可搬型 950keVXバンドライナック X 線源による非破壊検査の実証研究
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カテゴリ: 第9回
1. はじめに
は判断できない保温材下の腐食を感知できる非破壊検査技術の開発が強く求められている。現在は、中性子水分 昨今の社会的要請として大型構造物の複雑化・老朽化 計を用いて保温材中の水分を検出するようなシステムも に伴い、そのメンテナンスが重要な課題となってきた。 開発され、ある程度、腐食箇所の予測はできるようにな 橋梁や大型プラントなど人工物の寿命延長・保全・品質 ってきている。ただし、腐食箇所の特定や減肉状況の定 確保のため、構造物の亀裂や減肉検査、支柱等の腐食検量的な評価には、イメージングが可能な X 線撮影による 査などには検査に伴う莫大な費用が発生している。その 検出に期待が寄せられている。 最たる例として、鹿島石油化学コンビナートでは、配管 本研究では鹿島石油化学コンビナートの配管腐食検査 の外面腐食が問題となっている。特に鹿島のコンビナー に応用するため X 線発生装置を評価し、配管サンプルの トの場合は海が隣接し、厳しい塩害のために他地域に比 透過像を秒単位で撮影することを目指している。 べて塔や配管の外面腐食が激しく、メンテナンス上の課 題となっている。メンテナンスは塔や配管の内面の減肉2 改良型Xバンド 950KeV ライナック 量から寿命を予測し、計画的に実施されているが、外面図1に本研究で用いたXバンド950keV ライナックを示 腐食に関しては、仮設足場の設置、保温材の撤去、プラ す。システム全体は電力供給ボックスを含めて 3 つのス ントの停止など多大な費用が発生する。特に最近発生しーツケースサイズのユニットで構成されている。また電 ている外面腐食は保温材破損部での発生が 5%程度であり、 子ビームエネルギーを 950KeV にすることで、放射線障害 大半は外装健全部で発生している。このため、外観から防止法に基づいた管理区域の設置が必要なく、装置を直- 176 - 透過度計 F32 を4.3mm厚さの鉄板8枚重なったサンプルに新しいが 0.8mm 鉄棒、
参考文献 [1] Ming Jin, et al., “Upgraded X-band 950keV Linac X-ray Source for On-site Inspection at petrochemical Complex”, Proceedlings of IPAC2011, p.3574-3576(2011). (2] Ming Jin, et al., “Nondestructive Test for Pipe of Petrochemical Complex using Upgraded X-band 950 keV Linac X-ray Source”, Proceedings of 8th Annual meeting of PASJ (2011). [3] Haifeng Jin, et al., “Application of X-band 3.95MeV linac X-ray source for on-site bridge inspection”, Proceedings of IPAC2011, p.3571-3573 (2011) [4] Takuya Natsui, et al., ““Development of a Portable 950 keV X-band Linac for NDT” The American Institue of Physics Conference Proceedings Series Volume 1099 75-78 2009
図6 透過度計 F32 を4.3mm厚さの鉄板8枚重なったサンプルに貼った透過像(測定時間 2s)4 まとめと今後の課題透過試験において300kVX線管で5分掛って撮影した配 管を本装置は間接型フラットパネルディテクターを用い て1秒で撮影できた。しかし高いX線エネルギーに対す るパーキンエルマの検出効率が低いためより効率が高い 固体コンバータ付きガス検出器、重元素シンチレータ検 出器などを検討している。(平成24年7月3日)Haifeng Jin, et al., “Application of X-band 3.95MeV linac - 178 -“ “可搬型 950keVXバンドライナック X 線源による非破壊検査の実証研究“ “金 明,Ming JIN,藤原 健,Takeshi FUJIWARA,朱 海寿,Haitao ZHU,土橋 克広,Katsuhiro DOBASHI,出町 和之,Kazuyuki DEMACHI,上坂 充,Mitsuru UESAKA,草野 譲一,Joichi KUSANO,山本 昌志,Masashi YAMAMOTO,中村 直樹,Naoki NAKAMURA,田辺 英二,Eiji TANABE,三浦 到,Itaru MIURA,服部 行也,Yukiya HATTORI
