保全技術記事とそのねらい
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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
ここでは、それらのうち保全技術記事 (New Technology)について紹介するとともに、そのねら いについて述べる。おりである。 保全活動は大まかには設備の点検、評価、措置 (補修、取替、予防保全)といった分類が可能で あるが、例えば点検といっても、ポンプや弁など の分解点検もあれば機器を構成する構造材料の非 破壊試験もあり、また評価といっても、状態監視 結果の評価もあれば非破壊試験で検出された欠陥 の破壊力学的評価もあって、その内容は多様であ り広範囲である。EJAM で扱う保全技術記事の対象としては、これ ら広範囲の保全活動に関する技術のうち、機器を 構成する構造材料に対する点検(非破壊試験)、評 価、補修、取替、予防保全に関する技術に加え、 状態監視に関する技術及び原因究明のための高度 化技術を主な対象とすることとした。 2.3 保全技術記事における「柱」について 保全技術記事の発展性を考慮し、2.1で述べ た保全技術記事の対象となる「非破壊試験」「評価」 「補修」「取替」「予防保全」「状態監視」に関する 技術及び「原因究明のための高度化技術」のよう な分類項目とは別に何らかの「柱」(目玉)を立て ることで、それらを核として保全技術記事に対す る一層の関心を引き起こし、結果として保全技術 記事の自律的な発展成長がもたらされることをね らいとして、次のような「柱」を立てることとし た。 (1) SCC 等対策技術SCC は代表的な劣化モードであり、多くの
2. 保全技術記事(New Technology) 2.1 保全技術記事とは 保全技術記事は、保全のために開発、改良され た技術を紹介するものであり、従来の学術的なジ ャーナルとは異なる形式で、設備の信頼性を高め、 安全性を確固たるものにするための技術を世界レ ベルで状況共有あるいは検討するフォーラムを世 界に提供できることを目指したものである。 2.2 保全技術記事の対象 保全技術記事の対象についての考え方は次のと
関連技術が開発・改良されてきており、今後 も続くことが予想される。また、技術分野と して非破壊試験、評価、補修、取替、予防保 全のいずれも関係する。SCC 以外にも例えば FAC 等の劣化モード対策技術もこの柱に含ま れる。この柱においては、我が国では安全を 高いレベルに維持するために課せられてい る厳しい規制がもたらした優れた保全技術 が多く生み出されてきており、世界に対して 我が国の技術をアピールする格好の機会を 与えるものと期待される。 (2) 状態監視保全(CBM)一定一律の時間間隔に基づく点検保守管理 から、状態を監視してその結果に基づき点検 保守を行う管理へとシフトしていくことで 保全の最適化につながるとされる。CBM 先進 国である米国等からの実例紹介等が期待される。 (3) オンラインメンテナンス(OLM)プラント停止時に行う保守管理だけでなく、 プラント運転時にもスタンバイ系統の余裕 を生かして部分的に系統を隔離して保守管 理を行うオンラインメンテナンス(OLM)を 取り入れることでプラント稼働率向上効果 が期待される。これについても米国等からの 取り組みに関する情報が期待される。3. 保全技術記事のねらい3.1 保全技術記事の可能性 保全技術記事は、有望な保全技術の状況を共 有・検討するフォーラムを世界に提供できること を目指したものである。このため、保全技術記事 においては、記事の読者及び投稿者が次のような 形で情報共有し議論できることに特に重点を置い ている。 * (1)業務の幅を広げること記事の読者から EJAM 事務局を通じて容易 に投稿者にコンタクトできるため、読者がメ ーカ等の開発者であれば、彼らは投稿者であ るメーカ、電気事業者等との情報交換ルート を持つことができ、自己の業務の幅を広げる 機会を獲得できる。あトる(2) 研究開発活動を刺激すること(1) と同様に、読者が研究者であれば、保全 技術記事を通じて産業界の関心について知 るとともに、逆にどういう課題が未解決のま ま残され開発が待ち望まれているかについ ての傾向を読み取ることにより、自己の研究 開発計画に反映する機会を獲得することができる。 3.2 保全技術記事の特徴保全技術記事では、その目的から、次のような 点に重点を置いて記事を構成するようにしている。 (1)わかりやすさ一読して保全技術の概要が理解できるよう 以下のような趣旨を中心とする投稿フォー マットを作成し、投稿要領としてホームペー ジに掲載している [2]。 ・簡潔明瞭な記載 ・見やすい視覚的表現を多用 このような特徴を備えた保全技術記事のひ とつとして、封止溶接に関する記事の例をFig.1 に示す[3]。 (2) 詳細情報への容易なアクセス読者にまず一見して技術の概要を掴んでも らった上で、関心のある詳細情報へと容易に アクセスしてもらうために、以下の工夫を行 っている。 ・関連文献がリンク形式で容易に入手可能 ・投稿者への質問等アクセスが可能4.結言EJAM 保全技術記事に対する保全関係者の積極 的な参加・活用が行われ、保全技術記事の所期の 目的達成につながるよう、今後も保全技術記事の ねらいを維持しながら継続して運営を工夫してい く。保全技術記事を通じた活発な情報・意見の交 換に期待する。「謝辞本報は、EJAM 編集委員会保全技術委員会及びそ の幹事会において検討された内容を著者がまとめ たものである。同委員会及び幹事会の委員各位の183、ご指導、ご助言に感謝する。参考文献[2]http://www.jsm.or.jp/ejam/contributors. html#submission [3]http://www.jsm.or.jp/ejam/Vol. 1. No.1/NT/3/3.html
