浜岡原子力発電所におけるドレン配管詰まり除去工法の適用状況について

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カテゴリ: 第7回
1. 緒言
ているプロセス(1配管内面点検[除去前]2詰まり 物除去(研削・回収)3配管内面点検[除去後])をベ 浜岡原子力発電所の建屋内で発生する排水(ドレン) ースとした。このプロセスに対応する汎用器具のうち、 を流す配管において、錆等の堆積による配管詰まり事 1多くの曲がり部が存在しても所定の性能を期待でき 象が認められている。発電所に敷設されるドレン配管 ること2現場への運搬等が容易な大きさであることを は、配管距離が長くかつ多くの曲がり部を有しており、考慮し器具の抽出を行った。その結果、配管内面点検 現有するファイバースコープおよび研削器具では詰ま の器具として管内カメラを2機種、詰まり除去器具と り部位まで到達することができず対応が困難であった。 して研削用の電動ドリルを2機種、回収用の真空掃除 このため、多くの場合、詰まりが生じた範囲の配管を機を1機種抽出した。 切断し、新配管へ取替える対応を行っていた。特に、 当該の配管が天井付近等の高所にある場合には、作業2.2 適用性評価 足場の設置・撤去作業も加わり、より多くの労力およ (1)実物大モックアップ配管試験装置の製作 び日数を要していた。このため、配管の切断を極力回 実機排水配管を模挿入口 避でき、詰まり物の除去対応が効率的に行える工法の擬した実物大モック 確立を目指した研究を実施し、その研究成果とともにアップ配管試験装置 実機への適用状況を報告する。(Fig. 2)を製作した。挿入口より3地点 2. 詰まり除去技術の評価(5m、10m、15m)に地点 2.1 事象調査・工法の検討フランジ配管試験体10m 詰まり物の事例を Fig. 1 にを設け、試験体内に地点 示した。詰まり物は、砂塵の模擬材(モルタル材) 他、薄片状の固形物が観察さを充填し、電動ドリ15m れ、排水等に含まれる砂塵おルの研削性能の確認地点 よび配管内壁で生成された錆を行えるようにした。 が混合し堆積したものと推定Fig. 2 Full-sized mockup equipment された。(2) 適用性評価 工法については、一般建物 Fig. 1 Blockages example 製作したモックアップ配管試験装置を用い、抽出 の排水配管清掃において採られした器具について適用性の評価を行った。ついて抽出371imaあなたその結果、管内カメラで証を行ったところ、電動ドリルのケーブル引抜きが良は、挿入性能が高く乾湿両好であることおよび試作カメラの詰まり位置(約9m) 用器を1機種(Fig.3)、電までの到達することが確認できた。 動ドリルでは、研削性能の受像器 高い電動ドリル(Fig.4)お よび小型で操作性に優れた““スプリング 電動ドリル(Fig.5)の2 機種を選定した。また、真 Fig.3 Monitering equipmentカメラ先端 空掃除機では、ホース先端部にスプリングを設置す るなどの改良を行いホースの挿入性向上を図ったFig.6 Monitering equipment 3 詰まり除去工法試験等の知見を踏まえ、Table.1 にドレン配管の詰ま り除去工法を取り纏めた。基本の器具等での対応が困 難な場合を考慮し、バックアップの器具等を設定した。
工法 ステップ対応器具等 プロセス(基本)(バックアップ) Fig.4 Blockage clearing Fig.5 Blockage clearing 1配管 | I, 点検 「管内カメラ試作カメラ equipment内面点検 | (除去前) equipment(Fig.3)(Fig.6) (除去前) 2詰まり 「III , 研削 電動ドリル電動ドリル 2.3 実機事象での検証除去(ケーブル径:22mm) (ケーブル径:22mm) - 実機での詰まり事象(排水口から詰まり位置までの(Fig.5)(Fig.4)| III,回収 真空掃除機 配管切断 配管長が約9m)に対し、選定した管内カメラと電動(改良吸引ホース) ドリル器具を用いた作業を実施し検証を行った。その真空掃除機(改良吸ホース) 結果、管内カメラ(Fig.3)は、8.5mまでは届いた3配管 「IV.点検 | 管内カメラ試作カメラ ものの約9mの詰まり位置までは到達できなかった。内面点検 | (除去後)(Fig.3)(Fig.6) また、電動ドリル(Fig.4) は、詰まり位置まで到達し| (除去後) 研削が可能であったものの、研削後にドリルケーブルTable 1 Blockage clearing method が引抜き不可となる事象が生じた。このため、当該配 管の形状を模擬したモックアップ配管試験装置を新た4. 実機適用状況 に製作し試験等を行った。浜岡原子力発電所では、平成20年度より表2着 電動ドリルに対しては、新モックアップ配管試験装 色部の対応器具を導入した。ドレン配管の詰まり事 置を用い、ドリルケーブル挿入の際の引抜き荷重を測 象は、年に3、4件程度発生しており、事象の半数 定した。その結果、引抜き不可となった標準ケーブル は配管切断を行うことなく詰まり除去を行えるよう 径(小32mm)より細いオプションケーブル (+22mm) になった。残りの半数の事象は配管切断を要してい を使用することで配管抵抗が 30~40%小さくなること るが、高所を避けて切断部位を選択できるようにな が分かり、22mm のケーブル使用を対策とした。り、足場の設置を伴う作業を大幅に回避できるよう 一方、管内カメラに対しては、汎用のファイバース になった。配管切断を行う場合でも対応器具を挿入 コープの廻りをスプリングで覆うことにより、ドリル するのに必要な範囲ですみ、取替配管の削減にも寄 ケーブルと同様の形状のカメラを試作(Fig.6) した。 与することができた。発電所の作業担当部署からは、 配管への挿入は、電動ドリル本体機(Fig.5)で試作カ 状況に応じ適切に対応を選択できるようになるとと メラへ回転を与えることで行い、新モックアップ配管 もに、作業性が格段に向上したとの意見を得ること 試験装置の全通過を確認した。ができた。また、配管切断が困難な埋設配管への対 以上を反映した上で、再び上記事象の配管に対し検応にも期待されるところである。372
“ “浜岡原子力発電所におけるドレン配管詰まり除去工法の適用状況について“ “林 晴久,Haruhisa HAYASHI
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