浜岡原子力発電所5号機主復水器細管損傷の影響調査
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カテゴリ: 第9回
1. 諸言
浜岡原子力発電所5号機(以下,「5号機」という。) (定格電気出力 138 万kW)は、経済産業大臣からの 運転停止要請「浜岡原子力発電所の津波に対する防護 対策の確実な実施とそれまでの間の運転の停止につい て」を受け,平成 23年5月14日 10時 15分に発電を停止し,原子炉減圧操作中のところ (平成23年5月14 日 12時 59 分に原子炉未臨界に到達した後), 復水器の 細管損傷による原子炉施設内に海水が混入する事象1) が発生した。 * ここでは、当社が実施してきた5号機の原子炉施設 への影響調査の結果概要を報告する。
2. 事象の概要
平成23年5月14日 16時30分に, 復水器蒸気室(A-1) の細管が損傷し,ホットウェル(A)内への海水流入を介 して原子炉施設内に海水が混入した。後日の調査によ り,損傷配管の近傍の電動機駆動給水ポンプ(A)ミニマ ムフロー配管の閉止板が脱落したのを確認した。 - Fig.1~3に当該損傷部の状況を示す。渡辺哲也,〒461-8680 愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式会社原子力部運営グループ, E-mail : Watanabe, Tetsuya@chuden.co.jpCLAUN UN損Fig.1 Outline of main condenserFig.2 Damaged tube of main condenserFig.3 Damaged end-cap of main condenser(SCMV3-1 weld metal)1900/04/17
3. 原子炉施設への海水混入
3.1 原子炉施設への海水混入 - 復水器ホットウェルから混入した海水は、復水脱塩 装置にて海水中の成分(主に塩化物イオン)を除去で きていたが,時間経過とともに除去能力を超え,給水 系及び復水ブースターポンプ入口配管に繋がる制御棒 駆動系を通じて, 原子炉圧力容器内に混入した。また, 復水貯蔵槽にも混入した。 Fig.4に5号機の原子炉施設に混入した海水範囲を示す。フバル円11月に山形で入れることを応ロに性 認することとした。3.2 海水の混入量事象発生前後の復水器ホットウェル及び復水貯蔵槽 の水位変化から、全体で約 400mの海水が原子炉施設 内に混入したものと算定した。3.3 原子炉施設の浄化海水が混入した設備への影響については、主たる材 料であるステンレス鋼や炭素鋼において腐食が発生, 進展する可能性があることから,原子炉施設の浄化を 実施した。原子炉圧力容器内の原子炉水の浄化を最優 先として実施し,塩化物イオン濃度の目標値は、原子 炉停止時の原子炉水に対する社内規定に基づき 0.5ppm 以下とした。4.2 実機調査実機の腐食状況を把握するため, ポンプ, 熱交換器, 弁,計測機器等のうち,構造や機種を考慮して選定し た機器を分解・開放し,海水混入による影響調査を実 施した。これまでに,原子炉設備の機器として、制御棒駆動 機構(以下,「CRD」という。),原子炉冷却材再循環系 ポンプ(以下,「RIP」という。)モータ,余熱除去(以 下,「RHR」という。)ポンプ, RHR 熱交換器, CRD ポンプ,水圧制御ユニット (HCU), 復水貯蔵槽(以下, 「CSP」という。),弁などの実機調査を行った。また, タービン設備の機器として、高圧給水加熱器(HP Hur),燃料プール冷却浄化系。使用済燃料貯蔵プール原子炉格納容器 原子炉圧力容器海水の混入範囲(気部給む)主蒸気管給水管望分分齡分 加熱器(低圧 タービン発電機海水原子炉冷却材 再街環ホング高圧タービン復水器ホットウェル循環水 ポンプ圧力抑室ミニマムフロー余熱除去系復水ポンプ水ろ過装置 復水 脱塩装置高圧給水器制御棒 較動模措の山 高圧炉心注水系給水加熱器.復水器 により空気 抽出器サフレッションブール浄化系 (タービン動 給水ポンプ5)気体 廃棄物 処理系復水貯蔵槽高圧ドレン原子炉冷却材 浄化系原子炉隔離冷却系電動機驅動 給水ポンプ復水 ブースタボンブグランド蒸気 復水器制御棒駆動系水圧制御 ユニット高野レンボング※スピルオーバーラインーーー各負荷へ補給水ポングFig.4 Area of sea water infiltration into power plant4. 健全性評価4.1 健全性評価の方法 - 海水混入による影響は,ステンレス鋼については局部腐食,炭素鋼については全面腐食の発生・進展を考 「慮213], これらに着目した健全性評価を行うことと した。 - 機器レベルの健全性評価は、 機器の外観点検, 分解・ 開放点検,作動試験等の結果から,機器の健全性評価 を行うこととした。また, 系統レベルの健全性評価は、 機器の健全性を確認した後に,系統の運転確認を行い, 系統全体の機能が正常に発揮されることを総合的に確 認することとした。109,低圧給水加熱器(LP Hu), グランドスチームコンバー タ(GSC),復水ブースタポンプ(以下,「CBP」とい う。),復水器,弁などの実機調査を実施した。調査結 果を以下に示す。a.設備全般 ・全般的に過去の点検時に比べて付着物や錆が多く 認められたが,手入れにより除去可能な程度であ った。b. 原子炉設備Fig.5~9 に原子炉設備(代表設備)の点検結果を 示す。 ・CRD については,窒化処理されている部分等に腐食が認められた。 ・CRD 系,補給水(以下,「MUWC」という。)系等 の一部の弁において,弁蓋嵌め輪や弁棒バックシ ート部等に腐食が認められた。 CSP の内張り材(SUS304)の溶接部及び溶接部近 傍に 40 個の孔(底部 35 個,壁部5個)が認めら れた。c. タービン設備Fig.10 及び 11 にタービン設備(代表設備)の点検 結果を示す。 ・CBP については、分解前のハンドターニングでシ ャフトが回転しない事象が発生した。分解調査の 結果、ブッシュとスリーブに錆が認められた。 ・復水器(A)で細管損傷が認められたほか,復水再 循環ラインに繋がる復水器(B) 細管に,腐食によ るものと思われる渦流探傷試験の優位な指示(変 形)が認められた。as found conditionafter maintenance (ボールねじ:SUS630)as found condition(ピン : XM-19 窒化処理) Fig.5 Surface appearance of CRD Partsas found condition after maintenance(CRDF: SUSF316 7771 MIX) Fig.6 Surface appearance of CRD valve discas found condition to after maintenanceet (CRD KA SUS630) Fig. 7 Surface appearance of CRD valve stemafter maintenance (MUWC系弁棒及びバックシート部:SUS403-B) Fig. 8 Surface appearance of MUWC valve parts働時蔵をから財にイメージ図細身のため 下の表を除去Fig.9 Example of Surface appearance of CSP110as found condition after maintenance(軸スリーブ:SCS2) Fig. 10 Surface appearance of CBP shaft sleeveas found condition after maintenance(インペラ:SCSI Mod) Fig.11 Surface appearance of CBP impeller4.3 材料試験 ・ 海水が混入した設備の腐食状況の把握及び設備を継 続使用する場合における腐食挙動に関する知見拡充の ため,実機環境(海水混入時以降の塩分濃度、水温) を再現・模擬した材料の腐食試験を実施した。材料試験は、海水混入時の原子炉圧力容器内の過渡 的環境 (短時間の高温環境) を模擬した試験(以下,「海 水混入環境模擬試験」という。)及び海水を含む低温水 に長期間さらされた環境を模擬した試験(以下,「水質 改善段階模擬試験」という。)を計画し,材料の腐食挙 動を確認した。以下に,原子炉設備を対象として現在までに実施し た海水混入環境模擬試験及び水質改善段階模擬試験の 概要を示す。4.3.1 海水混入環境模擬試験 (1) 試験方法 1. 原子炉機器で使用されているステンレス鋼,ニッケル基合金,低合金鋼、炭素鋼を材料とした平板試験片 及びすきま腐食を評価するための重ね合せ試験片 (JIS G0592 に準じる)を用いて腐食試験を実施した。 1 試験装置は、水質調整タンクから予熱器を経て,4 つの試験槽ユニットに繋がる閉ループ式の腐食試験装 置を用いた。 Fig.12 に試験片の形状を、Table 1及び2に試験対象とした原子炉設備に使用されている材料の一覧を示す。(10×10×2)(20×40×2t) 平板試験片 重ね合せ試験片 (単位:mm) Fig.12 Schematic illustrations of test specimenまた、試験片中央部にノンフィラービードオン溶接 を行うことで引張残留応力を付与させた試験片を用い て、応力腐食割れ発生の有無を確認するための浸漬試 験を行った。(2) 試験条件 1 原子炉圧力容器内の機器が経験した高温で,高塩化 物イオン濃度の過渡的な環境条件として,「炉水環境 (塩化物イオン濃度は炉内の水質を模擬した 450ppm にて、温度を 240°Cで3時間, その後 7.0°C/hr で 50°Cま で降温,降温保持後、試験開始後 84 時間で試験終了) 及び、塩化物イオン濃度のより高い環境にさらされた 復水系統からRIPやCRDなどの原子炉設備に繋がる系 統を模擬した環境条件として、2パージ水環境(パー ジ水の流入した水質を模擬した塩化物イオン濃度 6000ppm で, 240°Cで3時間,その後 7.0Chr で 50°Cま で降温,試験開始後 84 時間で試験終了)の2条件で試 験を実施した。(3) 試験結果上記条件による材料試験により,以下の結果が得ら れた。Table 1 に平板試験の結果を示す。平板試験でステン レス鋳鋼(SCS19A)に確認された腐食の状況を Fig.13 に示す。また,Table 2に重ね合せ試験の結果を示す。 重ね合せ試験でオーステナイト系ステンレス鋼 (SUS304)に確認された腐食の状況を Fig.14 に示す。平板試験 ・ステンレス鋳鋼(SCS19A)で、最大深さ約 60umの腐食孔が観察された。 