高速実験炉「常陽」の保守経験 (3)非常用ディーゼル発電機のクランク軸受摩耗の原因と対策
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カテゴリ: 第7回
1.緒言
高速実験炉「常陽」には、非常用電源設備とし て 2 機のディーゼル発電機が設置されている。本 ディーゼル発電機については、施設定期検査毎に 分解点検を実施しており、2008年1月の2号ディ ーゼル発電機の点検において、機関部クランクシ ャフト用軸受メタル (以下「軸受メタル」という) に磨耗の発生を確認した。このため、原因調査を実施するとともに、軸受 メタルの交換を含めた復旧対策、1号ディーゼル発 電機に対する水平展開及び再発防止対策を実施し、 非常用ディーゼル発電機の機能維持を図った。東京電力または大洗研究開発センター内変電所 の給電が停止した場合、ディーゼル発電機が自動 起動し、非常系電源設備及び無停電電源設備に給 電する。非常用ディーゼル発電機については、保安規定 に従い毎週1回約15分程度、無負荷での定例試運 転を実施し、発電機及び機関の運転状態を確認し てきた。 * 高速実験炉「常陽」の電源設備系統の概略を図1 に示す。また、ディーゼル発電機機関の仕様を表1 に示す。
「大洗変電所」「常陽」変電所1A-4M/CIBMCB2A-P/C_2B-P/C31|一般系電源設備]A-P/O18cm1回10-MC191号ディーゼル発電機」BIHC-P/C HO-PICS2号ディーゼル発電機2HC-P/C2HO-P/
2. 非常用ディーゼル発電機の概要
高速実験炉「常陽」の電源設備は、一般系電源 設備、非常系電源設備及び無停電電源設備から構 成されており、単一故障による給電機能の喪失を 防ぐため、各系統をさらに二系統または三系統に 分離して給電している。非常用ディーゼル発電機は、1号機、2号機の2 機が非常系電源設備にそれぞれ接続され、常時待 機状態である。一般系電源設備は、東京電力から 66kV を受電し ている大洗研究開発センター内の変電所及び「常 陽」 変電所を経由して 3.3kV を受電し、これを「常 陽」の非常系電源設備及び無停電電源設備に給電 するものである。
「非常系電源設備2C-P/C| 無停電電源設備
図1 高速実験炉「常陽」電源設備系統概略図
表1 ディーゼル発電機機関仕様項目仕様型式V型単動4サイクル無気噴油式トランクピストン式シリンダ数12 (45° Vシリンダ配列)出力3000PS回転数600rpm使用燃料A重油」製造メーカー富士ディーゼル株式会社製造年
累積運転時間 |1号機:1,107 時間(負荷運転:527 時間) (2008.1 月現在)|2号機:1,155 時間(負荷運転:610時間)1号ディーゼル発電機2号ディーゼル発電機3. 軸受メタルの仕様「常陽」非常用ディーゼル発電機の機関部のクラ ンクシャフトは、7組の軸受により支持されている。 各軸受は、円筒を半割りにした形状の軸受メタルが クランクシャフトを上下から挟み込み、これを軸受 冠により固定する構造であり、クランク室に充填さ れている潤滑油により潤滑される。軸受メタルは、自動車、船舶等のエンジンにも 使用されている一般汎用品のすべり軸受であり、 地金層、ケルメット層、オーバーレイ層の三層で 構成され、全面にスズメッキが施されている。軸 受メタルの構造を図2に示す。上部受メタル軸受メタル写真オーバーレイ(鉛ースズ一合金)
ケルメット(9-鉛合金)
