浜岡5号機 駿河湾の地震に伴うタービン保全復旧報告
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カテゴリ: 第7回
1. 緒言
平成21年8月11日、午前5時7分に発生した 駿河湾の地震により、定格熱出力一定運転中であっ た浜岡原子力発電所5号機が「地震加速度大」によ り自動停止した。これに伴い、浜岡原子力発電所の 設備について保全計画を策定し、設備の点検および 健全性確認を実施した結果、浜岡5号機の主タービ ン(以下、「タービン」という。)において、中間軸 受箱の損傷を確認した。本報告では、駿河湾の地震に伴い実施した浜岡5 号機のタービンの中間軸受箱の点検復旧結果につい て述べる。中間軸受箱取付ボルトの緩み(最大 5.5mm)、中間 軸受箱のタービン基礎部からの浮き上がり(最大 1.8mm)が確認された。これらの状況から、地震により中間軸受箱が損傷 したこと、およびタービンロータが静止体に対して 相対的に軸方向に移動して、動翼(回転体)とダイ ヤフラム(静止体)とが接触したことが推定された ため、タービンの開放点検および中間軸受箱の詳細 点検を実施した。
2.2 中間軸受箱 2.2.1 中間軸受箱の役割
Fig.1 に中間軸受箱の図を示す。中間軸受箱にはス ラスト描画(ムービンロータの軸方向に動く力を受」2. 点検結果 2.1 地震発生直後の状況地震発生直後、タービンはスラスト保護装置が動 作し「タービンスラスト軸受摩耗トリップ」により トリップした。その後、スラスト軸受摩耗トリップ 信号のオン、オフが約2秒間のうちに5回繰り返さ れ、最終的に発電機側スラスト軸受摩耗トリップ信 号がオンの状態でタービンは停止した。タービン停 止過程における軸振動値、軸受メタル温度等の関連 パラメータに異常はなかったが、外観点検の結果、連絡先: 長谷川義朗,〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561, 中部電力(株) 浜岡原子力発電所保修部タービ ン課, 電話:050-7772-8740, E-mail: Hasegawa.Yoshirou@chuden.co.jp- 353 - 2.2 中間軸受箱 2.2.1 中間軸受箱の役割Fig.1 に中間軸受箱の図を示す。中間軸受箱にはス ラスト軸受(タービンロータの軸方向に動く力を受 け止める軸受)が収納されている。中間軸受箱はタ ービン基礎部であるソールプレートに取り付けられ ており、ソールプレートとは、固定キーで水平方向 に、取付ボルトで鉛直方向に固定されている。 * 中間軸受箱はタービンロータの位置決めの基準と なっているため、中間軸受箱の位置がずれた場合、 タービンロータの位置がずれ、動翼(回転体)とダ イヤフラム(静止体)との接触が生じる可能性がある。gepresebLow presiebie ALow pressurebine BLow pressure wbie CGebrmmmmmサインクルGoィロイ309.2コスンルkmクライム110明れたDownMiddle slabardbearing boxRotor of high-pressure torineBeaning of high queste tertingThrust bezingMidile standard bearing brexFeuing krySole plateCasing of high pressuretimeHigh pressee texting sideGenerator sideFising boltFixing keyFig. 1 Middle standard bearing box2.2.2 中間軸受箱の取り外し 中間軸受箱の詳細点検を実施するためには、中間 軸受箱をタービン基礎部から取り外す必要がある。 中間軸受箱は高圧車室を支持する構造となっている ため、中間軸受箱を取り外すためには高圧車室を吊 り上げる必要があった。高圧車室には高圧タービン の排気管であるクロスアラウンド管が接続されてい るため、クロスアラウンド管の支持構造物を取り外 したうえで、ジャッキアップ装置により高圧車室を クロスアラウンド管とともに 135mm 吊り上げ、中 間軸受箱の取り外しを実施した。Fig.2 にジャッキア ップ装置の写真を、Fig.3 に中間軸受箱の取り外し順 序を示す。また、中間軸受箱にはスラスト軸受の給排油管等 が接続されているため、これらの配管の切断も実施 した。