フラックスゲートセンサを用いた S450 円筒材の欠陥断面形状の評価
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カテゴリ: 第8回
1. 緒言
- 産業機器や構造物は主に強磁性体で構成されてい るため、漏洩磁束法等の電磁気的手法を用いた非破 壊損傷評価法が有効である。その磁気センサとして、近年ではフラックスゲー ト(FG)センサ等の高感度磁気センサが用いられてい る。著者らは FG センサを用いて、強磁性材料であ る SS400 の平板に設けた様々な欠陥形状について測 定を行い、従来よりも大きなリフトオフ(試料 セン サ間距離)での欠陥検知が可能あることを示した[1]。 さらに、FG センサの測定より得られた欠陥近傍の漏 洩磁束密度分布に Tikhonov の手法を用いた逆解析 を行うことにより、欠陥の具体的な形状・寸法が評 価可能であることを示した[2]。 1. 本研究では、これらの手法を円筒形状の部材に拡 張した。まず、模擬欠陥を有する円筒材を対象に、 欠陥と漏洩磁束密度との関係を定式化し、Tikhonov の手法を用いた逆解析により欠陥断面形状を求めた。 さらに、FG センサで測定した場合においても、欠陥 近傍の漏洩磁束密度分布から欠陥断面形状および寸法を求め、実際の欠陥と比較した。 2. 模擬欠陥による順・逆解析 2.1 解析モデルおよび条件 - 解析モデルを Fig.1 に示す。欠陥を有する試験片 の外形は16.0mm であり、模擬欠陥の断面形状は 最大深さ 2.0mm の半円状とした。模擬漏洩磁束密度 は、 z 軸方向(円筒長手方向)に±15.0mm、円周方向 に 360°の範囲として解析した。また、それぞれの間 隔は0.2mm、4.0°とし、リフトオフは 3.0mm とした。
2.2 磁気双極子モーメントと漏洩磁束密度の 関係の定式化Fig.1 に示す円筒座標系(r, 0, z)と直交座標系(x, y, z)の間に x= rcose、y= rsino の関係が成り立つことか ら、空間上の任意点の位置ベクトルを a=a(x, y, z)と 表記する。このとき、円筒表面から一定のリフトオ フを保持する曲面上の磁束密度のz軸方向成分 Bz(a) と、欠陥断面 a '=a'(x, y, z)上に分布する磁気双極子 モーメント m(a')の間には式(1)に示す関係が成り立 つ。ここで、F は応答関数と呼ばれ、式(2)のように なる。この式(1)を離散化して式(3)を得る。B, (a) = [F(a-a')m(a')da'B, (a) = SF(a-a')m(a')da'-1-1114EGA-2F(a) = 1Hoix' - 2y+z'} 4m {x2 + y+ z-372{x? + y+[B,]=[F][m]2.3 順解析結果 - 式(3)の離散化された磁気双極子モーメントの計 算点の位置を Fig.2 に示す。円筒材の中心軸から外 表面に向かうにつれて計算点を周方向に増加させ、 表面近傍に多くの計算点が配置されるようにした。 計算点配置にこのような粗密を設けることで、高精 度を維持しつつ計算量の低減が図れる。また、Fig.2 の実線によって示される欠陥断面形状の領域内に、 面密度一定となる磁気双極子モーメントが分布する ものと仮定した。これより、式(3)の各計算点で定義 される磁気双極子モーメントの値は、その計算点に 結合する各三角形要素の面積の 1/3 に密度を乗じた 値の総和とする。この方式で求めた磁気双極子モーメント分布に対 し、式(3)による順解析を行った。さらに、実際の測 一定における環境磁場等の影響を模擬するため、最大 +3.0%の一様乱数となるノイズを順解析結果に加 え、Fig. 3 に示す模擬漏洩磁束密度分布を得た。2.4 逆解析結果Tikhonoy の正則化法による逆解析を Fig.3 の模擬 漏洩磁束密度分布に対して行った。式(3)から直接、 解[m]を得ようとするとその解は振動解となりやす い。そこで、式(4)の Tikhonov の正則化法を用いるこ とで解[m]の振動を抑制させた。ここで、I は単位行 列であり、a は正則化パラメータである[3]。m = (FF + all'FTB,この正則化パラメータ a の最適な値は、Fig.4 に示 す L-Curve の折れ曲がり位置付近の値に対応してい る [4]。これより、最適と判断された a =1.0 × 10° の 場合の逆解析結果を Fig.5 に示す。模擬欠陥の断面 形状と寸法が良く一致する磁気双極子モーメント分 布が得られていた。したがって、適切な正則化パラ メータ a を使用した磁気双極子モーメント分布を逆 解析で求めることにより、定量的な欠陥断面形状の 評価が可能であることがわかった。3. FG センサによる測定 3.1 試験片 * 実際の試験片に対する漏洩磁束密度の測定を行っ た。試験片は S45C の円筒材であり、外形寸法は 16.0×100.0mm である。試験片表面から最大深さ 3.0mm、幅 0.3mm となるように、半円状の欠陥を加 工した。試験片形状を Fig.6 に示す。試験片は加工 後に消磁を行い、ネオジム磁石を用いてz軸方向にMeasured planeDefecty+/r0Fig. 1 Simulated cross section of defect ( 0 16.0mm)18にならないくらいするならこのおじいちなんです。