高経年化技術評価の高度化 - コンクリート構造物の長期耐久性評価 -
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カテゴリ: 第9回
1.はじめに
原子力発電所施設などの重要な鉄筋コンクリート構造 物(以下、RC構造物)は長期の耐久性が求められる。 RC構造物の耐久性の評価は,多くの劣化要因を含むこ と,部材が鉄筋とコンクリートより構成される複合体で あることなどから一般的に難しい課題である。評価法の 一つに、RC構造物の劣化度評価ダイアグラムにより、 実際の劣化度測定データに基づいたRC構造物の健全性 評価法[1]がある。この方法では、経過年 t、劣化因子の 作用量F、材料の劣化度 D、構造物の性能 Pそれぞれの関 係を明確にすることで、RC構造物の性能低下を合理的 に評価するものである。本稿は、RC構造物の劣化度評価に必要な評価基本式 について、熱、放射線、中性化、塩害の劣化現象につい て、既往の文献を調査整理し提示提案するものである。
2. 劣化評価の枠組み
- RC構造物の耐久性評価の課題は以下のとおりである。 (1) 外的要因の多様性:自然の環境下に長期間おかれ外 的要因が多岐にわたり地域によっても異なる。 (2)複合材料:鉄筋とコンクリートとの複合材であり, 材料単体の作用因子,劣化度評価だけでなく複合的な作 用を考慮しなければならない。連絡先:橘高義典、〒192-0397 東京都八王子市南大沢 1-1、大学院都市環境科学研究科建築学域 E-mail: kitsu@tmu.ac.jp(1)の RC 構造物の「外的要因の多様性」の課題を解決 する方法の一つとして、劣化関数の基本形を予め定め、 構造物の実際の劣化度測定データを外挿し、劣化関数の 係数を帰納的に決定し、劣化関数を決定し劣化予測を行 うことが有効である。劣化関数の係数により様々な環境 下の構造物の耐久性に関する特性を共通的な尺度で評価 できる。一方で多数の劣化因子を取り込んだ演繹的な推 定式の確立も重要であり、その場合も必ず実測値との対 応ならびに外挿手法による推定評価が必要と考えられる。(2)の「複合的な作用」に関しては、劣化因子の作用量 Fと経過年 tとの関係(F-t 曲線)、材料の劣化度 D と劣化 因子の作用量 F との関係(D-F曲線)、構造物の性能 P と 材料の劣化度 D との関係(P-D 曲線)を明確にする。それ らを統合すると、図-1 に示す RC 構造物の劣化度評価ダ イアグラム(以下、PDFt 曲線と呼ぶ)が得られる[1]。 1. 本図のレベルIVが構造性能の時間変化を評価する Pt 曲線となる。現在の健全性評価での諸規定値は、劣化因 子の作用量Fあるいは材料劣化度 Dについて定めている がその根拠はあまり明確ではない。しかしながら、PDFt 曲線を用いることで、構造物の性能 Pに基づく規定値か ら、劣化因子の作用量F、材料劣化度 D の規定値を定め ることができる。F-t 曲線、DF曲線は基本式とa、B等 の環境境界条件を表す係数により評価する。そのために 基本式の妥当性を広範囲の条件で確認する必要がある。 また、P-D 曲線については劣化後の材料特性を用いた数 値解析、設計式などで評価するのが現実的である。386Deterioration factor FD-F diagramCritical valueF-t diagramF=F()= a f() (60 yearsValue)Level IID-D(A)=Bd(A)LevelSecondary evaluation -Regulation value| (30 year)obstDobsDaDevaDra.Material deteriolation DTimetPop(30 years)Regulation valuePro1 Secondary evaluation(60 yearsValue)Level IIIP=P(D)P%3DP(Level IVCritical valueP-D diagramP-tdiagramPerformance of structure PFig. 1 Integrity evaluation diagram of reinforced concrete structures (PDFt diagram)材料* 原子力施設RC構造物に関係する、劣化因子 F、 の劣化度 D、構造物の性能を Tablel に示す。Table 1 Example of parametersDeterioration factor FF, Carbonation(depth) F. Chloride ion F, Heating F, Radiation F; Alcali aggregate reaction F: Vibration F. Freeze-thaw Fy Chemical attackMaterial deterioration D Performance of structure P D, Compressive strength P, Stiffness D, Young's modulus P. Bearing capacity D. Rebar corrosion P: Earthquake response D, Rebar strength P, Constitutive law DTensile strength P; Crack Di Crack resistance Pi Bolt strength D; Bolt corrosion Pi Airtightness DA Water content P: Permeability DDOthersP. OthersF, Others3.現状の健全性評価例11 (独)原子力安全基盤機構の高経年化技術評価審査マ ニュアル[2]に示されている原子力発電施設の熱、放射線、 中性化、塩害によるコンクリートの強度低下に関する健 全性評価例を以下に示す。 1熱コンクリート部位の温度が、温度制限値(一般部 65°C、 局部 90°C) 以下であることを温度解析結果などで評価し ているか審査する。 2放射線照射(中性子、ガンマ線)- 60年時点の放射線照射量(中性子、ガンマ線)予測 値がコンクリート強度に問題となるようなレベルとなっ ていないか、または経年劣化事象が生じているが軽微で あることなどを Hilsdorf らの論文[3]などを参照して 評価しているか審査する。 