渦電流に対する応力腐食割れの等価的抵抗値に関する検討
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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
渦電流探傷法は表面きずに対して高感度、非接触で 再速探傷を行うことができるなど、実用上優れた特性 -有する非破壊検査手法である。渦電流探傷法によっ ご得られる探傷信号はきずの形状に関する情報を直接には与えるものではないが、近年数値解析を援用に こり渦電流探傷信号からきずの形状を定量的に評価す ら試みが数多くおこなわれてきており、それは人工的 ニ加工したノッチに対してはかなりの程度成果を挙げいる[1]。しかしながら、実際に構造物に発生するき 三、特に応力腐食割れに対しては、いくつかの成功報 言もあるものの[2]-[6]十分な精度できず形状推定を行 ⇒ことは依然として困難であるとされている。ノッチと比較して応力腐食割れの形状推定が著しく 国難である理由の一つとして、数値解析におけるきず ニデルが確立されていないということがあげられる。 下力腐食割れは渦電流に対して完全な絶縁壁としては 医舞わず、誘導された渦電流の一部は割れを横切って 元れることが知られており、そのような電流を考慮す らために、応力腐食割れは内部にある程度の導電率を 百する領域としてモデル化される必要があるとはされ ごいる[7][8]。しかしながら、適切なモデル化のために 与えるべき導電率の値については明確な知見は得られいない。さらに近年、内部導電率のみならずきずの 等価的な幅についても検討が必要であることも明らかとなった[9]。即ち、ノッチを対象としたサイジングが きずの長さと深さを考慮するものであるとするならば、 応力腐食割れを対象とした場合には、さらに加えて内 部導電率と幅を考慮する必要があり、これが逆問題の 不適切性を著しく悪化させているものと考えられる。このような問題を解決するためには、応力腐食割れ クモデル化に関して改めて詳細に検討し、実際のきず が取りうる内部導電率および幅の値についての知見に 基づき、逆解析時にこれらの値に関する制約条件を課 すことが必要である。しかしながら、これまでに報告 されている応力腐食割れの導電率および幅の値は大き ちばらついており、実際上の制約条件とすることは困 難である。さらに、これらの値はあくまで数値解析に おける等価的なものであり、例えば同一のきずに対し ても用いる周波数やプローブによって異なったものと なることが知られている[10]。しかしながら近年著者らは、従来の導電率と幅とい ラパラメータではなく、後者を前者で除した、いわば きずの等価的な抵抗ともいえる値に関しては、このよ うな問題は小さく、有意な制約条件となりうることを 見出した[10]。即ち、このきずの等価的な抵抗値に関し ては探傷条件への依存性が小さく、さらにこれまで得 られているデータは、下限値の存在を示唆するものと なっている。本稿においては、このきずの等価的抵抗 こ関する検討をさらに進めることを目的として実施し た研究の結果を報告する。
2.応力腐食割れの等価的抵抗値の分析
本研究においては、厚さ 25mm の SUS304 平板に人 工的に導入した応力腐食割れ4体を対象とし、それら つ等価的な導電率と幅、そして抵抗値を評価した。応力腐食割れはいずれも試験体の熱処理の後 4 点曲 げで試験体表面に引っ張り応力を加えた状態で腐食液 中に浸漬することで導入されたものである。導入試験 中は電位差測定によりその進展をモニタリングし、導 入試験終了後に浸透探傷試験を行うことで本研究のた めに十分な長さの割れが導入されたことの確認を行った。渦電流探傷試験に用いた 4 体の探傷プローブを Fig. 1 に示す。自己誘導絶対値型のパンケーキプローブ 2 体と自己誘導差動型のプラスポイントプローブ 2 体で あり、各々低周波用(LF)のものと高周波用(HF)のもの1 体ずっとした。探傷試験においてはこれらの探傷プロ ーブをPC により制御された自動XYZ ステージに取り 付け、渦電流探傷装置 acct2000S を用いてプローブの励 磁と信号検出を行い、検出された信号を AD 変換器を 通じて PC によりリアルタイムで収集した。探傷に用 いた周波数は、低周波用のプローブでは 25, 50, 100 kHz、 高周波用のプローブでは 100, 200, 400 kHz である。5omi.0 32 || 12(a) Pancake-LF(b) Pancake-HF125(c) Plus-LF(b) Plus-HF Fig. 1 Four eddy current probes utilized探傷試験終了後、真の形状確認のための破壊試験を 実施した。破壊試験においてはきずの3次元的形状を評価するための複数断面における金相試験と、輪郭形 状を評価するための引き裂き試験を併せて実施した。 試験の結果、本研究において対象とした応力腐食割れ はいずれも内部での 3次元的分岐は少なく、また輪郭 形状はほぼ矩形であったことが確認された。 