き裂進展モニタリングを目指した斜角電磁超音波-渦電流複合プローブの提案

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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
渦電流探傷試験(ECT)と超音波探傷試験(UT)は、欠陥 サイジング精度の高い深さ領域について互いに補完し あう関係にあることが知られている[1]。このことに着 目し、著者らは電磁超音波センサと ECT センサを複合 させた電磁超音波-渦電流複合プローブを提案してい る。これまでに、超音波を斜め方向に発することが可 能な斜角型電磁超音波-渦電流マルチプローブを試作 し、疲労き裂の評価が可能なことを示した[2]。このプ ローブは、ミアンダ形状を有するコイルと永久磁石か ら構成されている。ミアンダコイルを用いるため、渦 電流プローブとして用いる場合、感度が低いことが課 題としてあげられる。そこで本研究では、隣接する磁石の磁界方向が 180°反転するように配置した磁石配列とソレノイド 状或いはスパイラル状のコイルから構成される複合プ ローブを検討する。本プローブ構造を採用することに より、コイル構造の単純化が可能となる。幅 1 mm の 様々な深さのスリットを有する評価用試験片を用いて、 電磁超音波探傷と渦電流探傷により評価し、そのサイ ジング能力を検証する。
2.斜角電磁超音波-渦電流複合プローブ* 本研究で検討するプローブ構造では、磁石間隔 で バイアス磁場の方向が反転する。磁石による磁場とコ イルによる渦電流との相互作用により、試験体表面に
ブの提案ピッチで位相が反転する超音波が発生し、 sin 0 = c/(2lf) によって定まる角度 日に超音波が伝 播する[3]。磁石間隔を変化させた数種類のコイルを製作し、最 適なコイル形状を決定した。角度 0 とプローブの感度 を勘案し、L=2 mm の磁石を採用した。図1にプローブ の外観とプローブを構成するコイルを示す。プローブ は、磁石、トラックフィールド型コイル、円形コイル から構成される。磁石は、2 × 10 ×20 mm の板状磁 石20個を、極性を反転させて配列したものである。ト ラックフィールド型コイル、円形コイルは、共に 73 回 巻きで単層構造となっており、幅が 22 mm である。超 音波探傷ではトラックフィールド型コイルのみを超音 波の送受信用コイル、渦電流探傷ではトラックフィー ルド型コイルを励磁コイル、円形コイルを検出コイル として用いる。) ZMATEO dual probaシーンかな。Reratrack shaped driving can6) Predmp soil Fig. 1: Configuration of angle beam EMAT-EC dual probe.62Amplitude (mV)-6trTTTTTTTT0_10_20 30 40 50 60 70_80Time, t (us) Fig. 2: Pulse-echo signal for 12 mm depth slit.Amplitude (mV)TTTTT24681012Slit depth (mm)Fig. 3: Relation between slit depth and signal amplitude.3. 複合プローブの性能評価3.1 超音波探傷試験 1 2 mm, 7mm, 12 mm の深さの EDM スリットを有する 厚さ 20mm のアルミニウム試験片を用いて複合プロー ブを用いた超音波試験を実施した。図2に矩形欠陥深 さが 12 mm の時に、プローブをスリット直上からの距x-26 mm の位置に配置した際の、超音波波形を示す。 図中に示す矢印のエコーが矩形欠陥によるエコーであ る。図 3 にエコー振幅が最大となる位置である x=29 mm での矩形欠陥によるエコーの振幅値と実際の矩形 欠陥深さとの関係を示す。この図より、矩形欠陥の深 さが深くなるに伴い、振幅も大きくなっていることが 示され、エコー振幅によりスリット深さの評価が可能 であるといえる。 3.2 渦電流探傷試験 10, 12, 16, 18mmの深さのEDMスリットを有する厚さ 20mm の SUS316 試験片を用いて複合プローブを用い た渦電流探傷試験を実施した。図4に裏側に深さ 10, 12, 16, 18mm の矩形欠陥をおいたときの位相平面におけ るプローブ電圧を示す。矩形欠陥の深さが深くなるに 従い信号の大きさと位相が変化していることが分かる。 また、深さ 18 mm と深さ 16 mm の矩形欠陥に対しては 明らかに探傷が可能だと判断できる。しかし、深さ 12 mm の矩形欠陥に対では信号が小さく、この図からは90% 80%has Meンシール60% 50%-0.200.20.40.60.81. 010.2VVFig. 4: Eddy current signals for outer defects.可能か判定するのは難しい。また、深さ 10mm の 欠陥に対する信号については、ノイズと同じレベ Fig. 4:探傷可能か判定するのは難しい。また、深さ 10mm の 矩形欠陥に対する信号については、ノイズと同じレベ ルの振幅であった。従って、深さ 12 mm 以上の裏側欠 陥に対して探傷可能であるといえる。4.結言1. 本研究では、超音波を斜め方向に発することが可能 な斜角型電磁超音波-渦電流マルチセンサを用いて幅1 mm の深さ評価用試験片に対して超音波探傷と渦電流 探傷を行った。検討したプローブは、磁石配列を隣接 する磁石の磁界方向が 180°異なるように配置したも のである。本プローブ構造を採用することにより、コ イル構造の単純化が可能となる。試験の結果、複合プ ローブを用いてき裂の深さが浅い時には超音波探傷を、 深いときには渦電流探傷を行うことで、互いの探傷に おける欠点を補完し合い、様々な深さのき裂に対して 評価可能であることを示した。謝辞本研究は日本保全学会「状態監視技術の高度化」 する調査検討分科会の活動の一部である。参考文献[1] D. Horn and W.R. Mayo : NDE Reliability Gains FromCombining Eddy-Current And Ultrasonic Testing,NDT&E International, Vol.33 (2000), pp.351-362. [2] T. Uchimoto, T. Takagi, K. Suzuki, T. Sato, P. Guy and A.Casse, Evaluation of Crack Sizing Capability of Novel Combined System of Electromagnetic Acoustic Transducer and Eddy Current Probe, The Proceedingsof ISSNP 2007, Tsuruga, Japan, July 9-11, 2007. [3] W.J. Pardee and R.B.Thompson, Half-Space Radiationby EMATS, Journal of Nondestructive Evaluation, Vol.1, No.3, pp. 157-181, 1980.- 63 -“ “き裂進展モニタリングを目指した斜角電磁超音波一渦電流複合プローブの提案“ “内一 哲哉,Tetsuya UCHIMOTO,高木 敏行,Toshiyuki TAKAGI,浦山 良一,Ryoichi URAYAMA
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