水中レーザクラッド溶接工法に関するガイドライン
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カテゴリ: 第7回
1. はじめに
国内の原子力運転プラントの安全・安定運転を確 保するために、炉内構造物等の健全性を確認、保証 することは重要な課題である。この重要な課題への 取組の一つとして、(社) 日本原子力技術協会(以下、 「原技協」と記す)炉内構造物点検評価ガイドライ ン検討会 (以下、「ガイドライン検討会」と記す) は、 損傷発生の可能性のある構造物について、点検・評 価・予防保全工法・補修工法等に関するガイドライ ンを策定してきている。その内容は順次、学協会規 格へ導入され、実プラント運用の基礎となっている。 また、規格化前の時期においても、使用者が必要に 応じて規制当局の了解のもとに、実プラントに関す る評価根拠として用いられる場合もある。予防保全」 工法、補修工法に関するガイドラインは、新しい保 全技術を主な対象とし、ガイドライン検討会で、国 内の専門家による技術的審議を経て発行される。予 防保全工法ガイドラインとして、昨年度、「水中レー ザクラッド溶接工法」(JANTI-VIP-07) [1] が発行さ れた。以下にその概要を紹介する。1水中レーザ溶接は、図-2.1に示す様に、施工 対象部位に局部的にシールドガス(アルゴン)を吹 付け、レーザ照射光路から周囲の水を排除する気中 環境を作って施工する。施工の段取りや事前準備は、 炉水を抜く必要が無く簡便である。また、作業員の 被ばくも低く抑えられる。TIG溶接を適用する場 合に比べて溶接施工ヘッドは小型化でき、また、溶 接時の入熱が小さいため、狭隘な部位への施工や、 運転中に照射を受けた炉内材料への溶接方法として 有利である。本技術を用い、炉内機器に発生した応 力腐食割れ(SCC)を封止して補修する技術につ いては、既に補修工法ガイドライン「封止溶接工法」 (JANTI-VIP-01)[2] として発行されている。今回、 SCC感受性を持つ既存の材料表面に、水中レーザ 溶接を適用して耐SCC性に優れた溶接材料でクラ ッド溶接を行い、SCCに対する予防保全とする際 のガイドラインを発行した。クラッド溶接工法」の概要
3.1 目的と適用範囲 運転開始後の沸騰水型原子力発電所(BWR)及び 加圧水型原子力発電所(PWR)の原子炉機器を構成 する高ニッケル合金(ニッケルクロム鉄合金)及びオ ーステナイト系ステンレス鋼の部材(母材、溶接金属) に水中レーザビーム溶接により耐SCC性に優れた 溶加材によるクラッド層を形成することにより、被施 工面におけるSCC発生を予防する保全方法の要領 を示すものである。オーステナイト系ステンレス鋼被 施工面に対しては、溶加材はオーステナイト系ステン レス鋼もしくはニッケルクロム鉄合金を、また、ニッ ケルクロム鉄合金被施工面に対しては、ニッケルクロ ム鉄合金溶加材を想定している。具体的な施工対象部 位候補として、BWRの炉心シュラウド、制御棒駆動 機構(CRD) ハウジング、CRDスタブチューブ、 中性子計装ハウジング、シュラウドサポート等、また、 PWRの原子炉圧力容器(RV)冷却材出入口管台、 炉内核計装筒管台等、の溶接部やその近傍を想定して いる。(図-3.1.1)
