水中振動試験に基づく減衰比を適用したBWR 使用済燃料貯蔵ラック耐震評価

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カテゴリ: 第7回
1.緒言
現行の設計規格では、燃料貯蔵プール内に設置さ れるBWR 使用済燃料貯蔵ラックの設計用減衰定数は、 気中における溶接構造物と同等の1%を用いている。 しかし、現実的には、水中での流体連成効果やラッ クと使用済燃料体とのガタなどによる減衰効果が存 在することが知られている。実際にそれらの減衰効 果を把握するため、水を張った水槽内に実機燃料ラ ックを設置し、振動試験を実施した。本研究では、振動試験により取得した現実的なラ ックの減衰比と、これらの現実的な減衰定数を用い た実機燃料ラックの耐震評価の例として応力評価を 報告する。件とした。水槽の大きさは、流体による付加減衰効 果が最も小さくなると考えられる無限水中と同等と なる最小の大きさとし、高さは水の自由表面の影響 が小さくなるようにラック先端から水の自由表面ま での距離が十分取れる高さとした。試験は、つくば市の防災科学技術研究所の振動台 (最大搭載質量 500t、寸法:14.5m×15m)にて実施 したい。試験体の設置状況を Fig.2 に、試験を実施し た振動台及び試験状況を Fig.3 に示す。
2. 試験方法 2.1 試験体使用済燃料貯蔵ラックは、使用済の燃料体をセル 内に格納して、水を張った燃料プール内に設置され る。複数の型式が存在するが、Fig.1 に示す角管市松 配列型ラック(市松ラック)を試験体の代表型式と して選定した。市松ラックは装荷できる燃料体数に よりいろいろなタイプがあるが、流体による付加減 衰効果が最も小さくなると考えられる最小体数のラ ックを選定した。選定したラックの燃料体数は 50 体 (5列×10列)である。 - 実機の燃料プール内に設置されている状態を模擬 するために試験水槽中にラックを設置し、水中の条Dummy Fuel Assembly Square Section Tube Check Arrayed Rack Mass 300kg(Check Arrayed Rack) Fig.1 Test RackFig.2Test Rack set in Water連絡先: 山崎 寛人, 日立GE ニュークリア・エナジー(株) 〒319-1221 住所茨城県日立市大みか町 5-2-2, E-mail: hiroto.yamasaki.kb@hitachi.com-440[Test Pool5.3mBrace15m3.2mShake Direction5.2m14.5mShake Table Loading Capacity 500t Size 14.5m × 15mFig. 3 Over View of Test Apparatus2.2 試験ケース (1) 振動特性把握試験 - 振動特性把握試験では、ラックの長辺方向及び短 辺方向それぞれについて、ランダム波加振及び正弦 波掃引加振を実施し、ラックの振動特性(固有振動 数、振動モード、減衰比)を把握した。加振レベル は試験体が弾性範囲内となるレベルとした。試験パ ラメータとして水の有無、燃料体数を設定し、流体 付加減衰、燃料体衝突減衰の影響を把握した。加振 レベルによる減衰の傾向を確認するため、各試験パ ラメータにおいて加振レベルを変えて試験を実施し た。 (2) 地震波加振試験地震波加振試験では、試験体の応力条件が最も厳 しい水中燃料体 100%挿荷条件に対して地震波加振 を実施し、取得した減衰比や付加質量等の妥当性を 確認するデータを取得した。3.試験結果 - 市松ラックの試験で得られた伝達関数に対してハ ーフパワー法を適用して求めた減衰比のうち、最大 加振レベルでの水中の市松ラック減衰を Fig.4 に示 す。また、水中燃料体 100%挿荷条件において、加 振レベルを変えた場合の減衰比の傾向について Fig.5 に示す。短辺方向の場合、気中、燃料体無での 減衰比は 1.1%であり、水中、燃料体無になると流体 付加減衰効果により 5.1%と減衰比が大きくなるこ とがわかる。また、水中で燃料体が 50%、100%と増 加するに従って、燃料体の衝突による減衰の増加に より減衰比が増加することがわかる。長辺方向の場 合も短辺方向の場合と同様に、気中から水中となる ことによって、流体付加減衰効果で減衰比が増加し、 燃料体が増加すると燃料体の衝突により減衰比が大 きくなることがわかった。0.0870.076Short Side Direction Long Side DirectionFuel Damping Effect6.7% 5.7%5.1Damping Racio[%]Fuluid damping Effect- 1.1% 1.0%Fuel 0% Fuel 0%Fuel 50% * | Fuel 100% In AirIn Water Fig. 4 Damping Ratio by Sine Sweep Test (Check Arrayed Rack, Maximum Excitation Level)Damping Ratio [%]- Short Side Direction (Sweep)| -O- Short Side Direction (Pulse)+ Long Side Direction (Sweep) ーー Long Side Direction (Pulse)10_2468_10 12Max. Accel. of Rack Top [m/s?] Fig. 5 Relation between Damping Ratio and Response Acceleration (Check Arrayed Rack)4. 試験結果の解析・評価 4.1 水中構造物の振動特性ラックのような水中構造物の地震時の運動方程式 は以下のようになる)。 (M, + M.)+CX+K x = -(M, + M, + M2)Us (1) ここで、 M : 構造物の質量、M., :自己付加質量、M, : 相 互付加質量(負の値をとる。)、C:構造物の減衰係 数、K:構造物の剛性、r:構造物の変位、u : 地 震変位、・:時間微分 式(1)の両辺を M, + M. で除すことにより次式を得る。