他の材料(SUS403, SUS304, SUS316(LC) , SUS316L, XM-19, Y308L, Y316L, NCF600, X-750, Alloy82, SA-533 TypeB Classi, STPT410)では、いずれも局部腐食は確認111されなかった。 ・低合金鋼(SA-533 TypeB Classl)と炭素鋼(STPT410)で全面腐食が認められたが,試験時間(84hr)の 減肉量はそれぞれ、約11um 及び約6umであった。Table 1A list of test conditions and results一試験結果 續 炉水環境、パージ?象部位例」配管伊SUS403局部腐食なし局部腐食なしSUS304局部腐食なし局部腐食なしSUS316(L局部腐食なし局部腐食なしUW較館FMCRD RPV、炉内構造物、計装 RPV内物 QR, CUW 炉内構築R装SUS316L局部腐食なしXM-19局部腐食なしY308L局部腐食なし | 局部腐食なしRPV, 炉内構造物RIP 炉内構造物Y316L局部腐食なしNCF600局部腐食なし局部腐食なしRPV, 炉内構造物RIP?精裝X-750局部腐食なしAlloy82局部腐食なし局部腐食なしRPV, 炉内構造物RIP 炉内構造物、CRSC$19A局部腐食ありRPV(ノズル部SA-533 Tipos Cul局部腐食なし 全面腐食あり配管弁STPT410 (炭素鋼)局部腐食なし 全面腐食あり職業 最大約60m300mFig13Surface observation results oftest specimen (SCS19A)b. 重ね合せ試験(すきま腐食試験) ・オーステナイト系ステンレス鋼 (SUS304, SUS316L, SCS19A, XM-19) 及びマルテンサイト系ステンレ ス鋼(SUS403) において すきま腐食(局部腐食) が確認された。 ・ニッケル基合金(NCF600, X-750) においては、 すきま腐食(局部腐食)の発生は確認されなかった。Table 2A list of test conditions and results試驗結果 材質炉水環境 パージ環境?象機器配管弁SUS403局部腐食あり、局部腐食ありSUS304局部腐食あり局部腐食ありCUW熱交、配管弁,FMCRD RIV内構造りUW較 炉内構造物, CRSUS316L局部腐食ありSCS19A局部腐食ありXM-19局部腐食あり炉内構造物, CR,装 RPV, 炉内構造物、計装 RPV、炉内構造物RIP 炉内構造物, 計装局部腐食なし 局部腐食ありSUS316(LC) |1eeeeeeeeeeeeeNCF600局部腐食なしX-750局部腐食なし配管弁STPT410 (炭素鋼)局部腐食なし 全面腐食ありJunesensenamonomage最大約44m500mmFig. 14 Surface observation resultsof test specimen (SUS304)また,ノンフィラービードオン試験片を用いた浸漬 試験では,ステンレス鋼、ニッケル基合金,炭素鋼の いずれの材料においても応力腐食割れ(ひび割れ)は 認められなかった。まとめ - 海水流入直後の高温で塩化物イオンを含む過渡環 境条件での腐食試験結果から,機器のすきま構造 となる部位のうち, マルテンサイト系ステンレス 鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼部材に局部 腐食が確認されており,すきま腐食を生じうる環 境条件であると評価した。 - 炭素鋼、低合金鋼においては全面腐食が発生した が,短時間の過渡環境にさらされた期間内での減 肉量は 10um 程度であり,有意な腐食量ではなか った。4.3.2 水質改善段階模擬試験 (1) 試験方法1900/04/21RHR系, CRD 系及び MUWC系の機器には、海水流 入後、低温(一時高温)で高濃度の塩化物を含む水に 長時間(20~300 日程度)さらされたことから,これら の機器に主として用いられているステンレス鋼,炭素 鋼を対象とした平板試験片及びすきま腐食を評価する ための重ね合せ試験片 (JIS G 0592 に準じる)を用いた 腐食試験を実施した。 Fig.15 に試験片の形状を示す。(20×40×210(20×40×2t) 平板試験片重ね合せ試験片 (材質:S25C) (材質:SUS304, SUS316L, SUS403,SUS630) (単位:mm) Fig.15 Schematic illustrations of test specimenまた, 焼嵌め構造のため分解ができない RHR ポンプ のベアリング(カーボン焼結体)とベアリングケース (SUS403)を組合せた試験体を製作し、腐食試験を実 施した。(2) 試験条件 ・ 海水混入後から水質改善段階の低温で高濃度の塩化 物イオンを含む環境として, RHR系, CRD 系, MUWC 系の各系統で,海水混入直後から海水浄化もしくは 塩水置換までの温度履歴や水質条件を整理し,これを 基に試験条件(温度,水質)を設定した。なお,試験の一部は、文献データリに基づき実機環境 の温度に対し温度を上げた加速環境 (40°C-→75°C :20 倍,60°C→75°C : 3.0 倍,40°C→55°C : 4.4 倍)とする ことで試験時間を設定した。Table 3 に各系統の試験条件を示す。Table 4に試験ケ ースを示す。(3) 試験結果上記条件による材料試験により,以下の結果が得ら れた。Table 4 に水質改善段階模擬試験の結果一覧を示す。 