4 体の割 れの最大長さおよび深さは Table 1 にまとめる。探傷および破壊試験終了後、破壊試験結果に基づい て割れを一定の幅を有する有限要素領域としてモデル 化し、内部導電率と幅に関するパラメータサーベイを 有限要素-境界要素併用法に基づく数値解析によって 実施した。パラメータサーベイ時に用いた値は、内部 導電率については母材の 0, 0.1, 0.2, 0.4, 0.7, 1.0, 2.0, 4.0, 7.0, 10, 15, 20 %であり、幅については 0.01, 0.02, 0.04, 0.07, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.1, 1.2 mm である。解析終了後、内部導電率に関してはさら に得られた探傷信号の線形に内挿することで、有効数 字3桁まで評価した。 --以上の試験及び解析により評価された応力腐食割れの等価的内部導電率と等価的幅、そして後者を前者で 除した等価的抵抗値を Table 2、Table 3 にまとめる。得 られた結果から、等価的内部導電率と等価的幅に関し ては周波数依存性が大きく、同一のプローブに対して も用いる周波数により値が異なること、それに対して 等価的抵抗値は周波数依存性が有意に小さいことが確 認できる。しかしながら、等価的内部導電率、幅、抵 抗値のいずれも使用プローブには依存したものである ことが確認できる。表には今回対象とした 4 体の応力 腐食割れの中で最も深かったものと最も浅かったもの に対する結果のみを示したが、他の2体についても同 様の結果であった。Table 1 Dimension of the cracksMax. Length | Max. Depth SCC111.3 SCC210.3 SCC37.8 SCC44.5本研究にて得られたきずパラメータの値を、前述の 参考文献中におけるサイジングもしくはモデル化にお いて用いられているものと併せて示したものが Fig. 2 である。図より、等価的抵抗値および等価的幅の取り うる値の範囲は大であることが確認でき、これらを独433Table 2 Evaluated crack parameters of SCC1 Probe Freq.*RHPancake-LF2510.11.20.11950101.20.121004.510.60.133Pancake-HF1000.720 0.2162000.04 0.10 0.104000.199Plus-LF250.010.113 0.415 0.9370.040.556 0.463 0.503 0.089 0.096 0.107 0.467 0.299 0.2601000.10 1.00Plus-HF1002.142001.670.54000.7690.2* exciting frequency, kHz,** conductivity with respect to base material's one (%)+ width (mm),#equivalent resistance, w divided by o0Table 3 Evaluated crack parameters of SCC4 Probe Freq.* o ** | w* | R Pancake-LF 25 20.2 1.20 0.06050 19.11.20 0.063 100 17.7 1.20 0.068 Pancake-HF 100 9.46 0.90 0.095200 9.19 0.90 0.098400 6.37 0.70 0.110 Plus-LF 25 0.250.01 0.040 500.22 0.01 0.045 100 0.190.01 0.052Plus-HF1001.23.58 3.002000.60.335 0.200 0.1944002.580.5* exciting frequency, kHz, ** conductivity with respect to base material's one (%)+ width (mm),+ equivalent resistance, w divided by o立な未知変数として逆解析を行うことは困難さが大き いと考えられる。しかしながらその一方、図中破線で 表されている等価的抵抗値に関しては、下限値の存在 を強く示唆するものとなっており、これを制約条件と して課すことで、逆問題解析の高精度化等を図ること ができると期待される。これらのデータは様々な渦電 流探傷プローブおよび励磁周波数における結果であるが、使用渦電流探傷プローブごとに更なるデータの拡 充を行うことにより、この下限値をより定量的に評価 することができるようになり、さらには応力腐食割れ の電気的抵抗に関するメカニズム解明にもつながるも のと期待される。