ロードが入口管台 (ステンレス鋼/ニッケル基) シュラウド (ステンレス鋼)ノズルセーフエンド部(ニッケル基)シュラウドサポート (ニッケル基)出口管台 (ステンレス鋼 /ニッケル基)炉内計装筒管台 (ニッケル基)CRDスタブチューブ/ 1CMハウジング溶接部(ニッケル基)BWRの例PWRの例図-3.1.1 水中レーザクラッド溶接対象部位例 3]3.2 工法の概要 - 水中レーザビーム溶接により、耐SCC性に優れた 溶加材によるクラッド層を形成する場合、部材表面に 直接クラッド溶接を施工する場合(図3.2.1(a)) と、原表面に追込み加工を施した後にクラッド溶接を 施工する場合(図3.2.1(b))が考えられる。クラッド溶接原表面及び(a)原表面に直接クラッド溶接を行う場合成クラッド溶接原表面(6)追い込み加工後にクラッド溶接を行う場合 図-3.2.1 水中レーザクラッド溶接工法概要レーザビーム溶接工法は、既に発電用原子力設備規 格 溶接規格[4](JSME S NB1、以下、「J SME溶接規格」と記す)で規定されている。本ガイ ドラインの対象である工法は、施工対象部位に部分気 中環境を作り、水中で施工する場合が対象であるが、 管理は、気中施工を対象に溶接規格に規定されている レーザピーム溶接の施工管理項目、施工管理条件と基 本的に同様である。本溶接施工法において、加熱源は レーザ光であり、水深による圧力の影響は受けにくく、 クラッド層形成への影響は無い。 - 本ガイドラインで対象とする水中レーザクラッド 溶接は、SCC予防保全を目的としており、母材およ び溶加材の材質、溶接時の成分希釈を考慮した上で、 クラッド層表面を耐SCC性を満足する化学成分と することが重要であり、溶接施工法確認における確認 項目となる。図3.2.1(b)に示す、原表面を追込み加工し てクラッド溶接を行う場合に関し、本ガイドラインは、 1. 追込み加工が、構造健全性を確保するのに必要な強度部材の領域に至る事が無いこと、 フェライト鋼に接合された高ニッケル合金(ニッ ケルクロム鉄合金)またはオーステナイト系ステ ンレス鋼の部材(母材、溶接金属)に適用する場 合には、既設の溶接部の厚さが、水中レーザクラ ッド溶接時の熱影響をフェライト鋼に与えない厚さ以上に確保されていること を条件とし、この範囲に限ることとした。これを超え る場合については、それらの技術評価を終えた段階で 別途ガイドラインを策定する方針とした。30、図3.2.2に、水中レーザクラッド溶接の施工ス テップを示す。水中レーザクラッド溶接施工面研磨面目視検査水中レーザークラッド溶接施工文(溶接施工時不良)手直し溶接水中レーザクラッド 溶接施工範囲検査不合格合格不合格手直し溶接水中レーザクラッド 溶接後表面検査合格表面残留応力改善(*)(*)表面の応力改善が必要な 場合に実施水中レーザクラッド溶接終了図-3.2.2 水中レーザクラッド溶接施工ステップ3.3 工法適用に対する要求事項水中レーザクラッド溶接工法に関する要求事項と して、以下を規定した。 ・ 溶接施工法、溶接士の管理はJSME溶接規格 49のレーザビーム溶接に準拠して溶接施工法確認 試験、溶接士資格管理を行う。 工場において、水中レーザクラッド溶接適用部位 を模擬した試験体および専用の溶接装置を用い て各溶接士を事前に訓練する。 水中レーザクラッド溶接部について溶接施工前、 溶接施工後に表面検査を行う。 溶接施工対象面の検査、溶接条件、目的とする対 象範囲を包絡する施工範囲、溶接時の材料成分希 釈を考慮し、クラッド溶接後耐SCC性を確保す る材料成分を満足する積層数、手直し溶接実施要 領と記録の作成保管に関し、水中レーザクラッド 溶接施工管理要領に定め、これに従い実施すること。ガイドラインに規定した水中レーザクラッド溶接 施工法として確認すべき事項(基本支配因子)を、表 -3.3.1に示す。3.3.1水中レーザクラ表-3.3.1水中レーザクラッド溶接確認項目[1]項目確認項目溶接方法LB(式)溶接 (水中クラッド溶接)母材 溶接棒0|-|-|溶接区分として、「LB(式)溶接(水中クラッド溶接)」 という定義を設ける。