基調講演:材料の劣化と損傷―評価法と状態監視技術への適用を目指して

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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
近年の日本のように、一大成長期を経て、経済的な 安定成長期を迎えた社会においては、一頃の大量生 産・大量消費という考え方を 180°転回して、現有の 機械・構造物を修復、更新、時には一部再生して、如 何に長く安全に、かつ安心して使用できるようにする かが重要な技術的課題となってきている。この場合、 時間とともに徐々に進行する材質劣化が原因となって 起こる損傷・破壊過程に対する安全性や信頼性の確保 が必要となるが、長時間かけて生じる材質劣化は、従 来の加速試験では顕在化せず、従って、従来の知識で は予測し得ない損傷・破壊挙動を呈することがあり、 従来のき裂状欠陥を主な対象としてきた非破壊検査な いしは診断手法の再検討を要する重要な問題である。本学会の設立当初より著者等が開催してきた「材質 劣化診断技術に関する調査分科会」 [1]では、いわば健 康診断の段階で未然に病根を絶って治癒率を上げ、早 期の社会復帰を目指すように、き裂等の欠陥ないしは そのような欠陥に至る前に材質劣化部を早期発見し、 補修あるいは劣化の進行抑制処置を施した上で再利用 することにより、機械・構造物のディペンダビリティ* を高めることを目指し、それに必要な検査・診断技術 を確立することを目的として活動してきた。そのため、この研究分科会では、主な材質劣化と破壊機構の調査 研究(材質劣化)、各材質劣化に最適な検査・診断技術 の開発(診断技術)、及び開発した検査・診断技術の活 用方法の検討(保全計画)を、相互に関連させ、有機 的、統合的に実施するよう努めてきた。 (* ディペンダビリティ: 必要な時に安全に使用でき る確率。)本稿では、「材質劣化診断技術に関する調査分科会」 で検討してきた材料の劣化と損傷、特に、劣化と損傷 の評価法とそれらの状態監視技術への適用可能性につ いて述べることにする。
2. 劣化と損傷
「損傷」という述語は、具体的には、疲労や腐食を 受けて、例えば、き裂、減肉、ピンホール、ピット、 減肉等の「欠陥」が材料や部材に生じる現象を言う。 すなわち、「損傷」とは、機械的または化学的な作用に よって「欠陥」が生じる現象を言い、これらの「欠陥」 のために材料の強度 (降伏強度、引張強度、疲労限度、 クリープ強度等)や機能(形状記憶効果、超伝導特性、 電気伝導度等)が損なわれる(=強度や機能の低下が もたらされる)ことになる。塑性変形は英語では““failure““ と呼ばれ、この語は「損 傷」に近い概念を持つと考えられる。すなわち、塑性 変形によりミクロな欠陥たる「転位」が導入され、加」 工硬化等、材料の強度に影響を及ぼすようになるが、 その効果は一様ではないので、塑性変形を取り立てて325「損傷」とは呼ばないのが一般的であると思われる。一方、「劣化」とは、機械的負荷(応力、変形等)や 環境(応力場、雰囲気、温度等)等により、材質自体 が変化し、材料の強度や機能の低下をもたらすことと 定義する。「劣化」を考える場合、時間効果を考慮する 必要が出てくることがしばしばある。例えば、高温下 では化学的に活性化された状態になるため、経時的に 変化する化学反応が重要な役割を果たす。また、周囲 環境によっては、材料中で浸炭や脱炭等、相反する現 象が起こり、材料の強度が上ったり、下ったりすると いった、全く逆の結果を招来することがある。この場 合、強度低下をもたらす脱炭は「劣化」と見なすこと ができるが、強度上昇を招く浸炭は、たとえ強度を上 昇させたとしても、脆化を引き起こすので、浸炭も「劣 化」の1種と考えることができる。勿論、疲労やクリ ープを受けた場合にも「劣化」は起こり、いわゆるバ ージン状態と比べると強度や機能は低下する場合が多 い。しかし、通常はこのような「材質劣化」を考慮せ ずに、当初の特性、すなわち、バージン状態の特性で 議論することが多い。従って、ここに「損傷」とは異なる「劣化」という 概念を導入する必要性がでてくる。すなわち、通常の 設計ではバージン状態の特性で設計しており、時間が 経つと材質の「劣化」が起こるため、機器の信頼度は、 時間の経過とともに設計時の信頼度から低下し続けて いるはずであるが、通常はこのようなことを考慮に入 れずに設計することが多い。「劣化」の特徴を列挙すると次のようになる[2]。 (1) 材料全体の劣化は経年的に進行する。 (2) 必ずしもき裂を伴わない。 (3) 応力が劣化を加速する場合がある。 (4) 他の要因で割れが生じた場合、劣化が限界き裂寸法の著しい減少をもたらす。 * 実際に劣化が問題となるのは、き裂との複合効果。 例えば、後述の心相劣化の場合、劣化によって平 滑材の静的引張強度はほとんど変化しないが、 シャルピー衝撃値、破壊靭性値は著しく低下する[3]。 以上のことから、「劣化」の概念は、保守・検査等に 非常に重要な概念になる訳であるが、一般にはこのこ とに余り配慮していないのが現状と思われる。疲労過程に例をとって「劣化」と「損傷」の違いを もう少し説明する。一般に材料は、疲労損傷を受けると、荷重の負荷・除荷の繰返しにより転位等が導入さ れ続けるため、材質の「劣化」が起こり、やがてき裂 が発生するという一連の過程が考えられる。き裂は代 表的な「損傷」の1形態のため、き裂発生後、その材 料は「損傷」を受けたということになるが、多くの場 合、き裂発生前の時点では、その材料が「損傷」を受 けたとは言うことはない。なぜならば、「損傷」がき裂 のような「見えるもの」、「観察可能なもの」として顕 在化しないからである。(すべり帯や固執すべり帯など き裂の前駆体を「損傷」として取扱う場合もあるが、 これはき裂との区別が付きにくく、それよりも小さな、 例えば、セル組織や亜結晶粒などは微視組織として取 扱われることが多い。さて、き裂発生後は「損傷」を受けたことになり、 破壊力学等を適用して、その「損傷」の影響度を評価 することが可能となるが、現時点では、その前の「材 質劣化」を受けた材料を取扱う体系的な学問や研究は ない。「材質劣化」をどのように取扱うか?どうしたら 取扱えるか?これは非常に重要だが、同時に、非常に 難しい問題と考えられる。「損傷」は定量化(き裂寸法、ボイド率、減肉深さ 等)が容易であるが、「劣化」はそもそもどのようなパ ラメータをとって評価したらよいか分からないことが 多いのが現状である。最も一般的な評価法は「劣化」 によって変化する電気抵抗値等の物理的特性を介して 間接的に「劣化」を評価する方法である。しかし、「劣 化」の種類によってそれを評価するために用いるパラ メータは異なる。次節で種々の劣化とそのパラメータ について述べる。3. 種々の劣化とその検出法主な「劣化」事象をその主な原因ごとに列挙する [1] と次のようになる。 (1)温度履歴によって生じる劣化:熱時効、シグマ相脆化、焼戻し脆化、475°C脆化 (2) 環境によって生じる劣化:水素侵食、照射脆化、吸水劣化、紫外線劣化 (3) 腐食に関わる劣化:浸炭、窒化 Table 1 に、信頼性や保全性、健全性の解析手法の1 っとして知られている故障モード・影響解析(FMEA; Failure Mode and Effects Analysis)に用いられる主な劣 化事象の分類を示す。Table 1 には、使用環境、劣化機 構、劣化モードに従って劣化事象が分類され、その劣326硬度Ln_時効」ステンレス(マルテンサイト | Cr 濃度の異な主な検出法 ] (信頼性試験) 硬度、UT (破壊試験) (耐熱性試験)UT (破壊試験) (破壊試験)UT 光顕、SEMUTUT 鋼、「不純物元素(P、Jファクター: J| Ni-Cr 鋼、低 Sn、As) の粒界」(P+Sn)(Si+Mn)近傍への偏析 | 不純物元素含有量 ステンレス鋼、Ni |脆性相ょ相の析|硬度、組織、フェラ|出による脆化 「イトメータ、UT発生原理 る黒鉛化と軟化」 炭化物形成によ、硬度、ECT、 |HとFe,Cの反応|組織、UT、硬度 「転位の相互作用(浸透探傷試験) 炭化物の粒内 「空孔、物質移動」 温保管試験)Sの偏析 化、耐熱性低下、 | 相変態、 る硬化、脆化 窒化物による脆 「で発生したメタン | がス気泡のが圧 る固溶体の析 出による脆化転位の障害 侵入原子 H に よる原子結合高エネルギー粒子に 炭素鋼、低合 [FeC の分解によよって生成され 「力の低下 た侵入型原子や、 空孔による脆化 | | 原子状酸素析出「分子鎖の分離 | 炭素鋼、低合金鋼ー、Cr-Mo 鋼 「る応力集中等 |金属、プラスチック、合金鋼 ス鋼、Ni基合金る体積張、脆化 | Cr-Mo 温度ヒューズ等 基合金 「低合金鋼、ステンレ|ボイドの生成によ|鉄鋼、合金 | 転位の障害 劣化モード | 問題となる。 