The device for lifting the casing of high-pressure turbineLift rodLift rodCasing of high-pressure turbineFig.2 The device for lifting the casing ofhigh-pressure turbineCasing of high-pressure turbineMiddle standard bearing boxSole plateConcrete base135mmLift the casing of high-pressure turbineDetach and move the middle standard bearing boxLift the middle standard bearing boxFig.3 The Process of detaching the middle standardbearing box from the turbine baseの主な損傷状況を2.3 タービンの損傷状況点検により確認されたタービンの主な損傷状況を 以下に示す。・動翼とダイヤフラムとの接触痕(接触による摩耗深さは最大 2mm 程度) ・低圧内部車室スラストキーの変形(変形量は最大3.5mm) ・中間軸受箱取付ボルトの変形(伸び)(伸び量は最大7.6mm) ・中間軸受箱の軸方向固定キーおよびキー溝の変形 (変形量は最大 0.8mm)スラスト保護装置、非常調速機等のタービンの非 常停止機能に影響する異状はなく、また、耐震上重 要な部位である「タービン基礎ボルト」(ソールプレ ートをコンクリート基礎に固定するボルト)にも異 状は確認されなかった。 - Fig.4 に低圧内部車室スラストキーの図を示す。低 圧内部車室は低圧外部車室に収納されており、低圧 外部車室はタービン基礎にボルトおよびキーにより 固定されている。低圧内部車室スラストキーとは、 低圧内部車室の軸方向の移動を拘束するもので、低 圧外部車室に取り付けられている。354Low-pressure turbineOuter casingInner casingTel44302011Thrust keyHigh-pressure turbine sideGenerator sideFig.4 Thrust key of inner casing of low-pressure turbine2.4 地震発生時のタービンの挙動 点検結果より、地震発生時、タービンが以下の挙 動を示し、各部位に変形や移動が生じたものと推定 される。1. 地震によるタービン基礎の揺れに伴い、スラスト軸受が収納されている中間軸受箱が揺れた。 同様に、低圧内部車室が収納されている低圧外 部車室が揺れた。2.中間軸受箱に過大な力が掛かり、中間軸受箱取付ボルトが損傷した。また、低圧外部車室の揺 れにより、低圧内部車室スラストキーに過大な 力が掛かり、低圧内部車室スラストキーが変形した。3.中間軸受箱取付ボルトの損傷により、中間軸受箱が上下に揺動し、スラスト軸受も揺動した。 スラスト軸受が揺動することにより、タービン ロータが軸方向に移動した。また、低圧内部車 室スラストキーの変形により、低圧内部車室が 軸方向に移動した。4.中間軸受箱の揺動およびタービンロータの軸方向移動により、スラスト保護装置が動作し、ス ラスト軸受摩耗トリップ信号のオン、オフを繰 り返した。同時に、タービンロータおよび低圧 内部車室の軸方向移動により、動翼(回転体) とダイヤフラム(静止体)とが接触した。5.中間軸受箱の揺動およびタービンロータの軸方向移動が収まった際、タービンロータがスラス ト保護装置に対して相対的に発電機側に寄った 状態にあったため、発電機側スラスト軸受摩耗 トリップ信号がオンのままとなった。3.復旧・対策 3.1 タービンの復旧損傷箇所について、非破壊検査等により健全性の 確認を実施し、必要に応じて修正加工、取替等の処 置を実施したうえで、タービンの復旧を実施した。3.2 今後の地震への対策 3.2.1 中間軸受箱取付ボルト等の補強今回の地震により生じたタービンの損傷は、主に 中間軸受箱取付ボルトの損傷および低圧内部車室ス ラストキーの変形に起因すると推定されたことから、 今回と同程度の地震への対策として、中間軸受箱取 寸ボルトおよび低圧内部車室スラストキーの補強を 実施した。中間軸受箱取付ボルトについては、ボルトの増径 (M56→M64)、本数増加 (10本→14本)を実施し、 せん断、鉛直引張に対するボルトの強度を 1.83 倍と した。今回、中間軸受箱取付ボルトは、変形(降伏 点:280MPa)が確認されたが、破断(引張強さ: 159MPa)には至らなかったため、ボルトの強度を .64 (=459/280)倍以上にすれば、今回と同程度の 地震に対してはボルトの変形を防止することができ る。ボルトの強度がメネジの強度を超えると、メネ ジが損傷してソールプレートの修理を実施する必要 が生じるため、メネジの強度(ボルトの強度の 2.69 音)を上限としてボルトの補強を実施した。