蒸気ドレン排除の改善による原子力発電所の蒸気システムの信頼性向上
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カテゴリ: 第7回
1.はじめに
- 原子力発電所は定修サイクルの延長、定修期間 の短縮化、プラントの延命化などが課題とされて いる。この課題達成のためにはプラントの信頼性 向上が不可欠であり、本稿は(社)日本機械学会の 第 15回動力・エネルギー技術シンポジウムで発表 された内容いで改めて原子力発電所の蒸気配管 におけるトラッピング・エンジニアリングの改善 による蒸気システムの安全性・信頼性の向上につ いて報告する。
2.日本原子力技術協会とニューシア 原子力発電所の安定・安全運転に寄与すべく、 ニューシアに登録されている 3,300 件以上のトラ ブル情報の内、特に蒸気分野から見た原子力発電 所のトラブル事象の発生部位やその原因を調査分 析した。以下、その結果とともに対策として有用 な最新の蒸気利用技術を報告する。
2.1 蒸気分野におけるトラブル事象の発生部位* ニューシアのトラブル情報総件数 3,307 件 (2010 年2月末現在)の内、今回のテーマである蒸気分 野は 234 件と全体の約 7%(図 1)を占めている。そ して制御関連が約 11%、操作関連:約 8%、電気 関連:約 7%、その他不明を含め約 63%と推定し ている。これらは国への報告義務のある法令義務 事象と共にそれ以外の比較的軽微の事象も含んで いる。連絡先:高田敏則,〒675-8511 兵庫県加古川市野 口町長砂 881, 株式会社テイエルブイ , 電話: 079-422-8833, E-mail:ccc@tlv.comSteam-related 7% (234 cases)Total3.307 casesOther 93%Breakdown of NUCIA steam-related informationFig. 1蒸気分野で最も多いトラブル発生部位は図2に 示すように『配管』である。それは蒸気分野の総 件数 234 件中 68 件、その比率は 29%である。そ れは配管曲り部やバルブ・オリフィス後の乱流が 発生し易い箇所の穴あき事象であった。その他蒸 気発生器チューブの破断による蒸気発生器内部の 水漏れ、自動弁の作動不適や本体・接続部からの 内部流体の外部漏れ、安全弁の内部漏れによる二 次側配管温度の上昇による警報発信等が多い。Other 18%Traps 3% Moisture SeparatorPiping 29% Reheater 4%(68 cases) Turbincs 4% Condensers 4%Steam Manual Valves 4%- Generators Safety Valves Automatic Valves12% 11%0.11Fig.2 Locations having steam-related troubles(234 cases)更に配管事象を蒸気・ドレン・給水の各系統に 細分した結果を図3に示す。それは「蒸気配管」| 41% ・ 「ドレン配管」40%・「給水配管」15%、 そして「エアベント配管」4%となっている。- 185 -Air Vent Piping 4%Feed Water Piping 15%PipiCondensale Piping 40%Steam Piping 41%Fig.3Detail of piping-related troubles (68 cases)蒸気配管とは蒸気発生元から蒸気タービン入口 までとタービン抽気ラインを言う。また、各蒸気」 関連機器から復水器へのラインと復水器から脱気 器までをドレン配管とし、脱気器から蒸気発生元 までを給水配管としている。その結果、蒸気配管では湿分分離加熱器周りや タービン抽気ラインの比較的ドレンが多く混在す る二相流領域における事象が多く、またドレン配 管ではオリフィスによるドレン排除ラインや高 温・高圧ドレンの復水器直前の負圧域、すなわち ドレンのフラッシング部における事象が多い。す なわち蒸気とドレンが混在する二相流領域でのト ラブル発生比率が 80%以上と、給水・飽和蒸気の 単相流域のそれを大きく上回っていることが明ら かになった。2.2 蒸気・ドレン配管のトラブル現象 1 蒸気やドレン配管のトラブル現象の多くは配管 減肉による穴あき、配管ガスケット損傷や配管亀 裂・破断による部位からの蒸気やドレンの外部漏 れが 54 件 (79%)を占めている(図4)。外部漏」 れに至っていない定期メンテナンスで発見された 配管減肉の進行が 26件(38%)となっている。なお、 これらは複数の現象がある場合は重複してカウン トしている。