(1)機械学会におけるオンラインメンテナンスの検討状況

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カテゴリ: 第6回
1. はじめに
日本機械学会動力エネルギーシステム部門の原子力 の安全規制の最適化に関する研究会は「原子力の安全 規制に関する最新の知見を調査・検討し、今後の安全 規制の最適化に資すること」を目的とし、2005年3月 に発足した。2009 年からも引き続き活動することが認 められ、現在第二期の活動を続けている。この委員会には広く学識経験者、電気事業者、メーカー、行政庁から個人としての参加があり、忌憚のな い意見交換により貴重な結論が得られている。参加者 がそれぞれ所属機関に結論を持ち帰り、努力すること で、今後の原子力施設の安全規制がよりよいものにな ると期待されている。本報では研究会の意義を述べる とともに、これまでの活動全体を振り返り、オンライ ンメンテナンスを議論するに至った経緯を述べる。
2.原子力の安全規制の検討の在り方科学技術が社会に受容されるためには、技術そのも のの安全性を高めることと同時に、法律その他の制度 の整備も重要である。科学技術を、様々な分野の専門 家、様々なレベルの政府(国際組織、国、地方自治体) ・ 団体(専門家団体、事業者団体等)、市民といった多様 なアクターの連携によってマネジメントしていく仕組 みを科学技術ガバナンス[1]と呼ぶ。科学技術ガバナン スが正しく成立する要件は、関係するアクターがよく 連絡先:班目春樹、〒113-0032 東京都文京区弥生 2-11-16、東京大学大学院工学系研究科原子力専攻、電 話:03-5841-7419、e-mail:madarame@nuclear.jp話し合い、皆が賛成できる制度を作ることである。/学会での議論 審議会での議論 産業界「地方代表 規制局規制当局 | 徳業界 -- - 学 専門家内での消者 マスコミ 検討 / 代表蹈條 監視全ステークホルダー 国民監視による検討 (政策実現)mommen図1 安全規制の制度設計の在り方図1に、好ましい制度設計の在り方を示す。制度が 実施に移される前の段階で、全ステークホルダーの合 意を得ることが必要なのは当然で、これは国の審議会 等が果たすべき役割である。ただし、このような審議 会において制度の原案を作成することはほとんど不可 能である。原案作成の中心は、科学技術の利用現場の 実態をよく知る産業界と規制当局とならざるを得ない。 しかしこの二者だけが閉じた形で議論し、原案を作成 するのは透明性に欠く。第三者である大学等の専門家 も入って、学会等で公開性のある形での原案作成のほ うが国民の理解が得られやすい。図1の専門家内の検 討の場として設定されたのが、この原子力の安全規制 の最適化に関する研究会である。 - 学会でこのような研究会を開くことは他にも多くの 利点がある。第一に、必要なら他のステークホルダー も参加することができる。第二に、産業界といっても35企業のトップから現場の作業者まで様々なメンバーで 構成されている。規制当局も同様である。審議会では 発言者数を制限せざるを得ず、産業界内、規制当局内 のコミュニケーションは別途行わなければならない。 研究会はそれを補う役割も果たす。このような研究会はほかにも 2007 年からスタート した東京大学の原子力法制研究会[2]などがあり、今後 は図1のような形での検討が広がっていくのではない かと期待される。3.これまでの成果研究会では様々な話題を取り上げてきている。「保全 活動における規制の最適化」が最大のテーマであり、 特に定期検査・定期安全管理審査・保安検査の在り方 の関連で、国内外の保全活動や規制体系を比較し、問 題点を明らかとしてきた。我が国では 13 ヶ月以内にプラントを停止させて定 期検査を行うことになっていたが、13 ヶ月には明確な 根拠はない。定期検査間隔はどの程度までなら延ばせ るのかという問いに答えるには、保全活動の実態を詳 しく調査し、プラント停止を必要とする最も短い間隔 での点検・保守活動が何であるかを明らかにする膨大 な作業を伴う。そのような作業は研究会の下に保全の 最適化検討ワーキンググループを設けて実施した[3]。 その成果は総合資源エネルギー調査会原子力安全・保 安部会の検査の在り方に関する検討会に資料として引 用されている。研究会を通じて産官学の共通理解が得 られたことはそれ以上に有意義で、これが平成 21 年か ら実施に移された新検査制度として結実している。ほかに、保全活動でもPDCAサイクルを回すべく、 電力各社の是正措置の現状調査なども実施している。 トラブルによる停止時の規制の在り方を議論すべく、 国内外の実態を調査するなどもしてきている。従事者 の被ばく低減などもずっと議題に上がってはいるが、 こちらはまだ本格的取り組みには至っていない。「保全活動における規制の最適化」とは別に人材育 成に関する調査なども実施している。人材確保は原子 カ施設の安全のため必須であり、その状況把握は安全 規制の在り方を議論する基礎となる。また、科学技術 ガバナンスの適正化という意味ではマスコミの寄与に ついて調べておくことも必要となる。原子力の安全規 制の最適化に関する研究会は、中立な学会に置かれているという特徴を最大限活かして、様々な活動を行っ ている。詳しくは研究会で毎年報告書を作成している ので、そちらを参照していただきたい。4. オンラインメンテナンスの検討新検査制度をさらに有効なものとすべく、研究会で はオンラインメンテナンスに関する勉強会を本年度開 いた。その成果は原子力安全・保安部会原子炉安全小 委員会運転管理ワーキンググループでの検討に引き継 がれており、研究会ではその行方を見守っている。オンラインメンテナンスとは原子力プラントが発電 をしている状態で実施する保全作業を意味する。従来 の検査制度では定期事業者検査はプラント停止期間の 実施を基本としていた。新制度ではプラント停止から 次の停止までの保全計画を事前に審査することとなり、 プラントの運転中にも定期事業者検査は実施できる。 実施方法は電力会社の自主性に任されており、保全計 画の適正化で定期期間中への保全作業の集中を防ぐこ とができる。LCO(運転上の制限)対象外の機器の 保全作業をプラント運転中に移すことは規制とは直接 関係なく実施できるが、LCO対象機器については予 防保全のための計画的な待機除外が「やむを得ない」 場合に制限されているためもう少し慎重な検討が必要 である。また、国が直接関与する定期検査項目を運転 中に移すにあたっても、国との調整が必要である。た だ、例えばBWRの非常用ガス処理系(SGTS)な どは被ばく低減に対する効果がプラント停止中のほう が運転中よりも大きいものであるため、本来プラント 運転中に保全作業を実施し、定期検査を受検するほう が合理的である。オンラインメンテナンスは米国等で は既に実施されており、我が国でも実施すれば作業負 荷平準化に大きく寄与し、結果的に作業の質の向上、 そして安全性の向上にも寄与すると期待されている。参考文献 「11 城山英明編、科学技術ガバナンス、東信堂(2007) [2] 班目春樹ほか、特集 原子力新時代一法規制の改革へ,原子力eye, Vol.53, No.10, (2007), pp.12-33. [3] 日本機械学会 原子力の安全規制の最適化に関する研究会 保全の最適化検討ワーキンググループ、保 全の最適化に係る検討報告書(2006.10“ “機械学会におけるオンラインメンテナンスの検討状況“ “班目 春樹,Haruki MADARAME
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