国内軽水炉プラントにおける原子炉圧力容器の照射脆化への取り組み
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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
1 原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化は重要な経年変化 事象の1つである。日本では初期プラントが近く運転開 始40年を迎え,今後長期運転のプラント数が増えること が想定される中,照射脆化を精度よく予測し,適切なプ ラント運転を行うことで十分な構造健全性を確保するこ とが重要である。 原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化は「脆化予測」と 「監視試験」により相補的に評価されているが,近年, 特に脆化予測について見直しが必要であることが認識さ れてきていた。脆化予測については、不純物の多い初期 BWR プラント鋼材に対するこれまでの(社)日本電気協 会原子力技術規程「原子炉構造材の監視試験方法(JEAC 4201-2004)の脆化予測式の予測精度が必ずしも十分でな く,また, PWR プラント鋼材においても照射量の増大に 伴い,これまでの脆化予測式と監視試験データの脆化傾 向に違いが認識されるようになってきており,脆化予測 式の高精度化が必要とされてきていた。一方,監視試験については、プラントの長期運転を見 据えた場合、いくつかの BWR プラントにおいて炉内に 装荷されている試験カプセルが残り1セット(再装荷し た試験済み材の再生可能分を除く)という状況にあり, 試験片の再装荷・再生の方策とともに, 長期運転に適した 監視試験プログラムの策定が必要とされてきていた。これらの課題については,2007 年 12 月に改定された JEAC 4201-2007 で,機構論に基づく脆化予測法の導入, 長期監視試験計画策定および監視試験片再生方法の確立 による監視試験プログラムの適正化が図られ,当面の課 題については解決が図られつつある。本稿は,日本のプラント長期運転に対する原子炉圧力 容器の経年劣化対策について, JEAC 4201-2007 に導入さ れた機構論に基づく脆化予測の活用等の状況を報告する ものである。2.国内原子炉圧力容器鋼材監視試験の現状原子炉では圧力容器鋼の照射脆化をモニターするた めに,監視試験片を納めた照射カプセルが圧力容器内壁 近傍に装荷されており,これを計画に基づき取り出し, 試験を行い,脆化の程度の把握を行っている。初期のプ ラントでは, Ni を添加した SA-302B Mod.鋼 (ASME Code Case1339-2) やその後 JIS G 3120 SQV2A 鋼(ASME SA-533 B Cl.1 相当)などの圧延材が使用された。その後,容器 の大型化,厚肉化,また炉心部の溶接線低減のために鍛 鋼品が使われるようになり, SA-508 Cl.2 鋼 (Ni-Cr-Mo 鋼) やJIS G 3204 SFVQ1A 鋼(ASME SA-508 Cl.3 相当)が用 いられるようになった。
surveillance programFig. 1 には国内の商用軽水炉で使用されている圧力 容器鋼の化学組成の内,照射脆化にとって重要な不純 物の銅と添加元素のニッケルの含有量の分布を示す。 比較のために, 米国の圧力容器鋼の組成も併せて示す。 ニッケル含有量は米国材と較べて狭い範囲に分布して おり,照射脆化に影響の大きい銅の含有量は, 3 鋼材 を除いて 0.16 mass.%以下と低い値になっていること が特徴である。銅の含有量は 1970年代後半から少なく なってきており, 1980 年代後半以降のプラントでは Cu 量0.05%以下と極めて低いレベルとなっている。Fig. 2 には、 これまでに試験された監視試験片の照射 量と照射速度(中性子束)を示す。国内カプセルの照 射速度は大きく3つのグループに分かれ,最も低い (~10 n/cm2-s) 照射速度がBWRの炉壁カプセル,中程Fig. 3度(~100 n/cm2-s) の照射速度がBWR加速カプセル, 比較的高い (~10““n/cm2-s) 照射速度がPWRのカプセル の照射速度となっている。BWRの照射量はPWRの照射 量よりも概して低い。また国内PWRプラントの照射量 は米国監視試験データと比較しても大きな値となって おり,データ点数は米国の方が多いものの,照射量は 米国データベースと同等かそれ以上の範囲をカバーし ている。120cmOBWR ・PWRARTNOT (°C)0●US]8-20161615+201E+171618 11019 Auence (name, E> 1MeV)Fig. 3Transition temperature shifts of the Japanese BWR and PWR plantswith neutron fluenceFig.3 には, 国内全プラントの監視試験データを照射 量に対してプロットした結果を示す。BWR プラントの 方が全般に照射量が低く脆化量も小さいが,一部のプ ラントで, BWR といえども比較的大きめの脆化量が得 られている。3. JEAC 4201 脆化予測法の改定3.1 JEAC 4201 改定の概要JEAC 4201は、供用期間中に中性子照射を受ける軽水 型原子炉圧力容器に対して,その照射による機械的性 質の変化を定期的に調査し,評価するための監視試験 方法について規定したものであり,2007 年版で3つの 大きな改定を実施している。一つ目は、前回の脆化予 測式の改定(1991年)以降に得られた監視試験結果な らびに国内最新の研究成果に基づき,関連温度移行量 に関して予測精度の向上を図った脆化予測法の改定で ある。改定では,前節で紹介した通り国内鋼材に対す る監視試験データが拡充されたことから,国内監視試 験データだけを用いた予測法の開発が実施された。二 つ目は,監視試験片再生に関する(独)原子力安全基347盤機構(以下,JNES)の研究成果に基づき,監視試験 片の再生に関する新たな規定である附属書の追加であ る。そして三つ目が,プラントの高経年化に対して計 画的,継続的な取り出しに資するべく, 監視試験片取 り出し計画について,現行計画に対応する標準監視試 験計画に加え,長期監視試験計画を新たに導入するこ とを定めた改定である。 3.2 予測精度Fig. 4 に JEAC 4201-2007 の脆化予測法による予測値 と,監視試験の実測値の比較を示す。予測値と実測値 の差の標準偏差は 9.4°Cであり, JEAC 4201-2004(最新 の監視試験データベースに対する標準偏差は 11.9°C) よりも予測精度が改善している。新しい脆化予測法で は, 全体的な予測精度に加え, BWR で照射された銅含 有量の多い鋼材の脆化の予測精度(照射速度の影響), 及び PWR の銅含有量が少ない鋼材の脆化傾向および 予測精度(高照射量の影響)において,現行の脆化予 測法に対して改善がなされている。