PWRプラントの高経年対策における環境疲労評価
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カテゴリ: 第7回
1.緒言
我が国で 30 年を超える運転プラントに対して高経 年化技術評価 ) (以下 PLM 評価と言う)を行う様にな ってから、既に 10 年が過ぎようとしており、これま でに 21 基のプラントが PLM 評価を実施し、最近では 運転期間が 40 年を超えるプラントに対する評価も行 われている。 これら高経年化プラントの設備健全性確保におい て、疲労評価は重要な位置づけを持つ。我が国は世界 に先駆けて環境疲労b)に関する実用的な評価手法を開 発し、PLM 評価において活用してきている。 1 日本機械学会から発行されている「環境疲労評価手 法 2006年版」(以下、環境疲労評価手法と言う)は学 会規格として世界で唯一のものであり、最新の知見を 取り入れて 2009年9月に改訂された。本論文では、 機械学会規格を用いPWR プラントのPLM 評価におけ る環境疲労評価を行った事例を紹介する。
2. 環境疲労評価手法の概要
a) 高経年化技術)評価 PLM:Plant Life Management:原子力発電所を 構成する構築物、系統及び機器に想定される経年劣化事象が安全機 能に与える影響を評価することにより、長期間の供用を考慮した活 動を行うために実施する疲労評価などの技術評価のことを言う。運 転開始後30年を経た原子力発電施設に対し経年劣化事象の技術評 価とそれに対する適切な保安活動の実施を実用発電用原子炉の設 置、運転等に関する規則において求めている b)環境疲労:腐食疲労の一種。腐食環境下で、金属材料の疲労寿 命が低下することは古くから知られていたが、ここでは、原子炉冷 却材のような高純度の高温水環境下で構造材料の疲労寿命が低下 することを言う。「環境効果」という表現も用いられる。2.1 環境疲労評価の位置づけ我が国軽水炉の PLM 評価において、当初、環境疲 労は新しい技術知見として、米国の NUREG 報告書[2] や国内における研究成果を元に評価が行われてきた。 その後、国内試験データベースの整備が進み、これを 受けて 2000 年に当時の通産省資源エネルギー庁から 「環境中疲れ寿命評価指針」8(以下 MITI指針と呼ぶ) が取りまとめられ、電気事業者に通達された。以降、 PLM 評価においてはこの MITI 指針に基づく評価が求 められた。これに対して、産業界は火力原子力発電技 術協会(以下火原協と呼ぶ)に委員会を設置し、MITI 指針を用いた実用的な評価手法を取りまとめた。これ が「発電用原子力設備に関する環境疲労評価ガイドラ イン」(以下火原協ガイドラインと呼ぶ)であり、世 界で最初のかつ実用的な指針として知られている。更 にその後の技術知見や経験を取り入れた環境疲労評 価手法が 2006年3月に日本機械学会から発行された。この規格は、日本原子力学会標準 「原子力発電所 の高経年化対策実施基準」5)に引用され、実機評価に 活用されて現在に至っている。PLM 評価における疲労評価は、高経年化の観点か ら、疲労に対してどの程度余裕があるかを確認し、得 られた知見を長期的な保全計画に反映する目的で行 われる。そのため、評価期間としては 60 年を仮定し、 (評価条件としては運転実績を元に現実的な条件を設 定し、環境効果も考慮した疲労評価を行っている。2.2 環境疲労評価手法の特徴ここでは、PLM 評価に用いられている環境疲労評 価手法の特徴について述べる。 [6],[7]環境疲労評価手法の特徴は大きく次の三点である。 (1)合理的な環境効果の補正方法として、環境効果補正係数(Fe)を用いる。- 15 -(2)煩雑であるが精緻で合理的な方法から保守的であるが簡易な方法まで3つのオプションを設定す ることで評価作業量の低減を図る。 設計建設規格8に規定された各機器に特有な応力 評価手法を考慮し、それに適合したひずみ評価の 手順を設定することで全ての評価対象機器の環 境疲労評価を可能とする。2.3 環境効果補正係数 - 環境効果補正係数Fen は、式(1)に示すように、ある ひずみ振幅での大気中の疲労寿命 N』を、同じひずみ 振幅での原子炉冷却水環境中の疲労寿命 Ngで除した 値と定義される。(Fig.1 参照)NA Fen=NwS-N曲線(設計疲労曲線)ひずみ振幅現行設計疲?曲線1/Fm軽水炉 環境中寿命(回数)Fig.1 Environmental fatigue life correction factor(For)環境効果を考慮した疲労累積係数 U は、Fen を用い て式(2)のように表すことができる。* Uen = Ux Fan = ; x Fant Ui: 合計でn個ある応力サイクルのうちi番目の応カサイクルにおける環境効果を考慮しない疲労 係数 Fen: 合計でn個ある応力サイクルのうちi番目の応カサイクルにおける環境効果補正係数1Fは材料、ひずみ速度、温度、溶存酸素濃度等に依 存する関数であり、これらのパラメータが決定されれ ば求めることができる。ただし、Fan の値はひずみ振 幅の影響を受けない。また、微小なひずみ振幅では環 境効果は発生しないため、Fan にはひずみ振幅に対し て下限のしきい値を設けている。 疲労累積係数の求め方については、第3章で述べる。