A single case may have - multiple phenomena,No. of troublesInternaDamage CrackingFracture External LeakingInternal Leaking Pipe Wall Thinning Externa,Pipe WallSCC 3% Other 9% Corrosion 7% L E Flow 9%Impingement0.51Fig.4 Piping-related troubles (68 cases)by type of phenomenaFatiguc 21%蒸気・ドレン配管のトラブル発生原因Fig.6 Piping-related troubles (55 cases)by type of cause 2気配管やドレン配管の減肉・穴あきは、二相 性17況n 府のさ1ハラハでの流高砂rnPiping-related troubles (68 cases) by type of phenomenaFig.6・ドレン配管のトラブル発生原因 夢やドレン配管の減肉・穴あきは 一相 2.3 蒸気・ドレン配管のトラブル発生原因蒸気配管やドレン配管の減肉・穴あきは、二相 流、特に湿り度の高いラインでの液滴衝撃エロー ジョン(Liquid droplet impingement erosion:LDI) (1)~(5)によるものが多い(図 5、 27 件)。それには蒸気 供給系のドレン排除不足に起因するものとドレン」 配管中の高圧ドレンのフラッシングによるものの 2 種に大別できる。次いで、熱サイクルや振動に よる疲労損傷(10 件)やウォーターハンマー(4 件)となっている。なお、図4は配管トラブル (68] 件)中、明らかな人的要因事象(13 件)を除いた 55 件の原因分析グラフであり、複数の現象は重複 カウントしている。A single case may have multiple causes.No. of troublesFig.5 Piping-related troubles (55 cases)by type of cause oLDISCC FatigueCorrosionCavitation Water Hammer Foreign ObjectUndetermined Improper Machinery- ウォーターハンマー事象は後述(節 4.)するが、 LDI と同様に蒸気の急凝縮、あるいはドレンの運 動エネルギーによって生じた衝撃力による損傷で あり、キャビテーションエロージョンを含めて『衝 撃』による損傷と原因区分できる。一方、給水系 に見られる流れ加速型腐食 (Flow-accelerated corrosion:FAC)の原因を『流れ』による損傷と定義 し、流れの少ない静的な『腐食』と区分する。そ して熱サイクルや機械的振動による『疲労』、ス テンレス鋼でよく観られる応力腐食割れ『Stress Corrosion Cracking:SCC』に区分できる。これらの 原因を整理すると図6の割合となった。これは FAC の大口径配管の破断など広範囲に わたる全面損傷に対し、LDI の部分的・局部的損 傷である穴あき、そこからの蒸気・ドレン漏れで あり、比較的軽微な事象として扱われがちである が、その発生件数は配管トラブルの半数以上 (51%)を占めていた。-1863.蒸気・ドレン配管の LDI 事象(財)電気中央研究所で『液滴衝撃エロージョン に関わる流動特性の解明』研究を長年行っている。 その研究報告書によると、LDI 要因となる液滴流 速・湿り度・衝突割合などと減肉との定量的な推 定とともに減肉箇所をも特定することも今や可能 となり、現在その評価システムの検証段階にある。 (2)~(6)この理論解析および実証実験から、液滴衝撃に よる配管減肉速度は、疲労やFAC のように比較的 長時間での進行に対し、数時間から数十時間のオ ーダーで金属部を損傷させるとしている。4. 蒸気・ドレン配管のウォーターハンマー事象 ニューシアは顕在化したトラブルのデーターベ ースであるが、各原子力発電所の現場ではトラブ ルの報告までには至らない事象も多々あり、蒸気 システムに関する個別相談や現場の診断依頼など に基き独自に改善を進めている事例も多い。 例えば、ある原子力発電所のハウスボイラ系の蒸 気配管では頻繁なウォーターハンマーが発生し、 また別の発電所でも空調機器内のドレン滞留やド レン配管等の複数個所で常時、ウォーターハンマ ニーが発生している 原子力発電所の蒸気は火力発電所とは異なり、蒸 気の過熱度(乾き度)が低いため、蒸気中からドレ ンを確実に排出する事が極めて重要である。しか し、ドレン排出のための機器・配管が小スペース 内に収められている等の理由から、ドレン排出の 機能が充分に発揮されず、ドレン排出を阻害した り、逆に蒸気漏れを起こしている例がよく見られ る。