なお,JEAC 4201-2007 では予測値は化学組成と照射条件に関する 表の形式で与えられ,利用者の便宜が図られている。140A FAC4201-2004 12010 FAC4201-2007- 1:1 line---+/-20C 100 +tarterPredicted shift40cmmmm-200_2010012014040 60 80 Measured shift (oC)Fig. 4 Comparison of the measured transition temperature shifts in the Japanesesurveillance program with the old and new Japanese embrittlement correlation3.3 米国監視試験データとの比較 - JEAC 4201-2007 で規定した中性子照射脆化予測法は, 国内監視試験データをベースに設定していることから, その汎用性について最新の米国監視試験データ[1,2]を 用いた評価を行った。Fig. 5 には米国監視試験データの 内,鋼材の化学組成がJEAC 4201-2007 の適用範囲に相 当する鋼材 (Cu≦0.25 mass.%, 0.5≦Ni?1.1 mass.%, P ≦0.025 mass.%)について, 米国監視試験における測定値とJEAC 4201-2007 による予測値の比較を示す。 ARTNDTの大きい側で, JEAC 4201-2007 の中性子照射脆 化予測法による予測値は監視試験よりも低い値となる 傾向があるが,これらのデータは主に, Combustion Engineering 社製の原子炉圧力容器で使用された圧延 材(以下 CE製母材)とLinde80 フラックスを用いた溶 接金属(以下,Linde80 溶接金属)によるものであるこ とがわかった。US database Cus 0.25 mass.%,0.5sNi < 1.1 mass.%.P<0.025 mass.%JEAC 4201-2007 prediction (°C)1-20_0_201201401604 0 60 80 100US surveillance data (°C)Fig. 5 Comparison of the US surveillance dataand the JEAC 4201-2007 predictionsこのうち CE 製母材については,近年米国で開発さ れている脆化予測式[1,3]において,不純物の銅の脆化 への寄与を表す項の係数が,非 CE 製母材よりも 30% ほど大きく,同じ照射条件・化学組成の非 CE 製母材 よりも脆化が大きくなる鋼材として扱われている。国 内プラントでCE 製母材を使用しているのは美浜1号 機の1プラントであるため,JEAC 4201-2007 の脆化予 測法は銅含有量が高い CE 製母材に対しては十分に最 適化されていないといえる。ただし, Fig.6に示すよう に,美浜1号機の母材と銅含有量が同程度の CE 製母 材(図中の人)に対して,JEAC 4201-2007 は精度良く 予測を行うことができることがわかっている。一方, Linde80 溶接金属は,上部棚靭性が低く照射に よる脆化の感受性が大きい鋼材として米国で知られて おり,その原因について多くの検討がなされてきた。 上部棚靭性が低く吸収ェナルギが 41 Jに近くなること により, 41 Jでの遷移温度の上昇量として定義される ARTNprが大きめに評価されることなどが指摘されてい る[4]。また最近の米国予測式[1,3]では予測に使用され348る銅含有量の上限値に関してLinde80 溶接金属は他の 鋼材と異なる扱いがなされており, Linde80 溶接金属は 米国内でも他の材料と較べて脆化の挙動が異なる鋼材 と考えられている。国内では, Linde80 金属は使われて いないため,Linde80 溶接金属に対しても, JEAC 4201-2007 の脆化予測法は十分に最適化されていない といえる。そこで Fig. 7に,CE 製母材, Linde80 溶接金属,お よび監視試験データの信頼性が十分に確認できない Kewaunee プラントの溶接金属の監視試験データを除 いた米国監視試験データと JEAC 4201-2007 の予測値 との比較を示す。これらの鋼材については,係数の最 適化に使用しなかったにも係わらず,精度良く脆化量 を予測できていることがわかる。4.国内圧力容器鋼の脆化予測4.1 個別プラントの脆化予測JEAC 4201-2007 による照射脆化予測の改善度を確認 するために,代表的な国内プラントに対して,監視試 験データと予測値を比較した。以下では予測値と監視 試験データを直接比較するため,データによっては予 測値が監視試験データを下回るものがあることには注 意されたい。実運用では予測値にマージンを加算した 予測値の調整値を使用することで,監視試験データが 常にRTNpT調整値を下回るようになっている。Fig. 8 に銅含有量の多い BWR 圧力容器母材圧延材 (敦賀1号機) の監視試験結果および予測結果を示す。---X CE plate OCE plate: 0.14-cu≦0.18+JEAC 4201-2007 prediction (°C)++エコサービューキューー-----------------12-20_0_204 06080100120140160US surveillance data (°C)Fig. 6Comparison of the US CE plate surveillance dataand the JEAC 4201-2007 predictionsFig. 6図中のシンボル・ラインに隣接して示した数字が監視 試験の回次を示しており, 6 回の監視試験を実施して いる。3回目と4回目の監視試験は,他の監視試験よ りも照射速度が約 10 倍速い条件(加速照射条件)で照 射されたものである。JEAC 4201-2004 の予測も合わせ て示した。JEAC 4201-2004 の予測は,第6回の監視試 験データに対して予測値が大きく過小評価となってい るのに対し, JEAC 4201-2007 は照射速度の影響を考慮 することで,すべてのデータに対して良好な脆化予測 を行うことが可能になった。Fig.9に銅含有量の多い PWR圧力容器溶接金属(美 浜1号機)の監視試験結果と予測結果を示す。わずか な照射速度の違いによって監視試験ごとに予測値が異 なっているが,予測値は監視試験データとよく一致し ていることがわかる。JEAC 4201-2004 の予測と較べて も予測精度は改善している。また, Fig. 10 に美浜1号機の母材の監視試験結果と 予測結果を示す。CE 製母材である美浜1号機母材につ いても精度良く予測できていることがわかる。