3中性化、中性化程度の確認のために中性化深さの測定を実施し、 鉄筋腐食に結びついていないか評価していることを審査 する。さらに、現状の中性化深さを中性化速度予測式で 評価し、採用した予測式が安全側評価となることを確認 した上で、60年時点の中性化深さを中性化速度予測式 により推定し、鉄筋が腐食し始めるときの中性化深さに 達しないことを確認しているか審査する。 4塩分浸透 塩分浸透による鉄筋への影響を評価するために、取水 構造物の場合であれば、海中帯、干満帯、気中帯での塩 化物イオン濃度の測定結果を用いて、塩分浸透予測式に より、60年の供用を仮定し、鉄筋腐食減量を予測して いるか審査する。4. 健全性評価の基本式劣化度評価ダイアグラム (Fig.1)による健全性評価 を行う場合での評価基本式を既往の文献等より調査し、 熱、放射線、中性化、塩害の場合について以下に示す。387day = a.exp(-)4.1 熱(1) F-1 曲線(時間と熱の作用の関係) 1 熱によるコンクリート中の水和物の組織の変化に関す る作用量を熱劣化作用量F; とし、熱劣化定数 agと時間 1 との積で表す。F3 = azt-1agは、温度・組織の変化に関する係数であり、たとえ ば、一般的に用いられている反応速度式の速度理論に基 づき以下の式(2)が考えられる。11.ag = a.exp(--)ここで、a、b : 定数、T: 温度 (°C)である。 (2) D-F 曲線(熱の作用とコンクリートの圧縮強 度低下率の関係)高温下に暴露されたコンクリートの強度の低下は Fig.2[4]に示すような傾向がある。D Ordinary concrete%3D (1-0.20 + 0.4502 - 0.043600exp(-0.4130) 151 T-20T-20159 %3D1. 51 100100 Upper limitmomoegatmostionsResidual compressive strength ratio, %Siliceous gravelSandstone + LimestoneLower limitFDolerile ? Amphibole schist20100200400500300 Temperature, 'CFig.2 Residual compressive strength ratio andtemperature [4]トの強度の低下は加熱温度と強度低下率 D,との関係は、阿部らの表示式 [5] を参考に、下式により表す。Da = (1 - 0.20 + 0.4502 - 0.043605)exp(-0.4130) T-2012 (3) 9 = 1.5 100ここで、T は温度(°C) (ただし、T =20 °Cから 400°C) また、高温下に暴露されたコンクリートの強度低下度 Dは、初期に急激に低下し Fig.2 に示す収束値 D』に収 束する傾向がある。これらの関係は下式で表わせる。D = e-P3(1 - Du) + DuDA = e-s(1 - Du) + Da-388(以4.2 放射線 (1) F-1 曲線(時間と放射線照射量の関係)放射線(中性子・y 線) 照射量の積算値を F とし(以 下、放射線照射量とする)下式で表す。11F4 = a4.t““ここで、FA: 放射線照射量,a: 放射線特性(線種、 累積量、スペクトル分布等)線源と構造体の位置関係に 依存する定数、t: 時間(year)、n: 定数(=1)(2) D-F曲線(放射線照射量とコンクリートの圧 縮強度低下率の関係)Hilsdorf らの論文[3]で示されている放射線の照射量 と圧縮強度の関係が、現状では唯一、制限値の目安値以 上の放射線の長期照射となっている(Fig.3)。Thermal Neutrons O Alexander A PriceFast NeutronsElleuch A Houben & SchaafNo InformationBatters DubrovskijStoces: Regression equationThe rate of compressive strengthreduction of concrete D,Liquid Glass 500 deg CD51111-10-27(log6020.21-10-2710gF4Limit value of reference levels 1.0×102““ (n/cm3)1E+181E+19 1E+201E+21 Fluence of Neutron Radiations F, (n/cm)Alexander.Sommers (Immersed in Water)11-10-23(LogF)21.6HED =1 - 10-23 logF、The rate of compressive strengthreduction of concrete Di1 Limit value of reference levels2.0x100 (rad)10000000001000000000001.E+10 Gamma Ray Dose F, (rad)Fig. 3. Relation between the fluence of radiations and thestrength reduction of concrete [3]この図では試験体条件、温度条件等が異なるが、安全 側を考慮し、全ての実験結果の回帰式を求め、これを、 コンクリートの強度の低下率 D, の評価式とする。中性 子・y線の回帰式は以下に示す通りである。中性子の場合の回帰式本式より腐食量 W.は、中性化速度式に用いられる。 と線形関係にあることより、暴露環境条件を B, として、 D,を以下の外挿式で表す。D, - 1 - 10-27 (logF)20.2D11-10-27 logF4-6Ds = By ? JF2-10~ ールGTんかしいのかD, SS-7こに、D:圧縮強度の低下率(-) 、FG:中性子照射量 - 10m2)*1 - 10-23(logFz)21.6- 1 - 10-23 logFA ここに、D:圧縮強度の低下率(-)、F:中性子照射量 (n/cm)y線の場合の回帰式D. - 1-10~23(LogE021.6-1 - 10-23 logF.