. 4にTMQシリーズ開発経緯を示す。保全基盤の整備システム・・ 計店保全の情報を世界で始めて ソフト化しました。 TMQ-B, TMQ-V計画保全システムTMAIがWeb版に クライアントPCにはソフトインストール不要。「計画保全機築支援ソフト TMO-TTWeh責社設の保全品質を 一気に高めます。 TMQ-IIITMC保全品質を飛露的に高め、 段率の向上、コストダウン を実現する。 TMQ-III「TMQ-Basis 保全」の全てをソフト化、2009年Wedに対応、PCには もうソフトは不要です。2002年データベースにオラクル用 各種CDシステムとの連携1998年データベースアクセス用]Windown対応 1993年TMQTMQ パンマンで現場の保全管理を1986年Fig. 4Development Background of TMQ Series今回の開発は、これまでのソフト環境改善による 開発経緯と違い「計画保全の基盤」のシステム化と いう「計画保全」の詳細内容をソフト化することであ り、計画保全コンサルとしてこれまで実施してきた、 種々のノウハウ・事例を形式知化し、見える形とす る事になる。具体的には、下記の「計画保全」の詳細実施項目 を再整理しソフト化することである。実際の開発に 当たっては、多くのベテランのコンサル担当者から、 これまでの膨大なコンサル資料・実績を集約し、今 回の開発のために再整理を行った。開発項目は下記である。の重要度ランク付評価基準の設定 2機器別管理基準の設定3指標・検収収票の設定4部位別保全計画の作成Table 1 Item Development上記の詳細については、3章の「保全基盤システ ムの内容」にその詳細を示す。157,3. 保全基盤システム化の内容13.1 保全基盤構築システムの仕様詳細 保全基盤構築システムの内容詳細について以下に その詳細を示す。 1重要度ランク付評価基準の設定 下記の3方式が任意に選択し設定できる。 (1) フローチャート(定性)評価法 (2) 絶対評価法 (3) マトリックス評価法 各々の評価法に付いてユーザーは Excel 上で評価条件 を自由に設定できる。これを元に機器毎の評価を設定 する。 詳細の設定内容は記録として保存される。 また、承認者を個別に設定し、この承認・変更履歴も 記録として保存できる。これにより、重要度設定は変 更管理に対応できる。この設定情報が機器台帳の重要 度の項目(データベース)に反映される。 重要度登録 Excel のイメージを Fig.5に示す。■ローチャート評価方式Fig. 5Create Apparatus Importance Evaluation2機器別管理基準の設定 機器別管理基準は保全の管理単位の機器毎に作成する 保全の憲法である。機器別管理基準の様式には大きく 3種類がありその詳細内容は下記のようになる。 (1) 様式-1について 様式1は重要度、保全方式に応じた信頼性を確保する ため、「検査・診断」「整備・修理」「日常点検」の項目 について、機器を構成する部位(部品)毎に内容、周 期を明確にするものである。これにより、その機器を 具体的にどのように保全するかが明確になり、あわせ て、各々の保全作業の関連が俯瞰して確認できる。 具体的には Fig. 6 のような形での入力と出力になる。「N機種大分類事務1日中分類」の日にポンプポンプ機種中分類小分間1日12008年01月04日「続 ・お SD-OM方式CorbTaeHHH1/追1個町TOITET ITBUCEM TOM-CEM TOM.COM TB-ce ITEM-EUM | TBM-CBM trets.eu ITEM TEM Tau日け法のお店にTOM TRM1164[東京の改ウェアリングmyブランドオアンコム 「グランドスリーブベ 「 カップリングボルトTEMauFig.6 Management standard by apparatus typel 機種別に各部位毎の雛形をデータベース上に作成し、 これを引用し機器毎の使用条件を考慮し、個別に周 ・期・内容を修正し作成して行くことになる。 (2)機器別管理基準の様式-2 とは機器別管理基準 様式1 で設定された構成部位(部 品)毎の保全内容、周期について、部位別の「管理指 標」と「管理基準」を設定し明確にするものである。 これにより、その機器を具体的に保全する判断基準が 明確になる。 事例を Fig.7に示す。