低圧内部車室スラストキーについては、固定板を 取り付け、曲げに対するキーの強度を3.06倍とした。 Fig.5 に補強後の低圧内部車室スラストキーを示す。Inner casing of low-pressure turbineReinforcement plateThrust keyg.5 Reinforcement of thrust key of inner casing oflow-pressure turbine.2.2 中間軸受箱固定キー溝形状の改善 中間軸受箱の吊り上げには、高圧車室の吊り上げ 干渉物の撤去が必要となり、準備および復旧を含 て2ヶ月以上の工期を要する。中間軸受箱を吊り げることなく軸方向固定キーを引き抜いて、キー変形の有無を確認できるよう、タービン基礎部の ー溝の形状を改善した。これにより、地震後の早 復旧が可能となる。Fig.6 に改善後のキー溝形状を す。Before-pressure turbine sideMiddle standard bearing boxHigh-pressure turbine sideGenerator sideFixing key (Axial direction)Sole plateAfterFixing key detachable without lifting the middle standard bearing box)Fig.6 Detachable fixing key of middle standardbearing box結言 駿河湾の地震に伴い、浜岡5号機のタービンの開 点検および中間軸受箱の詳細点検を実施した。点 の結果、中間軸受箱取付ボルトの損傷、低圧内部 室スラストキーの変形、およびこれらに起因する。 推定される動翼(回転体)とダイヤフラム(静止 ・ との接触痕を確認した。 員傷箇所の健全性確認および修理を実施するとと こ、今後の地震への対策として、中間軸受箱取付 レトおよび低圧内部車室スラストキーの補強を実 した。また、地震後の早期復旧を目的として、中 軸受箱を吊り上げることなく軸方向固定キーを引 友いて点検できるよう、タービン基礎部のキー溝 形状を改善した。- 356 -“ “浜岡5号機 駿河湾の地震に伴うタービン保全復旧報告“ “長谷川 義朗,Yoshirou HASEGAWA,堀井 一明,Kazuaki HORII,青木 薫,Kaoru AOKI,柴下 直昭,Naoaki SHIBASHITA
平成21年8月11日、午前5時7分に発生した 駿河湾の地震により、定格熱出力一定運転中であっ た浜岡原子力発電所5号機が「地震加速度大」によ り自動停止した。これに伴い、浜岡原子力発電所の 設備について保全計画を策定し、設備の点検および 健全性確認を実施した結果、浜岡5号機の主タービ ン(以下、「タービン」という。)において、中間軸 受箱の損傷を確認した。本報告では、駿河湾の地震に伴い実施した浜岡5 号機のタービンの中間軸受箱の点検復旧結果につい て述べる。中間軸受箱取付ボルトの緩み(最大 5.5mm)、中間 軸受箱のタービン基礎部からの浮き上がり(最大 1.8mm)が確認された。これらの状況から、地震により中間軸受箱が損傷 したこと、およびタービンロータが静止体に対して 相対的に軸方向に移動して、動翼(回転体)とダイ ヤフラム(静止体)とが接触したことが推定された ため、タービンの開放点検および中間軸受箱の詳細 点検を実施した。
2.2 中間軸受箱 2.2.1 中間軸受箱の役割
Fig.1 に中間軸受箱の図を示す。中間軸受箱にはス ラスト描画(ムービンロータの軸方向に動く力を受」2. 点検結果 2.1 地震発生直後の状況地震発生直後、タービンはスラスト保護装置が動 作し「タービンスラスト軸受摩耗トリップ」により トリップした。その後、スラスト軸受摩耗トリップ 信号のオン、オフが約2秒間のうちに5回繰り返さ れ、最終的に発電機側スラスト軸受摩耗トリップ信 号がオンの状態でタービンは停止した。タービン停 止過程における軸振動値、軸受メタル温度等の関連 パラメータに異常はなかったが、外観点検の結果、連絡先: 長谷川義朗,〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561, 中部電力(株) 浜岡原子力発電所保修部タービ ン課, 電話:050-7772-8740, E-mail: Hasegawa.Yoshirou@chuden.co.jp- 353 - 2.2 中間軸受箱 2.2.1 中間軸受箱の役割Fig.1 に中間軸受箱の図を示す。中間軸受箱にはス ラスト軸受(タービンロータの軸方向に動く力を受 け止める軸受)が収納されている。