ここに、D:圧縮強度の低下率(-)、R: y線照射量(rad) 14.3 中性化(1) F-1 曲線(時間と中性化の作用の関係) 中性化の進行による構造物の劣化に関して、鉄筋の発 錆に及ぼす酸素の作用量が、劣化因子の作用量として考 えられるが、その計測は難しく、その代替値として中性 化深さを劣化因子の作用量 F, とする。中性化深さと時間 tとの関係は、一般的に「t則に従うとされており [6, 7]、 材料や施工、環境因子を表す a を用いて、以下の外挿式 で表すことができる。F1 = aqvtここに、F : 中性化深さ (mm) 、 aa : コンクリートの特 性(調合、材料、施工条件等)環境条件(温度、湿度、炭 酸ガス濃度等)により定まる中性化速度定数(mm/fy) である。 (2) D-F 曲線(中性化深さと鉄筋の断面欠損率の 関係)竣工時(健全な状態)の鉄筋に対する腐食量の重量減 少の割合を鉄筋の断面欠損率 D, とする。鉄筋の位置まで コンクリートの中性化が進行すると、鉄筋の腐食保護機 能を持つ不動態皮膜が失われ、この時点から鉄筋腐食が 開始される。中性化後の鉄筋の腐食減量に及ぼす温度・ 湿度・酸素濃度の影響について、友沢ら[8]は腐食実験を 行い下式を提案している。1,80002 - 163)・VE (9)We = p(1.35T + 2.76H + 1,80002 - 163)・VE (9)ここで、WE腐食による鉄筋の質量減少量(10g/cm?)、 T:温度(°C)、H:相対湿度(%) 、 02:酸素濃度(%) 、:鉄筋 部分へ中性化達成後の期間(day)である。本式より腐食量 Wは、中性化速度式に用いられるな と線形関係にあることより、暴露環境条件を B, として、 DSを以下の外挿式で表す。-10ここに、D:鉄筋の断面欠損率(-)、:境条件(温度、 湿度、酸素濃度等)、材料条件(鉄筋、コンクリート等)による定数、 F:かぶり厚さ(mm) である。 4.4 塩分浸透 (1) F-t 曲線(時間と塩化物の作用の関係) * 塩害では鉄筋周辺の塩化物イオン濃度 CI を劣化因子 として評価する例が多いが、濃度は作用量としては適当 でないため、塩化物イオン濃度の時間積算量を塩化物イ オンの作用量とする(添字の2は塩害を表す)。評価 を行う場合は1年毎の積算とする。F2 = | Cedt, Ct > Cer-11Fix = {““c, dt, C2C-11ここに、F:塩化物イオンの作用量(kg/m.year)、 C:塩化物イオン濃度(kg/m2)、 t:年数(year)、 t:評 価年 (year)、Cr : 鉄筋腐食開始塩化物イオン濃度= 1. 2kg/m2である。 ・コンクリート中の塩化物イオンの推定には拡散方程式 に基づいた下式が用いられる [9, 10]。-12G = c(1-ar()) c = c (1-a (D-))-12ここに、G:コンクリート表面の塩化物イオン濃度 sg/m)、x:かぶり厚さ(mm)、D: みかけの拡散係数 non/year)である。式(12)の誤差関数 erf に近似式[11]を適用すると式 13) が得られる。G = 0671 - -ap(-““-““). 20 - - (13)ここに、G:コンクリート表面の塩化物イオン濃度 (kg/m)、x:かぶり厚さ(mm)、D: みかけの拡散係数 (mun/year)である。式(12)の誤差関数 erf に近似式[11]を適用すると式 (13) が得られる。02x2)G = 06 1- 1-ep(-““-1““). 20 - - (13)%DC-31-1-exp(1,233~TDanは材料条件などに影響される劣化因子の作用量に 関する定数である。 G および a,は各評価年での塩化物 イオン濃度の深さ方向の分布の実測値などから求める。 (2) D-F 曲線(塩化物作用量と鉄筋の腐食減量の 関係) 材料の劣化度 スは鉄筋表面の腐食減量とする(添字の3893は鉄筋腐食を表す)。D, は鉄筋の腐食速度 V, により式 (14)で表せる。D? = ““V, dt-14D : 鉄筋の腐食減量(mg/cm2) V, : 鉄筋の腐食速度 (mg/cm/year)である。は一般式(15) で表せる[12]。ここに、a, b は定数で ある。-15La C+)-15(15)を式(14) に代入すると式(16)の D-F関係式が得ら れる。定数 a, b を求めた例には以下がある[12]。+ btn)a = 6.0, b = 0.4W/C - 31.7ここに、WIC:水セメント比(%)である。 (3) P.D 曲線(鉄筋の腐食減量とコンクリート表 面のひび割れ幅の関係)) 構造性能 Pはコンクリート表面のひび割れ幅とする。での、時間 t 、塩化物作用量F、腐食減量 D, コンクリー ト表面のひび割れ幅Pの関係を示した。本図右下 P-t 曲 線より,表面ひび割れが発生する時期,供用期間での表 面ひび割れの有無等が推定評価できる。F-t DiagramD-F DiagramX On the assumption of a sever The amount of action of a deteriorative factor, Foralive acor,enviroumental walinity (sea) of F, The amount of action of chloride ion (kg/m3 year) : -6.9(kg/m““)※140,50660,3012==3C031S:Clconcentration (kg/m'), : Year (year) Co Ct concentration at surface (k in), less.Const.x: Thickness of concrete cover(mmy U: Diffusion coefficient (inin/year)10,10 TWIC=60,x=1010150,10くか ・・・・・・・・・・| 50, 3060,5030003-32(a2 + btn) ※2 40% 6.0, b%3D0.4 C -31.7 .: Thickness of concrete cover (om), ah : Const. ( Evaluation period (year), W/C:Water cement ratioRaycatGE2CT40,30 50,50)40,3015: Evaluation periot (yeart 20010lle: Critical Cl = 1.2kg/ml 10. Ci concentration (kg/m) 41: Unit time (Iyear)1-140,50,50ト~Relation the degree of material deterioration D D, The corrosion loss of steel reinforcing bars (mg/cm)1.1791666666666750,100: WICC-60,.