PD 資格試験開始から3年の実施状況
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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
(財)電力中央研究所は原子力発電プラントの信頼性向 上への貢献を目的に, 平成17年11月に材料科学研究所 に PD センターを設立し, 平成18年3月から日本非破壊 検査協会規格 NDIS 0603-2005 の附属書に従った軽水型原 子力発電所のオーステナイト系ステンレス鋼配管溶接部 のき裂深さ測定の PD 資格試験を開始した。これまでに PD センターが実施した第1期から第5期ま での PD 資格試験の結果を報告した[1, 2]。 1. 本報告では, PD センターで実施した第7期 PD 資格試 験までの結果を報告するとともに,これまで実施した計 23 回の PD 資格試験を振り返り, PD 資格試験開始から3年 の実施状況と試験結果の傾向について報告する。2. 第 6.7 期の PD 資格試験実施結果 2.1 受験者について - PD センターは第6期試験として平成 20 年7月から平成 20年8月までに3回, 第7期試験として平成20年1月か ら平成20年2月までに2回,計5回の PD 資格試験を行 った。この間の受験者は 7 名である。このうち合格基準に 達した方は 5 名であり, 第1期からの合格者の累計は 27 名で, 受験者数あたりの合格率は 71%である。合格者のう ち初めての受験で合格した方は 1 名, 再受験で合格した方は4名である。表1は初回受験合格者数と再試験合格 者数を示している。再試験における合格率は比較的たか い値を示している。 図 1 に第 7 期までの再受験の方の RMSE 値の初回受験時と再試験との間の比を示す。ほとん どの再受験での不合格者(P?U)の RMSE の比は1程度で あるのに対し,再受験合格者(受験者A~O)の RMSE の比 は一部の受験者を除いて2以上である。これらの結果は, 再受験者での合格者のほとんどが, PD研修センターもしく は所属する会社において効果的なトレーニングを受け, SCC 深さサイジング探傷技術を向上させたことにより, 再 受験に合格したことを示唆している。
表1 初回試験合格者数と再試験合格者数
初回試験初回試験での再試験再試験での合格者数合格率(%)合格者数合格率(%)第1期第1期14第2期第2期100第3期第3期66第4期4期75第5期5期50|第一第第6期6期64第7期第7期100合計1232合計1560199一部RMSBの比 RMSE(初回受験)/RMS再受験]ABCDEFGHIJKLMNO PORSTU受験者数図1.第7期までの再受験者の RMSE の変化(■:合格者,口:不合格者)2.2 試験で使用された UT 手法について図2に第7期までの PD 資格試験で使用されたUT 手法ごとの使用者数を示す。受験者の半数以上が 「従来 UT」と「フェイズドアレイ(PA)」の両方の手法を 使用する手順書により受験されており,この「従来 UT」と「PA」の両方を使用する手順書を使用した受 験者の合格率が一番高い。そして, 2 手法により SCC 深さサイジング測定を行い, 特徴を考慮して両 手法の測定結果を解析・比較して SCC 深さを決定し ている受験者が多数を占めている。従来UT +TA来UTPA図 2. PD 資格試験に使用された手法。(■:受験者, :合格者)2.3 試験結果の傾向について * 図3は全受験者(第 1~7 期)の平均誤差と RMSE の関 係を示している。図3からほとんどの合格者の平均誤差は ±1 以内であり, 合格者の方々の SCC 深さ測定技術が高 いことがわかる。 15 第4期までにおいて, 平均誤差が 2 を超えて不合格に なられた方が多くみられる。この方々は「SCC 先端を特定 する手順或いは技術に不備がある」ために不合格になったと考えられる。このことは、母材と溶接部の境界面エコー の判別手段或いは技術が不十分で実際の SCC の深さより も深く判断してことによる。 図 4 にき裂深さ測定において出 現する各種のエコーの起源を示しているが, 平均誤差 2 以上の方々は、測定されるエコーから端部エコーを判断 することができず, 正確な深さ測定が行えず, 合格できな ったと考えられる。 しかしながら, 第5期以降は、 不合格者 の平均誤差も±2mm 以内となっている。この結果は第5期 以降の PD 試験受験者が母材と溶接部の境界面エコーと 端部エコーを判別手段或いは技術をきちんと身につけて 受験に臨んでいることを示唆している。