2.4GHz 帯 ZigBee 電波と LAN による原子力発電所でのデータ伝送

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カテゴリ: 第8回
1. はじめに
2. ZigBee方式の概要原子力発電所では、機器の運転状態に通常と異なる 兆候が認められた場合、温度計・圧力計等のセンサや 指示計・記録計を現場に仮設して傾向監視をすること がある。傾向監視したい機器が放射線量率の高いエリ アにある場合、センサの設置や指示計・記録計までの ケーブルを布設する際の被ばく線量が問題となる。こ の対策としては、センサ出力を無線により伝送するこ とが有効と考えられる。一方、原子力発電所の核計装 や放射線計測は重要でありかつ非常に微小な電流を扱 っており、これらに影響を与えないことが求められる。原子力発電所内で核計装等に影響を与えず、情報を 伝送できるものとして、2.4GHz 帯の ZigBee 方式の電 波が有効であることが確認1]されていることから、こ の方式を用いたデータ伝送システムの検討を行った。検討にあたっては、実際の運用を考慮して以下の要 求事項を満たし、現場で使用しやすいものとなること を念頭においた。 ・傾向監視したデータを事務所の執務場所にて常時把握できること ・バッテリー交換せずに長期間傾向監視できること ・急激な変動も検知できること ・持ち運びに便利なように小型軽量化であることセンサ出力を小出力で長時間小型の送信端末にてデ ータ伝送でき、産業・民生分野で実績がある無線技術 として ZigBee 方式がある。この方式には以下の特徴が ある(図1)。 ・送信出力が数 mW と小さく、また送信時以外は機能 を停止 (スリープ機能)することにより、電源も含 め小型化できる ・中継器にて中継することにより遠距離まで電波を到達できる(中継機能) ・受信データに欠落があった場合、欠落データを再収 集できる(再送機能) 今回検討に使用した日立製作所製の ZigBee 機器 (2.4GHz帯用)の外観を図2に示す。 左側がセンサ端末の外観であり、温度・湿度センサ 内蔵のほかに 4-20mA 入力1 端子、サーミスタ入力4 端子を備え、リチウム電池(CR123A)、出力 2mW に て高さ 69mm・幅 60mm・厚さ 34mm(アンテナ・突起 物を除く)・質量 90gである。右側が中継器・基地局の外観であり、出力 2mW に て高さ 100mm・幅 66mm・厚さ 30mm(アンテナ・突 起物を除く)である。
-7ケーブルを布設する際の被ばく線量が問題となる。 や放射線計測は重要でありかつ非常に微小な電流を扱 波が有効であることが確認[1]されていることから、 の方式を用いたデータ伝送システムの検討を行った。 傾向監視したデータを事務所の執務場所にて常時把・持ち運びに便利なように小型軽量化であること連絡先: 辻 建二, 〒459-8522 名古屋市緑区大高町北関山 20-1, 中部電力(株)電力技術研究所、 電話:050-7772-2875, E-mail:Tsuji.Kenji2@chuden.co.jp センサ出力を小出力で長時間小型の送信端末にてデ -72019/06/21 13:45:006/2114:002019/06/21 14:15:002019/06/21 14:30:002019/06/21 14:45:002019/06/21 15:00:002019/06/21 15:15:002019/06/21 15:30:00?度計測時刻 2事務所側のLANに接続されたパソコンが受信したデータ2019/06/21 13:45:002019/06/21 14:00:002019/06/21 14:15:002019/06/21 14:30:002019/06/21 14:45:002019/06/21 15:00:002019/06/21 15:15:002019/06/21 15:30:00?度計測時刻 送信・受信データの差(1~2)外部センサへの電源供給するにあたり、DO信号を用 いる場合と用いない場合の連続使用時間の変化の例を 末内蔵の電池の方が制約となる。この場合、連続使用 時間が約 1.7 ヶ月となり大幅に改善できることが判明 した。熱電対温度変換器古いZigBre端末、外部アンテナ熱電対4-20mA内蔵電池DC24VDC12V/DC24V変換器DC12V小型船等電池図5 外部センサへ電源供給する場合の構成熱電対温度変換器外部アンテナ熱電対4-20mA内蔵電池DC24VDC12V/DC24V変換器TSコントロール信号DC12VZigBee端末から のDO出力にて 間久動作小型鉛電池図6a DD 信号を用いて蓄電池制御する場合の構成 動作周期(60sec)時間 (3.0sec)スリーブZigBee端末...... 