渦電流アレイプローブを用いた表面欠陥検査技術
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カテゴリ: 第7回
緒言
2.渦電流探傷システム 内の原子力発電所においては、運転年数が 30 曲面形状の溶接部に生じる表面欠陥を迅速に検 超えるプラントの増加に伴い、機器の検査・診断 査するために、形状に沿って曲がるアレイプローブ 要になっている。表面検査に関しては、渦電流を開発したい。図2(a)に示すように、プローブ 検出モードO励磁コイル ←検出モード ○検出コイルアレイコイル5d000000アレイ J コイルリモートHモード(a) プローブ外観(b) 検出モード 図2 アレイプローブの外観と検出モード 溶接部はグラインダによる仕上げ面のため、ECT では表面の凹凸(うねり)等に起因するノイズ信号 が発生する。このような環境下においても、欠陥と ノイズ信号を識別できる技術を開発した21。この技 術は2つの検出モードであるV及びHモードの信号 位相の関係を利用する。図3は信号の発生要因とリ - 81 -サージュ波形を示す。ノイズ要因は上述の他に、プ ローブと検査面との距離(リフトオフ)の変化やプ ローブの曲がりによる信号がある。同図(a)に示 すリサージュ波形から分かるように、欠陥信号はV モードの位相/V及びHモードの位相ZHが大きく 異なる特徴的な傾向を示す。この特徴を有する部分 を抽出することで欠陥信号を特定する。 - 探傷システムは、アレイプローブ専用探傷器、検 査部にプローブを押付け走査する装置、データ収録 装置、及び探傷データの分析として欠陥とノイズの 自動識別機能、欠陥の表面長さ評価機能を有する。プローブ 一浮き検査対象プローブ (GA。TVモード KZV_Y成分(V)成|VEIN11HモードHモード0 x成分(V)0x成分(V) (a) 欠陥信号(b) リフトオフ信号グラインダ等曲面Vモード_Y成分(V)AVモードY成分(V)HモードHモード0 x成分(V)10 X成分(V) (c) 表面のうねり信号 (d) プローブの曲がり信号図3 信号発生要因とリサージュ波形3.実機形状模擬試験体による検証試験検証試験の一例としてシュラウドサポート溶接部 模擬試験体を用いた結果を示す。図4に試験体を示 す。溶接部はグラインダで仕上げ、複数個の応力腐 食割れ(Stress Corrosion Cracking 以下、SCC と 記す。)によるき裂を付与した。図5に試験結果のCスコープと欠陥自動抽出結果 を示す。同図(a)に示すCスコープ画像は、プロ ーブを検査面に沿って1走査して得られた結果であ る。色調は ECT 信号の検出電圧に対応する。画像か ら試験体に設けた5個の SCC き裂を確認できるが、 全体的に表面の凹凸によるノイズ信号が含まれるこ とが分かる。 * 同図(b)に欠陥抽出結果を示す。これは(a) の ECT 信号のVとHモードの位相関係を分析し、欠 陥の特徴を示す部分を抽出した結果である。これより、5個の SCC き裂を正確に把握できること、ノイ ズ信号を除去できることが分かる。以上より、曲面 | 形状の溶接部においても、測定及び欠陥の識別がで きることが検証できた。4.結言渦電流アレイプローブを利用した曲面形状溶接部 の表面欠陥検査に関して、可とう性を有するプロー ブ、欠陥とノイズ信号を識別する技術を開発した。 実機形状模擬試験体を用いた検証試験により、本技 術の有効性を確認した。アレイプローブ>プローブ走査 探傷| SSSSS 領域270mm(R36)SCCs図4 シュラウドサポート溶接部模擬試験体図4 シュラウドサポート溶接部模擬試験体MaxovSCCSCCSCCSCCSCC270mm (a) 探傷領域のCスコープ(b) 欠陥抽出結果 図5 Cスコープと欠陥抽出結果参考文献 1] 野中善夫, 小田倉満, 大内弘文,小池正浩,西水亮,“高経年化原子力発電プラントの原子炉 内渦電流探傷技術,““日本保全学会第 4 回学術 講演会要旨集, 81-82 (2007) A. Nishimizu, H. Endo, M. Tooma, Y. Kometani, H. Ouchi, I. Yoshida, Y. Nonaka, “Development of a Surface Inspection Technique for Core Internal Inspections with an Eddy Current Testing System”, Proc. 7th Int. Conf. on NDE in Relation to Structural Integrity for Nuclear and Pressurized Components, pp. 1036-1042 (2009)“ “渦電流アレイプローブを用いた表面欠陥検査技術“ “西水 亮,Akira NISHIMIZU,遠藤 久,Hisashi ENDO,藤間 正博,Masahiro TOOMA,大谷 健一,Kenichi OTANI,大内 弘文,Hirofumi OUCHI,吉田 功,Isao YOSHIDA,野中 善夫,Yoshio NONAKA