-2009SISSN 1863-7891SEJAMEJAM(1-1-NT3)Fig. 1 Concept of Seal Weding - Windows Internet Explorer e http://www.jsm.or.jp/ejam/Vol.1. No.1/NT/3/Figurel.htmlその、 TerintolbarVol.1, No.1,NT3ontenes ConributorsBOOFEAN GA1-2.3.4.AP 1-2-3-4-5 - NT 1-2.-4-5-6 MenleeinnologyVol.1, No.1, NT3 Seal-Welding over Cracks for Preventing SCC PropagationReactor WaterSeal WeldingTakashi Ito, Hitachi-GE Nuclear Energy, Ltd. Tooru Ootsubo, Toshiba Corporation KEYWORD: seal-welding, SCC, overlayCoccandnut topiccoUP The 6th SeminarFurposes a Approaches Sto the Rex RInspection Se JapanetMetal-SCC Crack Isolated from reactor water ⇒ No SCC propagation※ Semi Upgrade of Monitonng Tecraques'1. Technical summaryClassification ( 15pini, II: Repair, Rovation またまたまそのまま)Vol.1, No.1 (Hay,2009)Fig. 1 Concept of Seal Welding ページが表示●インターネット|保護モード:有効1This repair method overlays and seals an existing crack prevent its contact with the reactor water. It aims to prevent propagation of st. corrosion cracking (SCC), SCC resistant materials are used for overlaying. Laserding and TIG welding have been developed as overlaying method. Seal welding method does not need machiningrinding for removing cracks, preparing grooves, nor buttering by weld. This simple method can be applied to an actio duch as lower plenum of BWR, and it takes short time to complete repair workFeatures AlchesSimulation Technique for UT Wave Propagation as an Effective Tool for --..デキシーfeetinalytoreVol.1, 18o.1,NTSReactor WaterSest WeldagSeal welding of PWSCC at -weld of a Reactor Vessel Head ... Se-IWAYest/raine--SCC Crack Lalel cu cealerSluta13 No BCC propacationCRC Preventive Maintenance Technique for Primary Loop...Fig. 1 Concept of Seal Welding78912345676Intemal Polishing Preventive Maintenance Technique for ...Fig. 2 Image of repairing work for CRD stub-tubeIHSI Preventive Maintenance Technique for Primary Loop...76912345676JSMFig. 2 Image of repairing work for CRD stub-tubeTAPIN SOCIETY O MAINTENOLOGYFig. 1An Example of ‘New Technology’ Article184“ “保全技術記事とそのねらい“ “堂崎 浩二,Koji DOZAKI