き裂、剥離・「接点材、ポリマ「酸化膜破壊によ き裂、破断「炭素鋼、低合金鋼系、13Cr系)金鋼 粒界割れ、脱炭素鋼、Mo |フェーズII | 主な材料 微小き裂、空孔 | き裂、破断 「IC チップ(AVAu熱拡散による | SEM(耐熱性&高|接合部) 炭、ブリスター | 鋼、Cr-Mo 鋼| Al合金等 き裂、破断 | SUS347| き裂、破断 | 鉄鋼 き裂、破断、 き裂、破断 | 鉄鋼 き裂、破断 | 粒界破壊 |き裂、破断 | 高張力鋼延性低下、 水素侵食 溶断 脱落断線 き裂、破断 き裂、破断 「鋼 き裂、破断 き裂、破断 き裂、破断| 強度低下 | プラスチック Classification of material degradations (This table is made based on the table [4] modified by the author referring (2,5?7]).| 光エネルギー吸収、き裂、破断、変色 プラスチック 脆化、延性低下 | き裂、破断 機械的性質の低下|| 延性・靭性低下 | き裂、破断、 強度・靭性低下 | メタン生成 |脆化 スウェリング、脆化 「き裂、破断 |延性低下 強度低下硬化 フェーズIII加速酸化硬化 金属間化合物の生成 |硬化 硬化 脆化 延性低下分子分離 炭化物の析出 「懐化、延性・靭性 |・ 不純物の拡散相の析出 再熱(SR)割れ |粒界の局部強化 | 相対的な強度低下 |黒鉛化」 高温加熱加熱変形 窒化物の析出スピノーダル分解 | 水素原子の拡散 保護膜破壞相互拡散」 2次相の析出常温加工 2次相の析出水素侵入、 中間子照射 劣化機構紫外線照射中性子照射 スパッタリング | イオン照射| 焼戻し脆化相脆化 黒鉛化 赤熱脆化青熱脆化 「相変化(軟化、溶] |熱、蒸発、昇華)浸炭 窒化 | 水素侵食」 475°C脆化 高温酸化熱拡散」 「時效硬化 ひずみ時効 焼入時効水素脆化 大分類 | 小分類」遅れ破壊照射脆化 高温脆性 高温劣化 |腐食 高温脆化 高温劣化腐食 | 硬化 Table 1 高温 | 日光照射 放射線 高温水素 高温十時間中間子照射 湿度 「水素雰囲気中性子照射イオン照射] 使用環境 | 大分類 | 小分類温度 放射線フェーズI327化事象が問題となる主な材料、劣化発生原理、主な検 出法を示した[2、4-7]。以下、Table 1 中に上げた代表的な劣化を抽出して、 その検出法、評価法について述べる。 3.1 相脆化 * o相脆化は、Cr 含有量の多いステンレス鋼が、565 ~930°Cの高温に曝されると、Fe-Cr 間の金属間化合物 である、硬くて脆性的なо相が析出して、材質が脆化 する現象である。この o 相脆化による事故例としては、2相ステンレ ス鋼製遠心分離機の破壊、ボイラ主蒸気管のクリープ 損傷による蒸気漏洩事故[8]、デカンターボールシェル の熱処理ミスによる脆性破壊[2]等、多くの事例が挙げ られる。Figure 1 に o 相劣化を受けたステンレス中鋳鋼と劣 化を受けない受入材のシャルピー吸収エネルギーの温Non-degraded materialCharpy absorbed energy, Ev ,JDegraded material 7-200-100―――― Temperature, °CFig. 1 Charpy absorbed energy vs. ambient temperature curves for degraded and non-degraded stainless steels.350---- Non-degraded material - Degraded material300Stress amplitude, 0210'Number of cycles to fracture, No. cycles Fig. 2 S-N curves for degraded and non-degraded stainless steels.度依存性を比較して示す[3]。また、Fig. 2 には、同じ 劣化材と非劣化材の大気中疲労に対する S-N 線図を示 す[3]。 - Figures 1 と2から分るように、o相脆化は、静的引 張強度、疲労強度および疲労寿命にはほとんど影響を 与えることなく、ただVノッチ・シャルピー衝撃試験 におけるエネルギー吸収率や、J積分値等の破壊靭性値 の低下をもたらすだけである。この破壊靭性地の低下 は顕著であり、室温におけるVノッチ・シャルピー衝 撃値は、0 相析出量の増加とともに急激に低下する。 例えば、オーステナイト鋼では、о 相析出量が 10%の 時、о 相未析出鋼の V ノッチ・シャルピー衝撃値の 17%にまで低下し、フェライトとオーステナイトの 2 相ステンレス鋼ではほぼ0 J/cm2になったという報告ま である[9、10]。また、この脆化の傾向は、析出する o 相の形と場所により大きく異なるという報告[9]もあ り、脆化現象の複雑な一面を示している。このо相の析出により、強磁性相の体積率が変化する ことを利用して、従来からフェライトメータなどの電 磁気学的な方法が、供用中検査における6相の定量的検 出法として採用されている。