2.4 環境疲労評価方法の3つのオプション環境疲労評価を合理的に行うために、評価区分の設 定方法及び評価方法として、以下の3種類を規定した。1) 係数倍法:過渡毎に評価区分を設定せず、設計 条件(温度、溶存酸素濃度など)により保守側に評 価する方法。2) 簡易評価手法:過渡中でひずみが連続して増加 する範囲をひとつの評価区分として評価する方 法。 3) 詳細評価手法:過渡中でひずみが連続して増加 する範囲で細かく評価区分を分割して評価する 方法。(Fig.2 修正レートアプローチ法 参照)2.5 修正レートアプローチ法 - 修正レートアプローチ法は Fig.2 に示すように、ひ ずみや温度の時刻暦変化を細かく区切ることで、式(3) に基づき微小区間毎に環境効果補正係数Fを計算し、 それをひずみ積分して全体としての環境効果を求め る方法であり、環境効果を最も合理的に評価できる精 緻な手法である。ただし、評価作業に手間がかかるた め、効率的な適用方法について検討が必要である。ピーク応力強さが極値をとる時点w]emax,A過渡AEmin,AAkFig.2 Modified rate approach methodFFan ast a =OR_AER _12-3en,det.A““ent Snana - Emined<%3D1Fenders: 過渡 A について修正レートアプローチ法で - 求めた環境効果補正係数 Fenr: 合計でm個ある評価区分のうち k番目の評価 区分における環境効果補正係数 : 合計でm個ある評価区分のうち k 番目の評 価区分におけるひずみの増加分3. PLM 評価における環境疲労評価 3.1 疲労評価の流れPLM 評価における疲労評価作業の流れを Fig.3 に示 す。以下、この評価の流れに沿って PLM 評価におけ る疲労評価の手順について述べる。1対象機器・対象部位の選定PLM 評価における疲労評価では、まず疲労評価の 対象機器を選定する。対象となる機器は、設計・建設 規格で疲労評価が要求されている機器に加えて、規格 上は要求が無いが、運転中に有意な過渡をうける可能 性のある機器を選定する。環境疲労評価の対象機器は、この PLM 疲労評価対 象のうち、一次冷却材環境にさらされる機器が選定さFig.2 Modified rate approach method169れる。疲労評価対象機器の具体例を Table 1 に示す。 疲?評価| 環境疲労評価1※左下より疲労評価の対象機器、対象部位の選定過渡条件の設定 ・温度変化・圧力変化・過渡回数環境疲労評価対象部位の選定 ・接液部中ノが最大の部位ひずみ度座 ●温度履歴それぞれの過渡に対する機器の温度履歴発生応力ひずみ)履歴算出温度、ひずみ履歴より応カ サイクルiに対する「n算出発生応力より応カサイクルに対する繰返しピーク応力強さ算出過渡の 組合せ繰返しピーク応力強さより、応カサイクルに対する疲労係数り算出応カサイクルに対する 環境疲労を考慮した 疲労係数りの算出 Uchu=UxFerFリを総和し疲労累積係数を求めるビ%3D216,※右上へUnを総和し、環境中の 疲労累積係数0..を求めるFig.3Flow of environmental fatigue evaluation in PLMTable 1Selection of components in fatigue evaluation設計・設規格接器疲労評価要素|PUM疲労評価PLM 環境渡劣評?原子炉容器加圧器 格納容器貫通部 1次冷却材管 配管(RCS) 配管(RHRS) 配管(SIS) 配管(CVCS) 配管(FWS)弁o|0|||※||0||10|||。| ?? | ?????????????|otolofolololololofootolololoポンプ 熱交換器1次冷却材ポンプ 余熱除去ポンプ 蒸気発生器再生クーラ 余熱除去クーラ 炉内構造物 高圧タービン 低圧タービン 配管サポートその他一※クラス1配管のみ次に、疲労評価対象部位を選定する。PLM におけ る疲労評価部位は、構造不連続部や熱衝撃、熱成層の 発生が考えられる部位などを考慮して疲労評価上厳 しいと考えられる部位を抽出し、疲労評価を行う。 2過渡条件の設定疲労評価では、応力評価(疲労、強度)を行うため に与える条件として過渡条件を設定する。過渡条件は、 設計・建設規格に基づいて評価対象となる全ての運転 状態で想定される圧力、温度の変化(度合い、回数) を整理して設定する。 Table 2 に設計時と PLM 評価時の評価条件の比較を示 す。 PLM 評価時の評価条件は、設計時と比較して、 過渡回数としては運転実績から求めた合理的な条件 を適用しているが、過渡曲線として設計と同じ保守的 な条件を使用している。 Table 2 Comparison of evaluation conditions betweendesign and PLM評価条件 設計PLM 過渡曲線 |十分過酷なものとなるよう変化度合・設計用の過渡曲線を使用円設計用の過渡曲線が無い) (温度・圧力変化等)を設定場合は新たに設定 ・評価期間として40年を仮定・評価期間として60年を仮定 ・十分な余裕を考慮し、頻繁な・評価時点までの運転実績から 過渡回数推定 回数に設定その他熱成層等、設計・建設規格に要求の 無い事象についても考慮PLM 評価における過渡回数は、これまでの運転実 績を基に 60 年時点の回数を推定して設定する。