地金(機械構造用炭素鋼)約6mm軸受メタル断面構造図2 軸受メタル構造図4. 軸受メタルの磨耗状態- 2008年1月に実施した2号ディーゼル発電機の 分解点検において、7組ある軸受の中心位置にあた る No.4 の軸受のクランク室にケルメット層の剥離 片を多数確認した。 No.4 の軸受メタルを取り外し、 摺動面を観察したところ、オーバーレイ層及びケ ルメット層が完全に剥離し、地金層が露出してい ることを確認した。また、摩擦を生じたことによ り地金表面が褐色に変色し、軸受メタル摺動面の 両端が薄くなっていた。 - なお、No.3 の軸受メタルにも部分的にケルメッ ト層の露出が見られたが、著しい磨耗には至って おらず、残りの 5 組にケルメット層の露出はなか った。ディーゼル発電機は設置後約 33年を経過してい たが、それまでの定期点検で軸受メタルの磨耗は 見られず、交換の実績はない。 No.4 の軸受メタルの磨耗状況を図3に示す。クランクシャフト 337 5,6_71発電機回収したケルメット層の剥離片写真No.4の軸受メタル写真図3 軸受メタル磨耗状況5. その他部品の損傷状態機関の内部点検を進めた結果、No.4 の軸受メタ ルの地金層との接触による摩擦熱等に起因する以 下の影響を確認した。 (1) No.4 の軸受メタルを固定する軸受冠に変形が 見られた。なお、軸受冠を固定するボルトに緩み等の異常は無かった。 (2) クランクシャフトの No.4 軸受メタルとの摺動面に、著しい擦り傷と磨耗による変色が見られ た。また、同位置を支点としてクランクシャフ
トに偏芯が見られた。 クランクシャフトを支持するクランク室の No.4 下部に、擦り傷と磨耗による変色が見られ た。本影響は、本来固定されている軸受メタル が、摺動抵抗の増大により、クランクシャフト と共回りしたことによる。6. 軸受メタル磨耗発生原因 - 原因究明のため軸受メタルの組織分析を行った 結果、カーボンがケルメット層に埋没しているこ とが分かった。一例として、部分的にケルメット 層の露出が見られた No.3 軸受の断面組織を図4に示す。* 一般に、機関の無負荷運転時にはカーボンを含 む未燃焼ガスが発生しやすく、これが潤滑性能を 阻害し、軸受の磨耗を助長させたと考えられる。 1. 本事象発生当時、ディーゼル発電機は設置後約 33 年が経過していたが、累積運転時間は表1に示 したとおり約1,100 時間程度であり、これは、メー カが推奨する軸受メタルの交換目安である 20,000 時間の約 20 分の1であった。しかし、累積運転時 間の約半分が定例試運転による無負荷運転であっ たため、長年に渡る短時間無負荷運転の繰り返し によりカーボンが蓄積され今回の磨耗に至ったと 推測される。オーバーレイミケルメット?会信正常部ケルメット際へのカーボン埋没オーバーレイオーバーレイ剥離オーバーレイ]オーバーレイ完全剥離注): No.4 の軸受メタルは磨耗が著しく分析できないため、No.3 の軸受メタルを使用して分析した。図4 軸受メタル断面組織状況7.復旧対策及び水平展開 12号ディーゼル発電機については、7組の軸受メ タルと No.4 の軸受メタル用軸受冠を新品に交換し た。さらに、クランクシャフト及び下部クランク 室を点検業者の工場に搬出して、クランクシャフ トの偏芯の矯正、下部クランク室軸受穴の加工修 正を実施し、現地で組み込み復旧した。 ・ 今回の事象を通じ、軸受メタルの摩耗が進展し、 ケルメット層が露出した場合、潤滑油中の銅成分 が上昇することが分かったため、形式が同じで累 積運転時間が同等である 1 号ディーゼル発電機に ついて、潤滑油の成分分析を実施することとした。 定期的に成分分析を行った結果、潤滑油中の銅成 分の上昇傾向が確認されたことから、2009年 10月 に機関の分解点検を実施したところ、2 号機と同様 No.4 の軸受メタルに部分的なケルメット層の露出 が見られたため、予防保全の観点から全軸受メタ ルの交換を実施した。これにより、1号機に関して は、クランクシャフトや下部クランク室等に影響 を与えることなく予防保全を行うことができた。8. 軸受メタル磨耗の再発防止対策 - 以上を踏まえ、軸受メタルの磨耗に対する監視 強化とその原因となる機関の無負荷運転時に発生 する未燃焼ガスの抑制の観点から、以下の再発防 止対策を実施した。 (1) 毎週1回実施していた無負荷での定例試運転を他の原子力施設と同様に毎月1回の頻度とした。 (2) 起動時の軸受の負担を軽減させるために、試運転前にターニングを実施し、軸受部に潤滑油を馴染ませる。 (3) 定期的に潤滑油の成分分析を実施し、軸受を含む機関内部の異常を早期発見する。なお、その 後のデータを基に、成分分析の実施頻度を3ヶ 月に1回に定めた。 施設定期点検毎に行う機関部の点検では、点検 毎に7組中1組ずっ軸受の分解点検を実施して きたが、今後、構造上荷重がかかり易い中心位 置の No.4 と両端の No.1 及び No.7 の軸受を中 心に点検対象を抽出する運用とする。