つまり, 期を重ねる ごとに受験者の技術が向上していると考えられる。..(第1-4期) 不合格 (第1-4期)+10F●合格(第5-7期)不合格 (第57期)+RMSE (mm)×++++++-------->&1 #0メメメメメ1 - ------ BRMSE = 3.0 mg10平均誤差(mm) |図 3 全受験者の平均誤差と RMSE の関係母材と溶接 部の境界面 のエコー端部エコー-C超音波の入射方向SSCCが溶接部に 進展した箇所の エコーCCHE ALIENISSCC屈曲部のエコー --開口部エコーSCC き裂深さ測定における各種エコーの起源図.43.結言PD 資格試験は平成18年3月の開始から3年が経過し, 計 23 回の試験が実施され, 合格基準をクリアした方は 27200名となった。また, 期を重ねるごとに受験者の方々の技術 が向上していることを示唆する結果も得られた。今後とも PD センターは, 公平(中立), 公正かつ透明性 を堅持して PD 資格試験の運営と試験の実施を行い, 原 子力発電用機器に対する非破壊検査の信頼性向上に貢 献していくことを目指して活動し,試験の結果などの情報 に関しても, 適宜電力中央研究所材料科学研究所 PD セ を堅持して PD 資格試験の運営と試験の実施を行い, 原 子力発電用機器に対する非破壊検査の信頼性向上に貢 献していくことを目指して活動し,試験の結果などの情報 に関しても、 適宜電力中央研究所材料科学研究所 PD セ ンターホームページ (http://criepi.denken.or.jp/jp/pd/index.html)や学会等を 通じて公開していく所存である。 参考文献[1] 笹原,直本,秀,神戸,“PD 資格試験開始から一 年の実施状況”第4回保全学会予稿集, 福井, 2007. [2] 直本,笹原,秀,“PD 資格試験開始から2年の実施状況”第5回保全学会予稿集, 水戸, 2008. [1] 笹原,直本,秀,神戸,“PD 資格試験開始から一 年の実施状況”第4回保全学会予稿集, 福井, 2007 [2] 直本,笹原,秀,“PD 資格試験開始から2年の実施状況”第5回保全学会予稿集, 水戸, 2008.- 201 -“ “PD 資格試験開始から3年の実施状況“ “直本 保,Tamotsu JIKIMOTO,笹原 利彦,Toshihiko SASAHARA,秀 耕一郎,Koichiro HIDE
(財)電力中央研究所は原子力発電プラントの信頼性向 上への貢献を目的に, 平成17年11月に材料科学研究所 に PD センターを設立し, 平成18年3月から日本非破壊 検査協会規格 NDIS 0603-2005 の附属書に従った軽水型原 子力発電所のオーステナイト系ステンレス鋼配管溶接部 のき裂深さ測定の PD 資格試験を開始した。これまでに PD センターが実施した第1期から第5期ま での PD 資格試験の結果を報告した[1, 2]。 1. 本報告では, PD センターで実施した第7期 PD 資格試 験までの結果を報告するとともに,これまで実施した計 23 回の PD 資格試験を振り返り, PD 資格試験開始から3年 の実施状況と試験結果の傾向について報告する。2. 第 6.7 期の PD 資格試験実施結果 2.1 受験者について - PD センターは第6期試験として平成 20 年7月から平成 20年8月までに3回, 第7期試験として平成20年1月か ら平成20年2月までに2回,計5回の PD 資格試験を行 った。この間の受験者は 7 名である。このうち合格基準に 達した方は 5 名であり, 第1期からの合格者の累計は 27 名で, 受験者数あたりの合格率は 71%である。合格者のう ち初めての受験で合格した方は 1 名, 再受験で合格した方は4名である。表1は初回受験合格者数と再試験合格 者数を示している。再試験における合格率は比較的たか い値を示している。 図 1 に第 7 期までの再受験の方の RMSE 値の初回受験時と再試験との間の比を示す。ほとん どの再受験での不合格者(P?U)の RMSE の比は1程度で あるのに対し,再受験合格者(受験者A~O)の RMSE の比 は一部の受験者を除いて2以上である。これらの結果は, 再受験者での合格者のほとんどが, PD研修センターもしく は所属する会社において効果的なトレーニングを受け, SCC 深さサイジング探傷技術を向上させたことにより, 再 受験に合格したことを示唆している。
表1 初回試験合格者数と再試験合格者数
