フェーズドアレイUTによるセーフエンド部欠陥サイジング手法の高度化

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カテゴリ: 第7回
1.緒言
600 系ニッケル基合金溶接部の予防保全対策として 日本国内では 2007 年より原子炉容器および蒸気発生 器のセーフエンド溶接部の ECT による欠陥検出、検出 された指示に対しては UT により欠陥端部エコーを検 出してサイジングを行っている。2008年、原子炉容器 セーフエンド溶接部で欠陥形状が一般的な SCC とは異 なった深くて細長く、かつ先端の長さが短い形状の欠 陥が検出され, (Fig.2)、端部エコーが検出できずサイ ジングが出来なかったことが課題となっており,この ような形状の欠陥もサイジング可能な技術の開発が求 められている。
ジング手法の高度化を目指した開発に取り組ん , 高度化手法としてフェーズドアレイ UT を使っ た手法を開発し、サイジング精度の向上を図っている。 前回報告がで溶金中において超音波ビームを集束させ て SCC のサイジング精度を向上させるプローブの開発 成果を示した。前回報告では一般的な形状の SCC 及びこれに対してセーフエンド溶接部に対する内面から のサイジング手法の高度化を目指した開発に取り組ん でおり, 高度化手法としてフェーズドアレイ UT を使っ た手法を開発し、サイジング精度の向上を図っている。 前回報告ので溶金中において超音波ビームを集束させ て SCC のサイジング精度を向上させるプローブの開発 成果を示した。前回報告では一般的な形状の SCC 及び スリットに対する開発手法の有効性を確認し,深くて 細長く,かつ先端長さの短い SCC に対してはシミュレ ーション評価により有効性を示した。本報告では,継 続的な取り組みとして実施した下記の目標についての 開発成果について示す。 ・原子炉容器セーフエンド溶接部で検出されたよう な深くて細長く、かつ先端の長さが短い SCC を模 擬した人工 SCC について検証を実施し,端部エコ ーの検出性向上によりサイジングの実現を目指す。 ・実機適用性を考慮したプローブの小型化 細長く,かつ先端長さの短い SCC に対してはシミュレ」 ーション評価により有効性を示した。本報告では,継 続的な取り組みとして実施した下記の目標についての 開発成果について示す。 原子炉容器セーフエンド溶接部で検出されたよう な深くて細長く、かつ先端の長さが短い SCC を模 擬した人工 SCC について検証を実施し,端部エコ ーの検出性向上によりサイジングの実現を目指す。 実機適用性を考慮したプローブの小型化 - 前回報告で, セーフエンド溶接部のサイジング精度 向上や端部エコーの検出性向上を目的に探触子の設計 を行い、サイジングすべき領域が深いため深さに応じ浅い領域に対しては溶金中の曲がりの影響も小さく」 比較的ビーム集束性に優れている小型の左右分割型 (TRL) フェーズドアレイ探触子で対応することとした。 ““天咲旭川土と片思したノーノリ小1Circular typeRectangular type Fig.3 Simulation Model and Result ofTRL Matrix PATable2 Probe Specification for Deep Defect Circular TypeRectangular 1 (Old Model)(New Mode Type TRL Matrix PATRL Matrix Probe Size 066x80
Probe View2. フェーズドアレイ UT 探触子の開発前回報告で, セーフエンド溶接部のサイジング精度 向上や端部エコーの検出性向上を目的に探触子の設計 を行い、サイジングすべき領域が深いため深さに応じ て2種類のフェーズドアレイ探触子を開発した。浅い領域に対しては溶金中の曲がりの影響も小さく, 比較的ビーム集束性に優れている小型の左右分割型 (TRL) フェーズドアレイ探触子で対応することとした。 探触子の仕様と外観写真を Tablel に示す。 また深い領域に対しては深い位置でのビーム集束性を 向上させ、さらに 3 次元ビームスキャンにより溶接部 の超音波曲りの影響を補正し,点集束ビームにより先 端部が細い欠陥のサイジングにも対応するためのマト リックスアレイ探触子とした。マトリックスアレイについては,開発当初は実機適 用時の検査装置への搭載が困難な円筒形の形状であっ たため,装置搭載性を考慮し形状の最適化,プローブ の小型化を図った。開発にあたっては,UT シミュレー ションを用いて円筒形状のプローブと同程度以上のサ イジング性能を持ち,実機への適用性を考慮した矩形 形状のプローブを設計した(Fig.3)。開発したプローブ と円筒形プローブの仕様比較及び外観写真を Table2 に示す。 また深い領域に対しては深い位置でのビーム集束性を 向上させ、さらに 3 次元ビームスキャンにより溶接部マトリックスアレイについては、開発当初は実機適 用時の検査装置への搭載が困難な円筒形の形状であっ たため,装置搭載性を考慮し形状の最適化, プローブ の小型化を図った。開発にあたっては,UT シミュレー ションを用いて円筒形状のプローブと同程度以上のサ イジング性能を持ち,実機への適用性を考慮し 形状のプローブを設計した(Fig.3)。開発したプ と円筒形プローブの仕様比較及び外観写真をTablet Probe Specification (for shallow Defect) TypeTRL PA Probe Size