中間軸受箱はタ ービン基礎部であるソールプレートに取り付けられ ており、ソールプレートとは、固定キーで水平方向 に、取付ボルトで鉛直方向に固定されている。 * 中間軸受箱はタービンロータの位置決めの基準と なっているため、中間軸受箱の位置がずれた場合、 タービンロータの位置がずれ、動翼(回転体)とダ イヤフラム(静止体)との接触が生じる可能性がある。gepresebLow presiebie ALow pressurebine BLow pressure wbie CGebrmmmmmサインクルGoィロイ309.2コスンルkmクライム110明れたDownMiddle slabardbearing boxRotor of high-pressure torineBeaning of high queste tertingThrust bezingMidile standard bearing brexFeuing krySole plateCasing of high pressuretimeHigh pressee texting sideGenerator sideFising boltFixing keyFig. 1 Middle standard bearing box2.2.2 中間軸受箱の取り外し 中間軸受箱の詳細点検を実施するためには、中間 軸受箱をタービン基礎部から取り外す必要がある。 中間軸受箱は高圧車室を支持する構造となっている ため、中間軸受箱を取り外すためには高圧車室を吊 り上げる必要があった。高圧車室には高圧タービン の排気管であるクロスアラウンド管が接続されてい るため、クロスアラウンド管の支持構造物を取り外 したうえで、ジャッキアップ装置により高圧車室を クロスアラウンド管とともに 135mm 吊り上げ、中 間軸受箱の取り外しを実施した。Fig.2 にジャッキア ップ装置の写真を、Fig.3 に中間軸受箱の取り外し順 序を示す。また、中間軸受箱にはスラスト軸受の給排油管等 が接続されているため、これらの配管の切断も実施 した。The device for lifting the casing of high-pressure turbineLift rodLift rodCasing of high-pressure turbineFig.2 The device for lifting the casing ofhigh-pressure turbineCasing of high-pressure turbineMiddle standard bearing boxSole plateConcrete base135mmLift the casing of high-pressure turbineDetach and move the middle standard bearing boxLift the middle standard bearing boxFig.3 The Process of detaching the middle standardbearing box from the turbine baseの主な損傷状況を2.3 タービンの損傷状況点検により確認されたタービンの主な損傷状況を 以下に示す。・動翼とダイヤフラムとの接触痕(接触による摩耗深さは最大 2mm 程度) ・低圧内部車室スラストキーの変形(変形量は最大3.5mm) ・中間軸受箱取付ボルトの変形(伸び)(伸び量は最大7.6mm) ・中間軸受箱の軸方向固定キーおよびキー溝の変形 (変形量は最大 0.8mm)スラスト保護装置、非常調速機等のタービンの非 常停止機能に影響する異状はなく、また、耐震上重 要な部位である「タービン基礎ボルト」(ソールプレ ートをコンクリート基礎に固定するボルト)にも異 状は確認されなかった。 - Fig.4 に低圧内部車室スラストキーの図を示す。低 圧内部車室は低圧外部車室に収納されており、低圧 外部車室はタービン基礎にボルトおよびキーにより 固定されている。低圧内部車室スラストキーとは、 低圧内部車室の軸方向の移動を拘束するもので、低 圧外部車室に取り付けられている。354Low-pressure turbineOuter casingInner casingTel44302011Thrust keyHigh-pressure turbine sideGenerator sideFig.4 Thrust key of inner casing of low-pressure turbine2.4 地震発生時のタービンの挙動 点検結果より、地震発生時、タービンが以下の挙 動を示し、各部位に変形や移動が生じたものと推定 される。1. 地震によるタービン基礎の揺れに伴い、スラスト軸受が収納されている中間軸受箱が揺れた。 同様に、低圧内部車室が収納されている低圧外 部車室が揺れた。