炉内配置および燃料外観検査用ハイビジョン水中カメラの開発

公開日:
カテゴリ: 第7回
1.背景・目的
沸騰水型原子炉(BWR)の定期検査等に,燃料集 合体の外観などを水中カメラで観察する項目がある。 これらの検査は,(1) 燃料集合体炉内配置検査およ び燃料プール棚卸(以下,炉内配置検査等と言う。), (2) 燃料集合体外観検査(以下,燃料外観検査と言 う。)と呼ばれている。本研究の目的は,これらの検 査に,現行の標準画素である水中カメラに代えて,民 生用ハイビジョンカメラを適用することで,検査時間 の短縮,検査品質の向上,カメラの取得・保守費用を 削減することである。(1)炉内配置検査等は,原子炉(Fig. 1) または 燃料プール(Fig. 2)において正しい位置に燃料が保 管されているかを確認するために, 水中カメラで燃料 ハンドル部(Fig.3)に刻印された最大6文字の番号 (例:HAX123)を読むものである。現行は,耐放射 線カメラ(撮像管または撮像板)を使用しており,画 素数が少なくかつコントラストが低いので, テレビ画 面に1体毎に拡大表示して検査している。ハイビジョ ンカメラを導入することで,画面に2体以上同時に表 示して燃料番号の読み取り速度の倍速化を図るもの である。なお,検査物量としては ABWR の例で,定 検毎に,炉内配置検査の場合,原子炉に装荷する 872 体全数,燃料プール棚卸しの場合,燃料プールに貯蔵 する最大約 3,000 体が番号確認の対象となる。一方,(2) 燃料外観検査は,使用中の燃料のうち 最高燃焼度の燃料を燃料プール脇の水中の検査台 (Fig.2)に載せて,チャンネルボックス(Fig.3)を 外した後,燃料棒などに有意な変形・損傷などが無いキャンドキャの高い(全)」「ブール Fig. 1 Configuration of BWR core (ABWR)1全体), 「炉心側
2. ハイビジョン水中カメラの開発 - ハイビジョン水中カメラの開発方針は, 全ての部品 を汎用品で構成して,安価でかつ信頼性の高いものを 構築することとした。なお,本カメラは線量率で 10Gy/h 以下の環境下で使用することを前提としてお り,耐放射線カメラの代用品となることを想定してい ない。開発された試作品を Fig. 4 に示す。 (1)カメラ ・カメラ:民生用ハイビジョンカメラ ・耐圧容器:汎用ステンレス管を加工 ・照明:水中ハロゲン灯2から4灯 ・フレーム:各種試験用に大型化のものを採用
(製品版は軽量化の予定) (2)モニタ:フルスペックハイビジョン液晶テレビ (3)操作盤:燃料プール脇からの遠隔操作(ズーム,フォーカス, アイリス,色温度調整)が可能 (4)録画機:民生用ブルーレイ録画機Fig. 4 Prototype model of underwater HighDefinition cameraそのほか,開発にあたっての特記事項を示す。 ・ カメラの選定については、民生用ハイビジョン カメラ中から事前に耐放射性試験を行い,放射 線ノイズが少なく,耐放射線が比較的強いもの を選定した。なお,寿命としては積算線量で 200Gy 程度である。 . 画面における放射線ノイズ量と線量率の関係を 事前に計測して,カメラの積算線量を推定可能であることを示した。 . 映像信号の伝送については、アナログ系とデジタル系の2回線として信頼性を高めた。 ・ 耐圧容器については,小型化できるように容器内のレイアウトを工夫した。 . 鉛遮蔽の配置や照明方法を最適化した。CameraPERWater surface?Fig. 5 Picture of confirmation test for fuel poolconfiguration (reading the fuel bundle ID)SurfaceGFuel-CameraFig. 6 Picture of visual examination for BWR fuel1133. 発電所でのホット試験結果 (1)炉内配置検査等 1浜岡2号機にて, Fig. 5 に示すような炉内配置検 査等を模擬するようなホット試験を行った。原子炉 ではなく燃料プールに保管されている燃料のハン ドル部の刻印を確認した。このときは, 16:9型の液 晶テレビを Fig.7 に示すように縦にして,検査速度 の倍速化について検証した。