(水中での施工を対象とする) 適用する母材を規定する。 対象外 対象外溶接金属 予熱 溶接後熱処理行わない行わないクラッド溶接時の溶接熱影響がフェライト勢に及ば ないようにするため、フェライト鋼に接合された既 設の溶接部の厚さが4m以上確保されていることを 適用条件とする。 シールドガスの種類を規定する。シールドガス行わない裏面からのガス、 保護 溶加材 ウェルドインサ溶加材の区分を規定する。使用しないフラックス 心線 溶接機対象外) 対象外 レーザの種類を規定する。層数1010母材の厚さ制限なし ノズル?象外 レーザ出力適正施工条件範囲を規定する。 溶接速度適正施工条件範囲を規定する。 ワイヤ供給速度適正施工条件範囲を規定する。 ビームビーム発振方法を規定する。 オシレーション| 行わない 溶接姿勢溶接姿勢を規定する。 水深最大水深を規定する。 揺動対象外 あて金?象外 リガメントの幅」対象外) *:Oの項目を確認、規定する。|0-0|-|-|4.おわりに原技協ガイドライン検討会での審議を経て、水中レ ーザビーム溶接をSCC予防保全のためのクラッド 溶接施工に適用する際のガイドラインが発行され、そ の概要を紹介した。水中レーザ溶接は、施工前の段取 準備が簡素であり、炉水を保持したままで施工を行う ことから、作業員被ばくを低く抑えることができる。 溶接入熱もTIG溶接の約1/10程度に抑えられ、 原子力運転プラントに適用する利点が大きい工法で ある。今後のプラント高経年化に対応し、広く適用を 目指していきたい。先行して発行された補修工法ガイ ドライン「封止溶接工法」[2] において、水中レーザ 溶接を封止溶接に適用する際の要領が規定されてい る。今後、強度部材の補修への適用を対象として、バウンダリ部材を構成する低合金鋼近傍への施工時に 溶接時の入熱により材料的な劣化を招かないための テンパービード工法の実用化等を含め、検討すべき技 術課題への対応を行い、ガイドライン化や、実機プラ ントの補修に向けても準備を推進していく計画であ る。(図4.1参照)H.20/1 発刊」H.21/1 発刊」予防保全工法ガイドライン [水中レーザクラッド溶接工法](JANTI-VIP-07-第1版)補修工法ガイドライン [封止溶接工法] (JANTI-VIP-01 - 第1版)(注1)(注1) 本ガイドラインには、 気中TIG溶接による封止溶接工法、 水中レーザビーム溶接による封止溶接工法が含まれる今後、審議・発刊を行う予定SCC予防保全の観点で施工する 水中レーザビーム溶接による クラッディングを対象とし、強度部 材の補修は不含。補修工法ガイドライン 【水中レーザ肉盛溶接工法] () (注2)強度部材補修施工時のガイドラインとして検討する。テンパービード工法適用を含む。図-4.1 水中レーザ溶接工法に関するガイドライン参考文献[1] (社)日本原子力技術協会 予防保全工法ガイドライン [水中レーザクラッド溶接工法](JANT I-VIP-07-第1版)[2] (社)日本原子力技術協会 補修工法ガイドライ ニン[封止溶接工法](JANTI-VIP-01第1版)[3] 末園暢一「運転プラント炉内保全技術の紹介」、保全学 Vol.8, No.4, (2009)「41 (社)日本機械学会「発電用原子力設備規格 溶接 1 規格(2007年版)」、JSME S NB12007 末園暢一「運転プラント炉内保全技術の紹介」、 全学 Vol.8, No.4, (2009)- 32 -“ “水中レーザクラッド溶接工法に関するガイドライン“ “末園 暢一,Nobuichi SUEZONO,元良 裕一,Yuuichi MOTORA,坂下 彰浩,Akihiro SAKASHITA,岡田 亮兵,Ryohei OKADA