また、超音波法などもo 相の検出法として採用されることが多い。 3.2 浸炭 - 高温の CO/CO2 または炭素水素雰囲気で金属表面層 に炭素が侵入し、金属炭化物を生成することによって、 金属の延性や靭性が低下する現象であり、金属材料の 表面層は硬化して、浸炭層を形成する。また、侵入し た炭素が金属と反応することによって金属炭化物を生 成し、その結果、割れと異常酸化を誘起する場合があ る[2]。この浸炭による事故例としては、加熱管の浸炭によ る損傷、耐摩ライニング材の浸炭によるはく離、エチ レン製造分解炉輻射管の浸炭損傷[2]等、多くの事例が 挙げられる。 ・浸炭により、表面層の硬化が起こることを利用して、 硬度測定により浸炭層の深さを測定する方法が取られ ている。また、浸炭により、Cr 炭化物の析出、結晶粒 粗大化が起こり、超音波の伝播経路が変化することを 利用して、UT によって浸炭深さを計測することもある。 さらに、浸炭による材料の磁気的特性の変化が起こる ことを利用して、渦電流法(ECT)による浸炭深さの計 測を試みた例もある。 Figure 3 は、ECT による浸炭深さ計測の結果の1例328Measurement level of the 3rd harmonic%100-。/。。Frequency of excitation: 250Hz 1Distance of a region of C=1% from inner surface, mm Fig. 3 Relationship between measurement level of the 3rd harmonic of the ““Sumiprobe““ and depth of carburization.を示す[11]。Figure 3は、住友金属テクノロジー(株)で開 発したスミプローブを用いて内面が波型をしている内 面ひれ付き管の内面の浸炭深さを測定した結果の1例 である。図から、浸炭量 1%となる深さが第3高調波レ ベルと良好な線形関係があることが分る。この結果を浸炭炭素量の分析値および硬度測定結果 と比較したところ、スミプローブによって±0.5 mm 程 度の精度で浸炭深さを測定できることが明らかとなっ ている。 3.3 ひずみ時効Table 1 に示した劣化事象は材質的な劣化によるもの が多いが、ひずみ時効の例は、外力を受けて変形する ことにより、転位の増殖が起こり、転位間の相互作用 によって移動転位の運動が妨げられることによって硬 化が起こるもので、主に化学的な原因で起こる他の「劣 化」とは異なり、「損傷」に近いものである。ただし、 前節でも述べたように、この場合、劣化過程の最終段 階、すなわち、破断直前にならなければ、可視的な欠 陥が現れず、大半の過程で転位の増加による材質の変 化だけが起こるため既存の手法では検出することが難 しい場合が多い。 * 中越沖地震の被害を受けた柏崎刈羽原子力発電所に ある機械・構造物の健全性を検討している「中越沖地 震後の原子炉機器の健全性評価委員会」では、地震で 受けたと予想される機械・構造物の変形、特に、小さ い塑性変形を計測するために、硬度法、磁歪法、音速 測定法、バルクハウゼン・ノイズ法、金属粗組織観察 法、ECT 法、マルテンサイト変態量測定法等、種々の方法を検討した[12]。その結果、構造・機器部材の使用前の機械的特性や 材料情報が無い状態で使用中に受けた数%以下の塑性 変形を評価するために検討した方法の中で最適な方法 は硬度測定であるとしている。 ・金属材料に引張負荷をかけ、塑性変形させた後、除 苛をして荷重を 0 にし、再び引張負荷をかけて、塑性 変形をさせると、Fig. 4 (a)、(b)に示したように、変形 前の状態から負荷した時と全く同じように弾性的挙動 を示す。さらに引張負荷を増大させ、材料を降伏させ ると、元より高い降伏点、すなわち、ひずみ硬化を示 して元の材料の応力ひずみ曲線とほとんど同じ経路 に沿って塑性挙動を開始する場合が多い。従って、ある金属材料に対して、変形を受ける以前 の情報が何も無い場合、現在置かれた状態が塑性変形 を受けたか否かを判断するのは非常に難しい問題とな り、事実上、初期状態からの現在の変形量を判定する ことは不可能なことが多い。非磁性のオーステナイト相単相で構成されているオ ーステナイト系ステンレス鋼 SUS304 の場合、室温下 で負荷を受けると、塑性誘起マルテンサイト変態によ り、非磁性のオーステナイト相が強磁性のマルテンサ イト相に変態し、その変態量は変形量と良い相関関係 を示すことが知られている[13]。