-1030.125:33:33E%3D%%3D%3D32=ma20The number of vears elapsed t (year)40....... 0.05 Crack occurrence baselineのサロンですがなかなかいらないでしまっarge~ ..a%3D10(mm) 15330(mm) .Y50(mm)1.0.15157C-50.1%D10T1040,301 50,305 60,300 50,50ml3VIC-40(L),Fe%3D70N/men) WC50(%),Fc=50(N/mm-) 1.0.2WIC-60 (5),Fc=235(N/mm) Do - - (0.194 + 10.0kxr + 2) ? In (F) + (0, 14 + 47) ※310.25 Pa % 0.1 D.: Critical corrosion loss of reinforcing bare to affect nerack in the concrete(0.1mm) (ng/cm)10.3 d: Diameter of reinforcing baru (mun),x: Thickness ofd-19 1613 ) 19 1613.10 .1413.1019161R 10 12.16 13.10 concrete cover (min). F: Compressive strength (N/nm->WC-50, x=10 60, 30 50,305050 40, 30 P. The width of cracks in the concrete surface (mm) P-t Diagram The relation between the performance of the structure PLP - D DiagramFig.5 Example of a PDFt curve, saline penetration, rebar corrosion and concrete cracking- 390 -[13]とひび割れ発生と鉄筋の腐食減量との関係は下式 なる。D = -(0.19d + 0.06x + 2.0) ・ln(F) + 0.1d + 47(17) ここに、DS : FEM 解析によるひび割れ発生時(幅 0. 1mm) の鉄筋の腐食減量(mg/cun)、d: 鉄筋の直径(mm)、F : コ ンクリートの圧縮強度(N/mm2)である。筋の腐食量とひ び割れの開口とはほぼ線形関係にあることより[14],鉄 筋の腐食減量りとひび割れ幅(mm) P,との関係は下式とな る(添字の8はひび割れを表す)。Pa = 0.12-184.5 劣化評価ダイアグラム(PDFt 曲線)の例 - Fig.5 に、前節 4. 4 塩分浸透に示す各式より作成した PDFt 曲線を示す。本図は塩分濃度が過酷な条件(海水) での、時間 t 、塩化物作用量F、腐食減量 D, コンクリー ト表面のひび割れ幅Pの関係を示した。本図右下 P-t 曲 線より,表面ひび割れが発生する時期,供用期間での表 面ひび割れの有無等が推定評価できる。-18-16ート表4.まとめ RC構造物の劣化度評価の方法論について述べ、熱、 放射線、中性化、塩害の劣化に着目し、それらの評価に 必要な評価基本式を、既往の文献を調査整理し提示提案 した。本研究の一部は、原子力安全・保安院のプロジェクト「高経 年化対策強化基盤事業(2006-2010)」の成果である。関係各位 の協力に謝意を表する。参考文献 [1] 橘高義典:鉄筋コンクリート構造物の高経年化技術評価における健全性評価の方法日本建築学会技術報告集、 No. 32、pp.27-30、 2010.2 [2] 独立行政法人 原子力安全基盤機構 : 高経年化技術評価審査マニュアル コンクリートの強度低下及 び遮へい能力低下(含む鉄骨構造の強度低下)JNES - SS - 0512 - 04, 2009.4 [3] Hilsdorf, H.K., Kropp, J., Koch, H.J., “The effects ofnuclear radiation on the Mechanical Properties ofconcrete““, ACI SP-55, pp.223-254, 1978.8 [4] U.S. Nuclear Regulatory Commission Office of NuclearRegulatory Research Washington., “Primer on Durability of Nuclear Power Plant Reinforced Concrete Structures -A Review of Pertinent Factors”, 2006. [S] 安部武雄,大塚貴弘,小林裕,道越真太郎 : 高温度における普通強度コンクリートの力学的特性、日本建築学会構造系論文集 (615) 、 pp7-13、2007.5 [6] 浜田稔 : コンクリートの中性化と鉄筋の腐食、セメント・コンクリート、No272、1969[7] 岸谷孝一 : 鉄筋コンクリートの耐久性、鹿島建設技術研究所出版部、1963 [8] 友沢史紀、福士勲,森永繁 : 中性化および鉄筋腐食速度にもとづく鉄筋コンクリートの速度論的耐 久性予測手法に関する予備的考察、学術講演梗概集, A、材料・施工、防火、海洋、電算利用 60、pp101-102、1985.9 [9] 丸屋剛 : コンクリートへの塩分の拡散浸透に関する表面塩分量の定式化、 コンクリート工学年次論文報告集 11-1、 pp597-602、 1989 [10] 川上英男,脇敬一 : コンクリートへの塩分浸透と塩害環境の評価、 日本建築学会構造系論文報告集(453)、pp9-14、1993. 