2.渦電流探傷システム 内の原子力発電所においては、運転年数が 30 曲面形状の溶接部に生じる表面欠陥を迅速に検 超えるプラントの増加に伴い、機器の検査・診断 査するために、形状に沿って曲がるアレイプローブ 要になっている。表面検査に関しては、渦電流を開発したい。図2(a)に示すように、プローブ 検出モードO励磁コイル ←検出モード ○検出コイルアレイコイル5d000000アレイ J コイルリモートHモード(a) プローブ外観(b) 検出モード 図2 アレイプローブの外観と検出モード 溶接部はグラインダによる仕上げ面のため、ECT では表面の凹凸(うねり)等に起因するノイズ信号 が発生する。このような環境下においても、欠陥と ノイズ信号を識別できる技術を開発した21。この技 術は2つの検出モードであるV及びHモードの信号 位相の関係を利用する。図3は信号の発生要因とリ - 81 -サージュ波形を示す。ノイズ要因は上述の他に、プ ローブと検査面との距離(リフトオフ)の変化やプ ローブの曲がりによる信号がある。同図(a)に示 すリサージュ波形から分かるように、欠陥信号はV モードの位相/V及びHモードの位相ZHが大きく 異なる特徴的な傾向を示す。この特徴を有する部分 を抽出することで欠陥信号を特定する。 - 探傷システムは、アレイプローブ専用探傷器、検 査部にプローブを押付け走査する装置、データ収録 装置、及び探傷データの分析として欠陥とノイズの 自動識別機能、欠陥の表面長さ評価機能を有する。プローブ 一浮き検査対象プローブ (GA。TVモード KZV_Y成分(V)成|VEIN11HモードHモード0 x成分(V)0x成分(V) (a) 欠陥信号(b) リフトオフ信号グラインダ等曲面Vモード_Y成分(V)AVモードY成分(V)HモードHモード0 x成分(V)10 X成分(V) (c) 表面のうねり信号 (d) プローブの曲がり信号図3 信号発生要因とリサージュ波形3.実機形状模擬試験体による検証試験検証試験の一例としてシュラウドサポート溶接部 模擬試験体を用いた結果を示す。図4に試験体を示 す。溶接部はグラインダで仕上げ、複数個の応力腐 食割れ(Stress Corrosion Cracking 以下、SCC と 記す。)によるき裂を付与した。図5に試験結果のCスコープと欠陥自動抽出結果 を示す。同図(a)に示すCスコープ画像は、プロ ーブを検査面に沿って1走査して得られた結果であ る。色調は ECT 信号の検出電圧に対応する。画像か ら試験体に設けた5個の SCC き裂を確認できるが、 全体的に表面の凹凸によるノイズ信号が含まれるこ とが分かる。 * 同図(b)に欠陥抽出結果を示す。これは(a) の ECT 信号のVとHモードの位相関係を分析し、欠 陥の特徴を示す部分を抽出した結果である。これより、5個の SCC き裂を正確に把握できること、ノイ ズ信号を除去できることが分かる。以上より、曲面 | 形状の溶接部においても、測定及び欠陥の識別がで きることが検証できた。4.結言渦電流アレイプローブを利用した曲面形状溶接部 の表面欠陥検査に関して、可とう性を有するプロー ブ、欠陥とノイズ信号を識別する技術を開発した。 実機形状模擬試験体を用いた検証試験により、本技 術の有効性を確認した。アレイプローブ>プローブ走査 探傷| SSSSS 領域270mm(R36)SCCs図4 シュラウドサポート溶接部模擬試験体図4 シュラウドサポート溶接部模擬試験体MaxovSCCSCCSCCSCCSCC270mm (a) 探傷領域のCスコープ(b) 欠陥抽出結果 図5 Cスコープと欠陥抽出結果参考文献 1] 野中善夫, 小田倉満, 大内弘文,小池正浩,西水亮,“高経年化原子力発電プラントの原子炉 内渦電流探傷技術,““日本保全学会第 4 回学術 講演会要旨集, 81-82 (2007) A. Nishimizu, H. Endo, M. Tooma, Y. Kometani, H. Ouchi, I. Yoshida, Y. Nonaka, “Development of a Surface Inspection Technique for Core Internal Inspections with an Eddy Current Testing System”, Proc. 7th Int. Conf. on NDE in Relation to Structural Integrity for Nuclear and Pressurized Components, pp. 1036-1042 (2009)“ “渦電流アレイプローブを用いた表面欠陥検査技術“ “西水 亮,Akira NISHIMIZU,遠藤 久,Hisashi ENDO,藤間 正博,Masahiro TOOMA,大谷 健一,Kenichi OTANI,大内 弘文,Hirofumi OUCHI,吉田 功,Isao YOSHIDA,野中 善夫,Yoshio NONAKA