ここでは、それらのうち保全技術記事 (New Technology)について紹介するとともに、そのねら いについて述べる。おりである。 保全活動は大まかには設備の点検、評価、措置 (補修、取替、予防保全)といった分類が可能で あるが、例えば点検といっても、ポンプや弁など の分解点検もあれば機器を構成する構造材料の非 破壊試験もあり、また評価といっても、状態監視 結果の評価もあれば非破壊試験で検出された欠陥 の破壊力学的評価もあって、その内容は多様であ り広範囲である。EJAM で扱う保全技術記事の対象としては、これ ら広範囲の保全活動に関する技術のうち、機器を 構成する構造材料に対する点検(非破壊試験)、評 価、補修、取替、予防保全に関する技術に加え、 状態監視に関する技術及び原因究明のための高度 化技術を主な対象とすることとした。 2.3 保全技術記事における「柱」について 保全技術記事の発展性を考慮し、2.1で述べ た保全技術記事の対象となる「非破壊試験」「評価」 「補修」「取替」「予防保全」「状態監視」に関する 技術及び「原因究明のための高度化技術」のよう な分類項目とは別に何らかの「柱」(目玉)を立て ることで、それらを核として保全技術記事に対す る一層の関心を引き起こし、結果として保全技術 記事の自律的な発展成長がもたらされることをね らいとして、次のような「柱」を立てることとし た。 (1) SCC 等対策技術SCC は代表的な劣化モードであり、多くの
2. 保全技術記事(New Technology) 2.1 保全技術記事とは 保全技術記事は、保全のために開発、改良され た技術を紹介するものであり、従来の学術的なジ ャーナルとは異なる形式で、設備の信頼性を高め、 安全性を確固たるものにするための技術を世界レ ベルで状況共有あるいは検討するフォーラムを世 界に提供できることを目指したものである。 2.2 保全技術記事の対象 保全技術記事の対象についての考え方は次のと
関連技術が開発・改良されてきており、今後 も続くことが予想される。また、技術分野と して非破壊試験、評価、補修、取替、予防保 全のいずれも関係する。SCC 以外にも例えば FAC 等の劣化モード対策技術もこの柱に含ま れる。この柱においては、我が国では安全を 高いレベルに維持するために課せられてい る厳しい規制がもたらした優れた保全技術 が多く生み出されてきており、世界に対して 我が国の技術をアピールする格好の機会を 与えるものと期待される。 (2) 状態監視保全(CBM)一定一律の時間間隔に基づく点検保守管理 から、状態を監視してその結果に基づき点検 保守を行う管理へとシフトしていくことで 保全の最適化につながるとされる。CBM 先進 国である米国等からの実例紹介等が期待される。 (3) オンラインメンテナンス(OLM)プラント停止時に行う保守管理だけでなく、 プラント運転時にもスタンバイ系統の余裕 を生かして部分的に系統を隔離して保守管 理を行うオンラインメンテナンス(OLM)を 取り入れることでプラント稼働率向上効果 が期待される。これについても米国等からの 取り組みに関する情報が期待される。3. 保全技術記事のねらい3.1 保全技術記事の可能性 保全技術記事は、有望な保全技術の状況を共 有・検討するフォーラムを世界に提供できること を目指したものである。このため、保全技術記事 においては、記事の読者及び投稿者が次のような 形で情報共有し議論できることに特に重点を置い ている。 * (1)業務の幅を広げること記事の読者から EJAM 事務局を通じて容易 に投稿者にコンタクトできるため、読者がメ ーカ等の開発者であれば、彼らは投稿者であ るメーカ、電気事業者等との情報交換ルート を持つことができ、自己の業務の幅を広げる 機会を獲得できる。あトる(2) 研究開発活動を刺激すること(1) と同様に、読者が研究者であれば、保全 技術記事を通じて産業界の関心について知 るとともに、逆にどういう課題が未解決のま ま残され開発が待ち望まれているかについ ての傾向を読み取ることにより、自己の研究 開発計画に反映する機会を獲得することができる。 3.2 保全技術記事の特徴保全技術記事では、その目的から、次のような 点に重点を置いて記事を構成するようにしている。 (1)わかりやすさ一読して保全技術の概要が理解できるよう 以下のような趣旨を中心とする投稿フォー マットを作成し、投稿要領としてホームペー ジに掲載している [2]。 ・簡潔明瞭な記載 ・見やすい視覚的表現を多用 このような特徴を備えた保全技術記事のひ とつとして、封止溶接に関する記事の例をFig.1 に示す[3]。 (2) 詳細情報への容易なアクセス読者にまず一見して技術の概要を掴んでも らった上で、関心のある詳細情報へと容易に アクセスしてもらうために、以下の工夫を行 っている。 ・関連文献がリンク形式で容易に入手可能 ・投稿者への質問等アクセスが可能4.結言EJAM 保全技術記事に対する保全関係者の積極 的な参加・活用が行われ、保全技術記事の所期の 目的達成につながるよう、今後も保全技術記事の ねらいを維持しながら継続して運営を工夫してい く。保全技術記事を通じた活発な情報・意見の交 換に期待する。「謝辞本報は、EJAM 編集委員会保全技術委員会及びそ の幹事会において検討された内容を著者がまとめ たものである。同委員会及び幹事会の委員各位の183、ご指導、ご助言に感謝する。参考文献[2]http://www.jsm.or.jp/ejam/contributors. html#submission [3]http://www.jsm.or.jp/ejam/Vol. 1. No.1/NT/3/3.html
