熱交換器チューブの高速検査システム
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カテゴリ: 第6回
1. はじめに
高圧給水加熱器管の検査は内挿式超音波により厚さ測定が行われている。Fig.1 にセンサーヘッドの模式図を示す。 高圧給水加熱器は火力発電所の熱効率を上げるための 水を満たした管内にセンサーヘッドを挿入し、超音波を 装置であり、タービン駆動用の蒸気を利用しボイラの給: - ミラーにより90度向きを変え管内壁より入射する。 水を加熱する装置である。高圧給水加熱器は数千本の熱 音響ミラーの回転と同時にセンサーヘッドを管軸方向に 交換用チューブ(鋼管)が組込まれており、運転中に発生し 引き抜くことで管全長を螺旋状に連続測定する。探傷速 たエロージョンや乳食により漏洩することがある。従来、 度及び測定ピッチは、引き抜き速度(mm)、音響ミラー回 高圧給水加熱器管の検査は各チューブの最小肉厚値を記 転数(rps)と超音波送信の繰り返し周波数(PRE)により 録し、最小肉厚値が管理値以下の場合に施栓処置対象と 決まる。 した保守的な対応が取られていたが、より合理的な判断 を行うため管理値、管理方法を見直すユーザーがでてき ている。これらでは、高圧給水加熱器の検査装置には、 従来よりも詳細な検査データが必要とされ、記録性が高 く、かつ高速な検査が求められている。このため、検査速度を向上させ、かつ管全長の測定デ ータを記録及び評価可能な検査システムの開発に着手し、 従来の検査装置と比較して2倍以上の検査速度を有し、Fig.1 Sensor Head Schematic Diagram 更に、きずを自動的に検出する機能を有する、利便性の 高いシステムを開発した。従来の検査装置は、検査員が手動でセンサーケーブルをチューブに挿入し、ケーブルを手動で引き抜きながら 2. 高圧給水加熱器管の検査手法個々のきずに対し探傷器画面を注視しながら測定を行な」Fig.1 Sensor Head Schematic Diagram倍以上の検査速度を有し、 る機能を有する、利便性の従来の検査装置は、検査員が手動でセンサーケ イニーブー括入1ケーブル工品でき坊主」ラー回 により従来の検査装置は、検査員が手動でセンサーケーブル をチューブに挿入し、ケーブルを手動で引き抜きながら 個々のきずに対し探傷器画面を注視しながら測定を行な っていた。検査結果は、各管の最小肉厚値 1 点又は数点 を記録用紙に手書きで記録し、代表きずの探傷器画面の ハードコピーの印刷を行っていた。このため手動による測定・記録方式では、高速化および詳細なきず情報の提 示が困難であった。
3. 高速探傷のシステムの構成
本システムの装置外観を Fig.2 に示す。高速検査を行う ため自動引き抜き装置と、PRF 上限値の高い超音波探傷 器を導入した。また検査データの記録装置として、デジ タルデータレコーダーを導入した。検査速度の向上には 測定ピッチを従来検査装置と同等以上にすることを考慮 した。これは単純に検査速度だけを上げると軸方向ピッ チが粗くなり、微小きずの検出が困難となることや、そ れを補うためタービン回転速度をむやみに上げるとPRF 上限により周方向ピッチが粗くなる事に起因する。超音波探傷器自動引き抜き装置データレコーダーセンサーヘッドFig.2System Exterior Equipment View4. 専用解析ソフトによる探傷結果表示超音波探傷器で測定された検査データはデータレコー ダに保存し、その後、解析ソフトで処理し、きずの評価 をする。 * 本システムでは、探傷結果をリニアレコーダと同等の 時系列的な表示の他に、任意のきず箇所における展開表 示(C-MAP)や断面表示(B-MAP)が可能である。さ らに、きず自動抽出機能を有しており、管1本毎の検査 データに存在する全てのきずを抽出し、きずの詳細情報 を出力することが可能である。 * 例えば、1本のチューブに 100 箇所の内面きずが存在 したと仮定すると、全てのきずを解析者が手動で測定す るには多大な時間を要し、運用上現実的ではない。この ため高速探傷では、きず自動抽出機能が必須となる。本 システムにより表示されるきず情報を Fig.3に示す。内面監視データ内面きず、外面監視データ外面きずJC-VAPXT LL内面きず表示外面きず表示「自動抽出)KITOFEEL011内面深された由にト31由厚1ch4内外します方もお姉ち向きさ 2154 0.51900/01/02 19:12:0015.3 203913.5 1922 1014 1790 170 1534 0.55.3 155311. 511900/01/03 12:00:00円列列内 両国国BB面日記滿統孔到孔刊刊刊R良良良食ap-lanese1899/12/31 12:00:00Fig.3 C-MAP, B-MAP Display and data list5. 測定値の精度検証とまとめ* 本システムの精度検証を高圧給水加熱器の実機廃却管 を用い実施した。検証では廃却管を本システムで測定を 行い、検出された全てのきずに対し切断調査を行った。 Fig.4 に内面孔食部の代表写真と投影機による内面孔食 の断面画像を示す。検証の結果、検出された全ての内面 孔食について±0.2mm 以内の測定精度を有する事を確 認した。 本システムの開発により、検査の高速化ときず自動解析 やビジュアルが可能になり、実機適用に於いては大幅な 検査時間の短縮と正確な結果が得られることが確認された。Fig.4Internal Pitting Image and Cross-Section310、“ “熱交換器チューブの高速検査システム“ “渡辺 茂樹,Shigeki WATANABE,萬年 利克,Toshikatsu MANNEN,米山 勝久,Katsushisa YONEYAMA,田中 秀秋,Hideaki TANAKA