起動データ送信 DO出力:DO出力OFFデータ取得スリープ- DO出力 DC-DCコンバータスリーブ熱電対温度変換器安定化完了スリーブ(2.5sec)間欠動作により 消費電力を節電ZigBee端末内蔵 電池(リレーあり)◆小型鉛蓄電池(り レーあり)a ZigBee端末内蔵 電池(リレーなし)小型鉛蓄電池(リ レーなし)10100001 1 00動作周期(sec)2000 王力の急変など急激な信号の変動を素早く検知する . 急激な信号変化の把握測定対象 まで熱電対 を伸ばす測定対象近辺の 床にアタッシュ ケースを置く基地局、中継器の 電波を受信しやすい 位置にZigBee端末を ?設図8b 現場での測定データ収集イメージ測定対象近辺の 床にアタッシュ ケースを置く-- 圧力の急変など急激な信号の変動を素早く検知する ためには、サンプリング間隔を短くする必要がある。今回の検討に用いた ZigBee 端末の標準設計では、最 短のサンプリング間隔は10秒である。このため、制御 ソフトウェアを見直しし、サンプリング周期を 0.1 秒ま で短縮し、10個のサンプリングデータを一括して送信 することとした。 ためには、サンプリング間隔を短くする必要がある。今回の検討に用いた ZigBee 端末の標準設計では、最 短のサンプリング間隔は10秒である。このため、制御 ソフトウェアを見直しし、サンプリング周期を 0.1 秒ま で短縮し、10個のサンプリングデータを一括して送信 することとした。サンプリング周期 0.1 秒においても正確にデータ伝 送できることを確認した。なお、この場合はスリープ機能は機能しないので ZigBee センサ端末内蔵のリチウム電池寿命も短くなる ため、ACコンセントから電源を確保することが必要 となる。「基地局、中継器の」 電波を受信しやすい 位置にZigBee端末を ?設図8b 現場での測定データ収集イメージ7. まとめ7. 持込可能な小型軽量システム* 傾向監視を強化する場合には、なるべく短時間で現 場まで運搬し、素早く設置が完了させることが望まし い。そのため、ZigBee のセンサ端末・外部センサ(外部 センサ用ケーブルを含む) ・DC/DC 変換器・外部センサ 用蓄電池一式をアルミアタッシュケースに収納するこ ととした。蓄電池容量7Ah の蓄電池を用いた場合でも アルミアタッシュケースを含め 8kg 以下と小さくする ことができた。このアルミアタッシュケースを監視強化したい機器 の近辺まで運搬し設置することになる。機器収納イメージを図8aに、現場での測定イメージ を図8bに示す。浜岡原子力発電所5号機の定期点検中にタービン建 屋ヒーター室にて実際に温度センサの計測データを 2.4GHz 帯の ZigBee 方式の電波にてデータ伝送し、基 地局で受信したデータを原子力発電所内-事務所間に 設置されたLANを経由し、事務所のパソコンにて正 しくデータ伝送されることを確認した。外部センサの電源供給用の蓄電池と DC/DC 変換器 を用い、ZigBee のセンサ端末の制御信号を用いて DC/DC 変換器の作動を制御し、センサ端末のサンプリ ング周期に対応して外部センサの電源供給を ON/OFF することにより、連続使用期間を延長することができ た。また、ZigBee のセンサ端末のソフトウェアを見直す ことにより、サンプリング周期を 0.1 秒まで短縮するこ とが可能であり、これにより急激な信号変化も測定可 能となることを確認できた。さらに、現場への持込可能なシステムを検討し、運 搬・設置が容易となるシステムを構成した。以上のことから、2.4GHz 帯の ZigBee 方式の電波を 用いてデータ収集し、その結果を原子力発電所-事務 所間を結ぶLANを経由することにより、監視強化し たい機器に応じて長期間連続に、あるいは急激な信号 変化を把握でき、かつ運搬・設置が容易で、さらに事 務所で監視できるシステムを構成することができた。熱電?熱電対温度 ZigBee端末 変換器リレー回路蓄電池DC12/DC24 変換器図8a 機器収納イメージ (外部センサ熱電対の場合)参考文献 [1] 辻 建二、増田 亮太、福井 琢也、“2.4GHz帯の無線による原子力発電所内でのデータ伝送の検討”、 日本保全学会第7回学術講演会要旨集、御前崎、2010、 pp.486-488.(平成23年6月 23 日)浜岡原子力発電所5号機の定期点検中にタービン建 4GHz 帯の ZigBee 方式の電波にてデータ伝送し、基 局で受信したデータを原子力発電所内一事務所間に 象による原子力発電所内でのデータ伝送の検討”、 本保全学会第7回学術講演会要旨集、御前崎、2010、 10 -“ “2.4GHz 帯 ZigBee 電波と LAN による原子力発電所でのデータ伝送“ “辻 建二,Kenji TSUJI,増田 亮太,Ryota MASUDA,福井 琢也,Takuya HUKUI
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