電磁超音波共鳴法による配管減肉の計測と評価

公開日:
カテゴリ: 第7回
.緒言
原子力・火力発電設備において、経年化に伴い流れ 速型腐食や液滴衝撃エロージョンなどによる配管減 の進展が問題となっている。これらの減肉管理では、 電探触子による超音波板厚計が用いられているが)、 測前の養生など手間がかかる点が問題となる。これ 解決する一手段として、非接触型の電磁超音波素子 -lectromagnetic Acoustic Transducer, EMAT)があり、 触媒体を必要とせず探傷面の状態に左右されにくい いう利点があり、高温環境下での肉厚測定にも使用 れている(2)(3)。しかし、パルス送受信型の EMAT は SN と感度が低いため、電磁超音波共鳴法 lectromagnetic Acoustic Resonance, EMAR)の適用 能性を検討した。これは、材料内で伝播する超音波 共鳴する現象を利用する方法で、材料の弾性定数や 厚の測定に使用されている)。平板等の単純な形状 は、底面からの反射波が共鳴を繰り返すことから、 確な共鳴周波数が計測でき、その間隔から板厚を精 良く評価できる。しかしながら、配管の減肉部のような板厚変化が複雑な曲面では、超音波が拡散してし い共鳴スペクトルの振幅が低下し、また複数の反射 を検出するため、板厚の評価が困難となる可能性が ある。本研究では、配管の板厚計測に適した EMAR プロ ーブを試作して、配管に曲面加工を施した模擬配管試 片や、実際の減肉形状に近い二相流試験装置で作成 した模擬減肉試験体に適用し、その計測精度を評価し こ。さらに、計測信号の特性に合わせて複数の信号処 方法を用いて、それらの計測精度への影響を評価し
2.電磁超音波共鳴法
Fig.1 に EMAT の構造と原理を示す。図中のコイルに 5周波パルス電流を流すと、試験体の表面近傍には渦 電流が誘導される。ここに、永久磁石により試験体表 ゴに垂直な静磁場を印加すると試験体表面に平行なアペール力による超音波が発生し、試験体内を伝播す ?。また、磁性材料ではコイルの誘導磁場と永久磁石 による静磁場により磁歪が周期的に変化する磁歪効果 により超音波が発生する。超音波の受信は上記の逆過 によりコイルに発生する電圧を検出することで行う。 の送受信の過程により、EMAT は接触媒体を使用せず 非接触での測定が可能になる)。また、バースト波を試験体に入射すると、超音波は 代験体の両面で反射を繰り返す。波長が試験体内の伝距離の整数倍のとき入射波と反射波の位相がそろう こめ共鳴現象が生ずる。この現象を用いた測定法が MAR である。EMAR は、拡散により減衰した振幅の小さ エコー波を増幅させることが出来るので、小さな出 コで厚さ計測が可能となる。MagnetNsS || NLCoil00000 88000 Eddy currentAmpere forceShear waveg. 1 Schematic drawing of structure of EMAT emitting.下式に共鳴周波数と厚さとの関係を示す。共鳴周波 女は基本共鳴周波数の整数倍である。基本共鳴周波数 ほ試験体内部の音速と試験体厚さにより決まる。1 f = nxs = n×2““(1) ここで、f: 共鳴周波数、f: 基本共鳴周波数、n: 共鳴次数、v: 音速、d: 試験体厚さである。 3. 模擬肉試験体の測定EMAR 計測性能の確認のための基礎試験で用いる模 減肉試験体は、後に記述する二相流試験装置で作成 した模擬減肉試験体と同等のもので、材質は STPT370 (高温配管用炭素鋼鋼管) 50A Sch80、内径 46.5mm、 外径 60.5mm、公称肉厚 5.5mm、長さ 120mm とした。さ らに、その内面に、フライス加工により深さ 0.5mm、 品 20mm の溝状の模擬減肉を施した。Fig.2に計測試験 本系を示す。電磁超音波の測定システムは、パルス波を送受信す るパルサーレシーバー(RPR-4000 RITEC 社製)、検出 周波数のフィルタとして広帯域ディケードフィルタ (FV-628B NF 社製)、オシロスコープ (DP04104 TEKTRONIX 社製)、および出力波形データを保存する PC である。プローブのコイルの寸法は、送信コイルの 線径が 0.1 mm、直径 10mm で巻き数 40 回、受信コイル が直径 20mm 巻き数 80 回、永久磁石を幅 10×長さ 20 ×高さ(励磁方向) 20mm のサマリウムコバルト磁石を個組み合わせて使用した。なお磁石は減肉配管外周 に合わせた形状に加工して、プローブを配管の周方向 ニ沿って走査可能な形にした。励磁コイル 10mm一検出コイル 中20mm滋肉(幅20mm、深さ0.5mm配管形状 (50mm中、5.51m板厚)Fig.2 Mockup Test for pipe wall thinning measurement byEMAR送信周波数を0.5~4.0MHz、掃引間隔を 10kHz とし、 受信信号にスーパーヘテロダイン処理を施して 1kHz 耳の周波数成分を検出する。測定間隔は減肉中心から .5mm 間隔として、中心部より 0mm、2.5mm、5.0mm、7.5mm、 0mm(減肉端部)、12.5mm、15mm の位置で測定を行った。ch=2, d(mm)=4.954545, 6CMHz)=0.330000. max=0.847213, HW(KHz)=45.212565Org. EMAR Signal10.51115 22.5 33.5Frequency(MHz)(a) Center of the wall thinning.ch=34.d(mm)=4.924699, fr(MHz)=0.332000. max%3D0.569737. HW(KHz)=3276.011228Org. EMAR SignalいるのをAA!!0 0.5 11.5 22.5 33.5Frequency(MHz)(b) 5mm distance from center of wall thinning. Fig.3 EMAR spectra of pipe specimen with simulated wallthinning. Fig.3 に測定結果として、送信周波数毎の振幅スペ クトルを示す。Fig.3(a)の減肉中心部での計測では、3 ~10 次の共鳴ピークが明確に観測されている。一方、 Fig.3(b)の減肉中心から 5mm 離れた位置での計測では、1900/07/21共鳴スペクトルの振幅が減衰し、また周期的な共鳴ピ ークの周りに複数のピークが検出され、複雑なスペク トル形状となっている。これは減肉曲面で超音波が散 乱し複数の反射経路の波が計測されているためであり、 このような結果から、共鳴ピークから板厚を評価する ことが容易ではないことが予想される。4. 厚さ評価法の検討減肉曲面での板厚を精度良く評価するために、相関 法と N 周期比例加算法の二種類の信号処理法を提案し 検討する。 4.1相関法相関法は、共鳴ピークの平均間隔を評価するための もので、基本スペクトルと周波数をシフトした位置の スペクトルの掛け算として、以下のように定義される。d= DX (板厚)== arg maxx/s - S.) * x()1899/12/31
“ “?電磁超音波共鳴法による配管減肉の計測と評価“ “兼本 茂,Shigeru KANEMOTO,浦山 良一,Ryo-ichi URAYAMA,内一 哲哉,Tetsuya UCHIMOTO,高木 敏行,Toshiyuki TAKAGI
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)