3.結言原子力施設の非常用ディーゼル発電機は、不具 合等が発生すると施設の機能及び安全維持に影響 する安全上重要な設備であるが、稼働率が低く、 累積運転時間が短いため、連続運転が前提となる 一般産業界の保守経験をそのまま適用することは 必ずしも適切ではない。 * 現在、多くの原子力施設でディーゼル発電機の 試運転を月1回の頻度で行っているが、「常陽」で は、建設以来 30 年以上にわたってディーゼル発電
影の試運転を週 1回の頻度でしかも無負荷で行っ できたことから、結果として、他施設と比べ早期 二未燃焼ガスの影響を把握することができたもの と考えられる。今後も、日本初、かつ唯一の高速実験炉として、 この特徴も踏まえて保守経験の分析評価を行い、 五設・設備の機能維持はもとより、保守計画の精 致化・高度化に努めていく。 施設・設備の機能維持はもとより、 緻化・高度化に努めていく。辞 本事象を発見し緊急で対応して復旧して頂いた FE テクノス(株)の方々に、感謝の意を表します。 参考文献 1] 飛田他, “非常用ディーゼル発電機の保守経験と高経年化対策““,平成 20 年度弥生研究会「研究炉 等の運転・管理及び改良に関する研究会」発表 要旨集, pp.10-1“ “高速実験炉「常陽」の保守経験 (3) 非常用ディーゼル発電機のクランク軸受磨耗の原因と対策“ “舟木 功,Isao FUNAKI,飛田 茂治,Shigeharu TOBITA,長井 秋則,Akinori NAGAI,西野 一成,Kazunari NISHINO
高速実験炉「常陽」には、非常用電源設備とし て 2 機のディーゼル発電機が設置されている。本 ディーゼル発電機については、施設定期検査毎に 分解点検を実施しており、2008年1月の2号ディ ーゼル発電機の点検において、機関部クランクシ ャフト用軸受メタル (以下「軸受メタル」という) に磨耗の発生を確認した。このため、原因調査を実施するとともに、軸受 メタルの交換を含めた復旧対策、1号ディーゼル発 電機に対する水平展開及び再発防止対策を実施し、 非常用ディーゼル発電機の機能維持を図った。東京電力または大洗研究開発センター内変電所 の給電が停止した場合、ディーゼル発電機が自動 起動し、非常系電源設備及び無停電電源設備に給 電する。非常用ディーゼル発電機については、保安規定 に従い毎週1回約15分程度、無負荷での定例試運 転を実施し、発電機及び機関の運転状態を確認し てきた。 * 高速実験炉「常陽」の電源設備系統の概略を図1 に示す。また、ディーゼル発電機機関の仕様を表1 に示す。
「大洗変電所」「常陽」変電所1A-4M/CIBMCB2A-P/C_2B-P/C31|一般系電源設備]A-P/O18cm1回10-MC191号ディーゼル発電機」BIHC-P/C HO-PICS2号ディーゼル発電機2HC-P/C2HO-P/
2. 非常用ディーゼル発電機の概要
高速実験炉「常陽」の電源設備は、一般系電源 設備、非常系電源設備及び無停電電源設備から構 成されており、単一故障による給電機能の喪失を 防ぐため、各系統をさらに二系統または三系統に 分離して給電している。非常用ディーゼル発電機は、1号機、2号機の2 機が非常系電源設備にそれぞれ接続され、常時待 機状態である。一般系電源設備は、東京電力から 66kV を受電し ている大洗研究開発センター内の変電所及び「常 陽」 変電所を経由して 3.3kV を受電し、これを「常 陽」の非常系電源設備及び無停電電源設備に給電 するものである。
