高速炉の蒸気発生器伝熱管用 マルチコイル型 RF-ECT センサの開発
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カテゴリ: 第9回
1. 緒言
2. マルチコイル型 RF-ECT センサ * ナトリウム冷却型高速増殖炉の蒸気発生器で採用を計2 重伝熱管の肉厚の 20%相当深さの欠陥(全周減肉、 画している直管型2重伝熱管は、高Cr鋼(強磁性体)製 スリット等)の検出を目標にマルチコイル型 RF-ECT セ の内外管を冷間引き抜き加工で密着させて製作される。 ンサの欠陥検出性能の向上のため、最適なコイルサイズ 伝熱管は、外径 19mm、肉厚 3.1mm(外管 1.7mm、内管 や配置、チャンネル数を解析と試作モデルで検証し、微 1.4mm)で、内外管にギャップ3um(公称値)が存在す 小欠陥の検出に適したセンサを製作したい? (Fig.2参照)。 る構造である (Fig.1 参照)。内外管にギャップが存在する 微小欠陥の検出性を高めるために、励磁コイルを検出コ ため、内挿コイルによる検査では外管外面の欠陥検出性 イルの前後に配置するとともに、励磁コイル長を長尺化 能に影響が懸念される。本研究では、き裂やピンホール して巻数を増やし、励磁力を向上させたい。次に分解能を のような微小欠陥に対する検出性に優れ、サイジングに 高めるために、検出コイルを周方向に 12 個 (差動 24個) 必要な空間分解能を有するマルチコイル型 RF-ECT セン 配置させた。センサの伝熱管内(内径12mm 程度)へ サを開発し、2重伝熱管における欠陥検出性試験を行った。 の挿入性を考慮し、センサの外径は10.8mm とした。また、センサが伝熱管の中心を通過してリフトオフの影響 を抑えるために、調芯機構を設けた。微小欠陥の検出に適した探傷条件を求め、励磁周波数 は欠陥信号の振幅(S)が最大となる 250Hz と欠陥振幅(S) と無欠陥部のノイズ(N) との比(SN) が最大となる 500Hz を選定し、探傷速度は 200min/sで試験を行った4-1。
Outer Diam. 019.0mmGap 3nme.SteamStabilizerExcitationDetectionExeitationiStabilizerCoilCoilInner SodiumOuterSteam GeneratorDouble-wall tubeFig.1 JSFR SG and schematic of double wall tubeSimulation modelMultiple coil連絡先:山口 智彦、〒919-1279 福井県敦賀市白木1、 日本原子力研究開発機構 FBR プラント工学研究セ ンター、yamaguchi.toshihiko@jaea.go.jpFig.2 Overview of multiple RF-ECT sensorand simulation model.- 273 -Fig.1 JSFR SG and schematic of double wall tubeSimulation modelMultiple coil絡先:山口 智彦、〒919-1279 福井県敦賀市白木1、 本原子力研究開発機構 FBR プラント工学研究セ ター、yamaguchi.toshihiko@jaea.go.jpFig.2 Overview of multiple RF-ECT sensorand simulation model.- 273 - 連絡先:山口 智彦、〒919-1279 福井県敦賀市白木1、 日本原子力研究開発機構 FBR プラント工学研究セ ンター、yamaguchi.toshihiko@jaea.go.jp や配置、チャンネル数を解析と試作モデルで検証し、微 小欠陥の検出に適したセンサを製作した13 (Fig.2 参照)。 微小欠陥の検出性を高めるために、励磁コイルを検出コStabilizerDetectionStabilizerExcitationCoilCollExeitationCoil1000COCOSimulation modelMultiple coilt01.........K1時・・・(Ai Stulity,3.2 疲労き裂の検出性能 - 放電加工による欠陥より開口部の狭いき裂状の欠陥の 検出性を把握する目的で疲労試験機により付与したき裂 の検出性試験を実施し、マルチコイル型 RF-ECT センサ の 2 重伝熱管への適用性を評価した。試験に使用する疲 労試験片は、引張荷重負荷方式で低荷重かつ低サイクル 引張荷重で疲労を与えて製作した。試験機には、電気油 圧疲労試験機(荷重要領 ±200kN)を使用し、最大 73.5kN、 最小 7.3kN 内で、サイン波(5~10Hz)の条件とした。引張疲労試験の風景と疲労き裂の破面写真をFig.6に示 す。製作したセンサを用い、欠陥検出性試験の結果例を Fig.7 に示す。試験結果より2重伝熱管外管外面に付与し た 50%t 深さの周方向疲労き裂、さらに、30% 深さの周 方向疲労き裂を疲労き裂の信号振幅対ノイズ比(S/N)が 2以上で検出できた(探傷速度:200mm/s)。Fatigue crack (30%tw; 1.00mm)Imaginary (V)RcaFatigue crack (50%tw; 1.55mm)2.10mmFig. 7 Experimental test results of multiple RF-ECT coilinspection for fatigue crack.11.00mm引張疲労試験の風景と疲労き裂の破面写真をFig.6に示 。製作したセンサを用い、欠陥検出性試験の結果例を(Ai Utulice」。