11 [11] 村八洲雄,須田久美子,永田茂 : 塩分浸透におけるt則土木学会年次学術講演会講演概要集,第5部Vol.58, pp9-10, 2003.9 [12] 日本コンクリート工学協会, コンクリート構造物の長期性能照査支援モデルに関するシンポジウム委員会報告書・論文,鳥取式, pp. 204, 2004, 10 [13] 橘高義典, L. P. Nguyen,塚越雅幸,松沢晃一: 鉄筋コンクリート表面のひび割れ発生時の鉄筋腐食量に 関する検討,コンクリート工学年次論文報告集,2011 CD-ROM, pp. 1145-1150., 2011.7 [14] 橘高義典 : 表面ひび割れ幅からの鉄筋腐食減量の推定に関する破壊力学的検討,日本コンクリート工学 協会,コンクリート構造物のリハビリテーションに 関するシンポジウム・論文集,pp. 21-28, 1998(平成24年6月 21 日)“ “高経年化技術評価の高度化 - コンクリート構造物の長期耐久性評価 -“ “橘高 義典,Yoshinori KITSUTAKA,橘高 義典,Yoshinori KITSUTAKA
原子力発電所施設などの重要な鉄筋コンクリート構造 物(以下、RC構造物)は長期の耐久性が求められる。 RC構造物の耐久性の評価は,多くの劣化要因を含むこ と,部材が鉄筋とコンクリートより構成される複合体で あることなどから一般的に難しい課題である。評価法の 一つに、RC構造物の劣化度評価ダイアグラムにより、 実際の劣化度測定データに基づいたRC構造物の健全性 評価法[1]がある。この方法では、経過年 t、劣化因子の 作用量F、材料の劣化度 D、構造物の性能 Pそれぞれの関 係を明確にすることで、RC構造物の性能低下を合理的 に評価するものである。本稿は、RC構造物の劣化度評価に必要な評価基本式 について、熱、放射線、中性化、塩害の劣化現象につい て、既往の文献を調査整理し提示提案するものである。
2. 劣化評価の枠組み
- RC構造物の耐久性評価の課題は以下のとおりである。 (1) 外的要因の多様性:自然の環境下に長期間おかれ外 的要因が多岐にわたり地域によっても異なる。 (2)複合材料:鉄筋とコンクリートとの複合材であり, 材料単体の作用因子,劣化度評価だけでなく複合的な作 用を考慮しなければならない。連絡先:橘高義典、〒192-0397 東京都八王子市南大沢 1-1、大学院都市環境科学研究科建築学域 E-mail: kitsu@tmu.ac.jp(1)の RC 構造物の「外的要因の多様性」の課題を解決 する方法の一つとして、劣化関数の基本形を予め定め、 構造物の実際の劣化度測定データを外挿し、劣化関数の 係数を帰納的に決定し、劣化関数を決定し劣化予測を行 うことが有効である。劣化関数の係数により様々な環境 下の構造物の耐久性に関する特性を共通的な尺度で評価 できる。一方で多数の劣化因子を取り込んだ演繹的な推 定式の確立も重要であり、その場合も必ず実測値との対 応ならびに外挿手法による推定評価が必要と考えられる。(2)の「複合的な作用」に関しては、劣化因子の作用量 Fと経過年 tとの関係(F-t 曲線)、材料の劣化度 D と劣化 因子の作用量 F との関係(D-F曲線)、構造物の性能 P と 材料の劣化度 D との関係(P-D 曲線)を明確にする。それ らを統合すると、図-1 に示す RC 構造物の劣化度評価ダ イアグラム(以下、PDFt 曲線と呼ぶ)が得られる[1]。 1. 本図のレベルIVが構造性能の時間変化を評価する Pt 曲線となる。現在の健全性評価での諸規定値は、劣化因 子の作用量Fあるいは材料劣化度 Dについて定めている がその根拠はあまり明確ではない。しかしながら、PDFt 曲線を用いることで、構造物の性能 Pに基づく規定値か ら、劣化因子の作用量F、材料劣化度 D の規定値を定め ることができる。F-t 曲線、DF曲線は基本式とa、B等 の環境境界条件を表す係数により評価する。そのために 基本式の妥当性を広範囲の条件で確認する必要がある。 また、P-D 曲線については劣化後の材料特性を用いた数 値解析、設計式などで評価するのが現実的である。386Deterioration factor FD-F diagramCritical valueF-t diagramF=F()= a f() (60 yearsValue)Level IID-D(A)=Bd(A)LevelSecondary evaluation -Regulation value| (30 year)obstDobsDaDevaDra.Material deteriolation DTimetPop(30 years)Regulation valuePro1 Secondary evaluation(60 yearsValue)Level IIIP=P(D)P%3DP(Level IVCritical valueP-D diagramP-tdiagramPerformance of structure PFig. 1 Integrity evaluation diagram of reinforced concrete structures (PDFt diagram)材料* 原子力施設RC構造物に関係する、劣化因子 F、 の劣化度 D、構造物の性能を Tablel に示す。Table 1 Example of parametersDeterioration factor FF, Carbonation(depth) F. Chloride ion F, Heating F, Radiation F; Alcali aggregate reaction F: Vibration F. Freeze-thaw Fy Chemical attackMaterial deterioration D Performance of structure P D, Compressive strength P, Stiffness D, Young's modulus P. Bearing capacity D. Rebar corrosion P: Earthquake response D, Rebar strength P, Constitutive law DTensile strength P; Crack Di Crack resistance Pi Bolt strength D; Bolt corrosion Pi Airtightness DA Water content P: Permeability DDOthersP. OthersF, Others3.