マイクロX 線CT によるセラミックスの欠陥検査

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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
セラミックス材料は半導体産業や金属産業、自動車 産業などにおいて、耐高温性,耐腐食性のために利用さ れてきている。また、最近ではその高い剛性に期待し た構造材料としての用途も、(例えば大型液晶パネル製 造装置の定盤、金属溶湯用パイプ、容器など)、期待さ れている。従来、セラミクス部材の製造では品質性能 を確保するため、セラミクス原料の精製調整、型入、 焼結の各工程をコントロールによってそれを行ってき た。上流の原料評価の部分では従来品と改良品につい て焼結体試料の断面を光学顕微鏡で比較したり、抜き 取りや部分検査が一般的であり、最終製品に近い段階 での全体検査や全数検査は行われてこなかった。本研 究では窒化珪素部材の研磨断面の光学顕微鏡検査と超 音波検査を行い、表面欠陥と内部欠陥の比較を行った。 また太さの異なるナイロン糸をアルミナ成形体に混ぜ 込み焼結することで人工欠陥とした。これをマイクロ X線CT により評価した.[1,2,3,4]
2. 理論
X線は試料を透過すると減衰する。透過前の X 線の 強度を1、試料を透過後の強度をI とするとき、部材 i = 1...nを通過し、各部材の透過率をム ... とする1=1.....nを閲過し、各部材の透過半を1点・・・ とするFig.1Principles of X-ray-CT
-285(1) = Ing; とすると、In(IIIS)は式(2)のよと全体としての透過率III。は式(1)のように書ける。1(1) ここで、L = lng, とすると、In(1/IS)は式(2)のよ うに書ける。In--zgi%3D1Fig.1 にX線CTをX線の光軸に垂直な回転半径の方 向から見た様子を示す。X線CT では、ステージ上の試 料を回転させ 180 度以上の方向から透過像を求め、これ から立体像の計算を行う。Fig.2 に示すようにX線ビー ムはステージの回転軸情報から見ると管球から放射さ れひろがるファンビーム状であるが、適当な並べ替えを 行うと平行ビームによる透過データと等価なものが得 られる。SampleImage IntensifierXrayTubeRotating stageFan-data of Fan-data of_ First view N+1 th viewparallel- dataFig.2Translation from Fan-beam to Parallel-beam一度、平行ビームに並べ替えられてしまえば、座標軸 x から角度0傾いた座標軸tへの透過 X 線の投影デー タp(,0) は Fig.3 からわかるように透過率の分布 g(x,y)をs 軸方向に積分したものである。(x) (cose -sin at) (y) (sin 0 cosesP(1,0) =Tog(t.cos 0 -s.sin 0,7・ sin 0 +s・sin )ds - sin Yt coses (3)-3s.sin 0,t-sin 0 +s・sin )dstooI gst.cos 0-s.sin 0,t.sin 0+s・sin )dsX-raySIntersection of Sample g(x, y)x=t.cos O-s sin y = tsin 0 + s・coseProjection data P(t, s)Fig.3 Sample and Projection data空間領域の g(x,y) をフーリエ変換したものを G(u,)とし、u=k.cose、y =k・sing とすると、 式(4)から式(5)が導ける。 ただし、通常と異なり k の範 囲は-00から+0、日の範囲は0から元とする。この ようにしても一般性は失われない。400400G(u, y) = G(k-cos 0, k ・sin 0) = [] g(x,y).exp(-i(x:u + y:v)}dardy =| | g(t.cos0 - scsin 0, t-sin 0 + S ・cos 0).10000exp(-ikt)dt = | p(t,O)exp(-ikt)dt()y・v))dxasin 0+s以上から投影像 p(,0)をt でフーリエ変換したもの が透過率の分布g(x,y)のフーリエ変換であることが わかる。このG(u,y) の逆フーリエ変換を行うと試料内 の透過率の分布g(x,y)が得られる.G(u,) は極座標の格子で与えられているのでu, v による 2D-FFT は用いず、式(6)に示すように極座標変換 しk とりによる積分とする。 g(x,y) = So I G(u, v) exp(-ik(x?u + y:v)cludyG(k-cose, k・sin O) ・k. exp(ik(x.cos 0 + ysin ))dkdo = [ LOG(k-cos 0, k.sin 0) - 4. exp(ik(x・cose + y ・sin 0))dkde (6)140000J-0000品で400式(6)は投影像 p(t,O) の t によるフーリエ変換 G(x-cose, y ・sin O)に周波数空間で を乗じて逆フ ーリエ変換したものが g(x,y)であると言っている。式(5)をさらに代入すれば式(7)を得られる t の分割数を n, 個 (=k の分割数 n )、0の分割数 をn個とするとG(k.cose,k・sin O) を求めるため の乗算の個数は n × n, Inn, 個、さらにk の乗算が n』×n, 個、逆フーリエ変換と0についての積和計算で ng xn, Inn,個となる。(x,y)=== S TP(i, 0).exp(-ikt)dt .|k - exp(ik(x.cos 0 + y・sin O))dkdo = Trik exp(ik(xcos 0 + y ・sin 0 - t)dk. p(t,0)dtdoれたの40式(T)によると透過率の分布g(x,y) は投影像 p(t,O) に k の逆フーリエ変換を乗じて投影方向に積 分し2元 に重ねあわせたものとして得られる。.. ・ この場合、kの逆フーリエ変換は計算済みと考え られるのでp(t,O) との乗算はn, xn。