その結果、ドレンの滞留やドレン配管への蒸 気の流出が起こり、それらが原因となって蒸気・ ドレン配管の LDI やウォーターハンマーを発生さ せている。 以下にこのLDI と ウォーターハンマー対策ならび に配管・機器の計測/点検・監視の技術について報 告する。5. 原子力発電所に応用できる改善技術) 蒸気・ドレン配管での LDI による減肉ならびにウ ォーターハンマーの対策としてこれまでに効果を 上げている改善技術をあげる。5.1 蒸気配管における LDI とウォーターハンマー対策 1蒸気配管中のドレン分離の技術となく、ドレンを2蒸気配管中からのドレン連続排出の技術5.2 ドレン配管における LDI とウォーターハンマ一対策 1ドレン配管へ蒸気を漏らすことなく、ドレンを 連続排出する技術5.3 計測/点検・監視 1ドレン排出箇所の遠隔常時監視の技術 2配管減肉箇所のスクリーニング技術6.対策技術の内容 6.1 蒸気配管における LDI とウォーターハンマー対策 1蒸気配管中のドレン分離の技術これまでの原子力発電所の蒸気配管のドレン 取り出し部は、一般に図7の通りで、大口径の 蒸気配管の底部に小口径のドレンを取り出すた めのドレン抜き配管が施工されているだけであCondensate Removal LineSteam LineBypass ValveStcam TrapFig.7 Condensate removal from steam piping(before improvement)このような状態では、20~30m/s の高速で流 れる蒸気配管の底部からごく僅かなドレンが小 口径のドレン取り出し配管中に流れ込むだけで、 大半のドレンはそのまま蒸気配管中を通過し排 除されない。またドレン取り出し配管の口径が 小さいため、この配管内でドレンと蒸気の置換 がスムーズに行われず、スチームトラップの手 前で蒸気がロックされた状態が発生し、その結 果ドレンが蒸気配管まで滞留する。更に、スチ ームトラップの設置場所の制約上の理由から、 ドレン抜き配管が図のように非常に長いケース も多く、逆勾配の施工になっている場合も見ら れる。これらによって、蒸気配管から分離・排 出されなかったドレンが残留し、蒸気乾き度の 低下や配管減肉、ウォーターハンマー発生の原 因になる。最新の蒸気配管中のドレンの分離技術は、図 8 のようなサイクロン式セパレーターを使用す187るのが理想で、連続排出型のスチームトラップ との相乗効果によって 98%のドレンが強制的に - 分離・排除されることが実験で確認されている。Fig.8Cyclone-type Separatorこのようなセパレーターが使用できないケー スは、図9のように蒸気配管にドレンポットを 設けることが望ましく、この方式でもかなりの ドレンを分離できることが実験で確認されている。Condensatc Pot Condensatc Removal LincSteam LineSteam TrapBypass ValveFig.9 Condensate removal from steam line(after improvement)但し、ドレンポットからスチームトラップま でのドレン抜き配管はドレン量に対して適正な 口径で、短く、そしてスチームトラップに対し て下り勾配に施工しなければならない。2蒸気配管中からのドレン連続排出の技術蒸気配管内には原子炉や蒸気発生器からキャ リーオーバーした給水や蒸気配管の放熱によっ て生じたドレンが常に存在しており、これを排 出するためにスチームトラップが設置される。 * スチームトラップにはその作動原理上からド レンを間欠的に排出するものと連続的に排出す る二種類があり、発電所では間欠排出型のもの が使用されているケースも多い。このような場 合には、図 10 のように閉弁中にドレンが滞留し、 蒸気配管までオーバーフローし、ドレンの滞留 ならびにウォーターハンマー発生の危険性があ る。Steam Line・ClosedCondensate BackupCondensate Removal LineIntermittent Discharge-type Steam TrapFig. 10Condensate backup in intermittent discharge-type steam traps従って、ドレンを滞留させないためには、連 続排出型でしかも作動時に蒸気漏れがないスチ ームトラップが理想であり、作動原理に蒸気と ドレンとの比重量の差を利用し、かつドレン量 に応じて連続的に弁口の開度を調整する機構を 持った図 11 のようなフロート式スチームトラ ップが適している。