国内PWRプラントへの超音波ショットピーニング技術適用

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カテゴリ: 第9回
1. 序論
加圧水型原子力発電所(以下、PWR) 1 次冷却系 統に用いられている 600 合金溶接部は、高応力付加 状態では応力腐食割れ(PWSCC; Primary Water Stress Corrosion Cracking)が発生する可能性があ ることは既に知られている。国内の発電所では、蒸気発生器(図-1)の管台 とセーフェンドとの600 合金溶接金属部に PWSCC に よるき裂が発生している。蒸気発生器
蒸気発生器管台
セーフエンド (SUS316)異材雜手 (600合金)図-1:蒸気発生器管台部連絡先:〒652-8585 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町 1-1-1、 三菱重工業株式会社 原子力保全技術部 保全技術開発課 E-mail:takeshi5_yamamoto@mhi.co.jpPWSCC は、「材料」、「応力」、「環境」の3つの要因 が重なった時に発生することから、予防保全対策は、 どれか1つの要因を取り除く方針で実施できる(図 - 2)。超音波ショットピーニング (Ultrasonic Shot Peening:以下、USP)工法は、このうちの応力要因 を排除する工法の一つである。材料 [ 材料改善 |応力| 環境改善応力改善図-2:PWSCC の発生要素と改善2.USP 技術について- USP 技術の原理はピエゾ素子の超音波振動により、 ショットをチャンバ内で対象物と ピーニングヘッド 間で往復運動させることで、対象物の表面に押し延 ばすような塑性変形を付与し残留応力改善を図る方 法である(図-3)。 - 使用するショットは粒径 3~4mm のインコネル 718 材を使用することで、残留応力が表面から約 1mm 深 さ(図-4)まで改善可能とし、粒径が大きいこと から異物管理を容易にした。67施工面2009投射距離| ショット材 2005です(インコネル718)10ddチャンバー→--振動子超音波振動ピエゾ素子MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD.図-3 USP の施工原理 USP施工前の残留応力 USP施工方向USP施工の垂直方向 600600 400400 20020010残留応力 (MPa)残留応力 (MPa)・2002-200-400246-400 -600 -80001.5-600 -800 0.0 0.5 1.0深さ方向(mm) USP施工後の残留応力600 4000. 5401.5 深さ方向(mm)600r 400 2001200残留応力 (MPa)残留応力 (MPa)~200-200400 -600 -8000脚-4000-600 -80000. 5 1 .0 深さ方向(mm)1.50.5 1.0 深さ方向(mm)1.5600合金溶接部近傍 △600合金溶接部から30mm離れた位置600合金溶接部計測点ビーニング 施工方向SUS316'|| (詳す)600合金 (母板厚:10mm400mm試験で使用したモックアップ試験で使用したモックアップ図-4 USP 施工におる残留応力改善効果3. 蒸気発生器出入口管台への USP 施工蒸気発生器(以下、SG) 出入口管台で USP 施工す るためには当該管台へのアクセスエリアとなる SG 水室内作業が必須となる。しかし、この場所は環境 線量当量率が極めて高く、人が作業をする場合は数 分が限度である。仮に人海戦術により応力緩和工事 を実施した場合は、工事線量が膨大となる。そこで、当社では、遠隔操作にて施工可能とする 専用装置を開発した(図-5)。 - SG 水室内に案内装置を設置した上で、各種先端工 具を水室マンホール前で案内装置に取付け、SG 出入 口管台内面まで遠隔で案内・位置決めし、当該部の 保全作業を可能にしている。(図-6) - 現地工事では、施工前検査(目視検査:VT、渦流 探傷検査:ECT)を実施し、施工対象部位の健全性を 確認した後、USP 施工を実施した。 これまでに国内 PWR14 プラントの施工実績がある。旋回支柱スライドテーブル、7・マニピュレーター18.02ノズル部SG水室マンホール溶接線 ・ピーニングヘッド(先端工具)図-5 蒸気発生器管台遠隔施工概念図図-6 USP 先端工具案内状況6814. USP 技術の展開」原子炉容器上蓋J溶接部への適用 - 原子炉容器上蓋管台及び管台を取り付けるためのJ 溶接部(図-7)は、原子炉容器上蓋取替 (VHR)を実 施することで、耐PWSCC性に優れた690系Ni基合金に変 更されている。 - VHR時に更なる信頼性向上の観点から、蓋管台J溶接 部に超音波ショットピーニングを施工することで溶接 部表面の残留応力の低減を図った。本装置は蓋用および反射板を備えた管台用の各装 置から構成される(図-8)。ピーニング施工時は、 反射板を使用して、上蓋側及び管台側に分けて施工 を行い、USPヘッドが管台を中心に旋回し、それ ぞれの位置にUSPヘッドを位置決めしてピーニン グを実施する。特徴としては、管台が林立する狭隘 箇所でも比較的容易に施工できる、粉塵の生成/飛散 が少なく制御棒駆動装置に対する環境保全に優れる ことである。七部ふた鏡」 母材:低合金鋼 内面:ステンレス鋼オーバーレイふた管台J溶接 (690合金溶接)ふた管台(690 合金)ドライ上部ふた鏡 母材:低合金鋼 内面:ステンレス鋼オーバーレイふた管台J溶接 (690 合金溶接)ふた管台(690合金】図-7 原子炉容器上蓋管台J溶接部5. 結言当社の SG-USP 工法およびUSP技術の展開について 述べたが、これら保全技術によって原子力発電プラ ントの安全性と信頼性を向上させ、長期間の運転に わたって経済的に運転を継続するのに役立つものと 考えている。 - 当社では今後とも、保全技術の原子力発電プラン ト他機器部位への応用・展開を積極的に推進して行 く。 参考文献 [1] N Mori et al., APPLICATION OF USP TOSTEAM GENERATOR NOZZLES, PVP2011-57495 [2]沖村浩司他、“原子力プラントの高稼働率化に 向けた三菱の原子力保全技術”、三菱重工技報 Vol.47 No.1 [3]Taketoshi Okabe et al., VERIFICATION FOR PWSCC MITIGATION TECHNOLOGIES,Fontevraud 7 26→ 30 september 2010 [4]Koji Okimura etc, PWSCC Preventive maintenanceProgram for Alloy600, ICONE16-48378 (2008)管台」DSCSI can Russication IIYASAKUMANショットパイプチャンバー反射板ショット バイブチャンバードマディスクチャンバー振動子ディスクチャー振動子」スリーブルピエゾ素子スリーブ ピエゾ素子管台則施工時上蓋側施工時図-8 RV 上蓋管台J溶接部 USP 施工概要69、“ “国内PWRプラントへの超音波ショットピーニング技術適用“ “山本 剛,Yamamoto TAKESHI,濱本 智元,Hamamoto TOMOCHIKA,沖村 浩司,Okimura KOJI
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