高圧給水加熱器管の検査は内挿式超音波により厚さ測定が行われている。Fig.1 にセンサーヘッドの模式図を示す。 高圧給水加熱器は火力発電所の熱効率を上げるための 水を満たした管内にセンサーヘッドを挿入し、超音波を 装置であり、タービン駆動用の蒸気を利用しボイラの給: - ミラーにより90度向きを変え管内壁より入射する。 水を加熱する装置である。高圧給水加熱器は数千本の熱 音響ミラーの回転と同時にセンサーヘッドを管軸方向に 交換用チューブ(鋼管)が組込まれており、運転中に発生し 引き抜くことで管全長を螺旋状に連続測定する。探傷速 たエロージョンや乳食により漏洩することがある。従来、 度及び測定ピッチは、引き抜き速度(mm)、音響ミラー回 高圧給水加熱器管の検査は各チューブの最小肉厚値を記 転数(rps)と超音波送信の繰り返し周波数(PRE)により 録し、最小肉厚値が管理値以下の場合に施栓処置対象と 決まる。 した保守的な対応が取られていたが、より合理的な判断 を行うため管理値、管理方法を見直すユーザーがでてき ている。これらでは、高圧給水加熱器の検査装置には、 従来よりも詳細な検査データが必要とされ、記録性が高 く、かつ高速な検査が求められている。このため、検査速度を向上させ、かつ管全長の測定デ ータを記録及び評価可能な検査システムの開発に着手し、 従来の検査装置と比較して2倍以上の検査速度を有し、Fig.1 Sensor Head Schematic Diagram 更に、きずを自動的に検出する機能を有する、利便性の 高いシステムを開発した。従来の検査装置は、検査員が手動でセンサーケーブルをチューブに挿入し、ケーブルを手動で引き抜きながら 2. 高圧給水加熱器管の検査手法個々のきずに対し探傷器画面を注視しながら測定を行な」Fig.1 Sensor Head Schematic Diagram倍以上の検査速度を有し、 る機能を有する、利便性の従来の検査装置は、検査員が手動でセンサーケ イニーブー括入1ケーブル工品でき坊主」ラー回 により従来の検査装置は、検査員が手動でセンサーケーブル をチューブに挿入し、ケーブルを手動で引き抜きながら 個々のきずに対し探傷器画面を注視しながら測定を行な っていた。検査結果は、各管の最小肉厚値 1 点又は数点 を記録用紙に手書きで記録し、代表きずの探傷器画面の ハードコピーの印刷を行っていた。このため手動による測定・記録方式では、高速化および詳細なきず情報の提 示が困難であった。
3. 高速探傷のシステムの構成
本システムの装置外観を Fig.2 に示す。高速検査を行う ため自動引き抜き装置と、PRF 上限値の高い超音波探傷 器を導入した。また検査データの記録装置として、デジ タルデータレコーダーを導入した。検査速度の向上には 測定ピッチを従来検査装置と同等以上にすることを考慮 した。これは単純に検査速度だけを上げると軸方向ピッ チが粗くなり、微小きずの検出が困難となることや、そ れを補うためタービン回転速度をむやみに上げるとPRF 上限により周方向ピッチが粗くなる事に起因する。超音波探傷器自動引き抜き装置データレコーダーセンサーヘッドFig.2System Exterior Equipment View4. 専用解析ソフトによる探傷結果表示超音波探傷器で測定された検査データはデータレコー ダに保存し、その後、解析ソフトで処理し、きずの評価 をする。 * 本システムでは、探傷結果をリニアレコーダと同等の 時系列的な表示の他に、任意のきず箇所における展開表 示(C-MAP)や断面表示(B-MAP)が可能である。さ らに、きず自動抽出機能を有しており、管1本毎の検査 データに存在する全てのきずを抽出し、きずの詳細情報 を出力することが可能である。 * 例えば、1本のチューブに 100 箇所の内面きずが存在 したと仮定すると、全てのきずを解析者が手動で測定す るには多大な時間を要し、運用上現実的ではない。この ため高速探傷では、きず自動抽出機能が必須となる。本 システムにより表示されるきず情報を Fig.3に示す。内面監視データ内面きず、外面監視データ外面きずJC-VAPXT LL内面きず表示外面きず表示「自動抽出)KITOFEEL011内面深された由にト31由厚1ch4内外します方もお姉ち向きさ 2154 0.51900/01/02 19:12:0015.3 203913.5 1922 1014 1790 170 1534 0.55.3 155311. 511900/01/03 12:00:00円列列内 両国国BB面日記滿統孔到孔刊刊刊R良良良食ap-lanese1899/12/31 12:00:00Fig.3 C-MAP, B-MAP Display and data list5. 測定値の精度検証とまとめ* 本システムの精度検証を高圧給水加熱器の実機廃却管 を用い実施した。検証では廃却管を本システムで測定を 行い、検出された全てのきずに対し切断調査を行った。 Fig.4 に内面孔食部の代表写真と投影機による内面孔食 の断面画像を示す。検証の結果、検出された全ての内面 孔食について±0.2mm 以内の測定精度を有する事を確 認した。 本システムの開発により、検査の高速化ときず自動解析 やビジュアルが可能になり、実機適用に於いては大幅な 検査時間の短縮と正確な結果が得られることが確認された。Fig.4Internal Pitting Image and Cross-Section310、“ “熱交換器チューブの高速検査システム“ “渡辺 茂樹,Shigeki WATANABE,萬年 利克,Toshikatsu MANNEN,米山 勝久,Katsushisa YONEYAMA,田中 秀秋,Hideaki TANAKA