PD 資格試験開始から6年の実施状況
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カテゴリ: 第9回
1. はじめに
2005 年 11 月に電力中央研究所材料科学研究所に PD センターを設立し、日本非破壊検査協会規格 NDIS 06032005 の附属書に従い、沸騰水型軽水炉原子 力発電所のオーステナイト系ステンレス鋼配管溶接 部におけるき裂深さ測定の PD 資格試験を 2006年3 月より実施している。これまでに 2011年6月までの PD 資格試験の結果 について報告1-5)を行った。今回は 2012 年1月まで の PD 資格試験結果の報告に加え、これまでの試験 結果の傾向について報告する。
表1 これまでの新規受験者と再受験者の試験結果 新規/再認証受験者再受験者 受験時期 | 受験 | 合格。 (回数) | 新「再」新T再7RMSET驗」格
RMSE 規|認規認 2006年3月.13 | .| 3.33 (2回) 2006年4月-9月3.22 (7回) 2006年10月-2007年3月 | (3回)3.631.79 2007年4月-9月4 (3回)3 | 2.16 2007年10月-2008年3月 (3回)|3|2 | 2.03 2008年4月-9月 (3回)2.03 2008年10月-2009年3月 (2回)1.86 2009年4月-9月| 1.89 | (2回) 2009年10月-2010年3月(1回) 2010年4月-9月2.23 212 (2回)2 | 1.47 2010年10月-2011年3月 | (1回)0|2|0|2| 1.| 2| 1.92 | 2011年4-9月1 2.58 (2回) 2011年10月-2012年1月012年1月 | ||5||4| 279 |oto (3回) 計 34回 |47|9|18|7 | 3.64 | 29 | 19 | 2.36 |* :受験者の RMSE を算術平均(1名以下の場合は示さず)3-2-44.222. PD 資格試験の実施状況2.1. PD 試験結果102011 年度の PD 資格試験は上期2回、下期3回の 計5回実施した。全受験者は7名であり、そのうち 合格基準に達したものは5名であった。平成 17 年度 からの全受験者は 47 名(再受験を含む、延べ受験 者 : 85 名)であり、合格基準に達したものは44名で、 合格率は 79%であった。PD資格試験開始から6年間の新規受験者と再受験者 の受験者数、合格者数と SCC 深さ測定値の RMSE(Root Mean Square Error:平均自乗誤差)を表1に示す。RMSEは(1)のような式で表されるもので、受験者の測定技量 を示す指標である。Rose = 28-07-0101(m;tdi%3D1RMSE =n「連絡先:(一助電力中央研究所 材料科学研究所 PD センター 〒240-0196 神奈川県横須賀市長坂2丁目6-1http://criepi.denken.or.jp/pd/index.htmlm;: SCC 深さ測定値 1 : SCC 深さの真とする値n:試験体数受験者の測定技量は(1)のような式で表されるもので、受験者の測定 を示す指標である。mnRMSE = Lizi(mi ? t;)217nmy : SCC 深さ測定値 1 : SCC 深さの真とする値n:試験体数335- 表1より、新規受験者の RMSE は各期でばらつきが あるのに対して、再受験者のそれは比較的安定してい ることがわかる。これは初回受験者と再受験者との間 でのき裂測定の経験に起因するものと考えられる。な お,PD 認証更新の最大期間は 5 年であるため,平成 22 年度下期より PD 資格再認証試験を実施している。 平成 23 年度以降の当該受験者は9名で、このうち7名 が合格している。經受駭者60■ 合格者 (再認証合格者も含む)1900/01/30受験者数(人)1900/01/11改良UT固定角UTPA主体その他図1 PD試験で使用された探傷手法図1はこれまでの PD 試験で使用された探傷手順と その結果を示す。図中の数字は受験者の延べ人数であ る。ここでは手動超音波探傷器と横波,縦波およびモ ード変換波用探触子を組み合わせた手順を「手動 UT 法」, 手動 UT 法にフェーズドアレイ探傷法を組み合わ せた手順を「改良 UT 法」,フェーズドアレイ法を主と する手順を「PA 法」とした。図1より改良UT 法での 受験者及び合格者が他の方法のそれより圧倒的に多い こと及び手動 UT 法での合格率が低いことがわかる。第 11 期までの合格者及び不合格者の RMSE と誤差 (解答値-真とする値) の平均値の関係を図2に示す。 