は判断できない保温材下の腐食を感知できる非破壊検査技術の開発が強く求められている。現在は、中性子水分 昨今の社会的要請として大型構造物の複雑化・老朽化 計を用いて保温材中の水分を検出するようなシステムも に伴い、そのメンテナンスが重要な課題となってきた。 開発され、ある程度、腐食箇所の予測はできるようにな 橋梁や大型プラントなど人工物の寿命延長・保全・品質 ってきている。ただし、腐食箇所の特定や減肉状況の定 確保のため、構造物の亀裂や減肉検査、支柱等の腐食検量的な評価には、イメージングが可能な X 線撮影による 査などには検査に伴う莫大な費用が発生している。その 検出に期待が寄せられている。 最たる例として、鹿島石油化学コンビナートでは、配管 本研究では鹿島石油化学コンビナートの配管腐食検査 の外面腐食が問題となっている。特に鹿島のコンビナー に応用するため X 線発生装置を評価し、配管サンプルの トの場合は海が隣接し、厳しい塩害のために他地域に比 透過像を秒単位で撮影することを目指している。 べて塔や配管の外面腐食が激しく、メンテナンス上の課 題となっている。メンテナンスは塔や配管の内面の減肉2 改良型Xバンド 950KeV ライナック 量から寿命を予測し、計画的に実施されているが、外面図1に本研究で用いたXバンド950keV ライナックを示 腐食に関しては、仮設足場の設置、保温材の撤去、プラ す。システム全体は電力供給ボックスを含めて 3 つのス ントの停止など多大な費用が発生する。特に最近発生しーツケースサイズのユニットで構成されている。また電 ている外面腐食は保温材破損部での発生が 5%程度であり、 子ビームエネルギーを 950KeV にすることで、放射線障害 大半は外装健全部で発生している。このため、外観から防止法に基づいた管理区域の設置が必要なく、装置を直- 176 - 透過度計 F32 を4.3mm厚さの鉄板8枚重なったサンプルに新しいが 0.8mm 鉄棒、
参考文献 [1] Ming Jin, et al., “Upgraded X-band 950keV Linac X-ray Source for On-site Inspection at petrochemical Complex”, Proceedlings of IPAC2011, p.3574-3576(2011). (2] Ming Jin, et al., “Nondestructive Test for Pipe of Petrochemical Complex using Upgraded X-band 950 keV Linac X-ray Source”, Proceedings of 8th Annual meeting of PASJ (2011). [3] Haifeng Jin, et al., “Application of X-band 3.95MeV linac X-ray source for on-site bridge inspection”, Proceedings of IPAC2011, p.3571-3573 (2011) [4] Takuya Natsui, et al., ““Development of a Portable 950 keV X-band Linac for NDT” The American Institue of Physics Conference Proceedings Series Volume 1099 75-78 2009
図6 透過度計 F32 を4.3mm厚さの鉄板8枚重なったサンプルに貼った透過像(測定時間 2s)4 まとめと今後の課題透過試験において300kVX線管で5分掛って撮影した配 管を本装置は間接型フラットパネルディテクターを用い て1秒で撮影できた。しかし高いX線エネルギーに対す るパーキンエルマの検出効率が低いためより効率が高い 固体コンバータ付きガス検出器、重元素シンチレータ検 出器などを検討している。(平成24年7月3日)Haifeng Jin, et al., “Application of X-band 3.95MeV linac - 178 -“ “可搬型 950keVXバンドライナック X 線源による非破壊検査の実証研究“ “金 明,Ming JIN,藤原 健,Takeshi FUJIWARA,朱 海寿,Haitao ZHU,土橋 克広,Katsuhiro DOBASHI,出町 和之,Kazuyuki DEMACHI,上坂 充,Mitsuru UESAKA,草野 譲一,Joichi KUSANO,山本 昌志,Masashi YAMAMOTO,中村 直樹,Naoki NAKAMURA,田辺 英二,Eiji TANABE,三浦 到,Itaru MIURA,服部 行也,Yukiya HATTORI