米米3xx..R=0.01equivalent width (mm)HK---・・・・・・B-0.001X this study ? Badics, et al., 1995Cheng, et al., 2006Endo, et al., 2006 O Huang and Takagi, 2002 ■ Yusa, et al., 2005 * Yusa, et al., 2007 + Yusa and Miya, 20090.0012468_10121416182022equivalent conductivity (% base material) Fig. 2 Equivalent conductivity and width of cracks3.結言応力腐食割れを対象とした渦電流探傷法の高度化を 目的として、応力腐食割れの数値解析におけるモデル 化についての検討を実施した。SUS304 平板に人工的に 導入された応力腐食割れに対して渦電流探傷試験及び 破壊試験結果に基づく数値解析を実施し、その等価的 な導電率、幅、そして抵抗値を評価した。評価の結果、 等価的導電率と幅については使用探傷プローブのみな らず励磁周波数によっても大きく変化してしまうが、 抵抗値の励磁周波数依存性は小さいことが明らかとな った。また、きずが大であるほど抵抗値も大となる傾 向が有意に確認されたが、導電率および幅に関しては そのような関係は不明瞭であった。本研究にて得られたデータおよび公表文献における 値の分析により、従来用いられていた内部導電率と幅 というパラメータを独立に用いることは必ずしも適当 とは言えず、後者を前者で除した等価的抵抗値の考慮 が必要であることを強く示唆する結果を得た。今後標 準プローブを用いたデータの蓄積により、更なる定量 的評価が可能になるものと考えられる。434参考文献[1] B.A. Auld and J.C. Moulder. Review of advances inquantitative eddy current nondestructive evaluation, J.Nondestr. Eval. 18 (1999), 3-36. [2] H. Huang and T. Takagi. Inverse analyses of naturaland multicracks using signals from a differential transmit-receive ECT probe. IEEE Trans. Magn. 38(2002), 1009-1012. 1 [3] N. Yusa et al. Quantitative profile evaluation of naturalcracks in a steam generator tube from eddy current signals. Int. J. Appl. Electrom. Mech. 12 (2000),139-150, 2 [4] W. Cheng et al. Sizing of partial-contact stresscorrosion cracks from ECT signals. NDT&E Int. 39(2006), 374-383. [5] H. Endo et al. Natural crack sizing based on eddycurrent image and electromagnetic field analyses. Rev.Prog. QNDE 25 (2006), 720-727. [6] N. Yusa, Z. Chen, and K. Miya. Sizing of stresscorrosion cracking on austenitic stainless piping in a nuclear power plant from eddy current NDT signals.Nondestr. Test. Eval. 29 (2005), 103-114. [7] Z. Badics et al., Finite element models of stresscorrosion cracks (SCC) in 3-D eddy current NDE problems. Nondestructive Testing of Materials, R.Collins et al. (eds.), IOS Press, 1995, pp. 21-29. [8] 大島、橋本, 渦電流探傷試験における SCC の数値解析モデル化の検討. 日本 AEM学会誌 10 (2002),384-388. [9] N. Yusa, S. Perrin, K. Mizuno, K. Miya, Numericalmodeling of general cracks from the viewpoint of eddy current simulations. NDT&E Int. 40 (2007), pp.577-583. [10] N. Yusa and K. Miya. Discussion on the equivalentconductivity and resistance of stress corrosion cracks in eddy current simulations. NDT&E Int. 42 (2009), 9-15.435“ “渦電流に対する応力腐食割れの等価的抵抗値に関する検討“ “遊佐 訓孝,Noritaka YUSA,橋爪 秀利,Hidtoshi HASHIZUME