Shodo.ocn10000Thood20000円50000が...........S.....ry........1921/12/24y mmしまうというか、ジュールがまったくそできるのでジャジーしていきたいタイラーベスト、なのでおeancentaのくのキーなのになったものですがき!くりなど10000とかいたりしもしかしているあなたはどういジンさんだったわからない・ 840_48x mm Fig.2 Distribution of magnetic dipole moment10.10.101 金 0.06Magnetic flux density B, (a.u.)0.05-0.2360°1800100.15zmmFig.3 Simulated magnetic flux density distribution Bz with noise of 3% maximum10==10 X 10-3(Optimal value)||||1945/10/01104_ 103_ 102 1 0-1||Fm-B,112 Fig.4 L-Curve in the inverse analysis of Tikhonov regularization115着磁したのち、漏洩磁束密度測定に供した。3.2 測定方法漏洩磁束密度の測定に用いた磁気センサは約 1.0×3.0mm の FG センサであり、磁束密度測定範囲 は±5.0×10+T、分解能は 1.0×107T である。 z 軸方向 の測定範囲は、欠陥断面を中心として+20.0mm、測 定間隔は 0.2mm とした。各々の測定位置で 4.0°ずっ 周方向回転させた。リフトオフは 1.0mm である。3.3 測定結果に基づく漏洩磁束密度分布 1 円筒材試験片に対する測定結果を Fig.7 に示す。 欠陥に起因した明確な漏洩磁束密度分布を得ること ができた。FG センサを漏洩磁束密度測定に用いるこ とで、円筒材の欠陥検知が可能であることがわかる。4. 測定データを用いた逆解析Fig.7 に示す漏洩磁束密度分布に対して 2 節で示 した Tikhonoy の逆解析を適用した。結果を Fig.8 に 示す。測定環境の磁気ノイズ等の影響から、FG セン サを用いて測定した円筒材の漏洩磁束密度分布には 多くのノイズが含まれていた。しかし、本手法を用 いることにより、欠陥形状および寸法まで良好に求 めることができた。これより、実際の測定データに 対しても FG センサによる漏洩磁束密度測定と Tikhonoy の逆解析手法とを用いることにより、円筒 材の欠陥を定量的に求めことが可能である。5.結言FG センサによる欠陥を施した円筒材の測定デー タを用いて逆解析を行った結果、欠陥の断面形状と その寸法を良好に求めることができた。したがって、 本手法を適用することにより、円筒材に生じた欠陥 の定量的な評価が可能である。ニトあ参考文献 [1] 鈴木、 寺崎、 笹本、 西村、 寺本、“FG セン * サを用いた磁性構造材料の損傷評価”、第16回MAGDA コンファレンス in 日立講演論文集、2007、pp.331-334. 1 [2] 鈴木、 蓮見、 黒田、 寺本、“フラックスゲートセンサを用いた SS400 の欠陥断面形状の解 析・評価”、日本 AEM学会誌、Vol.19, No.2、2011、pp.342-347. [3] A. N. Tikhonov and V. Y. Arseine, “Solutions ofIll-Posed Problems” , 1977, Halsted Press. [4] C. Hansen, “Analysis of Discrete Ill-Posed Problemsby Means of the L-Curve”, Society for Industrial and Applied Mathematics, Vol.34, No.4, 1992, pp.561-580.Erohuka-time-liner-csitiesy mm140_48x mm Fig.5 Magnetic dipole moment distribution by inverse analysis from simulated magnetic flux densityA-A3R3.0100A-A4970.31A13AY Fig.6 Shape and dimensions cylindrical specimen0.6Magnetic flux density, B, ×10T3600201090180000° -20 z mm Fig.7 Changes in magnetic flux density Bz around defect for cylindrical specimen10y mmYeawesorrennesenmeitomomment.-83-44x mm Fig.8 Magnetic dipole moment distribution by inverse analysis from measured magnetic flux density (a= 10)116“ “フラックスゲートセンサを用いた S450 円筒材の欠陥断面形状の評価“ “鈴木 隆之,Takayuki SUZUKI,蓮見 清章,Kiyoaki HASUMI,中住 昭吾,Shogo NAKASUMI,寺本 徳郎,Tokuro TERAMOTO