Fig. 11 に銅含有量が非常に少ない PWR 圧力容器母 材圧延材の監視試験データと予測値の比較を示す。銅 含有量が少ないため予測値への照射速度の影響はほと んどなく,予測値は 3 つの監視試験データに対して同 一の曲線となっている。照射量が高いにもかかわらず, 銅含有量が少ないため,鋼材の脆化量は例えば Fig. 10 の結果と較べて小さい。脆化傾向の予測は,JEAC 4201-2007 において大きく改善されている。US database (without CE plates, Linde80, Kewaunee NPP) Cus 0.25 mass.%,0.5sNi<1.1 mass.%, P<0.025 mass.%JEAC 4201-2007 prediction (°C)12-20_0_2040 60 80 100120140160US surveillance data (°C)Fig. 7Comparison of the US surveillance data and the JEAC 4201-2007 predictions (without CE plates, Linde80, Kewaunee NPP)34943TweensomesEACA201-2004aman[2...ww.0301E+182.E+18 Neutron fluence (n/cm?, >1MeV)EACA201-2004CM0602E-194.E+19 Neutronfluence (n/ cm?, B>1MeV)13ARTNOT (°C)30JEAC4201-2004ARTNDT (°C)ons........03.EE181E+182.E+18 Neutron fluence (n cm?, >1MeV1E5E+19Neutron fluence (n/ on?, B>1MeV) Fig. 11 Surveillance data and predicted trend curvesof the Japanese PWR plant (low Cu content)Fig. 8Surveillance data and predicted trend curves of Tsuruga Power Station Unit 1ARTNDT (°C)EACA201-200402E-194.E+19 Neutron fluence (n cm?, >1MeV)Fig. 9Surveillance data and predicted trend curvesof Mihama Unit 1 (weld metal)4.2 監視試験データに基づく脆化予測の補正脆化予測法の運用では,複数の監視試験データが蓄 積されることによって,予測をデータに合わせて補正 するということが行われてきている。JEAC 4201-2004 では,予測値曲線を監視試験データに合わせて定数倍 することで補正を行ってきたが, JEAC 4201-2007 では, 予測値曲線に定数を加算することで補正を行うという 新しい補正方法が規定された。この補正を行うことにより, JEAC 4201-2007 の予測誤差の標準偏差は補正前 6.E-19 の 9.4°Cから補正後の 5.5°Cまで大幅に改善する。このような補正が可能になったのは,JEAC 4201-2007 では、 照射脆化の「傾向」を再現するように監視試験データ への係数最適化が行われたためである。JEAC 4201-2004 と JEAC 4201-2007 の補正の違いを, Fig. 8 の敦賀1号機のデータを例に見てみる。監視試験 データの蓄積とともに,第6回の監視試験データの予 測値がどのように変化するかを計算した。JEAC 4201-2004 では照射速度の影響が考慮されていないた め,JEAC 4201- 2004 の補正では加速照射データ(第3 回と第4回の監視試験データ)を補正に用いないこと とした。Fig. 12 および Fig. 13 に JEAC 4201-2004 と JEAC 4201-2007 の予測値を補正した結果をそれぞれ示 す。 JEAC 4201-2004 では,監視試験データが増えるご とに補正された予測曲線は大きく変化している。また 第6回の監視試験データが得られるまで第6回の監視 試験データは精度よく予測することができない。これ に対し,JEAC 4201-2007 の予測では,監視試験データ が蓄積しても予測値はあまり大きく変化せず,また加EACA201-20043, 434ARINDT 406E+192E+194.E+19 Neutron fluence (n/cm2, E>1 MeV)Fig. 10Surveillance data and predicted trend curvesof Mihama Unit 1 (base metal)EACA201-2004340602E+194.E+19 Neutron fluence (n/cm2, E>1MeV)16-20 Neutron fluence (n/am?, B>1MeV) 3.2 監視試験データに基づく脆化予測の補正 脆化予測法の運用では,複数の監視試験データが蓄 されることによって,予測をデータに合わせて補正 るということが行われてきている。JEAC 4201-2004 では,予測値曲線を監視試験データに合わせて定数倍 することで補正を行ってきたが, JEAC 4201-2007 では, 予測値曲線に定数を加算することで補正を行うという 新しい補正方法が規定された。この補正を行うことに より,JEAC 4201-2007 の予測誤差の標準偏差は補正前 の 9.4°Cから補正後の 5.5°Cまで大幅に改善する。この みり, JEAL 4L01-L001 リア側映左の標準偏差は相止則 の 9.4°Cから補正後の 5.5°Cまで大幅に改善する。この ような補正が可能になったのは,JEAC 4201-2007 では、 照射脆化の「傾向」を再現するように監視試験データ への係数最適化が行われたためである。JEAC 4201-2004 と JEAC 4201-2007 の補正の違いを, Fig. 8 の敦賀1号機のデータを例に見てみる。監視試験 データの蓄積とともに,第6回の監視試験データの予 測値がどのように変化するかを計算した。JEAC - 350速照射のデータを補正に用いても第6回の監視試験デ ータが適切に予測されている。JEAC 4201-2007 の開発 ではこれら6点のデータを使用しており,精度よく予 測できることは当然ではあるが,開発にあたって単純 に予測誤差を小さくするのではなく,脆化の「傾向」 を再現することに留意し、かつ予測曲線に定数を加え るという予測法を採用したことが,安定した予測を可 能にしているといえよう。