既報のとおり、PD 資格試験結果は以下に示す1及び2 の合否判定基準で評価される。 1 「SCC 深さ測定値の RMSE が 3.2 mm を超えないこと。」 2 「測定値は真とする値に対し 4.4 mm を超えて下回わらないこと」 図2 中の点線は PD 資格試験の合否判定基準の一つ である1を示している。RMSE が 3.2 mm 以下であっ ても、2の合否判定基準により不合格となった受験者 が存在することがわかる。また、合格者の 90%以上が 平均誤差+1 mm 範囲内であることがわかる。合格者のARIESE%3D1YRMSE(num)1899/12/31図2 受験者の RMSE と誤差の平均値うち RMSE が 2.5mm を超え平均誤差が 1mm 以内に あるのは少数のき裂を過大に測定した者である。一 方, RMSE が 2.5mm 程度で測定誤差の平均値が 1mm 超である受験者は、き裂深さを過大に測定する傾向 のある者であるといえる。・合格(新規+再試験) “再認証合格 ■不合格受験者数(人)
前店2006年 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 3月上下期上期下期上期下期上期下期上期期上期下期図3 PD 受験者数と結果の推移2.2. PD試験受験者の傾向これまでの PD 受験者数と結果の推移を図3に示す。 PD試験開始が平成18年3月であるため平成17年下期 は1カ月間のみであるが、平成18年上期をピークに受 験者数が減少しているものの、その後は平成 22 年上期 までほぼ一定の受験者数で推移していることがわかる。 この推移は、PD 資格試験初期における PD 有資格者所 属先の教育的な位置づけとしての PD 資格取得段階と に起因するものと考えられる。1900/12/01不合格者測定誤差の標準偏差(mm)11020304000 700肉厚に対するぎさ区分(%) 図4 き裂高さと測定誤差の標準偏差2.3. PD 資格試験の統計分析図4は試験体肉厚に対するき裂深さ区分毎の測定誤 差の標準偏差を合格者と不合格者に分けて示す。合格 者の標準偏差はき裂の深さに関わらず約 1~2.5mm の 範囲内にある。一方,不合格者の標準偏差は試験体肉 厚に対するき裂深さが極端に大きい場合及び小さい場 合以外の領域において大きくなっていることがわかる。 これは不合格者のき裂深さ測定値がこの範囲のき裂に 対してばらついていることを示している。この結果か ら、不合格者はこの深さ範囲のき裂について重点的に 練習を重ねる必要があると考えられる。これまでの全受験者のき裂深さ測定誤差の統計分析 結果を表2に示す。表2より全受験者の平均誤差は0.65 mm、標準偏差は 3.70 mm である。これに対して、合格 者の平均誤差は 0.32 mm、標準誤差は1.93 mm である。 これは、PD 資格試験合格者のき裂深さ測定精度が高い ことを示すものである。 PD試験合格者の測定誤差のヒストグラムに PD試験表2 PD試験の統計分析結果データ数 | n(個) 850平均 | 標準偏差 u(mm) o(mm) 0.65 3.70全受験者数合格者 不合格者1901/03/150.321899/12/31 22:19:121901/02/131900/01/101900/01/13 21:50:24合格者の測定誤差の度数分布から求めた確率密度曲線 を図5に示す。なお、正規分布はヒストグラム及び PD 試験合格者の測定誤差の度数分布から求めた確率密度 曲線の偏りを明らかにするため、誤差がゼロの分布 N (0.0, 1.93-により求めた確率密度曲線を併せて示したN(0, 1.93)NO.32, 1.93)N(p,):誤差邪均一 0:標準偏差ライン-15-12- 9630_3691215計測誤差(mm)図5 PD試験合格者の計測誤差の分布この図より、PD 試験合格者の度数分布の位置が若干プ ラス側に偏っているように見受けられる。この度数分 布のプラス側への偏りは、前述の合格基準2による受 験者の自制作用回避のために大きい値へ読むヒューマ ンエラーに起因すると推察される。 - 既報のとおり、PD 資格試験合格者が実際の現場で SCC 深さを測定する場合、合格基準2を考慮する必要 はないことから実際の測定誤差の分布はより正規分布 に近づくと考えられる。PD 資格試験合格者の測定値 が合格基準2に抵触する確率 P(x)は、合格者の正規分 布 N (0.32, 1.933)と以下の(3)式に示す下側累積確率 P(x) で計算できる。P(x) = [ f(x) dt ... (3)(3)による結果から P(x)=0.0066(0.66%)となる。