3.2 疲労き裂の検出性能放電加工による欠陥より開口部の狭いき裂状の欠陥の 検出性を把握する目的で疲労試験機により付与したき裂 の検出性試験を実施し、マルチコイル型 RF-ECT センサ の 2 重伝熱管への適用性を評価した。試験に使用する疲 労試験片は、引張荷重負荷方式で低荷重かつ低サイクル 引張荷重で疲労を与えて製作した。試験機には、電気油 圧疲労試験機(荷重要領 ±200kN)を使用し、最大 73.5kN、 最小 7.3kN 内で、サイン波(5~10Hz)の条件とした。引張疲労試験の風景と疲労き裂の破面写真をFig.6に示 す。製作したセンサを用い、欠陥検出性試験の結果例を Fig.7 に示す。試験結果より2重伝熱管外管外面に付与し た 50%t 深さの周方向疲労き裂、さらに、30%t 深さの周 方向疲労き裂を疲労き裂の信号振幅対ノイズ比(SN)が 2以上で検出できた(探傷速度:200mm/s)。10....60601Real (V) Fatigue crack (30%tw; 1.00mm)YUXなったImaginary (V)キッー・・・ サこ・・2010.010203Real (V)Fatigue crack (50%tw; 1.55mm)2.10mmFig. 7 Experimental test results of multiple RF-ECT coilinspection for fatigue crack.(10mmFatigue testing machineOuterRettubeFatigue crack (30%w)3.80mmDouble walltubeような11411.55mm 12Outer! tubeFatigue crack (50%1g)Fatigue testingTube cross section ad cross sectional view of cracks.1300Thandestin参考文献 [1] Nondestructive Testing Handbook, Third Edition Volume5, Electromagnetic Testing, 2004. [2] O. Mihalache, T. Yamaguchi, ““3D RFEC Simulations forthe In-Service Inspection of Steam Generator Tubes in Fast Breeder Reactors““, International Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics, Vol33, pp.1165-1171,2010. [3] 山口智彦、ミハラケオビデウ、“高速増殖実証炉に向けた概念検討と関連技術開発 (9)構造物欠陥検査技術開発““、2010年春の年会、D34. [4] Mihalache Ovidiu, Toshihiko Yamaguchi, Masashi Ueda,Mamoru Konomura, “FEM simulations for ISI of double wall of SG tubes in JSFR using eddy currents” AnnualMeeting of the Atomic Energy Society Japan, 2010, J38. [5] 山口智彦、ミハラケオビデウ、“高速増殖実証炉に向けた保守技術開発構造物欠陥検査技術開発 (マルチ コイル型 RF-ECT センサ)”、2011 年秋の年会、M22.4.結論マルチコイル型 RF-ECT センサを製作し、直管型2重 伝熱管に付与した欠陥を用いて欠陥検出性試験を行った。 2重管構造の伝熱管において、外管外面の検出性の低下が 懸念されたが、外管外面の検出性は、内管内面に比べ 50% 程度低下するものの、検査目標である外面の 20%t 深さの 欠陥(全周減肉、周・軸方向ノッチ等)を SN 比2以上 で検出できることが確認できた。さらに、開口部の狭い き裂状欠陥の検出性を把握するために製作した 30%t 深 さの疲労き裂を検出可能であることがわかった。なお、 本報告は、経済産業省からの受託事業である「発電用新 型炉等技術開発」の一環として実施した成果である。- 275 -Fatigue testing machineDouble walltubeFatigue testing2,10mm1,000mmgue ngsineOuter tubeFatigue crack (30%tw)3.80mmle wallube975Outerli tubeFatigue crack (50% ) Fatigue testingTube cross section Fig.6 Fatigue testing and cross sectional view of cracks. 伝熱管に付与した欠陥を用いて欠陥検出性試験を行った。of XImaginary (V)-5するとHeal(V) 06(V)Trader.)Fatigue crack (30%tw; 1.00mm)|.......11. Imaginary (V)::::いい」““Rear(v32Fatigue crack (50%tw; 1.55mm) Meeting of the Atomic Energy Society Japan, 2010, J38. 山口智彦、ミハラケオビデウ、“高速増殖実証炉に向“ “高速炉の蒸気発生器伝熱管用 マルチコイル型 RF-ECT センサの開発“ “山口 智彦,Toshihiko YAMAGUCHI,ミハラケ ビック,Ovidiu MIHALACHE,上田 雅司,Masashi UEDA,山下 卓哉,Takuya YAMASHITA