ARTNDT (°C)-- As predict ー・ー・ー・ Adjusted w #1 &2 --- Adjusted w#1, 2 & 5Adjusted w #1, 2,5&6 O ! Low flux capsule1021E+182E+183E+18Neutron fluence (n/cm2, E>1MeV)Fig. 12 Adjusted predictions by JEAC 4201-2004 with only low fluxcapsule data of the base metal of Tsuruga Power Station Unit 1smcomiccommonsrmanReginasonneA4..ART NOT (°C)........Adius)As predict Adjusted w#1 & 2 Adjusted w#1 -3 Adjusted w#1 -4 Adjusted w#1-5 Adjusted w#1 -6 High flux capsule Low flux capsuleA O03E+181E+182.E+18 Neutron fluence (nl/cm', E>1MeV)Fig. 13 Adjusted predictions by JEAC 4201-2007 with high and low fluxcapsule data of the base metal of Tsuruga Power Station Unit 14.3 高経年化プラントの脆化管理上述したように,実プラントの運用では、補正を加 えた予測値にマージンを加算した予測曲線を用いてい る。そこで,補正を行いマージンを加算した予測値と して, Fig. 14, Fig. 15 に敦賀1号機及び福島第一1号機の結果を, Fig. 16 に美浜1号機の結果を示す。計算 に用いた中性子束は,各プラントの第6回,第3回, 第4回のものである。Fig. 14 では照射量が高い領域で JEAC 4201-2004 による脆化の予測値が JEAC 4201-2007 による予測値を上回ることになる。BWR プ ラントでは監視試験片の照射量は容器の照射量とほぼ 同じであるため,将来的には JEAC 4201-2007 による予 測値を用いると従来よりも脆化評価を緩和したプラン ト運用となる。Fig. 15 でもその傾向は同じである。一 一方, Fig. 16 では,第3回および第4回の監視試験の照 射量において JEAC 4201-2004 の予測値の方が大きく なっている。しかしながら PWR プラントでは監視試 験片の照射量は容器が受ける照射量よりも大きくなっ ている。JEAC 4201-2007 の予測値を用いても第4回監 視試験データをはじめ裕度をもって予測されており, 実運用上十分な管理が可能と考えられる。ARTNDT (°C)---JEACA201-2004TEAC4201-2007 ? Surv, data3E+181E+182E+18 Neutron fluence (n/ om?, >1MeV)Fig. 14Surveillance data and adjusted correlations of the base metal ofTsuruga Power Station Unit 1BeeeNARTNDT (°C)---EAC4201-2004TEACA201-2007 c Surv. data3E+181E+182E+18 Nutronfluence (n/ cm?, >1MeV)Fig. 15Surveillance data and adjusted correlations of the base metalof Fukushima-Daiichi Unit 1Fig. 15351ARTNDT ()---JEAC4201-2004TEAC4201-2007 ? Surv. data1E+195E+192 E+19 113E+19 46+19 Neutronfluence (n/cm?, >1MeV)Fig. 16Surveillance data and adjusted correlations of the weld metalof Mihama Unit 105.結言原子炉圧力容器の照射脆化に関しては,JEAC 4201-2007 により適切に管理・運用できることが確認で きた。事業者としては,今後,メカニズム解明及び脆 化予測法の更なる精度向上を目指し,国内全プラント の監視試験データを電力中央研究所に集約する計画と している。さらに,限りある監視試験片を有効に活用すべく, 米国で実施されている Integrated Surveillance Program (ISP) のような類似プラントの監視試験結果を共有化 した上で通常の管理をしていくような検討を進めるこ とを考えている。特に敦賀1号機,福島第一1号機の* 本稿をまとめるにあたり,貴重なご意見,ご討論を いただいた電力中央研究所の曽根田氏には、ここに記監視試験データは加速試験が難しい BWR では貴重な 資源であると考えている。一方,プラントの長期運転は社会的に関心が高くタ イムリーな情報発信が求められていることから,本稿 同様に機会を捉えて継続的に実機状況を発信してくこ とを考えている。謝辞本稿をまとめるにあたり,貴重なご意見、ご討論を いただいた電力中央研究所の曽根田氏には、ここに記 して厚く御礼申し上げます。参考文献[1] E.D. Eason, G.R. Odette, R.K. Nanstad, T. Yamamoto,“A Physically Based Correlation of Irradiation Irradiation Induced Transition Temperature Shifts forRPV Steels,” ORNL/TM-2006/530, November 2007. [2] BWRVIP-178NP: BWR Vessel and Internals Project,Nonproprietary Report of Material Test Results from the BWR Integrated Surveillance Program (ISP). EPRI,Palo Alto, CA: 2007.1015504. [3] ASTM E900-02, “Standard Guide for PredictingRadiation-Induced Transition Temperature Shift for Reactor Vessel Materials, E706(IIF),” Annual Book of ASTM Standards, Vol.12.02, American Society forTesting and Materials, West Conshohocken, PA. [4] R.J. McElroy, A. L. Lowe, Jr., “IrradiationEmbrittlement Modelling of Linde 80 Weld Metals,” ASTM STP 1270 (1996) 68.352“ “?国内軽水炉プラントにおける原子炉圧力容器の照射脆化への取り組み“ “山下 理道,Norimichi YAMASHITA,岩崎 正伸,Masanobu IWASAKI,堂崎 浩二,Koji DOZAKI