ただ し、実績が 0 回の過渡については、1回/60 年と算定 する。過渡回数の設定例を Fig.4 に示す。運転実績に基づく過渡回数 評価時開後60年時点 | 設計用過渡回数113120停止120負荷上昇13200過渡回数を負荷減少13200113 (推定)ECCS起動(実績)評価時600年運転期間Fig.4 Method to determine numbers of transientsin PLM 3機器の温度履歴・ひずみ履歴の算出疲労累積係数の評価のためには、まず、各過渡に対 し、機器の評価点の温度や発生応力(ひずみ)の履歴 を算出する。(Fig.5 参照)過渡曲線評価点における履歴温度・応力の算出温度外力系統度(入力)温度時間応力○:評価点時間時間Fig.5 Calculation of histories in temperature andgenerated stress(strain) in each transient4ピーク応力強さの算出 - 各過渡の応力履歴より応力を整理し、式(4)により過 渡条件の組み合わせに対するピーク応力強さを計算 する。(Fig.6 参照)過渡毎の最大・最小応力を整理する評価が厳しくなるよう、応力振幅の 大きいものから、応カサイクルを 作成する。応力↑「過渡A過渡A|過渡B|過渡c時間 応力↑「過渡日Coin==NA =NaNa時間過渡回数過渡Fig.6 Calculation of peak stress intensityfor the combination of transientsSay = (Aman-B...)/2 Say = (Cann - B...)/2-417 -Sa: 過渡の応力履歴を組合せて応力サイクルの履歴を求め、この極大値と極小値の差の2分の1 として求めたピーク応力強さ5疲労累積係数の算出設計・建設規格に規定されている設計疲労線図によ り、ピーク応力強さに対する許容繰り返し回数 N* 求め、過渡の実際の繰り返し回数 N との比を求める。 式(5)により過渡の組み合わせ毎に疲労係数を求め、総 和した疲労累積係数(U)が 1 を超えないことを確認す る。(Fig.7 参照)「設計疲?線?|| ピーク | 応力強さNN* 許容繰り返し回数 Fig.7 Calculation of usage factor (U) | U = N N2 N, , , , , , U %3D %3D1 + 2 + 3 +...+ <1NNNN, N.-5環境疲労評価の方法は以下の章において機器毎の 事例で紹介する。3.2 環境疲労評価に適用される規格基準 - わが国で PLM における環境疲労評価が開始された 当初は適用可能な規格基準がなく、最新の研究成果か ら得られた知見や米国 NUREG 報告書を参考にして評 価が行われた。その後、国内疲労試験データベースの整備が進み、 MITI 指針や火原協ガイドラインが制定されたことを 受け、それらの指針類が適用されてきた。更に、日本機械学会規格から環境疲労評価手法が発 行され、現在 MITI 指針に代わって本規格が適用され ている。 - 火原協ガイドラインと環境疲労評価手法は、2.2 章 に述べた特徴を共有しているが、後者は最新の国内疲 労試験データベースに基づき新たな環境効果補正係 数(Fe)評価式を規定しているところに主な相違があ る。ここでは、PWR プラント環境条件下の疲労評価で 特に重要なオーステナイト系ステンレス鋼の Fen評価 式について、その比較を Table 3 及び Fig.8 に示す。環境疲労評価手法では、低速側ひずみ速度のデータ が追加され、Fig.8 の様にステンレス鋳鋼のしきい値 が見直されている。なお、2009 年版111ではPWRプc)設計疲労線図:Design Fatigue Curve, 疲労評価を行う際に用いる 線図で、ひずみ(応力)振幅に対する許容繰り替し回数を示す。ラント環境条件下でのF...評価式に変更はない。一方米国では 2007 年にアルゴンヌ国立研究所の研 究成果が NUREG/CR-69099としてまとめられ、それ を元に新規建設プラントを対象として環境効果補正 係数(Fe)を用いた評価手法が Regulatory Guidel.20710] として発行されている。Table 3 Comparison of Fen equation between TENPES guidelines and JSME codes in austenitic stainless steel火原協ガイドライン (PWR) In(Fen) = 1.233 -P X In(*10.4) P%3D0.04(TS100°C) P = 9.33X104XT - 0.053 (10049.9%IS) e = In(d)(Wrought: 0.000452349.9%/s) (Cast: 0.000045e<49.9%/s) =ln(0.0004) (Wrought:e<0.0004%/s)==In(0.00004) (Cast:ec0.00004%/s) T =0.000782XT (TS325°C) T =0.254 (T>325°C) Fen = 1.0 (Ea<0.11% or seismic loading)トーガイドライント トーヨーJSMEFen1.E-05T:-04 1.E-03 1.E-02 1.E-01 1.E+00 1.E+01 1.E+02(200°C)Fenmg876 5 43 x 1 サーーガイドライン ーーーJSME1.E-05 1.E-04 1.E-03 1.E-02 1.E-01 1.E+00 1.E+01 1.E+02ひずみ速度Fig.8Comparison of Fen between TENPES guidelines and JSME codes in cast stainless steel3.3 環境疲労の評価例環境疲労の評価例として、一次冷却材ポンプ(以下、 RCP と言う)の PLM 評価で環境疲労評価を行った結 果を以下に示す。