Steam LineCondensate Removal LineNo Condensate BackupContinuous Discharge-type Steam Trap -Fig.11 Continuous discharge-type steam trap6.2 ドレン配管における LDI とウォーターハンマ一対策 1ドレン配管へ蒸気を漏らすことなく、ドレンを 連続排出する技術ドレン水滴による配管減肉は、ドレン水滴の 流速・大きさが影響する。従って、図 12 のよう に間欠排出型のスチームトラップからドレンを 間欠的に排出することは配管減肉を促進し、ま た間欠作動による脈動ならびに再蒸発蒸気とド レンとの混合による蒸気の急凝縮はドレン配管 内でのウォーターハンマー発生の要因となる。 (図13)Intermittent Discharge-type Steam TrapLocations Where Erosion Occurs --Fig.12 Progression of pipe wall thinning due tointermittent operation188Condensatc and Flash Steam EnterRapid Condensation of Vapor with High Specific VolumeStcam人人人Low-temperature CondensateCondensate Recovery LineCondensate Recovery LineFig.13 Cause of water hammerと」 一方、ドレンを連続して排出することで、ド レン回収配管内はドレンと再蒸発蒸気との安定 した二相流が形成され、ドレン水滴による配管 エロージョンが著しく軽減されるとともにウォ ーターハンマー防止に繋がる。6.3 計測/点検・監視 1ドレン排出箇所の遠隔常時監視の技術ドレン排出箇所では、確実なドレン排除とと もに蒸気を漏らさないことが長期間維持されな ければならない。しかし、ドレン排出のために 用いられるスチームトラップは使用年数と共に 劣化し、ついには寿命となる。従って、スチームトラップがその機能を維持 できているか、またどれだけ劣化が進行してい」 るかを管理するためには、定期的な診断が不可 欠である。最新のスチームトラップの診断技術は、スチ ームトラップから発せられる超音波と表面温度 によって、作動の良否の自動判定をするととも に蒸気漏洩量も推定することができる。図 14 はこの技術を使って、スチームトラップの機能 を遠隔で常時監視している石油精製プラントの 事例である。2配管減肉の常時監視やスクリーニングの技術これまでの配管の肉厚測定に用いられてきた UT(超音波探傷検査)はバルク波で、狭い範囲内 での直進性は高いが、減衰が大きいため長い配 管には適さなかった。Repeater UnitIntermediate Sensor UnitAnplifier ProbeRadio TransmissionDiagnosis SoftwareSteam TrapDatabase Fig.14 Remote-controlled constant steam trapmonitoring system最新の診断技術では、パルス渦流やガイド波 を利用し減肉箇所の常時監視や定検時にスクリ ーニングを行うことができ、既に一部の産業界 で活用されている。7.おわりに原子力発電所は、安全・信頼性確保を前提に既 設プラントの最大活用とともに、地球温暖化対策 として世界的にも新規の原子力発電所の必要性は 高まっている。 - 今回発表した蒸気・ドレン配管の LDI やウォー ターハンマー対策の諸技術は、既設・新設の原子 力発電所の信頼性向上と長寿命化に大きく貢献で きるものであり、今後もこれらの技術の開発・向 上に取り組んでいく必要がある。 参考文献 (1) 有冨正憲 他、「原子力発電所の蒸気系配管損 - 傷に対する効果的な予防対策技術」、(社)日 本機械学会、第15回動力・エネルギー技術シンポジウム(2010.6) (2) 森田良、「液滴衝撃エロージョンに関わる流動特性の解明(その 1)」、電力中央研究所報告書番号:L06008 (2007.6). (3) 森田良、「液滴衝撃エロージョンに関わる流動特性の解明(その 2)」、電力中央研究所報 告書番号:L07016 (2008.6). 森田良、「液滴衝撃エロージョン評価システ ムの構築」、電力中央研究所報告書番号:L07017 (2008.6). (5) 森田良、「液滴衝撃エロージョン評価システムの実用性の向上」、電力中央研究所報告書番号:L08019 (2009.7). (6) 稲田文夫、「寿命予測を活用したプラント配管減肉管理の現状と改善への取り組み」、日 本機械学会誌, Vol.113, No.1094 (2010) pp.39-42. (7) 藤井照重監修、「トラッピング・エンジニアリング」、(財)省エネルギーセンター (2005.7).- 189 -“ “?蒸気ドレン排除の改善による原子力発電所の蒸気システムの信頼性向上“ “高田 敏則,Toshinori TAKATA