ーx+一-x%3D_C_LA _K K _M、 + Min + Minii (2) M, + M., 'M + MM + M, ここで、。 M, + M + M12 ・応答低減係数C M, + Min 式(2) より 水中にある構造物の固有振動数はKIーに低下し、入力にはBという応答低BM, + M., + M.,0 = M. +M減係数がかかるという特性を有することがわかる。水中構造物の水の自己付加質量による固有振動数 の低下について、設計においては、米国機械学会 (ASME) のテーブルBに基づき算出している。Fig.6 に試験と設計の付加質量による固有振動数の低下率 を示す。ここで、固有振動数の低下率は、SIX。 ( S : 水中固有振動数、f:気中固有振動数)により求め る。市松ラックの水の自己付加質量による固有振動 数低下が、設計条件より算定した固有振動数とほぼ 同等である。Test Design(ASME)Decrasing Racio of FrequencyFuel 0% | Fuel 100% | Fuel 0% | Fuel 100% Short SideLong Side Check Arrayed Rack(In Water) Fig. 6 Comparison between Test and Design in Decreasing Ratio of Frequency cause of Virtual Mass4414.2 取得減衰比の妥当性評価 1 取得した減衰比の設計減衰としての妥当性を確認 するため、取得した減衰比を用いた設計解析で地震 波加振試験結果を評価できるかどうかを検討した。 設計解析の方法を以下に示す。 (1) 解析モデルラックはシェル要素でモデル化した。ラック固定」 一部の剛性はバネ要素でモデル化し、このばね要素の剛性は、試験で得られた気中の固有振動数に解析モ デルの固有振動数が合うように設定した。 (2) 解析方法 - 解析方法は現行の設計解析で用いられている応答 スペクトル解析である。振動台上で計測した地震波 と取得した減衰比を用いて計算した応答スペクトル を用いた。また、応答スペクトルは周期軸に対して ±10%の拡幅を行っている。水中にあるラックの自己付加質量 M., は、設計と 同様、米国機械学会(ASME)のテーブル3に基づき 算定し、ラックの質量に加えた。式(2)の応答低減係 数Bの分子の M, + M, はラックの排除水の質量に 相当し(M, は相互付加質量)、負の値を取ることから、安全側の値となるように応答低減係数 B'_ _M、L を設定し、入力となる応答スペクトル ““ M, + M. をB'倍することとした。 (3) 解析結果 - Fig.7 に地震波加振時の市松ラック付根応力の試 験結果と設計解析結果の比較を示す。設計解析結果 は試験結果と同等の結果となっており、取得した減 衰比を設計減衰比として用いることの妥当性が確認 できた。Long Side DirectionShort Side Direction>MaaanTestAnalysisStress(MPa)m.mailiShort Side DirectionLong Side DirectionCheck Arrayed RackMeasure PointFig. 7 Comparison of Test andResults(Check Arrayed Rack)Analytical5. 実機ラックの耐震評価例 - 実機ラックの耐震評価例として取得した現実的な 減衰比を適用し、実機ラックの解析を行った。Fig.8 に実機ラック構造概要図および解析モデルを示す。 解析に適用する減衰比は 7%とする。比較として、 同解析条件にて従来設計で適用している減衰比 1% を適用した解析についても実施した。実機ラックの 解析評価において最大応力の発生部位となることが多い、床との固定ボルト部の応力計算例を Fig.9 に 示す。本解析評価により、現実的減衰定数を適用す ることで、実機ラックの余裕が十分確保されている ことが確認された。component drawing analytical model Fig. 8 Component drawing and analytical model of theactual Check Arrayed RackAllowable Stress for IVASStress (MPa)Design Damping (1%) Actual Damping (7%) Fig. 9 Analysis result of the Rack using actualdamping (Anchor Bolt)6.結言 10実機ラックの水中での振動試験を実施し、7.6%程 度の減衰比が確認された。また、流体の付加質量効 果による固有振動数の低下率が試験と設計でほぼ同 等であることを確認した。 2)振動試験で取得した減衰比を適用して地震波加振 試験の解析評価を実施し、試験結果と同等の結果と なることを確認し、試験によって得られた減衰比の 妥当性を確認した。 3)現実的な減衰比として 7.0%を適用し、ラックの応 力解析を実施した。設計減衰1%での応力に対して 応力値が低減し、実機ラックにおける裕度が確保さ れていることを確認した。参考文献 [1] 大 型 耐 震 実 験 施 設 (LARGE-SCALEEARTHQUAKE SIMULATOR)パンフレット、独立行政法人防災科学技術研究所 [2]Seismic Analysis of Safety-Related Nuclear Structuresand Commentary (ASCE 4-98), ASCE [3] K. T. Patton : Table of Hydrodynamic Mass Factorsfor Translational Motion, ASMEFig.1901/03/17“ “水中振動試験に基づく減衰比を適用した BWR 使用済燃料貯蔵ラック耐震評価“ “山崎 寛人,Hiroto YAMASAKI,折田 修一,Syuichi ORITA,岩倉 成良,Shigeyoshi IWAKURA,今岡 哲男,Tetsuo IMAOKA,奥村 和恵,Kazue OKUMURA,浪田 芳郎,Yoshio NAMITA
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