2. マルチコイル型 RF-ECT センサ * ナトリウム冷却型高速増殖炉の蒸気発生器で採用を計2 重伝熱管の肉厚の 20%相当深さの欠陥(全周減肉、 画している直管型2重伝熱管は、高Cr鋼(強磁性体)製 スリット等)の検出を目標にマルチコイル型 RF-ECT セ の内外管を冷間引き抜き加工で密着させて製作される。 ンサの欠陥検出性能の向上のため、最適なコイルサイズ 伝熱管は、外径 19mm、肉厚 3.1mm(外管 1.7mm、内管 や配置、チャンネル数を解析と試作モデルで検証し、微 1.4mm)で、内外管にギャップ3um(公称値)が存在す 小欠陥の検出に適したセンサを製作したい? (Fig.2参照)。 る構造である (Fig.1 参照)。内外管にギャップが存在する 微小欠陥の検出性を高めるために、励磁コイルを検出コ ため、内挿コイルによる検査では外管外面の欠陥検出性 イルの前後に配置するとともに、励磁コイル長を長尺化 能に影響が懸念される。本研究では、き裂やピンホール して巻数を増やし、励磁力を向上させたい。次に分解能を のような微小欠陥に対する検出性に優れ、サイジングに 高めるために、検出コイルを周方向に 12 個 (差動 24個) 必要な空間分解能を有するマルチコイル型 RF-ECT セン 配置させた。センサの伝熱管内(内径12mm 程度)へ サを開発し、2重伝熱管における欠陥検出性試験を行った。 の挿入性を考慮し、センサの外径は10.8mm とした。また、センサが伝熱管の中心を通過してリフトオフの影響 を抑えるために、調芯機構を設けた。微小欠陥の検出に適した探傷条件を求め、励磁周波数 は欠陥信号の振幅(S)が最大となる 250Hz と欠陥振幅(S) と無欠陥部のノイズ(N) との比(SN) が最大となる 500Hz を選定し、探傷速度は 200min/sで試験を行った4-1。
Outer Diam. 019.0mmGap 3nme.SteamStabilizerExcitationDetectionExeitationiStabilizerCoilCoilInner SodiumOuterSteam GeneratorDouble-wall tubeFig.1 JSFR SG and schematic of double wall tubeSimulation modelMultiple coil連絡先:山口 智彦、〒919-1279 福井県敦賀市白木1、 日本原子力研究開発機構 FBR プラント工学研究セ ンター、yamaguchi.toshihiko@jaea.go.jpFig.2 Overview of multiple RF-ECT sensorand simulation model.- 273 -Fig.1 JSFR SG and schematic of double wall tubeSimulation modelMultiple coil絡先:山口 智彦、〒919-1279 福井県敦賀市白木1、 本原子力研究開発機構 FBR プラント工学研究セ ター、yamaguchi.toshihiko@jaea.go.jpFig.2 Overview of multiple RF-ECT sensorand simulation model.- 273 - 連絡先:山口 智彦、〒919-1279 福井県敦賀市白木1、 日本原子力研究開発機構 FBR プラント工学研究セ ンター、yamaguchi.toshihiko@jaea.go.jp や配置、チャンネル数を解析と試作モデルで検証し、微 小欠陥の検出に適したセンサを製作した13 (Fig.2 参照)。 微小欠陥の検出性を高めるために、励磁コイルを検出コStabilizerDetectionStabilizerExcitationCoilCollExeitationCoil1000COCOSimulation modelMultiple coilt01.........K1時・・・(Ai Stulity,3.2 疲労き裂の検出性能 - 放電加工による欠陥より開口部の狭いき裂状の欠陥の 検出性を把握する目的で疲労試験機により付与したき裂 の検出性試験を実施し、マルチコイル型 RF-ECT センサ の 2 重伝熱管への適用性を評価した。試験に使用する疲 労試験片は、引張荷重負荷方式で低荷重かつ低サイクル 引張荷重で疲労を与えて製作した。試験機には、電気油 圧疲労試験機(荷重要領 ±200kN)を使用し、最大 73.5kN、 最小 7.3kN 内で、サイン波(5~10Hz)の条件とした。引張疲労試験の風景と疲労き裂の破面写真をFig.6に示 す。製作したセンサを用い、欠陥検出性試験の結果例を Fig.7 に示す。試験結果より2重伝熱管外管外面に付与し た 50%t 深さの周方向疲労き裂、さらに、30% 深さの周 方向疲労き裂を疲労き裂の信号振幅対ノイズ比(S/N)が 2以上で検出できた(探傷速度:200mm/s)。Fatigue crack (30%tw; 1.00mm)Imaginary (V)RcaFatigue crack (50%tw; 1.55mm)2.10mmFig. 7 Experimental test results of multiple RF-ECT coilinspection for fatigue crack.11.00mm引張疲労試験の風景と疲労き裂の破面写真をFig.6に示 。製作したセンサを用い、欠陥検出性試験の結果例を(Ai Utulice」。