「非常系電源設備2C-P/C| 無停電電源設備
図1 高速実験炉「常陽」電源設備系統概略図
表1 ディーゼル発電機機関仕様項目仕様型式V型単動4サイクル無気噴油式トランクピストン式シリンダ数12 (45° Vシリンダ配列)出力3000PS回転数600rpm使用燃料A重油」製造メーカー富士ディーゼル株式会社製造年
累積運転時間 |1号機:1,107 時間(負荷運転:527 時間) (2008.1 月現在)|2号機:1,155 時間(負荷運転:610時間)1号ディーゼル発電機2号ディーゼル発電機3. 軸受メタルの仕様「常陽」非常用ディーゼル発電機の機関部のクラ ンクシャフトは、7組の軸受により支持されている。 各軸受は、円筒を半割りにした形状の軸受メタルが クランクシャフトを上下から挟み込み、これを軸受 冠により固定する構造であり、クランク室に充填さ れている潤滑油により潤滑される。軸受メタルは、自動車、船舶等のエンジンにも 使用されている一般汎用品のすべり軸受であり、 地金層、ケルメット層、オーバーレイ層の三層で 構成され、全面にスズメッキが施されている。軸 受メタルの構造を図2に示す。上部受メタル軸受メタル写真オーバーレイ(鉛ースズ一合金)
ケルメット(9-鉛合金)
地金(機械構造用炭素鋼)約6mm軸受メタル断面構造図2 軸受メタル構造図4. 軸受メタルの磨耗状態- 2008年1月に実施した2号ディーゼル発電機の 分解点検において、7組ある軸受の中心位置にあた る No.4 の軸受のクランク室にケルメット層の剥離 片を多数確認した。 No.4 の軸受メタルを取り外し、 摺動面を観察したところ、オーバーレイ層及びケ ルメット層が完全に剥離し、地金層が露出してい ることを確認した。また、摩擦を生じたことによ り地金表面が褐色に変色し、軸受メタル摺動面の 両端が薄くなっていた。 - なお、No.3 の軸受メタルにも部分的にケルメッ ト層の露出が見られたが、著しい磨耗には至って おらず、残りの 5 組にケルメット層の露出はなか った。ディーゼル発電機は設置後約 33年を経過してい たが、それまでの定期点検で軸受メタルの磨耗は 見られず、交換の実績はない。 No.4 の軸受メタルの磨耗状況を図3に示す。クランクシャフト 337 5,6_71発電機回収したケルメット層の剥離片写真No.4の軸受メタル写真図3 軸受メタル磨耗状況5. その他部品の損傷状態機関の内部点検を進めた結果、No.4 の軸受メタ ルの地金層との接触による摩擦熱等に起因する以 下の影響を確認した。 (1) No.4 の軸受メタルを固定する軸受冠に変形が 見られた。なお、軸受冠を固定するボルトに緩み等の異常は無かった。 (2) クランクシャフトの No.4 軸受メタルとの摺動面に、著しい擦り傷と磨耗による変色が見られ た。また、同位置を支点としてクランクシャフ
トに偏芯が見られた。 クランクシャフトを支持するクランク室の No.4 下部に、擦り傷と磨耗による変色が見られ た。本影響は、本来固定されている軸受メタル が、摺動抵抗の増大により、クランクシャフト と共回りしたことによる。6. 軸受メタル磨耗発生原因 - 原因究明のため軸受メタルの組織分析を行った 結果、カーボンがケルメット層に埋没しているこ とが分かった。一例として、部分的にケルメット 層の露出が見られた No.3 軸受の断面組織を図4に示す。* 一般に、機関の無負荷運転時にはカーボンを含 む未燃焼ガスが発生しやすく、これが潤滑性能を 阻害し、軸受の磨耗を助長させたと考えられる。 1. 本事象発生当時、ディーゼル発電機は設置後約 33 年が経過していたが、累積運転時間は表1に示 したとおり約1,100 時間程度であり、これは、メー カが推奨する軸受メタルの交換目安である 20,000 時間の約 20 分の1であった。