- 産業機器や構造物は主に強磁性体で構成されてい るため、漏洩磁束法等の電磁気的手法を用いた非破 壊損傷評価法が有効である。その磁気センサとして、近年ではフラックスゲー ト(FG)センサ等の高感度磁気センサが用いられてい る。著者らは FG センサを用いて、強磁性材料であ る SS400 の平板に設けた様々な欠陥形状について測 定を行い、従来よりも大きなリフトオフ(試料 セン サ間距離)での欠陥検知が可能あることを示した[1]。 さらに、FG センサの測定より得られた欠陥近傍の漏 洩磁束密度分布に Tikhonov の手法を用いた逆解析 を行うことにより、欠陥の具体的な形状・寸法が評 価可能であることを示した[2]。 1. 本研究では、これらの手法を円筒形状の部材に拡 張した。まず、模擬欠陥を有する円筒材を対象に、 欠陥と漏洩磁束密度との関係を定式化し、Tikhonov の手法を用いた逆解析により欠陥断面形状を求めた。 さらに、FG センサで測定した場合においても、欠陥 近傍の漏洩磁束密度分布から欠陥断面形状および寸法を求め、実際の欠陥と比較した。 2. 模擬欠陥による順・逆解析 2.1 解析モデルおよび条件 - 解析モデルを Fig.1 に示す。欠陥を有する試験片 の外形は16.0mm であり、模擬欠陥の断面形状は 最大深さ 2.0mm の半円状とした。模擬漏洩磁束密度 は、 z 軸方向(円筒長手方向)に±15.0mm、円周方向 に 360°の範囲として解析した。また、それぞれの間 隔は0.2mm、4.0°とし、リフトオフは 3.0mm とした。
2.2 磁気双極子モーメントと漏洩磁束密度の 関係の定式化Fig.1 に示す円筒座標系(r, 0, z)と直交座標系(x, y, z)の間に x= rcose、y= rsino の関係が成り立つことか ら、空間上の任意点の位置ベクトルを a=a(x, y, z)と 表記する。このとき、円筒表面から一定のリフトオ フを保持する曲面上の磁束密度のz軸方向成分 Bz(a) と、欠陥断面 a '=a'(x, y, z)上に分布する磁気双極子 モーメント m(a')の間には式(1)に示す関係が成り立 つ。ここで、F は応答関数と呼ばれ、式(2)のように なる。この式(1)を離散化して式(3)を得る。B, (a) = [F(a-a')m(a')da'B, (a) = SF(a-a')m(a')da'-1-1114EGA-2F(a) = 1Hoix' - 2y+z'} 4m {x2 + y+ z-372{x? + y+[B,]=[F][m]2.3 順解析結果 - 式(3)の離散化された磁気双極子モーメントの計 算点の位置を Fig.2 に示す。円筒材の中心軸から外 表面に向かうにつれて計算点を周方向に増加させ、 表面近傍に多くの計算点が配置されるようにした。 計算点配置にこのような粗密を設けることで、高精 度を維持しつつ計算量の低減が図れる。また、Fig.2 の実線によって示される欠陥断面形状の領域内に、 面密度一定となる磁気双極子モーメントが分布する ものと仮定した。これより、式(3)の各計算点で定義 される磁気双極子モーメントの値は、その計算点に 結合する各三角形要素の面積の 1/3 に密度を乗じた 値の総和とする。この方式で求めた磁気双極子モーメント分布に対 し、式(3)による順解析を行った。さらに、実際の測 一定における環境磁場等の影響を模擬するため、最大 +3.0%の一様乱数となるノイズを順解析結果に加 え、Fig. 3 に示す模擬漏洩磁束密度分布を得た。2.4 逆解析結果Tikhonoy の正則化法による逆解析を Fig.3 の模擬 漏洩磁束密度分布に対して行った。式(3)から直接、 解[m]を得ようとするとその解は振動解となりやす い。そこで、式(4)の Tikhonov の正則化法を用いるこ とで解[m]の振動を抑制させた。ここで、I は単位行 列であり、a は正則化パラメータである[3]。m = (FF + all'FTB,この正則化パラメータ a の最適な値は、Fig.4 に示 す L-Curve の折れ曲がり位置付近の値に対応してい る [4]。これより、最適と判断された a =1.0 × 10° の 場合の逆解析結果を Fig.5 に示す。模擬欠陥の断面 形状と寸法が良く一致する磁気双極子モーメント分 布が得られていた。したがって、適切な正則化パラ メータ a を使用した磁気双極子モーメント分布を逆 解析で求めることにより、定量的な欠陥断面形状の 評価が可能であることがわかった。3. FG センサによる測定 3.1 試験片 * 実際の試験片に対する漏洩磁束密度の測定を行っ た。試験片は S45C の円筒材であり、外形寸法は 16.0×100.0mm である。試験片表面から最大深さ 3.0mm、幅 0.3mm となるように、半円状の欠陥を加 工した。試験片形状を Fig.6 に示す。試験片は加工 後に消磁を行い、ネオジム磁石を用いてz軸方向にMeasured planeDefecty+/r0Fig. 1 Simulated cross section of defect ( 0 16.0mm)18にならないくらいするならこのおじいちなんです。