-2009SISSN 1863-7891SEJAMEJAM(1-1-NT3)Fig. 1 Concept of Seal Weding - Windows Internet Explorer e http://www.jsm.or.jp/ejam/Vol.1. No.1/NT/3/Figurel.htmlその、 TerintolbarVol.1, No.1,NT3ontenes ConributorsBOOFEAN GA1-2.3.4.AP 1-2-3-4-5 - NT 1-2.-4-5-6 MenleeinnologyVol.1, No.1, NT3 Seal-Welding over Cracks for Preventing SCC PropagationReactor WaterSeal WeldingTakashi Ito, Hitachi-GE Nuclear Energy, Ltd. Tooru Ootsubo, Toshiba Corporation KEYWORD: seal-welding, SCC, overlayCoccandnut topiccoUP The 6th SeminarFurposes a Approaches Sto the Rex RInspection Se JapanetMetal-SCC Crack Isolated from reactor water ⇒ No SCC propagation※ Semi Upgrade of Monitonng Tecraques'1. Technical summaryClassification ( 15pini, II: Repair, Rovation またまたまそのまま)Vol.1, No.1 (Hay,2009)Fig. 1 Concept of Seal Welding ページが表示●インターネット|保護モード:有効1This repair method overlays and seals an existing crack prevent its contact with the reactor water. It aims to prevent propagation of st. corrosion cracking (SCC), SCC resistant materials are used for overlaying. Laserding and TIG welding have been developed as overlaying method. Seal welding method does not need machiningrinding for removing cracks, preparing grooves, nor buttering by weld. This simple method can be applied to an actio duch as lower plenum of BWR, and it takes short time to complete repair workFeatures AlchesSimulation Technique for UT Wave Propagation as an Effective Tool for --..デキシーfeetinalytoreVol.1, 18o.1,NTSReactor WaterSest WeldagSeal welding of PWSCC at -weld of a Reactor Vessel Head ... Se-IWAYest/raine--SCC Crack Lalel cu cealerSluta13 No BCC propacationCRC Preventive Maintenance Technique for Primary Loop...Fig. 1 Concept of Seal Welding78912345676Intemal Polishing Preventive Maintenance Technique for ...Fig. 2 Image of repairing work for CRD stub-tubeIHSI Preventive Maintenance Technique for Primary Loop...76912345676JSMFig. 2 Image of repairing work for CRD stub-tubeTAPIN SOCIETY O MAINTENOLOGYFig. 1An Example of ‘New Technology’ Article184“ “保全技術記事とそのねらい“ “堂崎 浩二,Koji DOZAKI