渦電流探傷法は表面きずに対して高感度、非接触で 再速探傷を行うことができるなど、実用上優れた特性 -有する非破壊検査手法である。渦電流探傷法によっ ご得られる探傷信号はきずの形状に関する情報を直接には与えるものではないが、近年数値解析を援用に こり渦電流探傷信号からきずの形状を定量的に評価す ら試みが数多くおこなわれてきており、それは人工的 ニ加工したノッチに対してはかなりの程度成果を挙げいる[1]。しかしながら、実際に構造物に発生するき 三、特に応力腐食割れに対しては、いくつかの成功報 言もあるものの[2]-[6]十分な精度できず形状推定を行 ⇒ことは依然として困難であるとされている。ノッチと比較して応力腐食割れの形状推定が著しく 国難である理由の一つとして、数値解析におけるきず ニデルが確立されていないということがあげられる。 下力腐食割れは渦電流に対して完全な絶縁壁としては 医舞わず、誘導された渦電流の一部は割れを横切って 元れることが知られており、そのような電流を考慮す らために、応力腐食割れは内部にある程度の導電率を 百する領域としてモデル化される必要があるとはされ ごいる[7][8]。しかしながら、適切なモデル化のために 与えるべき導電率の値については明確な知見は得られいない。さらに近年、内部導電率のみならずきずの 等価的な幅についても検討が必要であることも明らかとなった[9]。即ち、ノッチを対象としたサイジングが きずの長さと深さを考慮するものであるとするならば、 応力腐食割れを対象とした場合には、さらに加えて内 部導電率と幅を考慮する必要があり、これが逆問題の 不適切性を著しく悪化させているものと考えられる。このような問題を解決するためには、応力腐食割れ クモデル化に関して改めて詳細に検討し、実際のきず が取りうる内部導電率および幅の値についての知見に 基づき、逆解析時にこれらの値に関する制約条件を課 すことが必要である。しかしながら、これまでに報告 されている応力腐食割れの導電率および幅の値は大き ちばらついており、実際上の制約条件とすることは困 難である。さらに、これらの値はあくまで数値解析に おける等価的なものであり、例えば同一のきずに対し ても用いる周波数やプローブによって異なったものと なることが知られている[10]。しかしながら近年著者らは、従来の導電率と幅とい ラパラメータではなく、後者を前者で除した、いわば きずの等価的な抵抗ともいえる値に関しては、このよ うな問題は小さく、有意な制約条件となりうることを 見出した[10]。即ち、このきずの等価的な抵抗値に関し ては探傷条件への依存性が小さく、さらにこれまで得 られているデータは、下限値の存在を示唆するものと なっている。本稿においては、このきずの等価的抵抗 こ関する検討をさらに進めることを目的として実施し た研究の結果を報告する。
2.応力腐食割れの等価的抵抗値の分析
本研究においては、厚さ 25mm の SUS304 平板に人 工的に導入した応力腐食割れ4体を対象とし、それら つ等価的な導電率と幅、そして抵抗値を評価した。応力腐食割れはいずれも試験体の熱処理の後 4 点曲 げで試験体表面に引っ張り応力を加えた状態で腐食液 中に浸漬することで導入されたものである。導入試験 中は電位差測定によりその進展をモニタリングし、導 入試験終了後に浸透探傷試験を行うことで本研究のた めに十分な長さの割れが導入されたことの確認を行った。渦電流探傷試験に用いた 4 体の探傷プローブを Fig. 1 に示す。自己誘導絶対値型のパンケーキプローブ 2 体と自己誘導差動型のプラスポイントプローブ 2 体で あり、各々低周波用(LF)のものと高周波用(HF)のもの1 体ずっとした。探傷試験においてはこれらの探傷プロ ーブをPC により制御された自動XYZ ステージに取り 付け、渦電流探傷装置 acct2000S を用いてプローブの励 磁と信号検出を行い、検出された信号を AD 変換器を 通じて PC によりリアルタイムで収集した。探傷に用 いた周波数は、低周波用のプローブでは 25, 50, 100 kHz、 高周波用のプローブでは 100, 200, 400 kHz である。5omi.0 32 || 12(a) Pancake-LF(b) Pancake-HF125(c) Plus-LF(b) Plus-HF Fig. 1 Four eddy current probes utilized探傷試験終了後、真の形状確認のための破壊試験を 実施した。破壊試験においてはきずの3次元的形状を評価するための複数断面における金相試験と、輪郭形 状を評価するための引き裂き試験を併せて実施した。 試験の結果、本研究において対象とした応力腐食割れ はいずれも内部での 3次元的分岐は少なく、また輪郭 形状はほぼ矩形であったことが確認された。 4 体の割 れの最大長さおよび深さは Table 1 にまとめる。