181評価対象部位の選定 - Fig.14 に、ステンレス鋳鋼を使用し疲労評価上厳し いとされる RCP の評価部位の例を示す。2過渡条件の選定 - 評価条件として、容器と同様に設計用の過渡条件を 用いて運転実績から推定した 60 年時点の過渡回数を 用いる。3環境効果補正係数及び疲労累積係数の算出 1次に、これらの評価条件を元に、FEM モデルによ り温度履歴、応力(ひずみ)履歴を算出する。- Fig.15 に吐出ノズルにおける環境効果補正係数 Fon の算出方法の例を、Table 6には評価結果の例を示す。レ脚付根部小顔付根部吐出ノズルへ吸込ノズル(注)矢印はPLM評価における疲労評価対象部位を示す。Fig.14 Portion selected in the fatigue evaluationof RCP温度過渡Farmさ|mm/mimm] <<<<<<<微小 ひずみ増加 | 時間 | ひずみ速度 (5)(sec.) (/sec.) 0.03854 3600 1.07E-05 0.03397 36009.44E-06 0.02966 3600 1.8.24E-06 0.01931 36001 5.37E-06 0.00884 2340 3.78E-06 -0.000441-1.24E-07 0.00400 23401 1,716-06 0.00112 792 1,42E-06 0.00460 1681 2,73E-05 0.00867 300 2.89E-05 0.02666 1080 2.47E-05 0.14824 | 16920] 8.76E-06291.7 24.579 236.2 13.366 180.6 7.260 125.1 3.94869.5 2.144 243.2 14.433 279.3 21.451 291.6 24.552 291.6 24.552 291.6 | 24.552] 291.6 24.552291.71 24.579 | F 1199361B(停止く温度低下率55.6°C/h>)(%) 30-0.20620004,000 経過時間(hr)Al起動く温度上昇率55.6°C/h>)0.3-0.2enessineeseeeNres-0.2 0.000 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000経過時間(hr) Example of Fan calculation in RCP outlet nozzleFig.15Table 6Example of Uen calculation in RCP outlet nozzle応カサイクル 過度1 過度応力強さ(Mpa) 最大自応力増 し係数許容経り 返し回数力強さ SIMPa)球境効果中 正係数 係数 F3765-237547.111325100.03663199350.774148_0_0TA-D-D13466-150.711.51911/02/051110.970.001179390 17900300.1-1907354477973138,A:起動 B停止 C:100%からの原子炉トリップ(不注意な冷却とSTを伴うトリップ) D:1次系えい部位疲労累積係数」 疲?評個「環境疲?評価 、0.0430.8071次冷却材ポンプ吐出ノズル3.4 PWR プラントにおける環境疲労評価例Table 7に代表的な PWR プラントの PLM 評価にお ける環境疲労評価結果の例を示す。ここに示すように、代表機器の環境疲労評価結果は いずれも許容値を満足している。また、この評価は、 全て詳細評価手法を適用しているが、評価結果が厳し くない部位にはより簡易な手法を適用することによ り、効率的な評価を行うことが可能である。この様に 日本機械学会の環境疲労評価手法は、運転プラントの PLM 評価において全ての評価対象機器を効率的に評 価できる実用的な評価手法である。Table 4 Example of environmental fatigue evaluationresults in typical PWR plant 代表的な機器の評価結果言 品正評価対象部位大気中の成分係数(注1) 原子炉容器 冷却材出口管台0,000 スプレイライン用管台0.015 サージ用台0.001 1次冷却材管 クロスオーバルグ0.001 加圧サージライン用管台0.033 RCSES 加圧器サージ配管0.002 加圧器スプレイに管0.030 余熱除去ポンプ0.002 第1入口弁(仕切弁) 物出水第1止め弁(玉形弁)弁箱0.018 1次冷却材ポンプ 吐出ノズル0.043 熱除去ポンプ ケーシングカバー0.003 炉心支持構造物上部心支持て 蒸気発生器 給水入口管台0:02:530.080 熱除去クーラ 管部0.126 1) 書では、 部しかめて最大値を記載しているが、ここではもの時 32)結成による発生応力を含めた新境効果を考慮した 重労案係数0.000 0.548(注2) 0.001 0.001 0.147 0.013(注2) 0.410(注2) 0.0580.225 0.807 0.0122:39:500.354(注2) 0.1800.443 点 の価をを致している。