あれって.......AsianFig.7 Management standard by apparatus type2 (2) 指示検収票とは機器別管理基準様式-2を具体的に反映したもので あり、実際の保全作業において、各々の保全作業の結 果の作業部位とその検収基準を関連して一覧表にした ものである。これにより保全の結果を定量的かつ確実 に確認できる。一般機器については、弊社グループで は多数の機種について標準が作成されており実際の保 全現場で活用されている。具体的事例を Fig.8に示す。TylopenFig. 8Acceptance slip directions1583指標・検収収票の設定 上記の、機器別簡易基準の様式2と指示検収票は指 標・検収票としてシステム上のメニューに構成されて いる。機種別に各部位毎の雛形をEXCELで作成し、 これを引用し機器毎の使用条件を考慮し、個別に検収 基準・管理指標を修正し作成して行くことになる。 - 当社では、これまでのコンサルの事例及びユーザー としての実績から保全現場での実績に元づく、各種機 器の「機器別管理基準様式1」「様式2」、「指示・検収 表」の雛形を整理・所有しており、これらを、オプシ ョンとして販売していく予定である4部位別保全計画の作成 「機器別管理基準 様式1」の定義にもとづき、部位 別の検査診断、修理整備の保全計画表(保全カレンダ ー : 星取表)を出力する。 TMQ-Bにて作成した 「機器別管理基準」の内容を具体的に検討するため部 位別の保全計画(星取表)を「中長期スケジューラ」 にて自動作成可能とした。Fig. 9 Output of medium and long-term schedule 出力パターンは「長期計画(年度、半期、四半期)」 「年度計画」、「月間計画」が可能である。また、出力 項目も内容やその長さ等もユーザーが自由に設定可能 である。計画のシミュレーション機能があり周期・周 期設定の基準日をこの画面上で自由に変更でき、最適 な保全計画を作成できる。作成した結果は、全て画面 イメージに合わせてEXCELに出力されユーザーに て自由に活用できる。4. 計画保全基盤構築システムの今後1)計画保全と保全管理システム今回の開発で、計画保全の流れと保全システムとの 関係は TMQ-B により「保全基盤」、とくに計画部分の 業務フローはカバーできることになった。 しかし、まだ本システムは開発・テスト・試験運用が終わり、販売を開始した所である。まだまだ、実用面 での改善は多いと思っている。ユーザーでの運用によ る指摘・改善点をひとつずつ解決しシステムの完成度 を上げて行きたいと考えている。 2) Check、Action 部分へのシステム支援対応 - PDCA サイクルのシステム化については、Check、 Action の部分はまだまだ人間の頭の中で進めている。 システムではデータの集約・集計・グラフ化にとどま り、TMQでもこれを支援しているとはいいがたい。 ・本部分については、高圧ガス関係の管理基準判断の ために開発した新しい管理の仕組みを構築し、システ ム化も完了し運用を開始した。 (高圧ガスの設備管理の視点で各種データベースを連 携して、部位毎の検査計画に反映させるもの) ・これを、汎用的な仕組みとして提供するには、一般 的な設備管理ではシステムとして重厚すぎるため、現 在見直しを行いより簡易なシステムとして開発すべく 検討中である。 その全体イメージを Fig.10に示す。BTMQ-(B) : 計画保全基盤システム(重要度、保全方式、機器別管理帳)CATMQ-IIの現履歴管理の強化TMQ-III 長期計画、実施計画が劣化損傷管理TMQ-III 指示検収表等Fig.10B-PDCA cycle and New system image5.結言1. 計画保全の PDCA サイクルを効果的に運用するための保全基盤構築システム「TMQ-B」を紹介した。 2. 本システムは、保全効果の向上を期待できるとともに、ベテラン保全員の技術を新人保全員へ 伝承するツールとして活用ができる。参考文献[1] 旭化成エンジニアリング 編:「保全情報管理システム活用ガイド」, (社)日本プラントメンテナンス協会、(2003) [2] 佐藤信義:「プラントメンテナンスの基礎知識」 1 化学装置, Vol.44, No.12, (2002) [3] 緒形次郎 :「旭化成グループにおける「設備管理システム」の実践事例」保全学会 第5回学術 講演会論文集 (2008)159“ “?計画保全の保全基盤構築のシステム化“ “緒形 次郎,Jiro OGATA
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