また, Fig.16 に重ね合せ試験のうち RHR(C)の環境を模擬した試験でマルテンサイト系ステンレス鋼 (SUS403)に確認された腐食の状況を示す。a. 平板試験平板試験 ・RHR(A) 条件2と RHR(C) の模擬環境下での 炭素鋼(S25C)の腐食試験の結果,いずれの試験 片も全面腐食が認められた。減肉量は RHR(C) の場合(試験時間 178h)で約 18um であった。 ・いずれの試験ケースにおいても、局部腐食は認め られなかった。Table 3 A list of the test conditions源 炉水SC CSP (450ppm Cl) (6000ppm CI) | (60,65ppmCl-) | (550ppm Cl.)RHR(A)条件)750×12ShrRHR(A)条件2 RHR(B)750×125hr750×40hr,750×23hRHR(C)550x108hr140°C4 140-550×12.2hr550x54hrCRD60CX5hr750×67.5hMUWC750×388b. 重ね合せ試験(すきま腐食試験) ・RHR(A) の条件の及び条件2, RHR (B), RHR(C), CRD 系,MUWC 系の各系統の腐食試験の 結果から,いずれもマルテンサイト系ステンレス 鋼(SUS403, SUS630) のすきま構造部位で局部腐 食が認められた。すきま腐食が生じた試験片のう ち多くの試験片では,すきま部のとばロ近傍に腐 食生成物が認められた。 ・一方、オーストナイト系ステンレス鋼(SUS304, SUS316L)では、いずれの系統の環境下でもすき ま腐食(局部腐食)は認められなかった。組合せ試験(ポンプベアリングとベアリングケースの組合せ模擬試験) ・RHR(A) 条件D及び RHR(C) の模擬環境下で の腐食試験の結果, SUS403 のすきま部に局部腐食113Table 4 A list of the test conditions and results試験環境(上段:水質(塩化物イオン),下段:温度×浸剤間)RHR(A)系条件1| RHR(A) 系条件2RHR(B) 系 | RHR(C)系CRDAMUWC系試驗片種類材質60ppm550ppm1450ppm 260ppm16000ppm 2550ppm550ppm75°C×125h75°C×125h175°C~40h 275°C × 23h1450ppm 265ppm 1140°C×4h 165°C×66h 255°C×108h腐食なし160°C×5h 275°C×68h75°C×388hSUS304腐食なし腐食なし腐食なし重ね合せ試験 (すきま腐食試験)SUS316L腐食なし腐食なし腐食なし腐食なし 腐食あり、SUS403腐食あり腐食あり、腐食あり腐食あり腐食あり 腐食ありSUS630腐食あり腐食あり腐食あり腐食あり 局部腐食なし 全面腐食あり平腐食あり 局部腐食なし 全面腐食あり、式S25C(炭素鋼) 組合せ試験 | カーボン焼 (ベアリングとベア! 結体/ リングケース) SUS403腐食あり腐食あり腐食さ 最大約477am2003CAN1500mFig.16 Surface observation results of test specimen (SUS403)が認められた。一方, カーボン焼結体には腐食は 認められなかった。 ・SUS403 とカーボン焼結体のすきまのとば口で腐食 生成物が認められた。(4) まとめ ・RHR 系, CRD 系及び MUWC系の各系統の水質を 考慮した温度加速条件での腐食試験の結果から, いずれの条件においても, マルテンサイト系ステ ンレス鋼のすきま構造部位において、局部腐食が 認められた。 ・RHR 系の環境を模擬した腐食試験の結果から,炭 素鋼に全面腐食が認められたが,過渡環境にさら された期間内での減肉量は 20 μm程度であり,有 意な腐食量ではなかった。 ・RHR ポンプのベアリング部の環境を模擬した腐食 試験の結果から, SUS403 に局部腐食が認められた。 焼嵌め構造に塩化物イオンが浸入したものと考え られた。5. 結言海水が流入した設備の分解,開放点検や材料試験を 継続して行っており,7月より原子炉を開放して炉内設 備の点検を行う計画である。年内を目途に点検及び試 験結果を踏まえた設備の健全性評価を完了する予定で ある。なお,機械設備の健全性評価にあたっては、株式会 社東芝及び日立GE ニュークリア・エナジー株式会社の 技術的支援を受けるとともに、社内に設備健全性評価 検討委員会を設置し,社外専門家のご意見を踏まえな がら検討を進めている。東北大学 庄子教授をはじめ, 同 渡辺教授,腐食防食協会 辻川東京大学名誉教授, 静岡大学 東郷教授,同 藤井助教及び日本原子力研究 開発機構 山本GLには、多忙の中委員を引き受けて頂 き多くの助言を頂いたことを、心よりお礼申し上げま す。参考文献 [I] 中部電力株式会社 河原子力発電所5 第機における外器館鸚の影響が調暦についで、平成24年4月 [2] ステンレス鋼覧 第3版 ステンレス協会編 日刊工業新聞社m325. [3] 腐塗・防食ンドブック,腐食協会編 株式会社, 9 松他 材料と環境, 58, p.378-385 2009)114“ “浜岡原子力発電所5号機主復水器細管損傷の影響調査“ “市川 義浩,Yoshihiro ICHIKAWA,釘本 三男,Mitsuo KUGIMOTO,渡辺 哲也,Tetsuya WATANABE,三谷 和己,Kazumi MITANI,山本 優介,Yusuke YAMAMOTO