4.結言 - 本論文では、運転プラントに対して環境疲労評価を 実施した代表例とそれに用いた評価手法を紹介した。これらの評価は PLM 評価の一部として実施され、 日本機械学会規格環境疲労評価手法 2006年版を用い ている。この結果から、60 年の運転を仮定しても疲労累積 係数は1以下に収まり、疲労評価の結果、長期的な保 全計画に反映する必要はないとの結果が得られてい る。また、この評価は保守的な設計過渡条件を用いて おり、実機の運転条件においては更に低い疲労累積係 数が得られるものと推定される。 このことから、我が国 PWR プラントにおいては、19環境効果を考慮しても運転プラントの高経年化に対 する設備健全性は十分確保されていることが確認さ れた。また、合わせて日本機械学会の環境疲労評価手 法は運転プラントの PLM 評価において実用的で有効 な評価手法であることが示された。一方で、本評価手法を今後設計段階で適用するため には更に評価条件が厳しくなるため、なお一層の評価 手法や評価条件の高度化が求められており [12],[13]、現 在、日本機械学会発電設備規格委員会原子力専門委員 会疲労評価タスクにて引き続き検討が進められてい る。 謝辞 - 本論文をまとめるに当たり、これまで環境疲労評価 手法の開発ならびに実機適用に尽力された、日本機械 学会発電設備規格委員会原子力専門委員会環境疲労 評価分科会のメンバーを始めとする我が国環境疲労 関係者の長年にわたるご努力に感謝と敬意を表します。こるご努力に感謝と敬意を表しま発電用原子力設備規格 環境 年版) (JSME S NF1-2006), (2006 参考文献 [1] 日本機械学会 発電用原子力設備規格 環境 疲労評価手法(2006年版) (JSME S NF1-2006), (2006 年3月発行) [2] 米国規制委員会(NRC)の発行する公開の報告書。 特に外部機関に委託した研究成果の報告書は NUREG/CR-の番号が付けられる。環境疲労評価手 法に関する報告書としては、NURG/CR-6583(1998), 5704(1999),6909(2007)などがある。 [3] 環境中疲れ寿命評価指針(平成 12年9月:通商 産業省資源エネルギー庁 原子力発電管理課), 2000 年、資源エネルギー庁通達 [4] 発電用原子力設備に関する環境疲労評価ガイ ドライン, 2002 年,社)火力原子力発電技術協会 [5] 日本原子力学会標準原子力発電所の高経年 化対策実施基準:2008, (AESJ-SC-P005:2008), 2009 年2月発行 [6] 中村隆夫、杉江保彰, 総説 学会規格作りとコ ードエンジニアの役割-軽水炉における環境疲労 評価手法の実例一, 日本原子力学会和文論文誌(Vol. 9,No.1,pp.1-12,2010) [7] 樋口海、中村隆夫、杉江保彰,軽水炉冷却水中 における疲労損傷評価手法の開発, 日本機械学会論 文集 A 編 76巻 762 号(2010-2) [8] 日本機械学会発電用原子力設備規格設計・建設 規格(2008年版)(JSME S NC1-2008), (2008年11月発 行) [9]0.K.Chopra, ““Effect of LWR Coolant Environments on the Fatigue Life of Reactor Materials,““ NUREG/CR-6909(ANL-06/08), U.S.NRC, 2007 [10] Regulatory Guide 1.207, ““Guidelines for Evaluating Fatigue Analyses Incorporating the Life 化対策実施基準:2008, (AESJ-SC-P005:2008), 2009 年2月発行 [6] 中村隆夫、杉江保彰, 総説 学会規格作りとコ ードエンジニアの役割-軽水炉における環境疲労 Components Due to the Effects on nvironment in New Reactors““,発電用原子力設備規格 環境 年版) (JSME S NF1-2009), (2009TTA Atht-Water Enviro1. Iwasaki, S. Asada, OptimizationFatigue Evaluation (Step-1) 107ASME PVP Conference, July Reduction of Metal Components Due to the Effects onnment in New Reactors““. U.S.NRC, 2007、 [11] 日本機械学会 発電用原子力設備規格 環境 疲労評価手法(2009 年版) (JSME S NF1-2009), (2009 年11月発行) [12] T. Nakamura, M. Iwasaki, S. Asada, Optimization of Environmental Fatigue