これは、 PD 資格試験制度設計段階において古川らが算出した 「ある誤差を有する集団が PD 試験に合格して SCC を 測定した時に、誤差が-4.4mm を超える確率」である 最大 5%Oより十分下回っている。3373. まとめ_PLR 配管溶接部に発生するき裂の深さ測定に関する PD 資格試験を開始してから6年が経過した。これまで、計 34 回の試験を実施し、合格基準に達した人は再認証者も 含めて 47名となった。これまでの試験結果の解析で得ら れた結果は以下の通りである。 1) PD 資格試験ではフェーズドアレイと手動探傷を組 * み合せた手順書を用いた受験者の合格率が高い。 2) PD 試験合格者の測定精度はいずれのき裂深さにお いても高精度で測定できる。一方、不合格者の標準 偏差は試験体肉厚に対するき裂深さが極端に大きい 場合及び小さい場合以外の領域において大きい。 3) 全受験者の平均誤差は 0.65 mm、標準偏差は 3.70 mm であるのに対し、PD 資格試験合格者の平均誤差 は 0.32 mm、標準偏差は 1.93 mm であることから、PD 資格試験合格者のき裂深さ測定の精度の高さを確認 できた。 4) PD 資格試験合格者の測定値が真とする値に対して 4.4mm を超えて下回る確率は 0.66%であり PD制度設計時の計画値である5%を十分にクリアしている。1参考文献 [1] 笹原,直本,秀, 神戸 “PD 資格試験開始から一年の実施状況”第4回保全学会予稿集, 福井, 2007. [2] 直本, 笹原, 秀“PD 資格試験開始から2年の実施状況” 第5回保全学会予稿集, 水戸, 2008. [3] 秀,笹原,直本,渡辺“PD 資格試験開始から 4年の実施状況”第7回保全学会予稿集,静岡, 2010. [4] 渡辺,笹原, 東海林, 秀“PD 資格試験開始から5 一年の実施状況”第8回保全学会特別編予稿集, 東京, 2011. [5] 笹原,直本,秀,井上“SCC 深さ測定の PD 試験受験者の技量評価”保全学, Vol.9 No.1, p.44, 2010. [6] 古川,古村,米山,山口 “超音波探傷試験によるき裂深さサイジングにおける教育訓練目標の指標 について”保全学, Vol.4 No.3, p.54, 2005.338“ “PD 資格試験開始から6年の実施状況“ “渡辺 恵司,Keiji WATANABE,東海林 一,Hajime SHOHJI,秀 耕一郎,Koichiro HIDE
2005 年 11 月に電力中央研究所材料科学研究所に PD センターを設立し、日本非破壊検査協会規格 NDIS 06032005 の附属書に従い、沸騰水型軽水炉原子 力発電所のオーステナイト系ステンレス鋼配管溶接 部におけるき裂深さ測定の PD 資格試験を 2006年3 月より実施している。これまでに 2011年6月までの PD 資格試験の結果 について報告1-5)を行った。今回は 2012 年1月まで の PD 資格試験結果の報告に加え、これまでの試験 結果の傾向について報告する。
表1 これまでの新規受験者と再受験者の試験結果 新規/再認証受験者再受験者 受験時期 | 受験 | 合格。 (回数) | 新「再」新T再7RMSET驗」格
RMSE 規|認規認 2006年3月.13 | .| 3.33 (2回) 2006年4月-9月3.22 (7回) 2006年10月-2007年3月 | (3回)3.631.79 2007年4月-9月4 (3回)3 | 2.16 2007年10月-2008年3月 (3回)|3|2 | 2.03 2008年4月-9月 (3回)2.03 2008年10月-2009年3月 (2回)1.86 2009年4月-9月| 1.89 | (2回) 2009年10月-2010年3月(1回) 2010年4月-9月2.23 212 (2回)2 | 1.47 2010年10月-2011年3月 | (1回)0|2|0|2| 1.| 2| 1.92 | 2011年4-9月1 2.58 (2回) 2011年10月-2012年1月012年1月 | ||5||4| 279 |oto (3回) 計 34回 |47|9|18|7 | 3.64 | 29 | 19 | 2.36 |* :受験者の RMSE を算術平均(1名以下の場合は示さず)3-2-44.222. PD 資格試験の実施状況2.1. PD 試験結果102011 年度の PD 資格試験は上期2回、下期3回の 計5回実施した。全受験者は7名であり、そのうち 合格基準に達したものは5名であった。平成 17 年度 からの全受験者は 47 名(再受験を含む、延べ受験 者 : 85 名)であり、合格基準に達したものは44名で、 合格率は 79%であった。