(2)運転中保全(オンラインメンテナンス)の検討状況

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カテゴリ: 第6回
1.緒言
したがって、運転中保全に関する検討は、LCOの対 象となる機器を計画的に待機除外させて予防保全を行 運転中保全(オンラインメンテナンス)は原子炉停 止期間中に集中する保全作業を運転中の期間に分散す ることにより、保全作業の平準化や作業集中に伴う錯 するに当たっての規制上の課題を整理し、運転中保全 を安全かつ確実に実施できる要件や仕組みについて、 2009年5月より、関係の審議会において検討を開始し た。本稿では、これらの検討の状況について述べる。したがって、運転中保全に関する検討は、LCO の対 1.緒言象となる機器を計画的に待機除外させて予防保全を行 ・ 運転中保全(オンラインメンテナンス)は原子炉停 う場合について、元来待機状態とする安全上の要求に 止期間中に集中する保全作業を運転中の期間に分散す 対して合理的かつ整合的な対応ができるのかというこ ることにより、保全作業の平準化や作業集中に伴う錯とになる。 綜の回避等の利点があるとされている。原子力安全・Fig.1 現状の運転中保全の整理 保安院では、計画的な保全のための運転中保全を導入 するに当たっての規制上の課題を整理し、運転中保全 を安全かつ確実に実施できる要件や仕組みについて、 2009年5月より、関係の審議会において検討を開始しやむを得ない保全 た。本稿では、これらの検討の状況について述べる。「計画的な保全 !! (現状、実施不可)!予防保全く
2.原子力発電所の運転中保全(LCO対象機器(実施可能) への保全 待機除外を事後保全 伴う保全 (LCO逸脱を宣言し実施可能)実中 (分解点検等)非LCO対象機器 原子力発電所 待機除外をへの保全(実施可能) の全ての 運転中保全伴わない 予防保全 状態監視、 サーベランス、 【巡回点検等)(※)第1回違転管理WG資料より抜粋原子力発電所の運転中保全については、現行の規制 制度下においても待機除外を伴わない予防保全(状態 監視、サーベランス、巡回点検等)については認めら れている。また、待機除外を伴う保全(分解点検等) についても、保安規定に定める運転上の制限(LCO)3.運転中保全の考え方 の対象とならない機器の保全も実施可能である。 - 他方、運転上の制限(LCO)の対象となる機器は、 米国等の諸外国においては、LCO の対象となる機器 運転状態において常に動作可能な状態(待機状態)にの運転中保全については、当該機器を待機除外した場 あることが保安規定上求められている。しかしながら、 合のリスク評価を行い、当該リスクが十分低い場合に トラブルや不具合等に対応するために補修等の措置をはこれを認める制度を整備して運用している。これは 講じる場合には、保安規定上の許容される一定の時間 リスク評価に必要な確率論的安全評価(PSA)手法が 内(許容待機除外時間:AOT)であれば、LCO 逸脱を 確立し、その運用実績が積み重ねられていることが背 宣言して当該機器を待機除外とすることは認められて。 景要因としてある。 いる。また、当該機器にトラブル等がなくとも、他の 我が国においても、確率論的安全評価(PSA)の手 トラブルの水平展開として当該機器を予防保全する場法が整備されてきており、アクシデントマネージメン 原子力発電所の運転中保全については、現行の規制 制度下においても待機除外を伴わない予防保全(状態 監視、サーベランス、巡回点検等)については認めら れている。また、待機除外を伴う保全(分解点検等) についても、保安規定に定める運転上の制限(LCO) の対象とならない機器の保全も実施可能である。 ・ 他方、運転上の制限(LCO)の対象となる機器は、 運転状態において常に動作可能な状態(待機状態)に あることが保安規定上求められている。しかしながら、 トラブルや不具合等に対応するために補修等の措置を 講じる場合には、保安規定上の許容される一定の時間 内(許容待機除外時間:AOT)であれば、LCO逸脱を 宣言して当該機器を待機除外とすることは認められて いる。また、当該機器にトラブル等がなくとも、他の連絡先:山本哲也、〒100-8986 東京都千代田区霞ヶ関 1-3-1、原子力安全・保安院原子力発電検査課、電話: 03-3501-9547, e-mail:yamamoto-tetsuya@meti.go.jp う場合について、元来待機状態とする安全上の要求に 対して合理的かつ整合的な対応ができるのかというこ になる。Fig.1 現状の運転中保全の整理計画的な保全 !(現状、実施不可)!「予防保全くやむを得ない保全 LCO対象機器(実施可能) への保全 待機除外を事後保全 伴う保全(LCO逸脱を宣露し実施可能? 実的中 (分解点検等)非LCO対象機器 原子力発電所」とへの保全(実能可能) の全ての待機除外をへ 運転中保全」伴わない 予防保全 (状態監視、 サーベランス、 巡回点検等)(※)第1回転管理WG資料より抜粋米国等の諸外国においては、LCOの対象となる機器 の運転中保全については、当該機器を待機除外した場 合のリスク評価を行い、当該リスクが十分低い場合に はこれを認める制度を整備して運用している。 