Shodo.ocn10000Thood20000円50000が...........S.....ry........1921/12/24y mmしまうというか、ジュールがまったくそできるのでジャジーしていきたいタイラーベスト、なのでおeancentaのくのキーなのになったものですがき!くりなど10000とかいたりしもしかしているあなたはどういジンさんだったわからない・ 840_48x mm Fig.2 Distribution of magnetic dipole moment10.10.101 金 0.06Magnetic flux density B, (a.u.)0.05-0.2360°1800100.15zmmFig.3 Simulated magnetic flux density distribution Bz with noise of 3% maximum10==10 X 10-3(Optimal value)||||1945/10/01104_ 103_ 102 1 0-1||Fm-B,112 Fig.4 L-Curve in the inverse analysis of Tikhonov regularization115着磁したのち、漏洩磁束密度測定に供した。3.2 測定方法漏洩磁束密度の測定に用いた磁気センサは約 1.0×3.0mm の FG センサであり、磁束密度測定範囲 は±5.0×10+T、分解能は 1.0×107T である。 z 軸方向 の測定範囲は、欠陥断面を中心として+20.0mm、測 定間隔は 0.2mm とした。各々の測定位置で 4.0°ずっ 周方向回転させた。リフトオフは 1.0mm である。3.3 測定結果に基づく漏洩磁束密度分布 1 円筒材試験片に対する測定結果を Fig.7 に示す。 欠陥に起因した明確な漏洩磁束密度分布を得ること ができた。FG センサを漏洩磁束密度測定に用いるこ とで、円筒材の欠陥検知が可能であることがわかる。4. 測定データを用いた逆解析Fig.7 に示す漏洩磁束密度分布に対して 2 節で示 した Tikhonoy の逆解析を適用した。結果を Fig.8 に 示す。測定環境の磁気ノイズ等の影響から、FG セン サを用いて測定した円筒材の漏洩磁束密度分布には 多くのノイズが含まれていた。しかし、本手法を用 いることにより、欠陥形状および寸法まで良好に求 めることができた。これより、実際の測定データに 対しても FG センサによる漏洩磁束密度測定と Tikhonoy の逆解析手法とを用いることにより、円筒 材の欠陥を定量的に求めことが可能である。5.結言FG センサによる欠陥を施した円筒材の測定デー タを用いて逆解析を行った結果、欠陥の断面形状と その寸法を良好に求めることができた。したがって、 本手法を適用することにより、円筒材に生じた欠陥 の定量的な評価が可能である。ニトあ参考文献 [1] 鈴木、 寺崎、 笹本、 西村、 寺本、“FG セン * サを用いた磁性構造材料の損傷評価”、第16回MAGDA コンファレンス in 日立講演論文集、2007、pp.331-334. 1 [2] 鈴木、 蓮見、 黒田、 寺本、“フラックスゲートセンサを用いた SS400 の欠陥断面形状の解 析・評価”、日本 AEM学会誌、Vol.19, No.2、2011、pp.342-347. [3] A. N. Tikhonov and V. Y. Arseine, “Solutions ofIll-Posed Problems” , 1977, Halsted Press. [4] C. Hansen, “Analysis of Discrete Ill-Posed Problemsby Means of the L-Curve”, Society for Industrial and Applied Mathematics, Vol.34, No.4, 1992, pp.561-580.Erohuka-time-liner-csitiesy mm140_48x mm Fig.5 Magnetic dipole moment distribution by inverse analysis from simulated magnetic flux densityA-A3R3.0100A-A4970.31A13AY Fig.6 Shape and dimensions cylindrical specimen0.6Magnetic flux density, B, ×10T3600201090180000° -20 z mm Fig.7 Changes in magnetic flux density Bz around defect for cylindrical specimen10y mmYeawesorrennesenmeitomomment.-83-44x mm Fig.8 Magnetic dipole moment distribution by inverse analysis from measured magnetic flux density (a= 10)116“ “フラックスゲートセンサを用いた S450 円筒材の欠陥断面形状の評価“ “鈴木 隆之,Takayuki SUZUKI,蓮見 清章,Kiyoaki HASUMI,中住 昭吾,Shogo NAKASUMI,寺本 徳郎,Tokuro TERAMOTO