Table2 Probe Specification for Deep Defect Circular TypeRectangular Type (Old Model)(New Model) Type TRL Matrix PA
3.検証試験結果開発した探触子を用いて欠陥が挿入された SCC 試験 体の探傷試験を行った。なお、原子炉容器セーフエン ド溶接部で検出された欠陥形状を模擬するため,SCC 付与手法を開発し,細長い形状の SCC を付与した。試 験体の外観(断面)写真例を Fig.4に示す。 119.6
Fig. 4 Cross Section of SCC Test Piece探傷はエンコーダを使って位置情報も併せて採取し, 浅い欠陥には小型 TRL フェーズドアレイ探触子を、深 い欠陥には TRL マトリックスアレイ探触子を適用した。 浅い欠陥に対する探傷結果を Fig.5-1 に,中間深さの 欠陥に対する探傷結果を Fig.5-2 に,深い欠陥対する 探傷結果を Fig.5-3 に示す。探傷試験はフェーズドア レイ UT 法に加えて、比較のために現行 UT による探傷 も実施した。それぞれの手法のサイジング精度のグラ フをFig.6 に示す。深さ 10mm 未満の浅い SCC に対しては現行 UT と小型 TRL フェーズドアレイ UT でサイジング精度にあまり差 はなかったが、端部エコーの識別性では小型 TRL フェ ーズドアレイ UT の方が溶接部ノイズのレベルが低く、 端部エコーのS/N 比で現行 UT より約1.5倍近く高い結 果となった。深さ 10mm 以上の深い SCC に対しては深さ 20mm 程度 までは現行 UT でもサイジングできているが、欠陥深さ が 20mm を越えると、現行 UT では端部エコーの検出が 困難となりサイジングが不可となった。なお、現行 UT のサイジング評価は端部エコーが検出できていないも のは面エコーの最深部位置での評価とし,深さを算出 した。一方で TRL マトリックスアレイ UT では 20mm より深 い欠陥でも明瞭な端部エコーの検出ができてサイジン グが可能であった。その精度も±2mm 以内であり、高 い精度で欠陥サイジングが実現できた。
蒸気発生器および原子炉容器セーフエンド溶接部で 検出された軸方向欠陥に対して内面からの UT サイジ ング精度の向上を目的にフェーズドアレイ技術を使っ た探触子を開発した。探触子は欠陥深さに応じて小型 ““RL フェーズドアレイと TRL マトリックスアレイの 2 ““RL フェーズドアレイと TRL マトリックスアレイの 21 重類とし, TRL マトリックスアレイは実機適用性を考 [し,小型・矩形のプローブを開発した。試験体に関しては実機で検出された SCC を模擬した 深くて細長く、かつ先端の長さが短い形状の SCC 付与 方法を検討し, SCC を製作した。これらを用いてサイジング試験を実施した結果,開 発した手法は細長く,かつ先端長さが短い形状の SCC 二対して現行 UT より高い欠陥サイジング精度を有す うことが確認出来た。 今後、実機適用化に向けた準備を進め、万が一セー 5. 結蒸気発生器および原子炉容器セーフエンド溶接部で 検出された軸方向欠陥に対して内面からの UT サイジ ング精度の向上を目的にフェーズドアレイ技術を使っ た探触子を開発した。探触子は欠陥深さに応じて小型 TRL フェーズドアレイと TRL マトリックスアレイの 2 種類とし, TRL マトリックスアレイは実機適用性を考 慮し,小型・矩形のプローブを開発した。試験体に関しては実機で検出された SCC を模擬した 深くて細長く、かつ先端の長さが短い形状の SCC 付与 方法を検討し,SCC を製作した。これらを用いてサイジング試験を実施した結果,開 発した手法は細長く,かつ先端長さが短い形状の SCC に対して現行 UT より高い欠陥サイジング精度を有す ることが確認出来た。今後、実機適用化に向けた準備を進め、万が一セー フエンド溶接部に指示が検出された場合においても適 切な欠陥サイジング手法を適用し、原子力プラントの 保全に努めていく。参考文献 [1] 西田,川浪,黒川,井手尾,松浦,平野, 瀬良”セーフエン ド溶接部に対する UT サイジング手法の高度化““, #6日 本保全学会学術講演会,2009 [2] S.Kawanami”7h international conference on NDE in relation to structural integrity for nuclear and pressurized components”, 2009実機適用化に向けた準備を進め、万が一セー 溶接部に指示が検出された場合においても適 サイジング手法を適用し、原子力プラントの .] 西田,川浪, 黒川,井手尾,松浦,平野,瀬良”セーフエン 三溶接部に対する UT サイジング手法の高度化““, #6日 保全学会学術講演会,2009 E] S.Kawanami”7th international conference on NDE in“ “?フェーズドアレイ UT によるセーフエンド部欠陥サイジング手法の高度化“ “西田 純一朗,Jun-ichiro NISHIDA,川浪 精一,Seiichi KAWANAMI,井手尾 光司,Mitsushi IDEO,松浦 貴之,Takayuki MATSUURA,千種 直樹,Naoki CHIGUSA,平野 伸郎,Shinro HIRANO,瀬良 健彦,Takehiko SERA
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