初回試験初回試験での再試験再試験での合格者数合格率(%)合格者数合格率(%)第1期第1期14第2期第2期100第3期第3期66第4期4期75第5期5期50|第一第第6期6期64第7期第7期100合計1232合計1560199一部RMSBの比 RMSE(初回受験)/RMS再受験]ABCDEFGHIJKLMNO PORSTU受験者数図1.第7期までの再受験者の RMSE の変化(■:合格者,口:不合格者)2.2 試験で使用された UT 手法について図2に第7期までの PD 資格試験で使用されたUT 手法ごとの使用者数を示す。受験者の半数以上が 「従来 UT」と「フェイズドアレイ(PA)」の両方の手法を 使用する手順書により受験されており,この「従来 UT」と「PA」の両方を使用する手順書を使用した受 験者の合格率が一番高い。そして, 2 手法により SCC 深さサイジング測定を行い, 特徴を考慮して両 手法の測定結果を解析・比較して SCC 深さを決定し ている受験者が多数を占めている。従来UT +TA来UTPA図 2. PD 資格試験に使用された手法。(■:受験者, :合格者)2.3 試験結果の傾向について * 図3は全受験者(第 1~7 期)の平均誤差と RMSE の関 係を示している。図3からほとんどの合格者の平均誤差は ±1 以内であり, 合格者の方々の SCC 深さ測定技術が高 いことがわかる。 15 第4期までにおいて, 平均誤差が 2 を超えて不合格に なられた方が多くみられる。この方々は「SCC 先端を特定 する手順或いは技術に不備がある」ために不合格になったと考えられる。このことは、母材と溶接部の境界面エコー の判別手段或いは技術が不十分で実際の SCC の深さより も深く判断してことによる。 図 4 にき裂深さ測定において出 現する各種のエコーの起源を示しているが, 平均誤差 2 以上の方々は、測定されるエコーから端部エコーを判断 することができず, 正確な深さ測定が行えず, 合格できな ったと考えられる。 しかしながら, 第5期以降は、 不合格者 の平均誤差も±2mm 以内となっている。この結果は第5期 以降の PD 試験受験者が母材と溶接部の境界面エコーと 端部エコーを判別手段或いは技術をきちんと身につけて 受験に臨んでいることを示唆している。つまり, 期を重ねる ごとに受験者の技術が向上していると考えられる。..(第1-4期) 不合格 (第1-4期)+10F●合格(第5-7期)不合格 (第57期)+RMSE (mm)×++++++-------->&1 #0メメメメメ1 - ------ BRMSE = 3.0 mg10平均誤差(mm) |図 3 全受験者の平均誤差と RMSE の関係母材と溶接 部の境界面 のエコー端部エコー-C超音波の入射方向SSCCが溶接部に 進展した箇所の エコーCCHE ALIENISSCC屈曲部のエコー --開口部エコーSCC き裂深さ測定における各種エコーの起源図.43.結言PD 資格試験は平成18年3月の開始から3年が経過し, 計 23 回の試験が実施され, 合格基準をクリアした方は 27200名となった。また, 期を重ねるごとに受験者の方々の技術 が向上していることを示唆する結果も得られた。今後とも PD センターは, 公平(中立), 公正かつ透明性 を堅持して PD 資格試験の運営と試験の実施を行い, 原 子力発電用機器に対する非破壊検査の信頼性向上に貢 献していくことを目指して活動し,試験の結果などの情報 に関しても, 適宜電力中央研究所材料科学研究所 PD セ を堅持して PD 資格試験の運営と試験の実施を行い, 原 子力発電用機器に対する非破壊検査の信頼性向上に貢 献していくことを目指して活動し,試験の結果などの情報 に関しても、 適宜電力中央研究所材料科学研究所 PD セ ンターホームページ (http://criepi.denken.or.jp/jp/pd/index.html)や学会等を 通じて公開していく所存である。 参考文献[1] 笹原,直本,秀,神戸,“PD 資格試験開始から一 年の実施状況”第4回保全学会予稿集, 福井, 2007. [2] 直本,笹原,秀,“PD 資格試験開始から2年の実施状況”第5回保全学会予稿集, 水戸, 2008. [1] 笹原,直本,秀,神戸,“PD 資格試験開始から一 年の実施状況”第4回保全学会予稿集, 福井, 2007 [2] 直本,笹原,秀,“PD 資格試験開始から2年の実施状況”第5回保全学会予稿集, 水戸, 2008.- 201 -“ “PD 資格試験開始から3年の実施状況“ “直本 保,Tamotsu JIKIMOTO,笹原 利彦,Toshihiko SASAHARA,秀 耕一郎,Koichiro HIDE