国内の原子力運転プラントの安全・安定運転を確 保するために、炉内構造物等の健全性を確認、保証 することは重要な課題である。この重要な課題への 取組の一つとして、(社) 日本原子力技術協会(以下、 「原技協」と記す)炉内構造物点検評価ガイドライ ン検討会 (以下、「ガイドライン検討会」と記す) は、 損傷発生の可能性のある構造物について、点検・評 価・予防保全工法・補修工法等に関するガイドライ ンを策定してきている。その内容は順次、学協会規 格へ導入され、実プラント運用の基礎となっている。 また、規格化前の時期においても、使用者が必要に 応じて規制当局の了解のもとに、実プラントに関す る評価根拠として用いられる場合もある。予防保全」 工法、補修工法に関するガイドラインは、新しい保 全技術を主な対象とし、ガイドライン検討会で、国 内の専門家による技術的審議を経て発行される。予 防保全工法ガイドラインとして、昨年度、「水中レー ザクラッド溶接工法」(JANTI-VIP-07) [1] が発行さ れた。以下にその概要を紹介する。1水中レーザ溶接は、図-2.1に示す様に、施工 対象部位に局部的にシールドガス(アルゴン)を吹 付け、レーザ照射光路から周囲の水を排除する気中 環境を作って施工する。施工の段取りや事前準備は、 炉水を抜く必要が無く簡便である。また、作業員の 被ばくも低く抑えられる。TIG溶接を適用する場 合に比べて溶接施工ヘッドは小型化でき、また、溶 接時の入熱が小さいため、狭隘な部位への施工や、 運転中に照射を受けた炉内材料への溶接方法として 有利である。本技術を用い、炉内機器に発生した応 力腐食割れ(SCC)を封止して補修する技術につ いては、既に補修工法ガイドライン「封止溶接工法」 (JANTI-VIP-01)[2] として発行されている。今回、 SCC感受性を持つ既存の材料表面に、水中レーザ 溶接を適用して耐SCC性に優れた溶接材料でクラ ッド溶接を行い、SCCに対する予防保全とする際 のガイドラインを発行した。クラッド溶接工法」の概要
3.1 目的と適用範囲 運転開始後の沸騰水型原子力発電所(BWR)及び 加圧水型原子力発電所(PWR)の原子炉機器を構成 する高ニッケル合金(ニッケルクロム鉄合金)及びオ ーステナイト系ステンレス鋼の部材(母材、溶接金属) に水中レーザビーム溶接により耐SCC性に優れた 溶加材によるクラッド層を形成することにより、被施 工面におけるSCC発生を予防する保全方法の要領 を示すものである。オーステナイト系ステンレス鋼被 施工面に対しては、溶加材はオーステナイト系ステン レス鋼もしくはニッケルクロム鉄合金を、また、ニッ ケルクロム鉄合金被施工面に対しては、ニッケルクロ ム鉄合金溶加材を想定している。具体的な施工対象部 位候補として、BWRの炉心シュラウド、制御棒駆動 機構(CRD) ハウジング、CRDスタブチューブ、 中性子計装ハウジング、シュラウドサポート等、また、 PWRの原子炉圧力容器(RV)冷却材出入口管台、 炉内核計装筒管台等、の溶接部やその近傍を想定して いる。(図-3.1.1)