- 原子力発電所は定修サイクルの延長、定修期間 の短縮化、プラントの延命化などが課題とされて いる。この課題達成のためにはプラントの信頼性 向上が不可欠であり、本稿は(社)日本機械学会の 第 15回動力・エネルギー技術シンポジウムで発表 された内容いで改めて原子力発電所の蒸気配管 におけるトラッピング・エンジニアリングの改善 による蒸気システムの安全性・信頼性の向上につ いて報告する。
2.日本原子力技術協会とニューシア 原子力発電所の安定・安全運転に寄与すべく、 ニューシアに登録されている 3,300 件以上のトラ ブル情報の内、特に蒸気分野から見た原子力発電 所のトラブル事象の発生部位やその原因を調査分 析した。以下、その結果とともに対策として有用 な最新の蒸気利用技術を報告する。
2.1 蒸気分野におけるトラブル事象の発生部位* ニューシアのトラブル情報総件数 3,307 件 (2010 年2月末現在)の内、今回のテーマである蒸気分 野は 234 件と全体の約 7%(図 1)を占めている。そ して制御関連が約 11%、操作関連:約 8%、電気 関連:約 7%、その他不明を含め約 63%と推定し ている。これらは国への報告義務のある法令義務 事象と共にそれ以外の比較的軽微の事象も含んで いる。連絡先:高田敏則,〒675-8511 兵庫県加古川市野 口町長砂 881, 株式会社テイエルブイ , 電話: 079-422-8833, E-mail:ccc@tlv.comSteam-related 7% (234 cases)Total3.307 casesOther 93%Breakdown of NUCIA steam-related informationFig. 1蒸気分野で最も多いトラブル発生部位は図2に 示すように『配管』である。それは蒸気分野の総 件数 234 件中 68 件、その比率は 29%である。そ れは配管曲り部やバルブ・オリフィス後の乱流が 発生し易い箇所の穴あき事象であった。その他蒸 気発生器チューブの破断による蒸気発生器内部の 水漏れ、自動弁の作動不適や本体・接続部からの 内部流体の外部漏れ、安全弁の内部漏れによる二 次側配管温度の上昇による警報発信等が多い。Other 18%Traps 3% Moisture SeparatorPiping 29% Reheater 4%(68 cases) Turbincs 4% Condensers 4%Steam Manual Valves 4%- Generators Safety Valves Automatic Valves12% 11%0.11Fig.2 Locations having steam-related troubles(234 cases)更に配管事象を蒸気・ドレン・給水の各系統に 細分した結果を図3に示す。それは「蒸気配管」| 41% ・ 「ドレン配管」40%・「給水配管」15%、 そして「エアベント配管」4%となっている。- 185 -Air Vent Piping 4%Feed Water Piping 15%PipiCondensale Piping 40%Steam Piping 41%Fig.3Detail of piping-related troubles (68 cases)蒸気配管とは蒸気発生元から蒸気タービン入口 までとタービン抽気ラインを言う。また、各蒸気」 関連機器から復水器へのラインと復水器から脱気 器までをドレン配管とし、脱気器から蒸気発生元 までを給水配管としている。その結果、蒸気配管では湿分分離加熱器周りや タービン抽気ラインの比較的ドレンが多く混在す る二相流領域における事象が多く、またドレン配 管ではオリフィスによるドレン排除ラインや高 温・高圧ドレンの復水器直前の負圧域、すなわち ドレンのフラッシング部における事象が多い。す なわち蒸気とドレンが混在する二相流領域でのト ラブル発生比率が 80%以上と、給水・飽和蒸気の 単相流域のそれを大きく上回っていることが明ら かになった。2.2 蒸気・ドレン配管のトラブル現象 1 蒸気やドレン配管のトラブル現象の多くは配管 減肉による穴あき、配管ガスケット損傷や配管亀 裂・破断による部位からの蒸気やドレンの外部漏 れが 54 件 (79%)を占めている(図4)。外部漏」 れに至っていない定期メンテナンスで発見された 配管減肉の進行が 26件(38%)となっている。なお、 これらは複数の現象がある場合は重複してカウン トしている。