浜岡原子力発電所5号機(以下,「5号機」という。) (定格電気出力 138 万kW)は、経済産業大臣からの 運転停止要請「浜岡原子力発電所の津波に対する防護 対策の確実な実施とそれまでの間の運転の停止につい て」を受け,平成 23年5月14日 10時 15分に発電を停止し,原子炉減圧操作中のところ (平成23年5月14 日 12時 59 分に原子炉未臨界に到達した後), 復水器の 細管損傷による原子炉施設内に海水が混入する事象1) が発生した。 * ここでは、当社が実施してきた5号機の原子炉施設 への影響調査の結果概要を報告する。
2. 事象の概要
平成23年5月14日 16時30分に, 復水器蒸気室(A-1) の細管が損傷し,ホットウェル(A)内への海水流入を介 して原子炉施設内に海水が混入した。後日の調査によ り,損傷配管の近傍の電動機駆動給水ポンプ(A)ミニマ ムフロー配管の閉止板が脱落したのを確認した。 - Fig.1~3に当該損傷部の状況を示す。渡辺哲也,〒461-8680 愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式会社原子力部運営グループ, E-mail : Watanabe, Tetsuya@chuden.co.jpCLAUN UN損Fig.1 Outline of main condenserFig.2 Damaged tube of main condenserFig.3 Damaged end-cap of main condenser(SCMV3-1 weld metal)1900/04/17
3. 原子炉施設への海水混入
3.1 原子炉施設への海水混入 - 復水器ホットウェルから混入した海水は、復水脱塩 装置にて海水中の成分(主に塩化物イオン)を除去で きていたが,時間経過とともに除去能力を超え,給水 系及び復水ブースターポンプ入口配管に繋がる制御棒 駆動系を通じて, 原子炉圧力容器内に混入した。また, 復水貯蔵槽にも混入した。 Fig.4に5号機の原子炉施設に混入した海水範囲を示す。フバル円11月に山形で入れることを応ロに性 認することとした。3.2 海水の混入量事象発生前後の復水器ホットウェル及び復水貯蔵槽 の水位変化から、全体で約 400mの海水が原子炉施設 内に混入したものと算定した。3.3 原子炉施設の浄化海水が混入した設備への影響については、主たる材 料であるステンレス鋼や炭素鋼において腐食が発生, 進展する可能性があることから,原子炉施設の浄化を 実施した。原子炉圧力容器内の原子炉水の浄化を最優 先として実施し,塩化物イオン濃度の目標値は、原子 炉停止時の原子炉水に対する社内規定に基づき 0.5ppm 以下とした。4.2 実機調査実機の腐食状況を把握するため, ポンプ, 熱交換器, 弁,計測機器等のうち,構造や機種を考慮して選定し た機器を分解・開放し,海水混入による影響調査を実 施した。これまでに,原子炉設備の機器として、制御棒駆動 機構(以下,「CRD」という。),原子炉冷却材再循環系 ポンプ(以下,「RIP」という。)モータ,余熱除去(以 下,「RHR」という。)ポンプ, RHR 熱交換器, CRD ポンプ,水圧制御ユニット (HCU), 復水貯蔵槽(以下, 「CSP」という。),弁などの実機調査を行った。また, タービン設備の機器として、高圧給水加熱器(HP Hur),燃料プール冷却浄化系。使用済燃料貯蔵プール原子炉格納容器 原子炉圧力容器海水の混入範囲(気部給む)主蒸気管給水管望分分齡分 加熱器(低圧 タービン発電機海水原子炉冷却材 再街環ホング高圧タービン復水器ホットウェル循環水 ポンプ圧力抑室ミニマムフロー余熱除去系復水ポンプ水ろ過装置 復水 脱塩装置高圧給水器制御棒 較動模措の山 高圧炉心注水系給水加熱器.復水器 により空気 抽出器サフレッションブール浄化系 (タービン動 給水ポンプ5)気体 廃棄物 処理系復水貯蔵槽高圧ドレン原子炉冷却材 浄化系原子炉隔離冷却系電動機驅動 給水ポンプ復水 ブースタボンブグランド蒸気 復水器制御棒駆動系水圧制御 ユニット高野レンボング※スピルオーバーラインーーー各負荷へ補給水ポングFig.4 Area of sea water infiltration into power plant4. 健全性評価4.1 健全性評価の方法 - 海水混入による影響は,ステンレス鋼については局部腐食,炭素鋼については全面腐食の発生・進展を考 「慮213], これらに着目した健全性評価を行うことと した。 - 機器レベルの健全性評価は、 機器の外観点検, 分解・ 開放点検,作動試験等の結果から,機器の健全性評価 を行うこととした。また, 系統レベルの健全性評価は、 機器の健全性を確認した後に,系統の運転確認を行い, 系統全体の機能が正常に発揮されることを総合的に確 認することとした。109,低圧給水加熱器(LP Hu), グランドスチームコンバー タ(GSC),復水ブースタポンプ(以下,「CBP」とい う。),復水器,弁などの実機調査を実施した。調査結 果を以下に示す。a.設備全般 ・全般的に過去の点検時に比べて付着物や錆が多く 認められたが,手入れにより除去可能な程度であ った。b. 原子炉設備Fig.5~9 に原子炉設備(代表設備)の点検結果を 示す。 ・CRD については,窒化処理されている部分等に腐食が認められた。 ・CRD 系,補給水(以下,「MUWC」という。)系等 の一部の弁において,弁蓋嵌め輪や弁棒バックシ ート部等に腐食が認められた。 CSP の内張り材(SUS304)の溶接部及び溶接部近 傍に 40 個の孔(底部 35 個,壁部5個)が認めら れた。c. タービン設備Fig.10 及び 11 にタービン設備(代表設備)の点検 結果を示す。 ・CBP については、分解前のハンドターニングでシ ャフトが回転しない事象が発生した。分解調査の 結果、ブッシュとスリーブに錆が認められた。 ・復水器(A)で細管損傷が認められたほか,復水再 循環ラインに繋がる復水器(B) 細管に,腐食によ るものと思われる渦流探傷試験の優位な指示(変 形)が認められた。as found conditionafter maintenance (ボールねじ:SUS630)as found condition(ピン : XM-19 窒化処理) Fig.5 Surface appearance of CRD Partsas found condition after maintenance(CRDF: SUSF316 7771 MIX) Fig.6 Surface appearance of CRD valve discas found condition to after maintenanceet (CRD KA SUS630) Fig. 7 Surface appearance of CRD valve stemafter maintenance (MUWC系弁棒及びバックシート部:SUS403-B) Fig. 8 Surface appearance of MUWC valve parts働時蔵をから財にイメージ図細身のため 下の表を除去Fig.9 Example of Surface appearance of CSP110as found condition after maintenance(軸スリーブ:SCS2) Fig. 10 Surface appearance of CBP shaft sleeveas found condition after maintenance(インペラ:SCSI Mod) Fig.11 Surface appearance of CBP impeller4.3 材料試験 ・ 海水が混入した設備の腐食状況の把握及び設備を継 続使用する場合における腐食挙動に関する知見拡充の ため,実機環境(海水混入時以降の塩分濃度、水温) を再現・模擬した材料の腐食試験を実施した。材料試験は、海水混入時の原子炉圧力容器内の過渡 的環境 (短時間の高温環境) を模擬した試験(以下,「海 水混入環境模擬試験」という。)及び海水を含む低温水 に長期間さらされた環境を模擬した試験(以下,「水質 改善段階模擬試験」という。)を計画し,材料の腐食挙 動を確認した。以下に,原子炉設備を対象として現在までに実施し た海水混入環境模擬試験及び水質改善段階模擬試験の 概要を示す。4.3.1 海水混入環境模擬試験 (1) 試験方法 1. 原子炉機器で使用されているステンレス鋼,ニッケル基合金,低合金鋼、炭素鋼を材料とした平板試験片 及びすきま腐食を評価するための重ね合せ試験片 (JIS G0592 に準じる)を用いて腐食試験を実施した。 1 試験装置は、水質調整タンクから予熱器を経て,4 つの試験槽ユニットに繋がる閉ループ式の腐食試験装 置を用いた。 Fig.12 に試験片の形状を、Table 1及び2に試験対象とした原子炉設備に使用されている材料の一覧を示す。(10×10×2)(20×40×2t) 平板試験片 重ね合せ試験片 (単位:mm) Fig.12 Schematic illustrations of test specimenまた、試験片中央部にノンフィラービードオン溶接 を行うことで引張残留応力を付与させた試験片を用い て、応力腐食割れ発生の有無を確認するための浸漬試 験を行った。(2) 試験条件 1 原子炉圧力容器内の機器が経験した高温で,高塩化 物イオン濃度の過渡的な環境条件として,「炉水環境 (塩化物イオン濃度は炉内の水質を模擬した 450ppm にて、温度を 240°Cで3時間, その後 7.0°C/hr で 50°Cま で降温,降温保持後、試験開始後 84 時間で試験終了) 及び、塩化物イオン濃度のより高い環境にさらされた 復水系統からRIPやCRDなどの原子炉設備に繋がる系 統を模擬した環境条件として、2パージ水環境(パー ジ水の流入した水質を模擬した塩化物イオン濃度 6000ppm で, 240°Cで3時間,その後 7.0Chr で 50°Cま で降温,試験開始後 84 時間で試験終了)の2条件で試 験を実施した。(3) 試験結果上記条件による材料試験により,以下の結果が得ら れた。Table 1 に平板試験の結果を示す。平板試験でステン レス鋳鋼(SCS19A)に確認された腐食の状況を Fig.13 に示す。また,Table 2に重ね合せ試験の結果を示す。 重ね合せ試験でオーステナイト系ステンレス鋼 (SUS304)に確認された腐食の状況を Fig.14 に示す。平板試験 ・ステンレス鋳鋼(SCS19A)で、最大深さ約 60umの腐食孔が観察された。 他の材料(SUS403, SUS304, SUS316(LC) , SUS316L, XM-19, Y308L, Y316L, NCF600, X-750, Alloy82, SA-533 TypeB Classi, STPT410)では、いずれも局部腐食は確認111されなかった。 ・低合金鋼(SA-533 TypeB Classl)と炭素鋼(STPT410)で全面腐食が認められたが,試験時間(84hr)の 減肉量はそれぞれ、約11um 及び約6umであった。Table 1A list of test conditions and results一試験結果 續 炉水環境、パージ?象部位例」配管伊SUS403局部腐食なし局部腐食なしSUS304局部腐食なし局部腐食なしSUS316(L局部腐食なし局部腐食なしUW較館FMCRD RPV、炉内構造物、計装 RPV内物 QR, CUW 炉内構築R装SUS316L局部腐食なしXM-19局部腐食なしY308L局部腐食なし | 局部腐食なしRPV, 炉内構造物RIP 炉内構造物Y316L局部腐食なしNCF600局部腐食なし局部腐食なしRPV, 炉内構造物RIP?精裝X-750局部腐食なしAlloy82局部腐食なし局部腐食なしRPV, 炉内構造物RIP 炉内構造物、CRSC$19A局部腐食ありRPV(ノズル部SA-533 Tipos Cul局部腐食なし 全面腐食あり配管弁STPT410 (炭素鋼)局部腐食なし 全面腐食あり職業 最大約60m300mFig13Surface observation results oftest specimen (SCS19A)b. 重ね合せ試験(すきま腐食試験) ・オーステナイト系ステンレス鋼 (SUS304, SUS316L, SCS19A, XM-19) 及びマルテンサイト系ステンレ ス鋼(SUS403) において すきま腐食(局部腐食) が確認された。 ・ニッケル基合金(NCF600, X-750) においては、 すきま腐食(局部腐食)の発生は確認されなかった。Table 2A list of test conditions and results試驗結果 材質炉水環境 パージ環境?象機器配管弁SUS403局部腐食あり、局部腐食ありSUS304局部腐食あり局部腐食ありCUW熱交、配管弁,FMCRD RIV内構造りUW較 炉内構造物, CRSUS316L局部腐食ありSCS19A局部腐食ありXM-19局部腐食あり炉内構造物, CR,装 RPV, 炉内構造物、計装 RPV、炉内構造物RIP 炉内構造物, 計装局部腐食なし 局部腐食ありSUS316(LC) |1eeeeeeeeeeeeeNCF600局部腐食なしX-750局部腐食なし配管弁STPT410 (炭素鋼)局部腐食なし 全面腐食ありJunesensenamonomage最大約44m500mmFig. 14 Surface observation resultsof test specimen (SUS304)また,ノンフィラービードオン試験片を用いた浸漬 試験では,ステンレス鋼、ニッケル基合金,炭素鋼の いずれの材料においても応力腐食割れ(ひび割れ)は 認められなかった。まとめ - 海水流入直後の高温で塩化物イオンを含む過渡環 境条件での腐食試験結果から,機器のすきま構造 となる部位のうち, マルテンサイト系ステンレス 鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼部材に局部 腐食が確認されており,すきま腐食を生じうる環 境条件であると評価した。 - 炭素鋼、低合金鋼においては全面腐食が発生した が,短時間の過渡環境にさらされた期間内での減 肉量は 10um 程度であり,有意な腐食量ではなか った。4.3.2 水質改善段階模擬試験 (1) 試験方法1900/04/21RHR系, CRD 系及び MUWC系の機器には、海水流 入後、低温(一時高温)で高濃度の塩化物を含む水に 長時間(20~300 日程度)さらされたことから,これら の機器に主として用いられているステンレス鋼,炭素 鋼を対象とした平板試験片及びすきま腐食を評価する ための重ね合せ試験片 (JIS G 0592 に準じる)を用いた 腐食試験を実施した。 Fig.15 に試験片の形状を示す。(20×40×210(20×40×2t) 平板試験片重ね合せ試験片 (材質:S25C) (材質:SUS304, SUS316L, SUS403,SUS630) (単位:mm) Fig.15 Schematic illustrations of test specimenまた, 焼嵌め構造のため分解ができない RHR ポンプ のベアリング(カーボン焼結体)とベアリングケース (SUS403)を組合せた試験体を製作し、腐食試験を実 施した。(2) 試験条件 ・ 海水混入後から水質改善段階の低温で高濃度の塩化 物イオンを含む環境として, RHR系, CRD 系, MUWC 系の各系統で,海水混入直後から海水浄化もしくは 塩水置換までの温度履歴や水質条件を整理し,これを 基に試験条件(温度,水質)を設定した。なお,試験の一部は、文献データリに基づき実機環境 の温度に対し温度を上げた加速環境 (40°C-→75°C :20 倍,60°C→75°C : 3.0 倍,40°C→55°C : 4.4 倍)とする ことで試験時間を設定した。Table 3 に各系統の試験条件を示す。Table 4に試験ケ ースを示す。(3) 試験結果上記条件による材料試験により,以下の結果が得ら れた。Table 4 に水質改善段階模擬試験の結果一覧を示す。 また, Fig.16 に重ね合せ試験のうち RHR(C)の環境を模擬した試験でマルテンサイト系ステンレス鋼 (SUS403)に確認された腐食の状況を示す。