磁気センサを用いた高クロム鋼の非破壊劣化損傷評価

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カテゴリ: 第8回
1. はじめに
本研究では、クリープ・疲労劣化損傷評価に適用可能 な磁気センサ・計測技術を開発するため、独自に磁気セ ンサを設計・製作し、非破壊劣化損傷評価システムの開 発を行ったり。まず、改良 9Cr鋼に対して引張ひずみ損傷 と疲労損傷を与え、各損傷材の磁気特性を計測した。そ の結果、鋼材の磁気特性をあらわす磁気履歴曲線(B-H ループ)が各損傷度合によって相関をもって変化するこ とが分かり、改良 9Cr 銅の損傷度合を磁気センサによっ て非破壊的に評価できる可能性を見出した。本論文では、 改良 9Cr 鋼の引張ひずみ試験片と疲労試験片に対して、 各損傷度合と磁気特性の相関について検討した結果につ いて報告する。
2.磁気特性測定システム
2.1 測定システム今回製作した磁気計測システムのブロック図を図1に 示す。電磁誘導の法則により、測定試料に巻かれたBコ イルと測定試料近傍に設置された H コイルには誘導電圧 が発生し、それぞれの電圧はデジタルオシロスコープを 用いて測定することが出来る。デジタルオシロスコープ で測定したBコイルによる電圧とHコイルによる電圧は計測用PCに取込み、PC内で積分することによって、 磁束密度波形 B と磁界強度波形 H を算出することが連絡先:槌田雄二、〒870-1192 大分市旦野原70 0番地、大分大学工学部電気電子工学科 E-mail: tsuchida@oita-u.ac.jp計測器制御・データ処理計刷用PC任主語Agilent 33220AAgilent DSO5014A電力増梅器ブリアンプHコイル自コイルル コイ コイツリー5コイル就這?計図1 磁気計測システムブロック図一励磁コイル励磁器 ..14444444411Affffffthしみは心--????????いいいいいいいいいいい試蒙片Bコイル 図2 励磁器、各種コイル及び試験片出来る。両波形より、供試材の B-H ループを描くことが でき、同ループから、透磁率、保磁力、残留磁化など材 質変化によって変化する磁気特性を算出することが可能 となる。図2に試験片と励磁鉄心、励磁コイル、B コイ ル及びHコイルの関係を示す。磁束が通る磁路は、励磁 鉄心と試験片とでクローズループになっており、励磁コ イルで発生した磁束は漏れることなく、Bコイルに鎖交 し、この鎖交磁束より、試験片内部の磁束密度波形 B が 算出できる。また、試験片内の磁界強度と試験片直上の170Eororom |63.863.8磁束密度, B [T]210(a)引張ひずみ試験片mease-0.6シーひずみ:21.2% 1 ーーーひずみ:12.0%* ひずみ:0.8% -...ひずみ:0.0% -0.84 -5000 -25001 2500 5000磁界強度, H [A/m] 図4 ひずみ試験片磁気特性 (50Hz, O. 6T 一定)moonal\1220.030.8[210(b) 疲労試験片 図3 改良9Cr 鋼供試材磁束密度, B [T]Proではないし]強度の水平方向成分は連続性があることから、試験 直上に設置した H コイルにより、試験片内部の磁界強 形Hを算出することが可能である-0.64art450MPa- 430MPa 1 37 48, 410MPa 11390MPa -SE. OMPaassentensanandanma1500 -1000 -500 0_ 500 1000 1500磁界強度, H [A/m] 図5 疲労試験片磁気特性 (50Hz, 0, 6T 一定)改良 9Cr 鋼供試材及び損傷条件磁界強度の水平方向成分は連続性があることから、試験 片直上に設置した H コイルにより、試験片内部の磁界強 度波形 Hを算出することが可能である2.2改良9Cr 鋼供試材及び損傷条件図3(a)と()に引張試験及び疲労試験に供試材として用 いた改良 9Cr 鋼の形状をそれぞれ示す。両試験片ともセ ンサ走査が出来るよう、中央部に 30 mm × 30 mmの領域を確 保した。引張試験において破断ひずみが 32.0%であるこ とを確認した後、破断ひずみの 90%(ひずみ量: 21.2%)、 60%(ひずみ量: 12.0%)、7%(ひずみ量:0.8%)にて引張 試験を途中止めしてひずみ損傷試験片とした。また、疲 労試験については、S-N 曲線にて疲労限が 370MPa である ことを確認した後、390MPa, 1.48x10°回、410MPa, 1.07x10° 回、430MPa, 4.82x10回、450MPa, 3.37x10回、引張 - 引 張繰返応力を付加して疲労損傷試験片とした。3. 測定結果・考察1. 改良 9CT 鋼母材とひずみ試験片の磁気特性を図4に示 す。母材から、0.8%ひずみ材、12.0%ひずみ材、21.2%ひ ずみ材と徐々に B-H ループが傾いていくことが分かる。 これはひずみにより、高クロム鋼の磁気特性が劣化した ためである。磁性材料の磁気特性は弾性領域で改善され、 塑性領域で劣化することが知られており、、0.8%ひずみ材 においても塑性領域が支配的であることが分かる。次に、 改良 9Cr 鋼母材と疲労試験片の磁気特性を図5に示す。 疲労試験片では母材の B-H ループから390MPa疲労試験片では傾きが緩やかになり、その後、430MPa、450MPa 疲労試験片で大きく傾く。疲労応力が大きい 430MPa、 450MPa 疲労試験片の疲労損傷評価は可能であることが 分かる。以上のように B-H ループの変化を詳細に吟味し、 センサ動作点を決め、非破壊劣化損傷評価システムの開 発を行うことが可能である。本研究は,特別会計に関する法律(エネルギー対策特 別会計)に基づく文部科学省からの受託事業として、福 井大学が実施し、大分大学が再委託にて実施した平成 22 年度「「もんじゅ」における高速増殖炉の実用化のための 中核的研究開発」の成果を含みます。参考文献 [1] 岡茂八郎,榎園正人, “回転磁束型磁気センサによる鋼板裏側欠陥の推定”, 日本応用磁気学会誌,Vo. 21,No. 4-2, 1997, pp.633-636. [2] 近角隠信、“強磁性体の物理(下)”、裳華房、 1978.(平成23年9月26日)171 -“ “磁気センサを用いた高クロム鋼の非破壊劣化損傷評価“ “槌田 雄二,Yuji TSUCHIDA,榎園 正人,Masato ENOKIZONO
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