1 原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化は重要な経年変化 事象の1つである。日本では初期プラントが近く運転開 始40年を迎え,今後長期運転のプラント数が増えること が想定される中,照射脆化を精度よく予測し,適切なプ ラント運転を行うことで十分な構造健全性を確保するこ とが重要である。 原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化は「脆化予測」と 「監視試験」により相補的に評価されているが,近年, 特に脆化予測について見直しが必要であることが認識さ れてきていた。脆化予測については、不純物の多い初期 BWR プラント鋼材に対するこれまでの(社)日本電気協 会原子力技術規程「原子炉構造材の監視試験方法(JEAC 4201-2004)の脆化予測式の予測精度が必ずしも十分でな く,また, PWR プラント鋼材においても照射量の増大に 伴い,これまでの脆化予測式と監視試験データの脆化傾 向に違いが認識されるようになってきており,脆化予測 式の高精度化が必要とされてきていた。一方,監視試験については、プラントの長期運転を見 据えた場合、いくつかの BWR プラントにおいて炉内に 装荷されている試験カプセルが残り1セット(再装荷し た試験済み材の再生可能分を除く)という状況にあり, 試験片の再装荷・再生の方策とともに, 長期運転に適した 監視試験プログラムの策定が必要とされてきていた。これらの課題については,2007 年 12 月に改定された JEAC 4201-2007 で,機構論に基づく脆化予測法の導入, 長期監視試験計画策定および監視試験片再生方法の確立 による監視試験プログラムの適正化が図られ,当面の課 題については解決が図られつつある。本稿は,日本のプラント長期運転に対する原子炉圧力 容器の経年劣化対策について, JEAC 4201-2007 に導入さ れた機構論に基づく脆化予測の活用等の状況を報告する ものである。2.国内原子炉圧力容器鋼材監視試験の現状原子炉では圧力容器鋼の照射脆化をモニターするた めに,監視試験片を納めた照射カプセルが圧力容器内壁 近傍に装荷されており,これを計画に基づき取り出し, 試験を行い,脆化の程度の把握を行っている。初期のプ ラントでは, Ni を添加した SA-302B Mod.鋼 (ASME Code Case1339-2) やその後 JIS G 3120 SQV2A 鋼(ASME SA-533 B Cl.1 相当)などの圧延材が使用された。その後,容器 の大型化,厚肉化,また炉心部の溶接線低減のために鍛 鋼品が使われるようになり, SA-508 Cl.2 鋼 (Ni-Cr-Mo 鋼) やJIS G 3204 SFVQ1A 鋼(ASME SA-508 Cl.3 相当)が用 いられるようになった。
surveillance programFig. 1 には国内の商用軽水炉で使用されている圧力 容器鋼の化学組成の内,照射脆化にとって重要な不純 物の銅と添加元素のニッケルの含有量の分布を示す。 比較のために, 米国の圧力容器鋼の組成も併せて示す。 ニッケル含有量は米国材と較べて狭い範囲に分布して おり,照射脆化に影響の大きい銅の含有量は, 3 鋼材 を除いて 0.16 mass.%以下と低い値になっていること が特徴である。銅の含有量は 1970年代後半から少なく なってきており, 1980 年代後半以降のプラントでは Cu 量0.05%以下と極めて低いレベルとなっている。Fig. 2 には、 これまでに試験された監視試験片の照射 量と照射速度(中性子束)を示す。国内カプセルの照 射速度は大きく3つのグループに分かれ,最も低い (~10 n/cm2-s) 照射速度がBWRの炉壁カプセル,中程Fig. 3度(~100 n/cm2-s) の照射速度がBWR加速カプセル, 比較的高い (~10““n/cm2-s) 照射速度がPWRのカプセル の照射速度となっている。BWRの照射量はPWRの照射 量よりも概して低い。また国内PWRプラントの照射量 は米国監視試験データと比較しても大きな値となって おり,データ点数は米国の方が多いものの,照射量は 米国データベースと同等かそれ以上の範囲をカバーし ている。120cmOBWR ・PWRARTNOT (°C)0●US]8-20161615+201E+171618 11019 Auence (name, E> 1MeV)Fig. 3Transition temperature shifts of the Japanese BWR and PWR plantswith neutron fluenceFig.3 には, 国内全プラントの監視試験データを照射 量に対してプロットした結果を示す。BWR プラントの 方が全般に照射量が低く脆化量も小さいが,一部のプ ラントで, BWR といえども比較的大きめの脆化量が得 られている。3. JEAC 4201 脆化予測法の改定3.1 JEAC 4201 改定の概要JEAC 4201は、供用期間中に中性子照射を受ける軽水 型原子炉圧力容器に対して,その照射による機械的性 質の変化を定期的に調査し,評価するための監視試験 方法について規定したものであり,2007 年版で3つの 大きな改定を実施している。一つ目は、前回の脆化予 測式の改定(1991年)以降に得られた監視試験結果な らびに国内最新の研究成果に基づき,関連温度移行量 に関して予測精度の向上を図った脆化予測法の改定で ある。改定では,前節で紹介した通り国内鋼材に対す る監視試験データが拡充されたことから,国内監視試 験データだけを用いた予測法の開発が実施された。二 つ目は,監視試験片再生に関する(独)原子力安全基347盤機構(以下,JNES)の研究成果に基づき,監視試験 片の再生に関する新たな規定である附属書の追加であ る。そして三つ目が,プラントの高経年化に対して計 画的,継続的な取り出しに資するべく, 監視試験片取 り出し計画について,現行計画に対応する標準監視試 験計画に加え,長期監視試験計画を新たに導入するこ とを定めた改定である。 3.2 予測精度Fig. 4 に JEAC 4201-2007 の脆化予測法による予測値 と,監視試験の実測値の比較を示す。予測値と実測値 の差の標準偏差は 9.4°Cであり, JEAC 4201-2004(最新 の監視試験データベースに対する標準偏差は 11.9°C) よりも予測精度が改善している。新しい脆化予測法で は, 全体的な予測精度に加え, BWR で照射された銅含 有量の多い鋼材の脆化の予測精度(照射速度の影響), 及び PWR の銅含有量が少ない鋼材の脆化傾向および 予測精度(高照射量の影響)において,現行の脆化予 測法に対して改善がなされている。