Evaluation (Step-1) PVP2007-26247, 2007ASME PVP Conference, July 2007, San Antonio, Texas, USA [13] Y. Nomura, K. Tsutsumi, T. Inoue, S. Asada, T. Nakamura, Optimization of Environmental Fatigue Evaluation (Step-2) PVP2009-77115, 2009ASME PVP Conference, July 2009, Prague, Czech Republic 通商 2000 ・建設 1月発 - 20 -“ “?PWRプラントの高経年対策における環境疲労評価“ “中村 隆夫,Takao NAKAMURA,三山 彰一,Shoichi MIYAMAIURA
我が国で 30 年を超える運転プラントに対して高経 年化技術評価 ) (以下 PLM 評価と言う)を行う様にな ってから、既に 10 年が過ぎようとしており、これま でに 21 基のプラントが PLM 評価を実施し、最近では 運転期間が 40 年を超えるプラントに対する評価も行 われている。 これら高経年化プラントの設備健全性確保におい て、疲労評価は重要な位置づけを持つ。我が国は世界 に先駆けて環境疲労b)に関する実用的な評価手法を開 発し、PLM 評価において活用してきている。 1 日本機械学会から発行されている「環境疲労評価手 法 2006年版」(以下、環境疲労評価手法と言う)は学 会規格として世界で唯一のものであり、最新の知見を 取り入れて 2009年9月に改訂された。本論文では、 機械学会規格を用いPWR プラントのPLM 評価におけ る環境疲労評価を行った事例を紹介する。
2. 環境疲労評価手法の概要
a) 高経年化技術)評価 PLM:Plant Life Management:原子力発電所を 構成する構築物、系統及び機器に想定される経年劣化事象が安全機 能に与える影響を評価することにより、長期間の供用を考慮した活 動を行うために実施する疲労評価などの技術評価のことを言う。運 転開始後30年を経た原子力発電施設に対し経年劣化事象の技術評 価とそれに対する適切な保安活動の実施を実用発電用原子炉の設 置、運転等に関する規則において求めている b)環境疲労:腐食疲労の一種。腐食環境下で、金属材料の疲労寿 命が低下することは古くから知られていたが、ここでは、原子炉冷 却材のような高純度の高温水環境下で構造材料の疲労寿命が低下 することを言う。「環境効果」という表現も用いられる。2.1 環境疲労評価の位置づけ我が国軽水炉の PLM 評価において、当初、環境疲 労は新しい技術知見として、米国の NUREG 報告書[2] や国内における研究成果を元に評価が行われてきた。 その後、国内試験データベースの整備が進み、これを 受けて 2000 年に当時の通産省資源エネルギー庁から 「環境中疲れ寿命評価指針」8(以下 MITI指針と呼ぶ) が取りまとめられ、電気事業者に通達された。以降、 PLM 評価においてはこの MITI 指針に基づく評価が求 められた。これに対して、産業界は火力原子力発電技 術協会(以下火原協と呼ぶ)に委員会を設置し、MITI 指針を用いた実用的な評価手法を取りまとめた。これ が「発電用原子力設備に関する環境疲労評価ガイドラ イン」(以下火原協ガイドラインと呼ぶ)であり、世 界で最初のかつ実用的な指針として知られている。更 にその後の技術知見や経験を取り入れた環境疲労評 価手法が 2006年3月に日本機械学会から発行された。この規格は、日本原子力学会標準 「原子力発電所 の高経年化対策実施基準」5)に引用され、実機評価に 活用されて現在に至っている。PLM 評価における疲労評価は、高経年化の観点か ら、疲労に対してどの程度余裕があるかを確認し、得 られた知見を長期的な保全計画に反映する目的で行 われる。そのため、評価期間としては 60 年を仮定し、 (評価条件としては運転実績を元に現実的な条件を設 定し、環境効果も考慮した疲労評価を行っている。2.2 環境疲労評価手法の特徴ここでは、PLM 評価に用いられている環境疲労評 価手法の特徴について述べる。 [6],[7]環境疲労評価手法の特徴は大きく次の三点である。 (1)合理的な環境効果の補正方法として、環境効果補正係数(Fe)を用いる。- 15 -(2)煩雑であるが精緻で合理的な方法から保守的であるが簡易な方法まで3つのオプションを設定す ることで評価作業量の低減を図る。 設計建設規格8に規定された各機器に特有な応力 評価手法を考慮し、それに適合したひずみ評価の 手順を設定することで全ての評価対象機器の環 境疲労評価を可能とする。2.3 環境効果補正係数 - 環境効果補正係数Fen は、式(1)に示すように、ある ひずみ振幅での大気中の疲労寿命 N』を、同じひずみ 振幅での原子炉冷却水環境中の疲労寿命 Ngで除した 値と定義される。(Fig.1 参照)NA Fen=NwS-N曲線(設計疲労曲線)ひずみ振幅現行設計疲?曲線1/Fm軽水炉 環境中寿命(回数)Fig.1 Environmental fatigue life correction factor(For)環境効果を考慮した疲労累積係数 U は、Fen を用い て式(2)のように表すことができる。