2.中間軸受箱に過大な力が掛かり、中間軸受箱取付ボルトが損傷した。また、低圧外部車室の揺 れにより、低圧内部車室スラストキーに過大な 力が掛かり、低圧内部車室スラストキーが変形した。3.中間軸受箱取付ボルトの損傷により、中間軸受箱が上下に揺動し、スラスト軸受も揺動した。 スラスト軸受が揺動することにより、タービン ロータが軸方向に移動した。また、低圧内部車 室スラストキーの変形により、低圧内部車室が 軸方向に移動した。4.中間軸受箱の揺動およびタービンロータの軸方向移動により、スラスト保護装置が動作し、ス ラスト軸受摩耗トリップ信号のオン、オフを繰 り返した。同時に、タービンロータおよび低圧 内部車室の軸方向移動により、動翼(回転体) とダイヤフラム(静止体)とが接触した。5.中間軸受箱の揺動およびタービンロータの軸方向移動が収まった際、タービンロータがスラス ト保護装置に対して相対的に発電機側に寄った 状態にあったため、発電機側スラスト軸受摩耗 トリップ信号がオンのままとなった。3.復旧・対策 3.1 タービンの復旧損傷箇所について、非破壊検査等により健全性の 確認を実施し、必要に応じて修正加工、取替等の処 置を実施したうえで、タービンの復旧を実施した。3.2 今後の地震への対策 3.2.1 中間軸受箱取付ボルト等の補強今回の地震により生じたタービンの損傷は、主に 中間軸受箱取付ボルトの損傷および低圧内部車室ス ラストキーの変形に起因すると推定されたことから、 今回と同程度の地震への対策として、中間軸受箱取 寸ボルトおよび低圧内部車室スラストキーの補強を 実施した。中間軸受箱取付ボルトについては、ボルトの増径 (M56→M64)、本数増加 (10本→14本)を実施し、 せん断、鉛直引張に対するボルトの強度を 1.83 倍と した。今回、中間軸受箱取付ボルトは、変形(降伏 点:280MPa)が確認されたが、破断(引張強さ: 159MPa)には至らなかったため、ボルトの強度を .64 (=459/280)倍以上にすれば、今回と同程度の 地震に対してはボルトの変形を防止することができ る。ボルトの強度がメネジの強度を超えると、メネ ジが損傷してソールプレートの修理を実施する必要 が生じるため、メネジの強度(ボルトの強度の 2.69 音)を上限としてボルトの補強を実施した。低圧内部車室スラストキーについては、固定板を 取り付け、曲げに対するキーの強度を3.06倍とした。 Fig.5 に補強後の低圧内部車室スラストキーを示す。Inner casing of low-pressure turbineReinforcement plateThrust keyg.5 Reinforcement of thrust key of inner casing oflow-pressure turbine.2.2 中間軸受箱固定キー溝形状の改善 中間軸受箱の吊り上げには、高圧車室の吊り上げ 干渉物の撤去が必要となり、準備および復旧を含 て2ヶ月以上の工期を要する。中間軸受箱を吊り げることなく軸方向固定キーを引き抜いて、キー変形の有無を確認できるよう、タービン基礎部の ー溝の形状を改善した。これにより、地震後の早 復旧が可能となる。Fig.6 に改善後のキー溝形状を す。Before-pressure turbine sideMiddle standard bearing boxHigh-pressure turbine sideGenerator sideFixing key (Axial direction)Sole plateAfterFixing key detachable without lifting the middle standard bearing box)Fig.6 Detachable fixing key of middle standardbearing box結言 駿河湾の地震に伴い、浜岡5号機のタービンの開 点検および中間軸受箱の詳細点検を実施した。点 の結果、中間軸受箱取付ボルトの損傷、低圧内部 室スラストキーの変形、およびこれらに起因する。 推定される動翼(回転体)とダイヤフラム(静止 ・ との接触痕を確認した。 員傷箇所の健全性確認および修理を実施するとと こ、今後の地震への対策として、中間軸受箱取付 レトおよび低圧内部車室スラストキーの補強を実 した。また、地震後の早期復旧を目的として、中 軸受箱を吊り上げることなく軸方向固定キーを引 友いて点検できるよう、タービン基礎部のキー溝 形状を改善した。- 356 -“ “浜岡5号機 駿河湾の地震に伴うタービン保全復旧報告“ “長谷川 義朗,Yoshirou HASEGAWA,堀井 一明,Kazuaki HORII,青木 薫,Kaoru AOKI,柴下 直昭,Naoaki SHIBASHITA