ロードが入口管台 (ステンレス鋼/ニッケル基) シュラウド (ステンレス鋼)ノズルセーフエンド部(ニッケル基)シュラウドサポート (ニッケル基)出口管台 (ステンレス鋼 /ニッケル基)炉内計装筒管台 (ニッケル基)CRDスタブチューブ/ 1CMハウジング溶接部(ニッケル基)BWRの例PWRの例図-3.1.1 水中レーザクラッド溶接対象部位例 3]3.2 工法の概要 - 水中レーザビーム溶接により、耐SCC性に優れた 溶加材によるクラッド層を形成する場合、部材表面に 直接クラッド溶接を施工する場合(図3.2.1(a)) と、原表面に追込み加工を施した後にクラッド溶接を 施工する場合(図3.2.1(b))が考えられる。クラッド溶接原表面及び(a)原表面に直接クラッド溶接を行う場合成クラッド溶接原表面(6)追い込み加工後にクラッド溶接を行う場合 図-3.2.1 水中レーザクラッド溶接工法概要レーザビーム溶接工法は、既に発電用原子力設備規 格 溶接規格[4](JSME S NB1、以下、「J SME溶接規格」と記す)で規定されている。本ガイ ドラインの対象である工法は、施工対象部位に部分気 中環境を作り、水中で施工する場合が対象であるが、 管理は、気中施工を対象に溶接規格に規定されている レーザピーム溶接の施工管理項目、施工管理条件と基 本的に同様である。本溶接施工法において、加熱源は レーザ光であり、水深による圧力の影響は受けにくく、 クラッド層形成への影響は無い。 - 本ガイドラインで対象とする水中レーザクラッド 溶接は、SCC予防保全を目的としており、母材およ び溶加材の材質、溶接時の成分希釈を考慮した上で、 クラッド層表面を耐SCC性を満足する化学成分と することが重要であり、溶接施工法確認における確認 項目となる。図3.2.1(b)に示す、原表面を追込み加工し てクラッド溶接を行う場合に関し、本ガイドラインは、 1. 追込み加工が、構造健全性を確保するのに必要な強度部材の領域に至る事が無いこと、 フェライト鋼に接合された高ニッケル合金(ニッ ケルクロム鉄合金)またはオーステナイト系ステ ンレス鋼の部材(母材、溶接金属)に適用する場 合には、既設の溶接部の厚さが、水中レーザクラ ッド溶接時の熱影響をフェライト鋼に与えない厚さ以上に確保されていること を条件とし、この範囲に限ることとした。これを超え る場合については、それらの技術評価を終えた段階で 別途ガイドラインを策定する方針とした。30、図3.2.2に、水中レーザクラッド溶接の施工ス テップを示す。水中レーザクラッド溶接施工面研磨面目視検査水中レーザークラッド溶接施工文(溶接施工時不良)手直し溶接水中レーザクラッド 溶接施工範囲検査不合格合格不合格手直し溶接水中レーザクラッド 溶接後表面検査合格表面残留応力改善(*)(*)表面の応力改善が必要な 場合に実施水中レーザクラッド溶接終了図-3.2.2 水中レーザクラッド溶接施工ステップ3.3 工法適用に対する要求事項水中レーザクラッド溶接工法に関する要求事項と して、以下を規定した。 ・ 溶接施工法、溶接士の管理はJSME溶接規格 49のレーザビーム溶接に準拠して溶接施工法確認 試験、溶接士資格管理を行う。 工場において、水中レーザクラッド溶接適用部位 を模擬した試験体および専用の溶接装置を用い て各溶接士を事前に訓練する。 水中レーザクラッド溶接部について溶接施工前、 溶接施工後に表面検査を行う。 溶接施工対象面の検査、溶接条件、目的とする対 象範囲を包絡する施工範囲、溶接時の材料成分希 釈を考慮し、クラッド溶接後耐SCC性を確保す る材料成分を満足する積層数、手直し溶接実施要 領と記録の作成保管に関し、水中レーザクラッド 溶接施工管理要領に定め、これに従い実施すること。ガイドラインに規定した水中レーザクラッド溶接 施工法として確認すべき事項(基本支配因子)を、表 -3.3.1に示す。3.3.1水中レーザクラ表-3.3.1水中レーザクラッド溶接確認項目[1]項目確認項目溶接方法LB(式)溶接 (水中クラッド溶接)母材 溶接棒0|-|-|溶接区分として、「LB(式)溶接(水中クラッド溶接)」 という定義を設ける。(水中での施工を対象とする) 適用する母材を規定する。 