A single case may have - multiple phenomena,No. of troublesInternaDamage CrackingFracture External LeakingInternal Leaking Pipe Wall Thinning Externa,Pipe WallSCC 3% Other 9% Corrosion 7% L E Flow 9%Impingement0.51Fig.4 Piping-related troubles (68 cases)by type of phenomenaFatiguc 21%蒸気・ドレン配管のトラブル発生原因Fig.6 Piping-related troubles (55 cases)by type of cause 2気配管やドレン配管の減肉・穴あきは、二相 性17況n 府のさ1ハラハでの流高砂rnPiping-related troubles (68 cases) by type of phenomenaFig.6・ドレン配管のトラブル発生原因 夢やドレン配管の減肉・穴あきは 一相 2.3 蒸気・ドレン配管のトラブル発生原因蒸気配管やドレン配管の減肉・穴あきは、二相 流、特に湿り度の高いラインでの液滴衝撃エロー ジョン(Liquid droplet impingement erosion:LDI) (1)~(5)によるものが多い(図 5、 27 件)。それには蒸気 供給系のドレン排除不足に起因するものとドレン」 配管中の高圧ドレンのフラッシングによるものの 2 種に大別できる。次いで、熱サイクルや振動に よる疲労損傷(10 件)やウォーターハンマー(4 件)となっている。なお、図4は配管トラブル (68] 件)中、明らかな人的要因事象(13 件)を除いた 55 件の原因分析グラフであり、複数の現象は重複 カウントしている。A single case may have multiple causes.No. of troublesFig.5 Piping-related troubles (55 cases)by type of cause oLDISCC FatigueCorrosionCavitation Water Hammer Foreign ObjectUndetermined Improper Machinery- ウォーターハンマー事象は後述(節 4.)するが、 LDI と同様に蒸気の急凝縮、あるいはドレンの運 動エネルギーによって生じた衝撃力による損傷で あり、キャビテーションエロージョンを含めて『衝 撃』による損傷と原因区分できる。一方、給水系 に見られる流れ加速型腐食 (Flow-accelerated corrosion:FAC)の原因を『流れ』による損傷と定義 し、流れの少ない静的な『腐食』と区分する。そ して熱サイクルや機械的振動による『疲労』、ス テンレス鋼でよく観られる応力腐食割れ『Stress Corrosion Cracking:SCC』に区分できる。これらの 原因を整理すると図6の割合となった。これは FAC の大口径配管の破断など広範囲に わたる全面損傷に対し、LDI の部分的・局部的損 傷である穴あき、そこからの蒸気・ドレン漏れで あり、比較的軽微な事象として扱われがちである が、その発生件数は配管トラブルの半数以上 (51%)を占めていた。-1863.蒸気・ドレン配管の LDI 事象(財)電気中央研究所で『液滴衝撃エロージョン に関わる流動特性の解明』研究を長年行っている。 その研究報告書によると、LDI 要因となる液滴流 速・湿り度・衝突割合などと減肉との定量的な推 定とともに減肉箇所をも特定することも今や可能 となり、現在その評価システムの検証段階にある。 (2)~(6)この理論解析および実証実験から、液滴衝撃に よる配管減肉速度は、疲労やFAC のように比較的 長時間での進行に対し、数時間から数十時間のオ ーダーで金属部を損傷させるとしている。4. 蒸気・ドレン配管のウォーターハンマー事象 ニューシアは顕在化したトラブルのデーターベ ースであるが、各原子力発電所の現場ではトラブ ルの報告までには至らない事象も多々あり、蒸気 システムに関する個別相談や現場の診断依頼など に基き独自に改善を進めている事例も多い。 例えば、ある原子力発電所のハウスボイラ系の蒸 気配管では頻繁なウォーターハンマーが発生し、 また別の発電所でも空調機器内のドレン滞留やド レン配管等の複数個所で常時、ウォーターハンマ ニーが発生している 原子力発電所の蒸気は火力発電所とは異なり、蒸 気の過熱度(乾き度)が低いため、蒸気中からドレ ンを確実に排出する事が極めて重要である。しか し、ドレン排出のための機器・配管が小スペース 内に収められている等の理由から、ドレン排出の 機能が充分に発揮されず、ドレン排出を阻害した り、逆に蒸気漏れを起こしている例がよく見られ る。その結果、ドレンの滞留やドレン配管への蒸 気の流出が起こり、それらが原因となって蒸気・ ドレン配管の LDI やウォーターハンマーを発生さ せている。 