a. 平板試験平板試験 ・RHR(A) 条件2と RHR(C) の模擬環境下での 炭素鋼(S25C)の腐食試験の結果,いずれの試験 片も全面腐食が認められた。減肉量は RHR(C) の場合(試験時間 178h)で約 18um であった。 ・いずれの試験ケースにおいても、局部腐食は認め られなかった。Table 3 A list of the test conditions源 炉水SC CSP (450ppm Cl) (6000ppm CI) | (60,65ppmCl-) | (550ppm Cl.)RHR(A)条件)750×12ShrRHR(A)条件2 RHR(B)750×125hr750×40hr,750×23hRHR(C)550x108hr140°C4 140-550×12.2hr550x54hrCRD60CX5hr750×67.5hMUWC750×388b. 重ね合せ試験(すきま腐食試験) ・RHR(A) の条件の及び条件2, RHR (B), RHR(C), CRD 系,MUWC 系の各系統の腐食試験の 結果から,いずれもマルテンサイト系ステンレス 鋼(SUS403, SUS630) のすきま構造部位で局部腐 食が認められた。すきま腐食が生じた試験片のう ち多くの試験片では,すきま部のとばロ近傍に腐 食生成物が認められた。 ・一方、オーストナイト系ステンレス鋼(SUS304, SUS316L)では、いずれの系統の環境下でもすき ま腐食(局部腐食)は認められなかった。組合せ試験(ポンプベアリングとベアリングケースの組合せ模擬試験) ・RHR(A) 条件D及び RHR(C) の模擬環境下で の腐食試験の結果, SUS403 のすきま部に局部腐食113Table 4 A list of the test conditions and results試験環境(上段:水質(塩化物イオン),下段:温度×浸剤間)RHR(A)系条件1| RHR(A) 系条件2RHR(B) 系 | RHR(C)系CRDAMUWC系試驗片種類材質60ppm550ppm1450ppm 260ppm16000ppm 2550ppm550ppm75°C×125h75°C×125h175°C~40h 275°C × 23h1450ppm 265ppm 1140°C×4h 165°C×66h 255°C×108h腐食なし160°C×5h 275°C×68h75°C×388hSUS304腐食なし腐食なし腐食なし重ね合せ試験 (すきま腐食試験)SUS316L腐食なし腐食なし腐食なし腐食なし 腐食あり、SUS403腐食あり腐食あり、腐食あり腐食あり腐食あり 腐食ありSUS630腐食あり腐食あり腐食あり腐食あり 局部腐食なし 全面腐食あり平腐食あり 局部腐食なし 全面腐食あり、式S25C(炭素鋼) 組合せ試験 | カーボン焼 (ベアリングとベア! 結体/ リングケース) SUS403腐食あり腐食あり腐食さ 最大約477am2003CAN1500mFig.16 Surface observation results of test specimen (SUS403)が認められた。一方, カーボン焼結体には腐食は 認められなかった。 ・SUS403 とカーボン焼結体のすきまのとば口で腐食 生成物が認められた。(4) まとめ ・RHR 系, CRD 系及び MUWC系の各系統の水質を 考慮した温度加速条件での腐食試験の結果から, いずれの条件においても, マルテンサイト系ステ ンレス鋼のすきま構造部位において、局部腐食が 認められた。 ・RHR 系の環境を模擬した腐食試験の結果から,炭 素鋼に全面腐食が認められたが,過渡環境にさら された期間内での減肉量は 20 μm程度であり,有 意な腐食量ではなかった。 ・RHR ポンプのベアリング部の環境を模擬した腐食 試験の結果から, SUS403 に局部腐食が認められた。 焼嵌め構造に塩化物イオンが浸入したものと考え られた。5. 結言海水が流入した設備の分解,開放点検や材料試験を 継続して行っており,7月より原子炉を開放して炉内設 備の点検を行う計画である。年内を目途に点検及び試 験結果を踏まえた設備の健全性評価を完了する予定で ある。なお,機械設備の健全性評価にあたっては、株式会 社東芝及び日立GE ニュークリア・エナジー株式会社の 技術的支援を受けるとともに、社内に設備健全性評価 検討委員会を設置し,社外専門家のご意見を踏まえな がら検討を進めている。東北大学 庄子教授をはじめ, 同 渡辺教授,腐食防食協会 辻川東京大学名誉教授, 静岡大学 東郷教授,同 藤井助教及び日本原子力研究 開発機構 山本GLには、多忙の中委員を引き受けて頂 き多くの助言を頂いたことを、心よりお礼申し上げま す。参考文献 [I] 中部電力株式会社 河原子力発電所5 第機における外器館鸚の影響が調暦についで、平成24年4月 [2] ステンレス鋼覧 第3版 ステンレス協会編 日刊工業新聞社m325. [3] 腐塗・防食ンドブック,腐食協会編 株式会社, 9 松他 材料と環境, 58, p.378-385 2009)114“ “浜岡原子力発電所5号機主復水器細管損傷の影響調査“ “市川 義浩,Yoshihiro ICHIKAWA,釘本 三男,Mitsuo KUGIMOTO,渡辺 哲也,Tetsuya WATANABE,三谷 和己,Kazumi MITANI,山本 優介,Yusuke YAMAMOTO