対象外 対象外溶接金属 予熱 溶接後熱処理行わない行わないクラッド溶接時の溶接熱影響がフェライト勢に及ば ないようにするため、フェライト鋼に接合された既 設の溶接部の厚さが4m以上確保されていることを 適用条件とする。 シールドガスの種類を規定する。シールドガス行わない裏面からのガス、 保護 溶加材 ウェルドインサ溶加材の区分を規定する。使用しないフラックス 心線 溶接機対象外) 対象外 レーザの種類を規定する。層数1010母材の厚さ制限なし ノズル?象外 レーザ出力適正施工条件範囲を規定する。 溶接速度適正施工条件範囲を規定する。 ワイヤ供給速度適正施工条件範囲を規定する。 ビームビーム発振方法を規定する。 オシレーション| 行わない 溶接姿勢溶接姿勢を規定する。 水深最大水深を規定する。 揺動対象外 あて金?象外 リガメントの幅」対象外) *:Oの項目を確認、規定する。|0-0|-|-|4.おわりに原技協ガイドライン検討会での審議を経て、水中レ ーザビーム溶接をSCC予防保全のためのクラッド 溶接施工に適用する際のガイドラインが発行され、そ の概要を紹介した。水中レーザ溶接は、施工前の段取 準備が簡素であり、炉水を保持したままで施工を行う ことから、作業員被ばくを低く抑えることができる。 溶接入熱もTIG溶接の約1/10程度に抑えられ、 原子力運転プラントに適用する利点が大きい工法で ある。今後のプラント高経年化に対応し、広く適用を 目指していきたい。先行して発行された補修工法ガイ ドライン「封止溶接工法」[2] において、水中レーザ 溶接を封止溶接に適用する際の要領が規定されてい る。今後、強度部材の補修への適用を対象として、バウンダリ部材を構成する低合金鋼近傍への施工時に 溶接時の入熱により材料的な劣化を招かないための テンパービード工法の実用化等を含め、検討すべき技 術課題への対応を行い、ガイドライン化や、実機プラ ントの補修に向けても準備を推進していく計画であ る。(図4.1参照)H.20/1 発刊」H.21/1 発刊」予防保全工法ガイドライン [水中レーザクラッド溶接工法](JANTI-VIP-07-第1版)補修工法ガイドライン [封止溶接工法] (JANTI-VIP-01 - 第1版)(注1)(注1) 本ガイドラインには、 気中TIG溶接による封止溶接工法、 水中レーザビーム溶接による封止溶接工法が含まれる今後、審議・発刊を行う予定SCC予防保全の観点で施工する 水中レーザビーム溶接による クラッディングを対象とし、強度部 材の補修は不含。補修工法ガイドライン 【水中レーザ肉盛溶接工法] () (注2)強度部材補修施工時のガイドラインとして検討する。テンパービード工法適用を含む。図-4.1 水中レーザ溶接工法に関するガイドライン参考文献[1] (社)日本原子力技術協会 予防保全工法ガイドライン [水中レーザクラッド溶接工法](JANT I-VIP-07-第1版)[2] (社)日本原子力技術協会 補修工法ガイドライ ニン[封止溶接工法](JANTI-VIP-01第1版)[3] 末園暢一「運転プラント炉内保全技術の紹介」、保全学 Vol.8, No.4, (2009)「41 (社)日本機械学会「発電用原子力設備規格 溶接 1 規格(2007年版)」、JSME S NB12007 末園暢一「運転プラント炉内保全技術の紹介」、 全学 Vol.8, No.4, (2009)- 32 -“ “水中レーザクラッド溶接工法に関するガイドライン“ “末園 暢一,Nobuichi SUEZONO,元良 裕一,Yuuichi MOTORA,坂下 彰浩,Akihiro SAKASHITA,岡田 亮兵,Ryohei OKADA