* Uen = Ux Fan = ; x Fant Ui: 合計でn個ある応力サイクルのうちi番目の応カサイクルにおける環境効果を考慮しない疲労 係数 Fen: 合計でn個ある応力サイクルのうちi番目の応カサイクルにおける環境効果補正係数1Fは材料、ひずみ速度、温度、溶存酸素濃度等に依 存する関数であり、これらのパラメータが決定されれ ば求めることができる。ただし、Fan の値はひずみ振 幅の影響を受けない。また、微小なひずみ振幅では環 境効果は発生しないため、Fan にはひずみ振幅に対し て下限のしきい値を設けている。 疲労累積係数の求め方については、第3章で述べる。2.4 環境疲労評価方法の3つのオプション環境疲労評価を合理的に行うために、評価区分の設 定方法及び評価方法として、以下の3種類を規定した。1) 係数倍法:過渡毎に評価区分を設定せず、設計 条件(温度、溶存酸素濃度など)により保守側に評 価する方法。2) 簡易評価手法:過渡中でひずみが連続して増加 する範囲をひとつの評価区分として評価する方 法。 3) 詳細評価手法:過渡中でひずみが連続して増加 する範囲で細かく評価区分を分割して評価する 方法。(Fig.2 修正レートアプローチ法 参照)2.5 修正レートアプローチ法 - 修正レートアプローチ法は Fig.2 に示すように、ひ ずみや温度の時刻暦変化を細かく区切ることで、式(3) に基づき微小区間毎に環境効果補正係数Fを計算し、 それをひずみ積分して全体としての環境効果を求め る方法であり、環境効果を最も合理的に評価できる精 緻な手法である。ただし、評価作業に手間がかかるた め、効率的な適用方法について検討が必要である。ピーク応力強さが極値をとる時点w]emax,A過渡AEmin,AAkFig.2 Modified rate approach methodFFan ast a =OR_AER _12-3en,det.A““ent Snana - Emined<%3D1Fenders: 過渡 A について修正レートアプローチ法で - 求めた環境効果補正係数 Fenr: 合計でm個ある評価区分のうち k番目の評価 区分における環境効果補正係数 : 合計でm個ある評価区分のうち k 番目の評 価区分におけるひずみの増加分3. PLM 評価における環境疲労評価 3.1 疲労評価の流れPLM 評価における疲労評価作業の流れを Fig.3 に示 す。以下、この評価の流れに沿って PLM 評価におけ る疲労評価の手順について述べる。1対象機器・対象部位の選定PLM 評価における疲労評価では、まず疲労評価の 対象機器を選定する。対象となる機器は、設計・建設 規格で疲労評価が要求されている機器に加えて、規格 上は要求が無いが、運転中に有意な過渡をうける可能 性のある機器を選定する。環境疲労評価の対象機器は、この PLM 疲労評価対 象のうち、一次冷却材環境にさらされる機器が選定さFig.2 Modified rate approach method169れる。疲労評価対象機器の具体例を Table 1 に示す。 疲?評価| 環境疲労評価1※左下より疲労評価の対象機器、対象部位の選定過渡条件の設定 ・温度変化・圧力変化・過渡回数環境疲労評価対象部位の選定 ・接液部中ノが最大の部位ひずみ度座 ●温度履歴それぞれの過渡に対する機器の温度履歴発生応力ひずみ)履歴算出温度、ひずみ履歴より応カ サイクルiに対する「n算出発生応力より応カサイクルに対する繰返しピーク応力強さ算出過渡の 組合せ繰返しピーク応力強さより、応カサイクルに対する疲労係数り算出応カサイクルに対する 環境疲労を考慮した 疲労係数りの算出 Uchu=UxFerFリを総和し疲労累積係数を求めるビ%3D216,※右上へUnを総和し、環境中の 疲労累積係数0..を求めるFig.3Flow of environmental fatigue evaluation in PLMTable 1Selection of components in fatigue evaluation設計・設規格接器疲労評価要素|PUM疲労評価PLM 環境渡劣評?原子炉容器加圧器 格納容器貫通部 1次冷却材管 配管(RCS) 配管(RHRS) 配管(SIS) 配管(CVCS) 配管(FWS)弁o|0|||※||0||10|||。| ?? | ?????????????|otolofolololololofootolololoポンプ 熱交換器1次冷却材ポンプ 余熱除去ポンプ 蒸気発生器再生クーラ 余熱除去クーラ 炉内構造物 高圧タービン 低圧タービン 配管サポートその他一※クラス1配管のみ次に、疲労評価対象部位を選定する。PLM におけ る疲労評価部位は、構造不連続部や熱衝撃、熱成層の 発生が考えられる部位などを考慮して疲労評価上厳 しいと考えられる部位を抽出し、疲労評価を行う。 2過渡条件の設定疲労評価では、応力評価(疲労、強度)を行うため に与える条件として過渡条件を設定する。過渡条件は、 設計・建設規格に基づいて評価対象となる全ての運転 状態で想定される圧力、温度の変化(度合い、回数) を整理して設定する。 Table 2 に設計時と PLM 評価時の評価条件の比較を示 す。 PLM 評価時の評価条件は、設計時と比較して、 過渡回数としては運転実績から求めた合理的な条件 を適用しているが、過渡曲線として設計と同じ保守的 な条件を使用している。 