以下にこのLDI と ウォーターハンマー対策ならび に配管・機器の計測/点検・監視の技術について報 告する。5. 原子力発電所に応用できる改善技術) 蒸気・ドレン配管での LDI による減肉ならびにウ ォーターハンマーの対策としてこれまでに効果を 上げている改善技術をあげる。5.1 蒸気配管における LDI とウォーターハンマー対策 1蒸気配管中のドレン分離の技術となく、ドレンを2蒸気配管中からのドレン連続排出の技術5.2 ドレン配管における LDI とウォーターハンマ一対策 1ドレン配管へ蒸気を漏らすことなく、ドレンを 連続排出する技術5.3 計測/点検・監視 1ドレン排出箇所の遠隔常時監視の技術 2配管減肉箇所のスクリーニング技術6.対策技術の内容 6.1 蒸気配管における LDI とウォーターハンマー対策 1蒸気配管中のドレン分離の技術これまでの原子力発電所の蒸気配管のドレン 取り出し部は、一般に図7の通りで、大口径の 蒸気配管の底部に小口径のドレンを取り出すた めのドレン抜き配管が施工されているだけであCondensate Removal LineSteam LineBypass ValveStcam TrapFig.7 Condensate removal from steam piping(before improvement)このような状態では、20~30m/s の高速で流 れる蒸気配管の底部からごく僅かなドレンが小 口径のドレン取り出し配管中に流れ込むだけで、 大半のドレンはそのまま蒸気配管中を通過し排 除されない。またドレン取り出し配管の口径が 小さいため、この配管内でドレンと蒸気の置換 がスムーズに行われず、スチームトラップの手 前で蒸気がロックされた状態が発生し、その結 果ドレンが蒸気配管まで滞留する。更に、スチ ームトラップの設置場所の制約上の理由から、 ドレン抜き配管が図のように非常に長いケース も多く、逆勾配の施工になっている場合も見ら れる。これらによって、蒸気配管から分離・排 出されなかったドレンが残留し、蒸気乾き度の 低下や配管減肉、ウォーターハンマー発生の原 因になる。最新の蒸気配管中のドレンの分離技術は、図 8 のようなサイクロン式セパレーターを使用す187るのが理想で、連続排出型のスチームトラップ との相乗効果によって 98%のドレンが強制的に - 分離・排除されることが実験で確認されている。Fig.8Cyclone-type Separatorこのようなセパレーターが使用できないケー スは、図9のように蒸気配管にドレンポットを 設けることが望ましく、この方式でもかなりの ドレンを分離できることが実験で確認されている。Condensatc Pot Condensatc Removal LincSteam LineSteam TrapBypass ValveFig.9 Condensate removal from steam line(after improvement)但し、ドレンポットからスチームトラップま でのドレン抜き配管はドレン量に対して適正な 口径で、短く、そしてスチームトラップに対し て下り勾配に施工しなければならない。2蒸気配管中からのドレン連続排出の技術蒸気配管内には原子炉や蒸気発生器からキャ リーオーバーした給水や蒸気配管の放熱によっ て生じたドレンが常に存在しており、これを排 出するためにスチームトラップが設置される。 * スチームトラップにはその作動原理上からド レンを間欠的に排出するものと連続的に排出す る二種類があり、発電所では間欠排出型のもの が使用されているケースも多い。このような場 合には、図 10 のように閉弁中にドレンが滞留し、 蒸気配管までオーバーフローし、ドレンの滞留 ならびにウォーターハンマー発生の危険性があ る。Steam Line・ClosedCondensate BackupCondensate Removal LineIntermittent Discharge-type Steam TrapFig. 10Condensate backup in intermittent discharge-type steam traps従って、ドレンを滞留させないためには、連 続排出型でしかも作動時に蒸気漏れがないスチ ームトラップが理想であり、作動原理に蒸気と ドレンとの比重量の差を利用し、かつドレン量 に応じて連続的に弁口の開度を調整する機構を 持った図 11 のようなフロート式スチームトラ ップが適している。Steam LineCondensate Removal LineNo Condensate BackupContinuous Discharge-type Steam Trap -Fig.11 Continuous discharge-type steam trap6.2 ドレン配管における LDI とウォーターハンマ一対策 1ドレン配管へ蒸気を漏らすことなく、ドレンを 連続排出する技術ドレン水滴による配管減肉は、ドレン水滴の 流速・大きさが影響する。