現状の健全性評価例11 (独)原子力安全基盤機構の高経年化技術評価審査マ ニュアル[2]に示されている原子力発電施設の熱、放射線、 中性化、塩害によるコンクリートの強度低下に関する健 全性評価例を以下に示す。 1熱コンクリート部位の温度が、温度制限値(一般部 65°C、 局部 90°C) 以下であることを温度解析結果などで評価し ているか審査する。 2放射線照射(中性子、ガンマ線)- 60年時点の放射線照射量(中性子、ガンマ線)予測 値がコンクリート強度に問題となるようなレベルとなっ ていないか、または経年劣化事象が生じているが軽微で あることなどを Hilsdorf らの論文[3]などを参照して 評価しているか審査する。 3中性化、中性化程度の確認のために中性化深さの測定を実施し、 鉄筋腐食に結びついていないか評価していることを審査 する。さらに、現状の中性化深さを中性化速度予測式で 評価し、採用した予測式が安全側評価となることを確認 した上で、60年時点の中性化深さを中性化速度予測式 により推定し、鉄筋が腐食し始めるときの中性化深さに 達しないことを確認しているか審査する。 4塩分浸透 塩分浸透による鉄筋への影響を評価するために、取水 構造物の場合であれば、海中帯、干満帯、気中帯での塩 化物イオン濃度の測定結果を用いて、塩分浸透予測式に より、60年の供用を仮定し、鉄筋腐食減量を予測して いるか審査する。4. 健全性評価の基本式劣化度評価ダイアグラム (Fig.1)による健全性評価 を行う場合での評価基本式を既往の文献等より調査し、 熱、放射線、中性化、塩害の場合について以下に示す。387day = a.exp(-)4.1 熱(1) F-1 曲線(時間と熱の作用の関係) 1 熱によるコンクリート中の水和物の組織の変化に関す る作用量を熱劣化作用量F; とし、熱劣化定数 agと時間 1 との積で表す。F3 = azt-1agは、温度・組織の変化に関する係数であり、たとえ ば、一般的に用いられている反応速度式の速度理論に基 づき以下の式(2)が考えられる。11.ag = a.exp(--)ここで、a、b : 定数、T: 温度 (°C)である。 (2) D-F 曲線(熱の作用とコンクリートの圧縮強 度低下率の関係)高温下に暴露されたコンクリートの強度の低下は Fig.2[4]に示すような傾向がある。D Ordinary concrete%3D (1-0.20 + 0.4502 - 0.043600exp(-0.4130) 151 T-20T-20159 %3D1. 51 100100 Upper limitmomoegatmostionsResidual compressive strength ratio, %Siliceous gravelSandstone + LimestoneLower limitFDolerile ? Amphibole schist20100200400500300 Temperature, 'CFig.2 Residual compressive strength ratio andtemperature [4]トの強度の低下は加熱温度と強度低下率 D,との関係は、阿部らの表示式 [5] を参考に、下式により表す。Da = (1 - 0.20 + 0.4502 - 0.043605)exp(-0.4130) T-2012 (3) 9 = 1.5 100ここで、T は温度(°C) (ただし、T =20 °Cから 400°C) また、高温下に暴露されたコンクリートの強度低下度 Dは、初期に急激に低下し Fig.2 に示す収束値 D』に収 束する傾向がある。これらの関係は下式で表わせる。D = e-P3(1 - Du) + DuDA = e-s(1 - Du) + Da-388(以4.2 放射線 (1) F-1 曲線(時間と放射線照射量の関係)放射線(中性子・y 線) 照射量の積算値を F とし(以 下、放射線照射量とする)下式で表す。11F4 = a4.t““ここで、FA: 放射線照射量,a: 放射線特性(線種、 累積量、スペクトル分布等)線源と構造体の位置関係に 依存する定数、t: 時間(year)、n: 定数(=1)(2) D-F曲線(放射線照射量とコンクリートの圧 縮強度低下率の関係)Hilsdorf らの論文[3]で示されている放射線の照射量 と圧縮強度の関係が、現状では唯一、制限値の目安値以 上の放射線の長期照射となっている(Fig.3)。Thermal Neutrons O Alexander A PriceFast NeutronsElleuch A Houben & SchaafNo InformationBatters DubrovskijStoces: Regression equationThe rate of compressive strengthreduction of concrete D,Liquid Glass 500 deg CD51111-10-27(log6020.21-10-2710gF4Limit value of reference levels 1.0×102““ (n/cm3)1E+181E+19 1E+201E+21 Fluence of Neutron Radiations F, (n/cm)Alexander.Sommers (Immersed in Water)11-10-23(LogF)21.6HED =1 - 10-23 logF、The rate of compressive strengthreduction of concrete Di1 Limit value of reference levels2.0x100 (rad)10000000001000000000001.E+10 Gamma Ray Dose F, (rad)Fig. 3. Relation between the fluence of radiations and thestrength reduction of concrete [3]この図では試験体条件、温度条件等が異なるが、安全 側を考慮し、全ての実験結果の回帰式を求め、これを、 コンクリートの強度の低下率 D, の評価式とする。