3.2 疲労き裂の検出性能放電加工による欠陥より開口部の狭いき裂状の欠陥の 検出性を把握する目的で疲労試験機により付与したき裂 の検出性試験を実施し、マルチコイル型 RF-ECT センサ の 2 重伝熱管への適用性を評価した。試験に使用する疲 労試験片は、引張荷重負荷方式で低荷重かつ低サイクル 引張荷重で疲労を与えて製作した。試験機には、電気油 圧疲労試験機(荷重要領 ±200kN)を使用し、最大 73.5kN、 最小 7.3kN 内で、サイン波(5~10Hz)の条件とした。引張疲労試験の風景と疲労き裂の破面写真をFig.6に示 す。製作したセンサを用い、欠陥検出性試験の結果例を Fig.7 に示す。試験結果より2重伝熱管外管外面に付与し た 50%t 深さの周方向疲労き裂、さらに、30%t 深さの周 方向疲労き裂を疲労き裂の信号振幅対ノイズ比(SN)が 2以上で検出できた(探傷速度:200mm/s)。10....60601Real (V) Fatigue crack (30%tw; 1.00mm)YUXなったImaginary (V)キッー・・・ サこ・・2010.010203Real (V)Fatigue crack (50%tw; 1.55mm)2.10mmFig. 7 Experimental test results of multiple RF-ECT coilinspection for fatigue crack.(10mmFatigue testing machineOuterRettubeFatigue crack (30%w)3.80mmDouble walltubeような11411.55mm 12Outer! tubeFatigue crack (50%1g)Fatigue testingTube cross section ad cross sectional view of cracks.1300Thandestin参考文献 [1] Nondestructive Testing Handbook, Third Edition Volume5, Electromagnetic Testing, 2004. [2] O. Mihalache, T. Yamaguchi, ““3D RFEC Simulations forthe In-Service Inspection of Steam Generator Tubes in Fast Breeder Reactors““, International Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics, Vol33, pp.1165-1171,2010. [3] 山口智彦、ミハラケオビデウ、“高速増殖実証炉に向けた概念検討と関連技術開発 (9)構造物欠陥検査技術開発““、2010年春の年会、D34. [4] Mihalache Ovidiu, Toshihiko Yamaguchi, Masashi Ueda,Mamoru Konomura, “FEM simulations for ISI of double wall of SG tubes in JSFR using eddy currents” AnnualMeeting of the Atomic Energy Society Japan, 2010, J38. [5] 山口智彦、ミハラケオビデウ、“高速増殖実証炉に向けた保守技術開発構造物欠陥検査技術開発 (マルチ コイル型 RF-ECT センサ)”、2011 年秋の年会、M22.4.結論マルチコイル型 RF-ECT センサを製作し、直管型2重 伝熱管に付与した欠陥を用いて欠陥検出性試験を行った。 2重管構造の伝熱管において、外管外面の検出性の低下が 懸念されたが、外管外面の検出性は、内管内面に比べ 50% 程度低下するものの、検査目標である外面の 20%t 深さの 欠陥(全周減肉、周・軸方向ノッチ等)を SN 比2以上 で検出できることが確認できた。さらに、開口部の狭い き裂状欠陥の検出性を把握するために製作した 30%t 深 さの疲労き裂を検出可能であることがわかった。なお、 本報告は、経済産業省からの受託事業である「発電用新 型炉等技術開発」の一環として実施した成果である。- 275 -Fatigue testing machineDouble walltubeFatigue testing2,10mm1,000mmgue ngsineOuter tubeFatigue crack (30%tw)3.80mmle wallube975Outerli tubeFatigue crack (50% ) Fatigue testingTube cross section Fig.6 Fatigue testing and cross sectional view of cracks. 伝熱管に付与した欠陥を用いて欠陥検出性試験を行った。of XImaginary (V)-5するとHeal(V) 06(V)Trader.)Fatigue crack (30%tw; 1.00mm)|.......11. Imaginary (V)::::いい」““Rear(v32Fatigue crack (50%tw; 1.55mm) Meeting of the Atomic Energy Society Japan, 2010, J38. 山口智彦、ミハラケオビデウ、“高速増殖実証炉に向“ “高速炉の蒸気発生器伝熱管用 マルチコイル型 RF-ECT センサの開発“ “山口 智彦,Toshihiko YAMAGUCHI,ミハラケ ビック,Ovidiu MIHALACHE,上田 雅司,Masashi UEDA,山下 卓哉,Takuya YAMASHITA