なお,JEAC 4201-2007 では予測値は化学組成と照射条件に関する 表の形式で与えられ,利用者の便宜が図られている。140A FAC4201-2004 12010 FAC4201-2007- 1:1 line---+/-20C 100 +tarterPredicted shift40cmmmm-200_2010012014040 60 80 Measured shift (oC)Fig. 4 Comparison of the measured transition temperature shifts in the Japanesesurveillance program with the old and new Japanese embrittlement correlation3.3 米国監視試験データとの比較 - JEAC 4201-2007 で規定した中性子照射脆化予測法は, 国内監視試験データをベースに設定していることから, その汎用性について最新の米国監視試験データ[1,2]を 用いた評価を行った。Fig. 5 には米国監視試験データの 内,鋼材の化学組成がJEAC 4201-2007 の適用範囲に相 当する鋼材 (Cu≦0.25 mass.%, 0.5≦Ni?1.1 mass.%, P ≦0.025 mass.%)について, 米国監視試験における測定値とJEAC 4201-2007 による予測値の比較を示す。 ARTNDTの大きい側で, JEAC 4201-2007 の中性子照射脆 化予測法による予測値は監視試験よりも低い値となる 傾向があるが,これらのデータは主に, Combustion Engineering 社製の原子炉圧力容器で使用された圧延 材(以下 CE製母材)とLinde80 フラックスを用いた溶 接金属(以下,Linde80 溶接金属)によるものであるこ とがわかった。US database Cus 0.25 mass.%,0.5sNi < 1.1 mass.%.P<0.025 mass.%JEAC 4201-2007 prediction (°C)1-20_0_201201401604 0 60 80 100US surveillance data (°C)Fig. 5 Comparison of the US surveillance dataand the JEAC 4201-2007 predictionsこのうち CE 製母材については,近年米国で開発さ れている脆化予測式[1,3]において,不純物の銅の脆化 への寄与を表す項の係数が,非 CE 製母材よりも 30% ほど大きく,同じ照射条件・化学組成の非 CE 製母材 よりも脆化が大きくなる鋼材として扱われている。国 内プラントでCE 製母材を使用しているのは美浜1号 機の1プラントであるため,JEAC 4201-2007 の脆化予 測法は銅含有量が高い CE 製母材に対しては十分に最 適化されていないといえる。ただし, Fig.6に示すよう に,美浜1号機の母材と銅含有量が同程度の CE 製母 材(図中の人)に対して,JEAC 4201-2007 は精度良く 予測を行うことができることがわかっている。一方, Linde80 溶接金属は,上部棚靭性が低く照射に よる脆化の感受性が大きい鋼材として米国で知られて おり,その原因について多くの検討がなされてきた。 上部棚靭性が低く吸収ェナルギが 41 Jに近くなること により, 41 Jでの遷移温度の上昇量として定義される ARTNprが大きめに評価されることなどが指摘されてい る[4]。また最近の米国予測式[1,3]では予測に使用され348る銅含有量の上限値に関してLinde80 溶接金属は他の 鋼材と異なる扱いがなされており, Linde80 溶接金属は 米国内でも他の材料と較べて脆化の挙動が異なる鋼材 と考えられている。国内では, Linde80 金属は使われて いないため,Linde80 溶接金属に対しても, JEAC 4201-2007 の脆化予測法は十分に最適化されていない といえる。そこで Fig. 7に,CE 製母材, Linde80 溶接金属,お よび監視試験データの信頼性が十分に確認できない Kewaunee プラントの溶接金属の監視試験データを除 いた米国監視試験データと JEAC 4201-2007 の予測値 との比較を示す。これらの鋼材については,係数の最 適化に使用しなかったにも係わらず,精度良く脆化量 を予測できていることがわかる。4.国内圧力容器鋼の脆化予測4.1 個別プラントの脆化予測JEAC 4201-2007 による照射脆化予測の改善度を確認 するために,代表的な国内プラントに対して,監視試 験データと予測値を比較した。以下では予測値と監視 試験データを直接比較するため,データによっては予 測値が監視試験データを下回るものがあることには注 意されたい。実運用では予測値にマージンを加算した 予測値の調整値を使用することで,監視試験データが 常にRTNpT調整値を下回るようになっている。Fig. 8 に銅含有量の多い BWR 圧力容器母材圧延材 (敦賀1号機) の監視試験結果および予測結果を示す。---X CE plate OCE plate: 0.14-cu≦0.18+JEAC 4201-2007 prediction (°C)++エコサービューキューー-----------------12-20_0_204 06080100120140160US surveillance data (°C)Fig. 6Comparison of the US CE plate surveillance dataand the JEAC 4201-2007 predictionsFig. 6図中のシンボル・ラインに隣接して示した数字が監視 試験の回次を示しており, 6 回の監視試験を実施して いる。3回目と4回目の監視試験は,他の監視試験よ りも照射速度が約 10 倍速い条件(加速照射条件)で照 射されたものである。JEAC 4201-2004 の予測も合わせ て示した。JEAC 4201-2004 の予測は,第6回の監視試 験データに対して予測値が大きく過小評価となってい るのに対し, JEAC 4201-2007 は照射速度の影響を考慮 することで,すべてのデータに対して良好な脆化予測 を行うことが可能になった。Fig.9に銅含有量の多い PWR圧力容器溶接金属(美 浜1号機)の監視試験結果と予測結果を示す。わずか な照射速度の違いによって監視試験ごとに予測値が異 なっているが,予測値は監視試験データとよく一致し ていることがわかる。JEAC 4201-2004 の予測と較べて も予測精度は改善している。また, Fig. 10 に美浜1号機の母材の監視試験結果と 予測結果を示す。CE 製母材である美浜1号機母材につ いても精度良く予測できていることがわかる。Fig. 11 に銅含有量が非常に少ない PWR 圧力容器母 材圧延材の監視試験データと予測値の比較を示す。