中性 子・y線の回帰式は以下に示す通りである。中性子の場合の回帰式本式より腐食量 W.は、中性化速度式に用いられる。 と線形関係にあることより、暴露環境条件を B, として、 D,を以下の外挿式で表す。D, - 1 - 10-27 (logF)20.2D11-10-27 logF4-6Ds = By ? JF2-10~ ールGTんかしいのかD, SS-7こに、D:圧縮強度の低下率(-) 、FG:中性子照射量 - 10m2)*1 - 10-23(logFz)21.6- 1 - 10-23 logFA ここに、D:圧縮強度の低下率(-)、F:中性子照射量 (n/cm)y線の場合の回帰式D. - 1-10~23(LogE021.6-1 - 10-23 logF.ここに、D:圧縮強度の低下率(-)、R: y線照射量(rad) 14.3 中性化(1) F-1 曲線(時間と中性化の作用の関係) 中性化の進行による構造物の劣化に関して、鉄筋の発 錆に及ぼす酸素の作用量が、劣化因子の作用量として考 えられるが、その計測は難しく、その代替値として中性 化深さを劣化因子の作用量 F, とする。中性化深さと時間 tとの関係は、一般的に「t則に従うとされており [6, 7]、 材料や施工、環境因子を表す a を用いて、以下の外挿式 で表すことができる。F1 = aqvtここに、F : 中性化深さ (mm) 、 aa : コンクリートの特 性(調合、材料、施工条件等)環境条件(温度、湿度、炭 酸ガス濃度等)により定まる中性化速度定数(mm/fy) である。 (2) D-F 曲線(中性化深さと鉄筋の断面欠損率の 関係)竣工時(健全な状態)の鉄筋に対する腐食量の重量減 少の割合を鉄筋の断面欠損率 D, とする。鉄筋の位置まで コンクリートの中性化が進行すると、鉄筋の腐食保護機 能を持つ不動態皮膜が失われ、この時点から鉄筋腐食が 開始される。中性化後の鉄筋の腐食減量に及ぼす温度・ 湿度・酸素濃度の影響について、友沢ら[8]は腐食実験を 行い下式を提案している。1,80002 - 163)・VE (9)We = p(1.35T + 2.76H + 1,80002 - 163)・VE (9)ここで、WE腐食による鉄筋の質量減少量(10g/cm?)、 T:温度(°C)、H:相対湿度(%) 、 02:酸素濃度(%) 、:鉄筋 部分へ中性化達成後の期間(day)である。本式より腐食量 Wは、中性化速度式に用いられるな と線形関係にあることより、暴露環境条件を B, として、 DSを以下の外挿式で表す。-10ここに、D:鉄筋の断面欠損率(-)、:境条件(温度、 湿度、酸素濃度等)、材料条件(鉄筋、コンクリート等)による定数、 F:かぶり厚さ(mm) である。 4.4 塩分浸透 (1) F-t 曲線(時間と塩化物の作用の関係) * 塩害では鉄筋周辺の塩化物イオン濃度 CI を劣化因子 として評価する例が多いが、濃度は作用量としては適当 でないため、塩化物イオン濃度の時間積算量を塩化物イ オンの作用量とする(添字の2は塩害を表す)。評価 を行う場合は1年毎の積算とする。F2 = | Cedt, Ct > Cer-11Fix = {““c, dt, C2C-11ここに、F:塩化物イオンの作用量(kg/m.year)、 C:塩化物イオン濃度(kg/m2)、 t:年数(year)、 t:評 価年 (year)、Cr : 鉄筋腐食開始塩化物イオン濃度= 1. 2kg/m2である。 ・コンクリート中の塩化物イオンの推定には拡散方程式 に基づいた下式が用いられる [9, 10]。-12G = c(1-ar()) c = c (1-a (D-))-12ここに、G:コンクリート表面の塩化物イオン濃度 sg/m)、x:かぶり厚さ(mm)、D: みかけの拡散係数 non/year)である。式(12)の誤差関数 erf に近似式[11]を適用すると式 13) が得られる。G = 0671 - -ap(-““-““). 20 - - (13)ここに、G:コンクリート表面の塩化物イオン濃度 (kg/m)、x:かぶり厚さ(mm)、D: みかけの拡散係数 (mun/year)である。式(12)の誤差関数 erf に近似式[11]を適用すると式 (13) が得られる。02x2)G = 06 1- 1-ep(-““-1““). 20 - - (13)%DC-31-1-exp(1,233~TDanは材料条件などに影響される劣化因子の作用量に 関する定数である。 G および a,は各評価年での塩化物 イオン濃度の深さ方向の分布の実測値などから求める。 (2) D-F 曲線(塩化物作用量と鉄筋の腐食減量の 関係) 材料の劣化度 スは鉄筋表面の腐食減量とする(添字の3893は鉄筋腐食を表す)。D, は鉄筋の腐食速度 V, により式 (14)で表せる。D? = ““V, dt-14D : 鉄筋の腐食減量(mg/cm2) V, : 鉄筋の腐食速度 (mg/cm/year)である。は一般式(15) で表せる[12]。ここに、a, b は定数で ある。-15La C+)-15(15)を式(14) に代入すると式(16)の D-F関係式が得ら れる。定数 a, b を求めた例には以下がある[12]。+ btn)a = 6.0, b = 0.4W/C - 31.7ここに、WIC:水セメント比(%)である。 (3) P.D 曲線(鉄筋の腐食減量とコンクリート表 面のひび割れ幅の関係)) 構造性能 Pはコンクリート表面のひび割れ幅とする。での、時間 t 、塩化物作用量F、腐食減量 D, コンクリー ト表面のひび割れ幅Pの関係を示した。本図右下 P-t 曲 線より,表面ひび割れが発生する時期,供用期間での表 面ひび割れの有無等が推定評価できる。