リスク評価に必要な確率論的安全評価 (PSA) 確立し、その運用実績が積み重ねられているこ 法が整備されてきており、アクシデントマネージメン トの整備や保安規定の許容待機除外時間(AOT)の妥 当性評価など、規制制度においても活用されつつある。 LCO 対象機器の運転中保全についても、米国と同様にリスク評価を的確に行い、リスクが十分低いもので あるならば、これを認めるべきであるという考え方が ある。しかしながら、リスク評価を運転管理などの実 運用に適用する場合には、リスク評価の結果のみなら ず、その運用の実績を積み重ねることが必要である。許容待機除外時間(AOT)は、トラブル等による事 後保全のためにやむを得ず待機除外とすることが許容 される時間を設定しているものであるが、計画的に行 う予防保全についても、目的は異なるもののリスク評 価の観点からは同等であり、いずれもAOT の範囲内で 補修等を行うことには変わりがない。また、AOT は 2001年の保安規定制度の改正により導入され、これま で多くの運用の実績があるものである。このような考え方からは、運転中保全については、 対象となる機器の待機除外に伴う定量的なリスク評価 を行い、例えば炉心損傷頻度などのリスクが十分低い ことを確認するとともに、その運用に当たっては、ま ず我が国で運用実績のある許容待機除外時間(AOT) の範囲内とすることが基本となると考えられる。4. 運転中保全の実施要件運転中保全はリスク評価の結果として十分リスクが 小さく、AOT の範囲内であるならばいくらでも実施可 能となるものではない。米国等の諸外国においても、 その安全性の確認や確実性の担保を的確に行っている。 このため、以下に述べるような運転中保全に関する実 施要件について検討をしていくことが必要である。AOT は一つの系統内の機器の待機除外を想定した ものであり、同時に複数系統の待機除外までも想定し ているものではない。このため、運転中保全が実施可 能となる範囲は、ある期間においてはある一つの系統 のみを対象とし、同系統内の機器等の待機除外を可能 とすることがまず基本となると考えられる。すなわち、 運用実績のある AOT が一般に想定している範囲をま ず検討の端緒とし、複数系統における運転中保全につ いては、今後の運用実績を踏まえた検討が必要である。 また、一つの待機除外とする機器を運転期間中に多 数実施すると、待機除外となる時間の総数、すなわち 機能を期待できない時間(UA時間)の総数が増加し てしまうことになる。このため、UA時間に応じたリ スク評価やUA時間を一定の範囲内に管理して運用していくための検討が必要となる。2009年から施行した 新検査制度において策定が要求されている保全計画で は、保全活動の管理指標としてUA時間を設定するこ ととされており、保全活動の有効性評価において保全 活動管理指標の監視結果の評価が行われ、これにより 保全活動の改善がなされる仕組みとなっている。した がって、例えばこのような仕組みの下で、UA時間を 適切に管理することにより、反復的な AOT 内の予防保 全によるUA時間の増大が制約・管理できるようにす ることについて検討が必要である。さらに、運転中保全活動が確実にAOT内に終了さ せることが必要である。このためには、例えば当該予 防保全活動に関する計画を事前に十分吟味し、AOT に対し十分余裕を持った作業期間の設定、その作業手 順や実施要領、保全従事者の力量の確認等を行うこと などが考えられるが、いずれにしても、当該作業の規 定期間内(AOT内)に終了できる確実性を高めるた めの方策や仕組みを検討することが求められる。これらの運転中保全の実施要件の下で、事業者が安 全かつ確実に運転中保全を行うことについて、規制当 局としてどのように関与していくかも検討課題であ る。その際には、新検査制度における保全計画の確認 の仕組みや保安検査、定期安全管理審査等の既存の仕 組みの活用も検討すべきである。これらの運転中保全の実施に関する要件や仕組み については、今後リスク評価に基づく検討、諸外国の 事例の考察などを十分行いつつ、検討することとして いる。5.結語- 運転中保全は、リスク評価と許容待機除外時間(A OT)を基礎として検討することが基本となると考え られる。また、運転中保全の実施係る要件についても、 安全性や確実性を十分担保できるものとしていくこと が必要である。その際には、内外の技術的知見や国際 的な動向等を十分踏まえる必要がある。今後、原子力安全・保安院では、関係の審議会にお いて、運転中保全に関する考え方やその実施要件等に ついて審議を重ねて結論を得ていくこととしている。384“ “運転中保全(オンラインメンテナンス)の検討状況“ “山本 哲也,Tetsuya YAMAMOTO
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