銅 含有量が少ないため予測値への照射速度の影響はほと んどなく,予測値は 3 つの監視試験データに対して同 一の曲線となっている。照射量が高いにもかかわらず, 銅含有量が少ないため,鋼材の脆化量は例えば Fig. 10 の結果と較べて小さい。脆化傾向の予測は,JEAC 4201-2007 において大きく改善されている。US database (without CE plates, Linde80, Kewaunee NPP) Cus 0.25 mass.%,0.5sNi<1.1 mass.%, P<0.025 mass.%JEAC 4201-2007 prediction (°C)12-20_0_2040 60 80 100120140160US surveillance data (°C)Fig. 7Comparison of the US surveillance data and the JEAC 4201-2007 predictions (without CE plates, Linde80, Kewaunee NPP)34943TweensomesEACA201-2004aman[2...ww.0301E+182.E+18 Neutron fluence (n/cm?, >1MeV)EACA201-2004CM0602E-194.E+19 Neutronfluence (n/ cm?, B>1MeV)13ARTNOT (°C)30JEAC4201-2004ARTNDT (°C)ons........03.EE181E+182.E+18 Neutron fluence (n cm?, >1MeV1E5E+19Neutron fluence (n/ on?, B>1MeV) Fig. 11 Surveillance data and predicted trend curvesof the Japanese PWR plant (low Cu content)Fig. 8Surveillance data and predicted trend curves of Tsuruga Power Station Unit 1ARTNDT (°C)EACA201-200402E-194.E+19 Neutron fluence (n cm?, >1MeV)Fig. 9Surveillance data and predicted trend curvesof Mihama Unit 1 (weld metal)4.2 監視試験データに基づく脆化予測の補正脆化予測法の運用では,複数の監視試験データが蓄 積されることによって,予測をデータに合わせて補正 するということが行われてきている。JEAC 4201-2004 では,予測値曲線を監視試験データに合わせて定数倍 することで補正を行ってきたが, JEAC 4201-2007 では, 予測値曲線に定数を加算することで補正を行うという 新しい補正方法が規定された。この補正を行うことにより, JEAC 4201-2007 の予測誤差の標準偏差は補正前 6.E-19 の 9.4°Cから補正後の 5.5°Cまで大幅に改善する。このような補正が可能になったのは,JEAC 4201-2007 では、 照射脆化の「傾向」を再現するように監視試験データ への係数最適化が行われたためである。JEAC 4201-2004 と JEAC 4201-2007 の補正の違いを, Fig. 8 の敦賀1号機のデータを例に見てみる。監視試験 データの蓄積とともに,第6回の監視試験データの予 測値がどのように変化するかを計算した。JEAC 4201-2004 では照射速度の影響が考慮されていないた め,JEAC 4201- 2004 の補正では加速照射データ(第3 回と第4回の監視試験データ)を補正に用いないこと とした。Fig. 12 および Fig. 13 に JEAC 4201-2004 と JEAC 4201-2007 の予測値を補正した結果をそれぞれ示 す。 JEAC 4201-2004 では,監視試験データが増えるご とに補正された予測曲線は大きく変化している。また 第6回の監視試験データが得られるまで第6回の監視 試験データは精度よく予測することができない。これ に対し,JEAC 4201-2007 の予測では,監視試験データ が蓄積しても予測値はあまり大きく変化せず,また加EACA201-20043, 434ARINDT 406E+192E+194.E+19 Neutron fluence (n/cm2, E>1 MeV)Fig. 10Surveillance data and predicted trend curvesof Mihama Unit 1 (base metal)EACA201-2004340602E+194.E+19 Neutron fluence (n/cm2, E>1MeV)16-20 Neutron fluence (n/am?, B>1MeV) 3.2 監視試験データに基づく脆化予測の補正 脆化予測法の運用では,複数の監視試験データが蓄 されることによって,予測をデータに合わせて補正 るということが行われてきている。JEAC 4201-2004 では,予測値曲線を監視試験データに合わせて定数倍 することで補正を行ってきたが, JEAC 4201-2007 では, 予測値曲線に定数を加算することで補正を行うという 新しい補正方法が規定された。この補正を行うことに より,JEAC 4201-2007 の予測誤差の標準偏差は補正前 の 9.4°Cから補正後の 5.5°Cまで大幅に改善する。この みり, JEAL 4L01-L001 リア側映左の標準偏差は相止則 の 9.4°Cから補正後の 5.5°Cまで大幅に改善する。この ような補正が可能になったのは,JEAC 4201-2007 では、 照射脆化の「傾向」を再現するように監視試験データ への係数最適化が行われたためである。JEAC 4201-2004 と JEAC 4201-2007 の補正の違いを, Fig. 8 の敦賀1号機のデータを例に見てみる。監視試験 データの蓄積とともに,第6回の監視試験データの予 測値がどのように変化するかを計算した。JEAC - 350速照射のデータを補正に用いても第6回の監視試験デ ータが適切に予測されている。JEAC 4201-2007 の開発 ではこれら6点のデータを使用しており,精度よく予 測できることは当然ではあるが,開発にあたって単純 に予測誤差を小さくするのではなく,脆化の「傾向」 を再現することに留意し、かつ予測曲線に定数を加え るという予測法を採用したことが,安定した予測を可 能にしているといえよう。