F-t DiagramD-F DiagramX On the assumption of a sever The amount of action of a deteriorative factor, Foralive acor,enviroumental walinity (sea) of F, The amount of action of chloride ion (kg/m3 year) : -6.9(kg/m““)※140,50660,3012==3C031S:Clconcentration (kg/m'), : Year (year) Co Ct concentration at surface (k in), less.Const.x: Thickness of concrete cover(mmy U: Diffusion coefficient (inin/year)10,10 TWIC=60,x=1010150,10くか ・・・・・・・・・・| 50, 3060,5030003-32(a2 + btn) ※2 40% 6.0, b%3D0.4 C -31.7 .: Thickness of concrete cover (om), ah : Const. ( Evaluation period (year), W/C:Water cement ratioRaycatGE2CT40,30 50,50)40,3015: Evaluation periot (yeart 20010lle: Critical Cl = 1.2kg/ml 10. Ci concentration (kg/m) 41: Unit time (Iyear)1-140,50,50ト~Relation the degree of material deterioration D D, The corrosion loss of steel reinforcing bars (mg/cm)1.1791666666666750,100: WICC-60,.-1030.125:33:33E%3D%%3D%3D32=ma20The number of vears elapsed t (year)40....... 0.05 Crack occurrence baselineのサロンですがなかなかいらないでしまっarge~ ..a%3D10(mm) 15330(mm) .Y50(mm)1.0.15157C-50.1%D10T1040,301 50,305 60,300 50,50ml3VIC-40(L),Fe%3D70N/men) WC50(%),Fc=50(N/mm-) 1.0.2WIC-60 (5),Fc=235(N/mm) Do - - (0.194 + 10.0kxr + 2) ? In (F) + (0, 14 + 47) ※310.25 Pa % 0.1 D.: Critical corrosion loss of reinforcing bare to affect nerack in the concrete(0.1mm) (ng/cm)10.3 d: Diameter of reinforcing baru (mun),x: Thickness ofd-19 1613 ) 19 1613.10 .1413.1019161R 10 12.16 13.10 concrete cover (min). F: Compressive strength (N/nm->WC-50, x=10 60, 30 50,305050 40, 30 P. The width of cracks in the concrete surface (mm) P-t Diagram The relation between the performance of the structure PLP - D DiagramFig.5 Example of a PDFt curve, saline penetration, rebar corrosion and concrete cracking- 390 -[13]とひび割れ発生と鉄筋の腐食減量との関係は下式 なる。D = -(0.19d + 0.06x + 2.0) ・ln(F) + 0.1d + 47(17) ここに、DS : FEM 解析によるひび割れ発生時(幅 0. 1mm) の鉄筋の腐食減量(mg/cun)、d: 鉄筋の直径(mm)、F : コ ンクリートの圧縮強度(N/mm2)である。筋の腐食量とひ び割れの開口とはほぼ線形関係にあることより[14],鉄 筋の腐食減量りとひび割れ幅(mm) P,との関係は下式とな る(添字の8はひび割れを表す)。Pa = 0.12-184.5 劣化評価ダイアグラム(PDFt 曲線)の例 - Fig.5 に、前節 4. 4 塩分浸透に示す各式より作成した PDFt 曲線を示す。本図は塩分濃度が過酷な条件(海水) での、時間 t 、塩化物作用量F、腐食減量 D, コンクリー ト表面のひび割れ幅Pの関係を示した。本図右下 P-t 曲 線より,表面ひび割れが発生する時期,供用期間での表 面ひび割れの有無等が推定評価できる。-18-16ート表4.まとめ RC構造物の劣化度評価の方法論について述べ、熱、 放射線、中性化、塩害の劣化に着目し、それらの評価に 必要な評価基本式を、既往の文献を調査整理し提示提案 した。本研究の一部は、原子力安全・保安院のプロジェクト「高経 年化対策強化基盤事業(2006-2010)」の成果である。関係各位 の協力に謝意を表する。参考文献 [1] 橘高義典:鉄筋コンクリート構造物の高経年化技術評価における健全性評価の方法日本建築学会技術報告集、 No. 32、pp.27-30、 2010.2 [2] 独立行政法人 原子力安全基盤機構 : 高経年化技術評価審査マニュアル コンクリートの強度低下及 び遮へい能力低下(含む鉄骨構造の強度低下)JNES - SS - 0512 - 04, 2009.4 [3] Hilsdorf, H.K., Kropp, J., Koch, H.J., “The effects ofnuclear radiation on the Mechanical Properties ofconcrete““, ACI SP-55, pp.223-254, 1978.8 [4] U.S. Nuclear Regulatory Commission Office of NuclearRegulatory Research Washington., “Primer on Durability of Nuclear Power Plant Reinforced Concrete Structures -A Review of Pertinent Factors”, 2006. 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