Table 2 Comparison of evaluation conditions betweendesign and PLM評価条件 設計PLM 過渡曲線 |十分過酷なものとなるよう変化度合・設計用の過渡曲線を使用円設計用の過渡曲線が無い) (温度・圧力変化等)を設定場合は新たに設定 ・評価期間として40年を仮定・評価期間として60年を仮定 ・十分な余裕を考慮し、頻繁な・評価時点までの運転実績から 過渡回数推定 回数に設定その他熱成層等、設計・建設規格に要求の 無い事象についても考慮PLM 評価における過渡回数は、これまでの運転実 績を基に 60 年時点の回数を推定して設定する。ただ し、実績が 0 回の過渡については、1回/60 年と算定 する。過渡回数の設定例を Fig.4 に示す。運転実績に基づく過渡回数 評価時開後60年時点 | 設計用過渡回数113120停止120負荷上昇13200過渡回数を負荷減少13200113 (推定)ECCS起動(実績)評価時600年運転期間Fig.4 Method to determine numbers of transientsin PLM 3機器の温度履歴・ひずみ履歴の算出疲労累積係数の評価のためには、まず、各過渡に対 し、機器の評価点の温度や発生応力(ひずみ)の履歴 を算出する。(Fig.5 参照)過渡曲線評価点における履歴温度・応力の算出温度外力系統度(入力)温度時間応力○:評価点時間時間Fig.5 Calculation of histories in temperature andgenerated stress(strain) in each transient4ピーク応力強さの算出 - 各過渡の応力履歴より応力を整理し、式(4)により過 渡条件の組み合わせに対するピーク応力強さを計算 する。(Fig.6 参照)過渡毎の最大・最小応力を整理する評価が厳しくなるよう、応力振幅の 大きいものから、応カサイクルを 作成する。応力↑「過渡A過渡A|過渡B|過渡c時間 応力↑「過渡日Coin==NA =NaNa時間過渡回数過渡Fig.6 Calculation of peak stress intensityfor the combination of transientsSay = (Aman-B...)/2 Say = (Cann - B...)/2-417 -Sa: 過渡の応力履歴を組合せて応力サイクルの履歴を求め、この極大値と極小値の差の2分の1 として求めたピーク応力強さ5疲労累積係数の算出設計・建設規格に規定されている設計疲労線図によ り、ピーク応力強さに対する許容繰り返し回数 N* 求め、過渡の実際の繰り返し回数 N との比を求める。 式(5)により過渡の組み合わせ毎に疲労係数を求め、総 和した疲労累積係数(U)が 1 を超えないことを確認す る。(Fig.7 参照)「設計疲?線?|| ピーク | 応力強さNN* 許容繰り返し回数 Fig.7 Calculation of usage factor (U) | U = N N2 N, , , , , , U %3D %3D1 + 2 + 3 +...+ <1NNNN, N.-5環境疲労評価の方法は以下の章において機器毎の 事例で紹介する。3.2 環境疲労評価に適用される規格基準 - わが国で PLM における環境疲労評価が開始された 当初は適用可能な規格基準がなく、最新の研究成果か ら得られた知見や米国 NUREG 報告書を参考にして評 価が行われた。その後、国内疲労試験データベースの整備が進み、 MITI 指針や火原協ガイドラインが制定されたことを 受け、それらの指針類が適用されてきた。更に、日本機械学会規格から環境疲労評価手法が発 行され、現在 MITI 指針に代わって本規格が適用され ている。 - 火原協ガイドラインと環境疲労評価手法は、2.2 章 に述べた特徴を共有しているが、後者は最新の国内疲 労試験データベースに基づき新たな環境効果補正係 数(Fe)評価式を規定しているところに主な相違があ る。ここでは、PWR プラント環境条件下の疲労評価で 特に重要なオーステナイト系ステンレス鋼の Fen評価 式について、その比較を Table 3 及び Fig.8 に示す。環境疲労評価手法では、低速側ひずみ速度のデータ が追加され、Fig.8 の様にステンレス鋳鋼のしきい値 が見直されている。なお、2009 年版111ではPWRプc)設計疲労線図:Design Fatigue Curve, 疲労評価を行う際に用いる 線図で、ひずみ(応力)振幅に対する許容繰り替し回数を示す。ラント環境条件下でのF...評価式に変更はない。一方米国では 2007 年にアルゴンヌ国立研究所の研 究成果が NUREG/CR-69099としてまとめられ、それ を元に新規建設プラントを対象として環境効果補正 係数(Fe)を用いた評価手法が Regulatory Guidel.20710] として発行されている。Table 3 Comparison of Fen equation between TENPES guidelines and JSME codes in austenitic stainless steel火原協ガイドライン (PWR) In(Fen) = 1.233 -P X In(*10.4) P%3D0.04(TS100°C) P = 9.33X104XT - 0.053 (100