従って、図 12 のよう に間欠排出型のスチームトラップからドレンを 間欠的に排出することは配管減肉を促進し、ま た間欠作動による脈動ならびに再蒸発蒸気とド レンとの混合による蒸気の急凝縮はドレン配管 内でのウォーターハンマー発生の要因となる。 (図13)Intermittent Discharge-type Steam TrapLocations Where Erosion Occurs --Fig.12 Progression of pipe wall thinning due tointermittent operation188Condensatc and Flash Steam EnterRapid Condensation of Vapor with High Specific VolumeStcam人人人Low-temperature CondensateCondensate Recovery LineCondensate Recovery LineFig.13 Cause of water hammerと」 一方、ドレンを連続して排出することで、ド レン回収配管内はドレンと再蒸発蒸気との安定 した二相流が形成され、ドレン水滴による配管 エロージョンが著しく軽減されるとともにウォ ーターハンマー防止に繋がる。6.3 計測/点検・監視 1ドレン排出箇所の遠隔常時監視の技術ドレン排出箇所では、確実なドレン排除とと もに蒸気を漏らさないことが長期間維持されな ければならない。しかし、ドレン排出のために 用いられるスチームトラップは使用年数と共に 劣化し、ついには寿命となる。従って、スチームトラップがその機能を維持 できているか、またどれだけ劣化が進行してい」 るかを管理するためには、定期的な診断が不可 欠である。最新のスチームトラップの診断技術は、スチ ームトラップから発せられる超音波と表面温度 によって、作動の良否の自動判定をするととも に蒸気漏洩量も推定することができる。図 14 はこの技術を使って、スチームトラップの機能 を遠隔で常時監視している石油精製プラントの 事例である。2配管減肉の常時監視やスクリーニングの技術これまでの配管の肉厚測定に用いられてきた UT(超音波探傷検査)はバルク波で、狭い範囲内 での直進性は高いが、減衰が大きいため長い配 管には適さなかった。Repeater UnitIntermediate Sensor UnitAnplifier ProbeRadio TransmissionDiagnosis SoftwareSteam TrapDatabase Fig.14 Remote-controlled constant steam trapmonitoring system最新の診断技術では、パルス渦流やガイド波 を利用し減肉箇所の常時監視や定検時にスクリ ーニングを行うことができ、既に一部の産業界 で活用されている。7.おわりに原子力発電所は、安全・信頼性確保を前提に既 設プラントの最大活用とともに、地球温暖化対策 として世界的にも新規の原子力発電所の必要性は 高まっている。 - 今回発表した蒸気・ドレン配管の LDI やウォー ターハンマー対策の諸技術は、既設・新設の原子 力発電所の信頼性向上と長寿命化に大きく貢献で きるものであり、今後もこれらの技術の開発・向 上に取り組んでいく必要がある。 参考文献 (1) 有冨正憲 他、「原子力発電所の蒸気系配管損 - 傷に対する効果的な予防対策技術」、(社)日 本機械学会、第15回動力・エネルギー技術シンポジウム(2010.6) (2) 森田良、「液滴衝撃エロージョンに関わる流動特性の解明(その 1)」、電力中央研究所報告書番号:L06008 (2007.6). (3) 森田良、「液滴衝撃エロージョンに関わる流動特性の解明(その 2)」、電力中央研究所報 告書番号:L07016 (2008.6). 森田良、「液滴衝撃エロージョン評価システ ムの構築」、電力中央研究所報告書番号:L07017 (2008.6). (5) 森田良、「液滴衝撃エロージョン評価システムの実用性の向上」、電力中央研究所報告書番号:L08019 (2009.7). (6) 稲田文夫、「寿命予測を活用したプラント配管減肉管理の現状と改善への取り組み」、日 本機械学会誌, Vol.113, No.1094 (2010) pp.39-42. (7) 藤井照重監修、「トラッピング・エンジニアリング」、(財)省エネルギーセンター (2005.7).- 189 -“ “?蒸気ドレン排除の改善による原子力発電所の蒸気システムの信頼性向上“ “高田 敏則,Toshinori TAKATA