PD資格試験開始から6年間の新規受験者と再受験者 の受験者数、合格者数と SCC 深さ測定値の RMSE(Root Mean Square Error:平均自乗誤差)を表1に示す。RMSEは(1)のような式で表されるもので、受験者の測定技量 を示す指標である。Rose = 28-07-0101(m;tdi%3D1RMSE =n「連絡先:(一助電力中央研究所 材料科学研究所 PD センター 〒240-0196 神奈川県横須賀市長坂2丁目6-1http://criepi.denken.or.jp/pd/index.htmlm;: SCC 深さ測定値 1 : SCC 深さの真とする値n:試験体数受験者の測定技量は(1)のような式で表されるもので、受験者の測定 を示す指標である。mnRMSE = Lizi(mi ? t;)217nmy : SCC 深さ測定値 1 : SCC 深さの真とする値n:試験体数335- 表1より、新規受験者の RMSE は各期でばらつきが あるのに対して、再受験者のそれは比較的安定してい ることがわかる。これは初回受験者と再受験者との間 でのき裂測定の経験に起因するものと考えられる。な お,PD 認証更新の最大期間は 5 年であるため,平成 22 年度下期より PD 資格再認証試験を実施している。 平成 23 年度以降の当該受験者は9名で、このうち7名 が合格している。經受駭者60■ 合格者 (再認証合格者も含む)1900/01/30受験者数(人)1900/01/11改良UT固定角UTPA主体その他図1 PD試験で使用された探傷手法図1はこれまでの PD 試験で使用された探傷手順と その結果を示す。図中の数字は受験者の延べ人数であ る。ここでは手動超音波探傷器と横波,縦波およびモ ード変換波用探触子を組み合わせた手順を「手動 UT 法」, 手動 UT 法にフェーズドアレイ探傷法を組み合わ せた手順を「改良 UT 法」,フェーズドアレイ法を主と する手順を「PA 法」とした。図1より改良UT 法での 受験者及び合格者が他の方法のそれより圧倒的に多い こと及び手動 UT 法での合格率が低いことがわかる。第 11 期までの合格者及び不合格者の RMSE と誤差 (解答値-真とする値) の平均値の関係を図2に示す。 既報のとおり、PD 資格試験結果は以下に示す1及び2 の合否判定基準で評価される。 1 「SCC 深さ測定値の RMSE が 3.2 mm を超えないこと。」 2 「測定値は真とする値に対し 4.4 mm を超えて下回わらないこと」 図2 中の点線は PD 資格試験の合否判定基準の一つ である1を示している。RMSE が 3.2 mm 以下であっ ても、2の合否判定基準により不合格となった受験者 が存在することがわかる。また、合格者の 90%以上が 平均誤差+1 mm 範囲内であることがわかる。合格者のARIESE%3D1YRMSE(num)1899/12/31図2 受験者の RMSE と誤差の平均値うち RMSE が 2.5mm を超え平均誤差が 1mm 以内に あるのは少数のき裂を過大に測定した者である。一 方, RMSE が 2.5mm 程度で測定誤差の平均値が 1mm 超である受験者は、き裂深さを過大に測定する傾向 のある者であるといえる。・合格(新規+再試験) “再認証合格 ■不合格受験者数(人)
前店2006年 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 3月上下期上期下期上期下期上期下期上期期上期下期図3 PD 受験者数と結果の推移2.2. PD試験受験者の傾向これまでの PD 受験者数と結果の推移を図3に示す。 PD試験開始が平成18年3月であるため平成17年下期 は1カ月間のみであるが、平成18年上期をピークに受 験者数が減少しているものの、その後は平成 22 年上期 までほぼ一定の受験者数で推移していることがわかる。 この推移は、PD 資格試験初期における PD 有資格者所 属先の教育的な位置づけとしての PD 資格取得段階と に起因するものと考えられる。1900/12/01不合格者測定誤差の標準偏差(mm)11020304000 700肉厚に対するぎさ区分(%) 図4 き裂高さと測定誤差の標準偏差2.3. PD 資格試験の統計分析図4は試験体肉厚に対するき裂深さ区分毎の測定誤 差の標準偏差を合格者と不合格者に分けて示す。合格 者の標準偏差はき裂の深さに関わらず約 1~2.5mm の 範囲内にある。一方,不合格者の標準偏差は試験体肉 厚に対するき裂深さが極端に大きい場合及び小さい場 合以外の領域において大きくなっていることがわかる。 これは不合格者のき裂深さ測定値がこの範囲のき裂に 対してばらついていることを示している。