その結果,Fig. 9 に示すように,使用済燃料のハ ンドルの刻印などクラッドが付着して低コントラ ストとなり, 非常に読みにくくなっているにもかか らず,ハイビジョンで撮影する限りには,2体同時 に確認できることが分かった。 ンドルの刻印などクラッドが付着して低コントラ ストとなり, 非常に読みにくくなっているにもかか今後の目 らず,ハイビジョンで撮影する限りには,2体同時の炉内配置 に確認できることが分かった。えている。謝辞 16:9 Display本研究は,当社浜岡原子力発電所の原子燃料 協力により,浜岡2号機および4号機の燃料プ てホット試験することができました。本紙面を して、お礼申し上げます。また, 水中カメラの試作品の製作には(株)アト 殿のご協力を頂きました。開発完了の際には,ジョン水中カメラの販売元となる予定です。 Fig. 7 TV display of confirmation test for fuel pool configuration参考文献 (2)燃料外観検査 - 浜岡4号機にて, Fig. 6に示すような燃料外観検 査を模擬するようなホット試験を行った。この試験 では、検査対象の燃料は前回定検で取り出された最 高燃焼度の燃料を選定した。その時の様子を Fig. 8| に示す。本試験の目的は,開発した試作品の水中カ メラが現行のカメラと同等の性能を有することを 確認することである。その結果, Fig. 10 に示すように, 所要の性能を満 足していることを確認できた。なお,本カメラは検 査対象燃料から 2~3 メートル離れたところから撮 影することを想定している。(線量率で数 Gy/h 程 度) * 余談ではあるが,従来からこの検査を助勢してい る作業員の方からは、あまりの綺麗な画像に対して 驚嘆の声が上がった16:9 DisplayFig. 8 TV display of visual examination for BWRfuel Fig. 8 TV display of visual examination for BWRfuel- 114 -4.結言 - 沸騰水型原子炉(BWR)の定期検査で行われる炉 内配置検査等と燃料外観検査に使用する水中ハイビ ジョンカメラを新たに開発した。開発した試作品は, 原子力発電所にてホット試験を行うことにより,その 有効性を確認することができた。 * 本開発は,現行の標準画素であるカメラを民生用ハ イビジョンカメラにして,検査時間の短縮や信頼性の 向上とカメラの取得・保守費用を削減することを目的 としており,これらの実現性が高まったと言える。今後の目標として, 改良型沸騰水型原子炉(ABWR) の炉内配置検査時における有効性を検証したいと考 えている。 謝辞 本研究は,当社浜岡原子力発電所の原子燃料課のご 協力により,浜岡2号機および4号機の燃料プールに てホット試験することができました。本紙面をお借り して,お礼申し上げます。また, 水中カメラの試作品の製作には(株)アトックス 殿のご協力を頂きました。開発完了の際には,ハイビ ジョン水中カメラの販売元となる予定です。 ックス ハイビ 参考文献 [1] 渡邉 将人 他, ““燃料体番号確認用ハイビジョン水中カメラの開発““,平成 20 年度火力原子力発電大会. [2] 辻 建二 他, ““市販カメラを利用した原子力発電所の燃料集合体番号確認用水中カメラの開発”,電気 評論 平成 21年1月号.[2](次頁に続く) ○炉内配置検査等従来カメラ画像 In 30 0イロイチンル H15.9.23ハイビジョン画像10momoto10-0-0-0原子炉に装荷されている燃料燃料プールに保管されている燃料Fig. 9Picture of confirmation test for fuel pool configuration○燃料外観検査ハイビジョン画像(標準図)・ ハイビジョン画像(拡大図)外部スプリングと上部タイプレート9991000100110021003100410051006
“ “炉内配置および燃料外観検査用ハイビジョン水中カメラの開発“ “渡邉 将人,Masato WATANABE,辻 建二,Kenji TUJI,伊藤 圭介,Keisuke ITO
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)