ARTNDT (°C)-- As predict ー・ー・ー・ Adjusted w #1 &2 --- Adjusted w#1, 2 & 5Adjusted w #1, 2,5&6 O ! Low flux capsule1021E+182E+183E+18Neutron fluence (n/cm2, E>1MeV)Fig. 12 Adjusted predictions by JEAC 4201-2004 with only low fluxcapsule data of the base metal of Tsuruga Power Station Unit 1smcomiccommonsrmanReginasonneA4..ART NOT (°C)........Adius)As predict Adjusted w#1 & 2 Adjusted w#1 -3 Adjusted w#1 -4 Adjusted w#1-5 Adjusted w#1 -6 High flux capsule Low flux capsuleA O03E+181E+182.E+18 Neutron fluence (nl/cm', E>1MeV)Fig. 13 Adjusted predictions by JEAC 4201-2007 with high and low fluxcapsule data of the base metal of Tsuruga Power Station Unit 14.3 高経年化プラントの脆化管理上述したように,実プラントの運用では、補正を加 えた予測値にマージンを加算した予測曲線を用いてい る。そこで,補正を行いマージンを加算した予測値と して, Fig. 14, Fig. 15 に敦賀1号機及び福島第一1号機の結果を, Fig. 16 に美浜1号機の結果を示す。計算 に用いた中性子束は,各プラントの第6回,第3回, 第4回のものである。Fig. 14 では照射量が高い領域で JEAC 4201-2004 による脆化の予測値が JEAC 4201-2007 による予測値を上回ることになる。BWR プ ラントでは監視試験片の照射量は容器の照射量とほぼ 同じであるため,将来的には JEAC 4201-2007 による予 測値を用いると従来よりも脆化評価を緩和したプラン ト運用となる。Fig. 15 でもその傾向は同じである。一 一方, Fig. 16 では,第3回および第4回の監視試験の照 射量において JEAC 4201-2004 の予測値の方が大きく なっている。しかしながら PWR プラントでは監視試 験片の照射量は容器が受ける照射量よりも大きくなっ ている。JEAC 4201-2007 の予測値を用いても第4回監 視試験データをはじめ裕度をもって予測されており, 実運用上十分な管理が可能と考えられる。ARTNDT (°C)---JEACA201-2004TEAC4201-2007 ? Surv, data3E+181E+182E+18 Neutron fluence (n/ om?, >1MeV)Fig. 14Surveillance data and adjusted correlations of the base metal ofTsuruga Power Station Unit 1BeeeNARTNDT (°C)---EAC4201-2004TEACA201-2007 c Surv. data3E+181E+182E+18 Nutronfluence (n/ cm?, >1MeV)Fig. 15Surveillance data and adjusted correlations of the base metalof Fukushima-Daiichi Unit 1Fig. 15351ARTNDT ()---JEAC4201-2004TEAC4201-2007 ? Surv. data1E+195E+192 E+19 113E+19 46+19 Neutronfluence (n/cm?, >1MeV)Fig. 16Surveillance data and adjusted correlations of the weld metalof Mihama Unit 105.結言原子炉圧力容器の照射脆化に関しては,JEAC 4201-2007 により適切に管理・運用できることが確認で きた。事業者としては,今後,メカニズム解明及び脆 化予測法の更なる精度向上を目指し,国内全プラント の監視試験データを電力中央研究所に集約する計画と している。さらに,限りある監視試験片を有効に活用すべく, 米国で実施されている Integrated Surveillance Program (ISP) のような類似プラントの監視試験結果を共有化 した上で通常の管理をしていくような検討を進めるこ とを考えている。特に敦賀1号機,福島第一1号機の* 本稿をまとめるにあたり,貴重なご意見,ご討論を いただいた電力中央研究所の曽根田氏には、ここに記監視試験データは加速試験が難しい BWR では貴重な 資源であると考えている。一方,プラントの長期運転は社会的に関心が高くタ イムリーな情報発信が求められていることから,本稿 同様に機会を捉えて継続的に実機状況を発信してくこ とを考えている。謝辞本稿をまとめるにあたり,貴重なご意見、ご討論を いただいた電力中央研究所の曽根田氏には、ここに記 して厚く御礼申し上げます。参考文献[1] E.D. Eason, G.R. Odette, R.K. Nanstad, T. Yamamoto,“A Physically Based Correlation of Irradiation Irradiation Induced Transition Temperature Shifts forRPV Steels,” ORNL/TM-2006/530, November 2007. [2] BWRVIP-178NP: BWR Vessel and Internals Project,Nonproprietary Report of Material Test Results from the BWR Integrated Surveillance Program (ISP). EPRI,Palo Alto, CA: 2007.1015504. [3] ASTM E900-02, “Standard Guide for PredictingRadiation-Induced Transition Temperature Shift for Reactor Vessel Materials, E706(IIF),” Annual Book of ASTM Standards, Vol.12.02, American Society forTesting and Materials, West Conshohocken, PA. [4] R.J. McElroy, A. L. Lowe, Jr., “IrradiationEmbrittlement Modelling of Linde 80 Weld Metals,” ASTM STP 1270 (1996) 68.352“ “?国内軽水炉プラントにおける原子炉圧力容器の照射脆化への取り組み“ “山下 理道,Norimichi YAMASHITA,岩崎 正伸,Masanobu IWASAKI,堂崎 浩二,Koji DOZAKI