個だけで計算 結果が出ると考えられる。3. 計測結果3.1 超音波顕微鏡による結果 まず、セラミックス部材に対する通常の検査である (JEOL製 FE-SEM JSM6330F) SEM像と超音波顕微 鏡(HKFT製Fine SATI)による内部観察像 SAM像の比286較を行った。 Fig.4 に示すのは精密部品の製作に用 いられている窒化珪素について2つのグレード (共に 産総研調製の(a)上級グレードものと(6)標準グレード のもの)の SEM像を比較したものである。(b)に比べ (a)の方が組織が微細化していることがわかる。この SEM 観察では,(a)の空孔率は 2%以下、(b)の空孔率は 4%以上と判定された。(a)(b)Fig.4. SEM image (50 pumx30yum) of Si,Na : (a) AIST grade(b) Standard grade同試料を超音波顕微鏡で 100MHz にて撮影した画 像を Fig.5 に示す。ポイントフォーカスレンズでしか も100MHz という高周波数の測定では、あまり深いと ころまで内部像を観察できないが、(b)では(a)に比べ 少し大きな欠陥が多数観察された.また、(a),(b)ともに 20yum 以上と思われる大きな空洞欠陥像が観察され る。(a)(b) Fig.5.SAM image(400 pamx300 Jum) of Si, NA (a) AIST grade (b) Standard gradeこのように、セラミックス材料ではひとつの表面像 観察から想像される内部イメージと実際超音波で得 られる内部像との間には相当ギャップがある。* 3.2 X線 CT の利用X線CT では超音波顕微鏡に比べかなり深いところ の内部像を観察することができる。また、セラミック ス部材の場合、欠陥は焼結前の段階から存在し、焼結 による収縮とともに消滅するのか、そのまま残るのか、 それとも変形するのか興味あるところである。 今回使用した X線 CT 装置はコムスキャンテクノ株)製 Scan X mate-A100S40 である。本機の出力電圧 は100KeV 最大電流 200 uA最大出力は8W である。セラミックス試料の計測には電圧 100KeV,、電流 20UA とした。セラミックス材料はX 線が透過しに くいので試料周辺の空気層の透過率と差が大きすぎ る。このため電流を大きくしすぎるとセラミクス部分 の画像が飽和して真っ白になってしまう。そのため適 当な電流値を選んだ。今回試験したセラミクスはアル ミナである。直径 30mm 高さ 10mm程度の円柱状ア ルミナ成形体を 5 個作成し,成形過程において内部に 太さの異なるナイロン釣り糸(糸径 0.128mm, 0.205mm, 0.31mm,,0.47mm および釣り糸なし)を混入させた。焼 結前後にX線CT による撮影を行い比較を行った。得 られた画像の解像度は 512x512 である。Fig.6 に焼結前の成形体のX線 CT 像を示す。(a)は 糸径0.31mmの釣糸混入試料のX線CT画像例である。 0.128mm-0.47mm まですべての糸径において釣糸混入 試料中の釣糸が識別可能であった。釣糸は細長いので 断層像をアニメーション化してみると細長い虫が移 動していくように見えることで判断できる。(b)には釣 糸を混入していない試料のX線CT像を示すが成形時 -こ混入した気泡状の空孔欠陥が多数観察される釣糸 とは大きさ形状、移動の有無によって明らかに区別さ れる。(a)(6) Fig.6 CT images of Al2O2 samples before anealing:(a)String 's diameter 0.31mm (b)No stringFig. 7 CT image of Al2O3 sample after anealingString's diameter 0.31mmFig.7 には、糸径 0.31mm の釣糸混入試料の焼結 y 後のX線CT 画像を示す。0.128mm-0.31mm まです べての糸径において釣糸混入試料中の釣糸による空 欠陥が識別可能であった。この程度の細さの空孔欠では焼結により消滅することはないことが確認で =た。糸径 0.47mm の試料については焼結の過程で割 してしまった。構造の不均一さが焼結収縮の過程で応 口集中を生み破壊したと考えられる。* 窒化珪素のグレードの異なる 2 種類の試料につい」て SEM 観察および超音波顕微鏡の観察を行い、ど ちらの場合も表面観察像から予想される欠陥分布 と内部情報から予想される欠陥分布にかなり差が あることを示した。 糸径0.128mm から0.41mmまで太さの異なる釣糸混 入アルミナ試料を5種類各1個作成し、焼結前後に X線CT 観察を行った。この範囲の細さの糸径では 焼結前後に欠陥が消滅することがないことを確認 できた。辞線 CT 像の撮影のため、コムスキャンテクノ(株)に 力をいただいた。==考文献|藤井正司、マイクロ CT、非破壊検査、54(5)、2005、 pp.228-232... | 塩田忠弘、マイクロフォーカスX線CT とその応用、計測技術、35(2)、2007、pp.13-17. Y.Ikeda, Y.Mizuta, M.Mizuno, Y.Touma, H.Ohgushi and T.Nakamura, High resolution X-ray CT for porus ceramic biomateirials、Proc.、Far East Conf.,NDT,、 2002、pp.583-588.藤井正司、X 線透過法と CT による内部検査、検査 技術、検査技術、12(10)、2007、pp.62-68.“ “?マイクロ X線 CT によるセラミックスの欠陥検査“ “西村 良弘,Yoshihiro NISHIMURA,笹本 明,SASAMOTO Akira,鈴木 隆之,Takayuki SUZUKI,北 英紀,Hideki KITA,平尾 喜代司,Kiyoshi HIRAO
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