浜岡原子力発電所における津波対策(防波壁等工事概要)

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カテゴリ: 第9回
はじめに
浜岡原子力発電所では、2011年3月に発生した東北地 太平洋沖地震による東京電力福島第一原子力発電所の 女空公ーれまで~但たれた日出uthIIIでの 1. はじめに本報告では、上記津波対策工事のうち先行して進捗し ている防波壁工事と緊急時海水取水設備 (EWS)の設置工 事の概要を説明する。浜岡原子力発電所では、2011年3月に発生した東北地 方太平洋沖地震による東京電力福島第一原子力発電所の 事故等から、これまでに得られた知見を反映して以下の 3つの対策を実施している。 1浸水防止対策1 (発電所敷地内への浸水を防止) 2浸水防止対策2 (仮に津波が敷地に浸水しても建屋内への浸水を防止) 3緊急時対策の強化(仮に全交流電源・海水冷却機能が喪失しても冷却機能を確保) 上記1の主な対策は、防波壁の設置、敷地全面砂丘の 一部および防波壁の左右両端部の盛土による嵩上げ、海 水取水ポンプエリアの防水壁の設置ならびに放水ピット、 放水路開口部の閉止が挙げられる。上記2の主な対策は、海水冷却機能の維持として、緊 急時海水取水設備(EWS)の設置、また、建屋内浸水防止 としての防水扉、さらに機器室内浸水防止としての水密 扉の追加設置、補強等が挙げられる。上記3の主な対策は、電源設備対策としてのガスター ビン発電機の高台設置、注水設備対策としての水源の多 様化(水タンクの増設等)、除熱設備対策などが挙げられ
2. 防波壁工事の概要
防波壁工事は全長約 1.6kmにわたって海抜 18m の高 さを有する強固な壁を構築する工事である。2011 年 11 月に基礎工事に着工し、東西2つの工区に分けて、年内 中の浸水防止機能の確保を目指し、昼夜連続作業により 進めており、現在、工事の最盛期を迎えている。放水路部波壁総延長1.6km12 水口店2 512463号 を行い、取水口。 般求ロ図1 防波壁設置工事の概要防波壁の構造は、下表の通り、a標準部、b. 放水路横断 部、c. 西側端部の3タイプで構成される。標準部は基礎部を鉄筋コンクリート製の地中壁とし、 壁部は鋼殻と鉄骨・鉄筋コンクリートの複合構造によるL 型擁壁である。395放水路横断部は、基礎部を深礎杭、上部は鉄筋コンク リートによる箱桁構造である。西側端部は基礎部および上部を鋼管矢板により構成し 上部は鉄筋コンクリートにより被覆を施す。表1 防波壁工事の構造基礎上部工延長(m)形式形式a. 標準部地中壁1297鋼殻と鉄骨・鉄 筋コンクリート 鉄筋コンクリート箱b. 放水路横断部 | 深礎149桁c. 西側端部170|鋼管矢 | 鉄筋コンクリート被板 「覆16162.1 標準部 *標準部の構造は図2の通り、基礎部と上部工により構 成される。地中壁は 6m ピッチで218 基構築する。一基あ たりの大きさは、幅7m、厚さ 1, 5m、深さ約 10~30mであ り、岩盤へ2~6m根入れする構造である。▼T.P.+18010~12mVT.P.+68m/J深さ地中部 7m10~30mL程度1.5m2岩盤部に 根入れ 地中壁6m図2 標準部 構造図 * 基礎部の地中壁の構築においては、掘削機(図3) に より、岩盤部までの掘削を行う。掘削時には、安定液に より孔壁を保護し、発電所敷地に隣接する仮設ヤードで 組み立てた鉄筋籠(図4) を建込後、高流動コンクリー トを打設する工法により施工する。鉄筋籠の主筋には D51 の鉄筋を一基あたり 196 本使用している。2012年5月末 現在、全218 か所のうち206 か所の地中壁が完成してい る。図3 地中壁用掘削機ながので図4 鉄筋織建込状況上部工は、海鮫 6~8m の敷地に対して高さ 10~12m の L 型擁壁であり、延長 12m を1ブロックとして全体で 109 ブロックを構築する。上部工の1ブロックは工場で製作 した床版5、たて壁 10 の計 15 部材から構成され、これら を約14,000 本の高力ボルトにより接合する。床版には鉄 骨および D38~51 の鉄筋を配筋し、高流動コンクリート を打設することで地中壁の基礎と結合する。また、たて 壁は鋼殻構造であり、表面は鉄筋コンクリート製のパネ ルを設置することで発防止を図ることとしている。このように上部工の主要構造を鋼殻および鉄骨・鉄筋 構造とし、基礎工事を並行して工場製作することにより、 工期短縮を図っている。2012年5月末現在、全109 ブロ ックのうち4 ブロックの床版コンクリートが完成している。396端部ブロック連壁ブロック中間ブロック連壁ブロック」端部ブロック雑記たて壁 (10 ピース)床版 「1 (5ピース) L図5 標準部(上部工) イメージ図あおい図6 たて壁設置状況2.2 放水路横断部| 1既設放水路を横断する 4か所については、標準部の地 中壁に比べてスパンが長くなり、基礎にかかる荷重が増 大するため深礎工を採用した。