探傷および破壊試験終了後、破壊試験結果に基づい て割れを一定の幅を有する有限要素領域としてモデル 化し、内部導電率と幅に関するパラメータサーベイを 有限要素-境界要素併用法に基づく数値解析によって 実施した。パラメータサーベイ時に用いた値は、内部 導電率については母材の 0, 0.1, 0.2, 0.4, 0.7, 1.0, 2.0, 4.0, 7.0, 10, 15, 20 %であり、幅については 0.01, 0.02, 0.04, 0.07, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.1, 1.2 mm である。解析終了後、内部導電率に関してはさら に得られた探傷信号の線形に内挿することで、有効数 字3桁まで評価した。 --以上の試験及び解析により評価された応力腐食割れの等価的内部導電率と等価的幅、そして後者を前者で 除した等価的抵抗値を Table 2、Table 3 にまとめる。得 られた結果から、等価的内部導電率と等価的幅に関し ては周波数依存性が大きく、同一のプローブに対して も用いる周波数により値が異なること、それに対して 等価的抵抗値は周波数依存性が有意に小さいことが確 認できる。しかしながら、等価的内部導電率、幅、抵 抗値のいずれも使用プローブには依存したものである ことが確認できる。表には今回対象とした 4 体の応力 腐食割れの中で最も深かったものと最も浅かったもの に対する結果のみを示したが、他の2体についても同 様の結果であった。Table 1 Dimension of the cracksMax. Length | Max. Depth SCC111.3 SCC210.3 SCC37.8 SCC44.5本研究にて得られたきずパラメータの値を、前述の 参考文献中におけるサイジングもしくはモデル化にお いて用いられているものと併せて示したものが Fig. 2 である。図より、等価的抵抗値および等価的幅の取り うる値の範囲は大であることが確認でき、これらを独433Table 2 Evaluated crack parameters of SCC1 Probe Freq.*RHPancake-LF2510.11.20.11950101.20.121004.510.60.133Pancake-HF1000.720 0.2162000.04 0.10 0.104000.199Plus-LF250.010.113 0.415 0.9370.040.556 0.463 0.503 0.089 0.096 0.107 0.467 0.299 0.2601000.10 1.00Plus-HF1002.142001.670.54000.7690.2* exciting frequency, kHz,** conductivity with respect to base material's one (%)+ width (mm),#equivalent resistance, w divided by o0Table 3 Evaluated crack parameters of SCC4 Probe Freq.* o ** | w* | R Pancake-LF 25 20.2 1.20 0.06050 19.11.20 0.063 100 17.7 1.20 0.068 Pancake-HF 100 9.46 0.90 0.095200 9.19 0.90 0.098400 6.37 0.70 0.110 Plus-LF 25 0.250.01 0.040 500.22 0.01 0.045 100 0.190.01 0.052Plus-HF1001.23.58 3.002000.60.335 0.200 0.1944002.580.5* exciting frequency, kHz, ** conductivity with respect to base material's one (%)+ width (mm),+ equivalent resistance, w divided by o立な未知変数として逆解析を行うことは困難さが大き いと考えられる。しかしながらその一方、図中破線で 表されている等価的抵抗値に関しては、下限値の存在 を強く示唆するものとなっており、これを制約条件と して課すことで、逆問題解析の高精度化等を図ること ができると期待される。これらのデータは様々な渦電 流探傷プローブおよび励磁周波数における結果であるが、使用渦電流探傷プローブごとに更なるデータの拡 充を行うことにより、この下限値をより定量的に評価 することができるようになり、さらには応力腐食割れ の電気的抵抗に関するメカニズム解明にもつながるも のと期待される。米米3xx..R=0.01equivalent width (mm)HK---・・・・・・B-0.001X this study ? Badics, et al., 1995Cheng, et al., 2006Endo, et al., 2006 O Huang and Takagi, 2002 ■ Yusa, et al., 2005 * Yusa, et al., 2007 + Yusa and Miya, 20090.0012468_10121416182022equivalent conductivity (% base material) Fig. 2 Equivalent conductivity and width of cracks3.