しかし、累積運転時 間の約半分が定例試運転による無負荷運転であっ たため、長年に渡る短時間無負荷運転の繰り返し によりカーボンが蓄積され今回の磨耗に至ったと 推測される。オーバーレイミケルメット?会信正常部ケルメット際へのカーボン埋没オーバーレイオーバーレイ剥離オーバーレイ]オーバーレイ完全剥離注): No.4 の軸受メタルは磨耗が著しく分析できないため、No.3 の軸受メタルを使用して分析した。図4 軸受メタル断面組織状況7.復旧対策及び水平展開 12号ディーゼル発電機については、7組の軸受メ タルと No.4 の軸受メタル用軸受冠を新品に交換し た。さらに、クランクシャフト及び下部クランク 室を点検業者の工場に搬出して、クランクシャフ トの偏芯の矯正、下部クランク室軸受穴の加工修 正を実施し、現地で組み込み復旧した。 ・ 今回の事象を通じ、軸受メタルの摩耗が進展し、 ケルメット層が露出した場合、潤滑油中の銅成分 が上昇することが分かったため、形式が同じで累 積運転時間が同等である 1 号ディーゼル発電機に ついて、潤滑油の成分分析を実施することとした。 定期的に成分分析を行った結果、潤滑油中の銅成 分の上昇傾向が確認されたことから、2009年 10月 に機関の分解点検を実施したところ、2 号機と同様 No.4 の軸受メタルに部分的なケルメット層の露出 が見られたため、予防保全の観点から全軸受メタ ルの交換を実施した。これにより、1号機に関して は、クランクシャフトや下部クランク室等に影響 を与えることなく予防保全を行うことができた。8. 軸受メタル磨耗の再発防止対策 - 以上を踏まえ、軸受メタルの磨耗に対する監視 強化とその原因となる機関の無負荷運転時に発生 する未燃焼ガスの抑制の観点から、以下の再発防 止対策を実施した。 (1) 毎週1回実施していた無負荷での定例試運転を他の原子力施設と同様に毎月1回の頻度とした。 (2) 起動時の軸受の負担を軽減させるために、試運転前にターニングを実施し、軸受部に潤滑油を馴染ませる。 (3) 定期的に潤滑油の成分分析を実施し、軸受を含む機関内部の異常を早期発見する。なお、その 後のデータを基に、成分分析の実施頻度を3ヶ 月に1回に定めた。 施設定期点検毎に行う機関部の点検では、点検 毎に7組中1組ずっ軸受の分解点検を実施して きたが、今後、構造上荷重がかかり易い中心位 置の No.4 と両端の No.1 及び No.7 の軸受を中 心に点検対象を抽出する運用とする。
3.結言原子力施設の非常用ディーゼル発電機は、不具 合等が発生すると施設の機能及び安全維持に影響 する安全上重要な設備であるが、稼働率が低く、 累積運転時間が短いため、連続運転が前提となる 一般産業界の保守経験をそのまま適用することは 必ずしも適切ではない。 * 現在、多くの原子力施設でディーゼル発電機の 試運転を月1回の頻度で行っているが、「常陽」で は、建設以来 30 年以上にわたってディーゼル発電
影の試運転を週 1回の頻度でしかも無負荷で行っ できたことから、結果として、他施設と比べ早期 二未燃焼ガスの影響を把握することができたもの と考えられる。今後も、日本初、かつ唯一の高速実験炉として、 この特徴も踏まえて保守経験の分析評価を行い、 五設・設備の機能維持はもとより、保守計画の精 致化・高度化に努めていく。 施設・設備の機能維持はもとより、 緻化・高度化に努めていく。辞 本事象を発見し緊急で対応して復旧して頂いた FE テクノス(株)の方々に、感謝の意を表します。 参考文献 1] 飛田他, “非常用ディーゼル発電機の保守経験と高経年化対策““,平成 20 年度弥生研究会「研究炉 等の運転・管理及び改良に関する研究会」発表 要旨集, pp.10-1“ “高速実験炉「常陽」の保守経験 (3) 非常用ディーゼル発電機のクランク軸受磨耗の原因と対策“ “舟木 功,Isao FUNAKI,飛田 茂治,Shigeharu TOBITA,長井 秋則,Akinori NAGAI,西野 一成,Kazunari NISHINO