基礎部の深礎工の構築に ついては、円柱形に掘削(直径 8~12m、深さ 19~33m) した後、内部を鉄筋コンクリートで構築する。表層部の 土砂地盤ではライナープレートと鋼製リング支保工によ る土留めを用いて深さ方向に掘進する。深部の岩盤部で は、ロックボルトおよび吹付モルタルによる土留めを用+6mT. P. +18m・端部ブロッ 12m / 連壁ブロック」中間ブロック 。 こん連壁ブロックオ 端部ブロック、来 て 、12mく」T. P. +地中壁図7 上部工と基礎の一体化イメージ図図7 上部工と基礎の一体化イメージ図いて掘進する。2012年5月末現在、全8か所のうち6か 所を施工中である。 上部工は、鉄筋コンクリートによる箱桁構造である。1000A部箱桁 鉄筋コンクリート造▼T.P.+18m標準部地中部岩盤部に根入れ~放水路深礎杭 (鉄筋コンクリート造)箱術 鉄筋コンクリート造VIP+18m約7,5~12月19~33m直径8~12m深礎杭(鉄筋コンクリート造)図8 放水路横断部 構造図3972.3 西側端部 - 西側端部エリアは、敷地面の標高が海抜 12m と標準部 より高く、また岩盤面の深度が深いため、表層地盤が厚 い。このエリアにおいては、外径 1.2m、長さ 34~46m のB部」鉄筋コンクリート・被覆VT.P.18m 標準部(地中部岩盤部鋼管矢板<日部詳細>1.8mLV194120..延長約170mmVEP.112in.| 鉄筋コンクリート被覆20~40m程度阪管外径12mmYE図9 西側端部構造図売シーバイパスはく生クリアすので、図 10 鋼管矢板 違込状況鋼管矢板を先行掘削した孔内に建込み固定する工法を採 用した。 掘削は標準部の地中壁と同じ工法を採用した。鋼管矢板は現地仮設ヤードにて5~21mの鋼管を溶接に より所定の長さに繋ぎ合わせた後、クレーンにより建て 込む(図 10)。 * 鋼管矢板を建込後、先端に根固めモルタルを打設し、 鋼管矢板周辺にセメント・ベントナイトを混合した流動 化充填材を打設し、鋼管矢板を固定する。上部工(地上部)については、鋼管矢板を鉄筋コンク リートにより被覆する。3. 緊急時海水取水設備(EWS)の設置工事の概要EWS設置・防水構造違屋 EWSポンプ(2台)EWSポンプ 新設ポンプ室 (防水構造建屋) 2~5号連絡水路 接続トンネル1252011 サイド テーブルな698約28m岩盤新設ポンプ室断面図(イメージ図)図11 緊急時海水取水設備イメージ図緊急時海水取水設備の設置工事は、海水冷却機能の代 替として3~5号のそれぞれに鉄筋コンクリート製の水 槽およびその上部の防水構造建屋内に新たな海水取水ポ ンプを設置する工事である。各ポンプ室は既設の取水槽 間を繋いでいる連絡トンネルに接続し、取水源の多重化 を図っている。また、引き津波 20 分間に必要な冷却水の 容量をポンプ室内に確保する構造となっている。 - 施工は、土留工、掘削、鉄筋組立後、1回のコンクリ ートの打上がり高さを約2.5~5mになるよう10 リフト程398,度に分割しコンクリート打設を実施する。1回のコンクリ ート打設量は、600~1700m3 であり、発電所近傍の生コン 工場からトラックミキサー車にて運搬する。2011 年 10 月に着工し、2012年5月末現在、3号機で は全 11 リフト中7リフト、4号機では全 11 リフト中6 リフト、5号機では全10 リフト中4リフトまでのコンク リート打設が完了している。( 9 :既設海水取水ポン ():新設ポンプ室原子建屋建屋3号機 新設ポンプ室2号機取水4号機取水槽4号機 新設ポンプ室5号機取水槽13号機取水槽1号機取水槽、181275号機酒屋2号機立orress.org- 5号機 新設ポンプ室Titsukimotionicwrwritionaram2~5号連絡トンネルmoress1号機取水塔 いこい2号機放水路36号接取水塔()()() 5号機取水塔図 12 海水取水の連携イメージ図4.まとめ 本報告では、防波壁工事と緊急時海水取水設備の設置 工事を説明したが、浜岡原子力発電所は、このほかにも 30 項目におよぶ津波対策工事をする計画であり、安全か つ安心な発電所として広く理解していただけるよう、着 実に工事に取り組んでいく所存である。(平成24年6月 15 日)399“ “浜岡原子力発電所における津波対策(防波壁等工事概要)“ “秋山 康之,Yasuyuki AKIYAMA,清水 重彦,Shigehiko SHIMIZU,藤井 誠,Makoto FUJII
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