結言応力腐食割れを対象とした渦電流探傷法の高度化を 目的として、応力腐食割れの数値解析におけるモデル 化についての検討を実施した。SUS304 平板に人工的に 導入された応力腐食割れに対して渦電流探傷試験及び 破壊試験結果に基づく数値解析を実施し、その等価的 な導電率、幅、そして抵抗値を評価した。評価の結果、 等価的導電率と幅については使用探傷プローブのみな らず励磁周波数によっても大きく変化してしまうが、 抵抗値の励磁周波数依存性は小さいことが明らかとな った。また、きずが大であるほど抵抗値も大となる傾 向が有意に確認されたが、導電率および幅に関しては そのような関係は不明瞭であった。本研究にて得られたデータおよび公表文献における 値の分析により、従来用いられていた内部導電率と幅 というパラメータを独立に用いることは必ずしも適当 とは言えず、後者を前者で除した等価的抵抗値の考慮 が必要であることを強く示唆する結果を得た。今後標 準プローブを用いたデータの蓄積により、更なる定量 的評価が可能になるものと考えられる。434参考文献[1] B.A. Auld and J.C. Moulder. Review of advances inquantitative eddy current nondestructive evaluation, J.Nondestr. Eval. 18 (1999), 3-36. [2] H. Huang and T. Takagi. Inverse analyses of naturaland multicracks using signals from a differential transmit-receive ECT probe. IEEE Trans. Magn. 38(2002), 1009-1012. 1 [3] N. Yusa et al. Quantitative profile evaluation of naturalcracks in a steam generator tube from eddy current signals. Int. J. Appl. Electrom. Mech. 12 (2000),139-150, 2 [4] W. Cheng et al. Sizing of partial-contact stresscorrosion cracks from ECT signals. NDT&E Int. 39(2006), 374-383. [5] H. Endo et al. Natural crack sizing based on eddycurrent image and electromagnetic field analyses. Rev.Prog. QNDE 25 (2006), 720-727. [6] N. Yusa, Z. Chen, and K. Miya. Sizing of stresscorrosion cracking on austenitic stainless piping in a nuclear power plant from eddy current NDT signals.Nondestr. Test. Eval. 29 (2005), 103-114. [7] Z. Badics et al., Finite element models of stresscorrosion cracks (SCC) in 3-D eddy current NDE problems. Nondestructive Testing of Materials, R.Collins et al. (eds.), IOS Press, 1995, pp. 21-29. [8] 大島、橋本, 渦電流探傷試験における SCC の数値解析モデル化の検討. 日本 AEM学会誌 10 (2002),384-388. [9] N. Yusa, S. Perrin, K. Mizuno, K. Miya, Numericalmodeling of general cracks from the viewpoint of eddy current simulations. NDT&E Int. 40 (2007), pp.577-583. [10] N. Yusa and K. Miya. Discussion on the equivalentconductivity and resistance of stress corrosion cracks in eddy current simulations. NDT&E Int. 42 (2009), 9-15.435“ “渦電流に対する応力腐食割れの等価的抵抗値に関する検討“ “遊佐 訓孝,Noritaka YUSA,橋爪 秀利,Hidtoshi HASHIZUME