従って、室温下で使 用される SUS304 鋼製の機械・構造物に対しては、供 用中にフェライトメータ等で強磁性相(マルテンサイ ト相)の量を測定することによって、その機械・構造 物が受けた変形の大きさを推定することが可能となる。 これは、疲労を受けてラチェット変形をする場合にも 適用可能であり、疲労によって累積したひずみ量を定 量的に評価できることが報告されている[14]。ただし、 この方法で精度良い予測が可能になるのは、静的引張 (圧縮)または疲労において、8%以上の大きな塑性変 形がかかった場合であることに注意する必要がある。なお、このマルテンサイト変態を利用した非破壊検 査法を用いると、疲労を受けてき裂が発生した場合、 そのき裂先端での応力拡大係数の最大値が定量的に評 価できるという報告もある[15]。4.結言本稿では、「材質劣化診断技術に関する調査分科会」 で検討してきた材料の劣化と損傷、特に、劣化の種類 と劣化機構およびそれらの検出法を述べるとともにそ29除荷後ひずみ硬化MMD.L...・・・・(B)・・・・・・・(OB)JYw JYL10.2 or Oy除荷後再負荷除荷後再負荷リューダース変形除荷 再負荷除荷 ! 再負荷AW0.002(a) Mild steels(b) Alloys of Cu, Al etc. Fig. 4 Schematic illustrations depicting typical stress vs. strain curves of metallic materials.適用可能性について述べた。れらの状態監視技術への適用可能性について述べた。参考文献1] http://mainte.gr.jp/web/index.php?option=com_content&task=view&id=183&Itemid=495 2] 小林英男編著、“破壊事故一失敗知識の活用一”、共 - 立出版、2007、pp. 201-202. 3] 北川英夫、中曽根祐司、島崎剛、東出英一、北村武宇、“劣化材の強度評価と寿命予測の基礎研究”、機論(A編)、51巻 464 号、1985、pp. 1230-1234. 4] 鈴木和幸編著、“信頼性七つ道具”、日科技連、2008、pp. 180-191. 5] 西川精一、“新版 金属工学入門”、アグネ、2006. 3] 橋本宇一監修、“機械部品・鉄鋼材料の事故例集一原因と対策一”、丸善、1981. 7] 日本機械学会編、“動力プラント・構造物の余寿命評価技術”、技報堂、1992. B] http://shippai.jst.go.jp/tkd/Search (JST 失敗事例デー トータベース)] 熊田、日本金属学会報、2巻5号、1963、p. 261. 10] 前原ほか3名、鉄と鋼、67巻3号、1981、p.577. 11] 欅田理、“内面ひれ付管(HPM) の内面浸炭深さ評価技術の開発と実施事例評価技術の開発と実 施事例”、日本保全学会材質劣化診断技術に関する調査分科会、2007. 2] 野本敏治、“中越沖地震後の原子炉機器の健全性評価委員会の検討状況”、原子力発電所の耐震安全性・信頼性に関する国際シンポジウム、2008. 3] 例えば、岩崎祥史、中曽根祐司、清水徹、小林昇、“室温、液体窒素温度下におけるオーステナイト 系ステンレス鋼 SUS304、SUS316 鋼の塑性誘起マ ルテンサイト変態に及ぼす変形の影響(X 線回折 法による変形量の定量測定)”、 機論(A 編)、72巻 722 号、2006、pp. 137-144. 41 中曽根祐司、清水徹、霞総司、“SUS304 鋼溶接材の疲労における塑性誘起マルテンサイト変態”、機構論 No.01-16、pp.579-580. 5] Y. Nakasone, S. Kasumi and Y. Iwasaki, “Plasticityinduced Martensitic Transformation around Semi-elliptical Surface Cracks in Fatigue of an Austenitic Stainless Steel,” in “Mesoscopic Dynamics of Fracture Process and Materials Science,” H. Kitagawa and Y. Shibutani (eds.), Kulwar Academic Publishers, 2004, pp. 321-330.30“ “?材料の劣化と損傷:評価法と状態監視技術への適用を目指して“ “中曽根 祐司,Yuji NAKASONE
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