この結果か ら、不合格者はこの深さ範囲のき裂について重点的に 練習を重ねる必要があると考えられる。これまでの全受験者のき裂深さ測定誤差の統計分析 結果を表2に示す。表2より全受験者の平均誤差は0.65 mm、標準偏差は 3.70 mm である。これに対して、合格 者の平均誤差は 0.32 mm、標準誤差は1.93 mm である。 これは、PD 資格試験合格者のき裂深さ測定精度が高い ことを示すものである。 PD試験合格者の測定誤差のヒストグラムに PD試験表2 PD試験の統計分析結果データ数 | n(個) 850平均 | 標準偏差 u(mm) o(mm) 0.65 3.70全受験者数合格者 不合格者1901/03/150.321899/12/31 22:19:121901/02/131900/01/101900/01/13 21:50:24合格者の測定誤差の度数分布から求めた確率密度曲線 を図5に示す。なお、正規分布はヒストグラム及び PD 試験合格者の測定誤差の度数分布から求めた確率密度 曲線の偏りを明らかにするため、誤差がゼロの分布 N (0.0, 1.93-により求めた確率密度曲線を併せて示したN(0, 1.93)NO.32, 1.93)N(p,):誤差邪均一 0:標準偏差ライン-15-12- 9630_3691215計測誤差(mm)図5 PD試験合格者の計測誤差の分布この図より、PD 試験合格者の度数分布の位置が若干プ ラス側に偏っているように見受けられる。この度数分 布のプラス側への偏りは、前述の合格基準2による受 験者の自制作用回避のために大きい値へ読むヒューマ ンエラーに起因すると推察される。 - 既報のとおり、PD 資格試験合格者が実際の現場で SCC 深さを測定する場合、合格基準2を考慮する必要 はないことから実際の測定誤差の分布はより正規分布 に近づくと考えられる。PD 資格試験合格者の測定値 が合格基準2に抵触する確率 P(x)は、合格者の正規分 布 N (0.32, 1.933)と以下の(3)式に示す下側累積確率 P(x) で計算できる。P(x) = [ f(x) dt ... (3)(3)による結果から P(x)=0.0066(0.66%)となる。これは、 PD 資格試験制度設計段階において古川らが算出した 「ある誤差を有する集団が PD 試験に合格して SCC を 測定した時に、誤差が-4.4mm を超える確率」である 最大 5%Oより十分下回っている。3373. まとめ_PLR 配管溶接部に発生するき裂の深さ測定に関する PD 資格試験を開始してから6年が経過した。これまで、計 34 回の試験を実施し、合格基準に達した人は再認証者も 含めて 47名となった。これまでの試験結果の解析で得ら れた結果は以下の通りである。 1) PD 資格試験ではフェーズドアレイと手動探傷を組 * み合せた手順書を用いた受験者の合格率が高い。 2) PD 試験合格者の測定精度はいずれのき裂深さにお いても高精度で測定できる。一方、不合格者の標準 偏差は試験体肉厚に対するき裂深さが極端に大きい 場合及び小さい場合以外の領域において大きい。 3) 全受験者の平均誤差は 0.65 mm、標準偏差は 3.70 mm であるのに対し、PD 資格試験合格者の平均誤差 は 0.32 mm、標準偏差は 1.93 mm であることから、PD 資格試験合格者のき裂深さ測定の精度の高さを確認 できた。 4) PD 資格試験合格者の測定値が真とする値に対して 4.4mm を超えて下回る確率は 0.66%であり PD制度設計時の計画値である5%を十分にクリアしている。1参考文献 [1] 笹原,直本,秀, 神戸 “PD 資格試験開始から一年の実施状況”第4回保全学会予稿集, 福井, 2007. [2] 直本, 笹原, 秀“PD 資格試験開始から2年の実施状況” 第5回保全学会予稿集, 水戸, 2008. [3] 秀,笹原,直本,渡辺“PD 資格試験開始から 4年の実施状況”第7回保全学会予稿集,静岡, 2010. [4] 渡辺,笹原, 東海林, 秀“PD 資格試験開始から5 一年の実施状況”第8回保全学会特別編予稿集, 東京, 2011. [5] 笹原,直本,秀,井上“SCC 深さ測定の PD 試験受験者の技量評価”保全学, Vol.9 No.1, p.44, 2010. [6] 古川,古村,米山,山口 “超音波探傷試験によるき裂深さサイジングにおける教育訓練目標の指標 について”保全学, Vol.4 No.3, p.54, 2005.338“ “PD 資格試験開始から6年の実施状況“ “渡辺 恵司,Keiji WATANABE,東海林 一,Hajime SHOHJI,秀 耕一郎,Koichiro HIDE