米国高速炉廃材を用いた照射下ミクロ組織の非破壊検査技術開発(1) 実験的検討
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カテゴリ: 第9回
1. 緒言
高速炉材料として使用されるオーステナイト系ステン レス鋼では、中性子照射による照射硬化、延性低下など の材料劣化が構造物の重要な寿命制限因子の一つである ことから、照射によるミクロ組織変化を定量的に評価す ることは、炉内構造物の健全性及び余寿命評価を行う上 で重要である)。これまで原子力プラントなどの健全性評価のために、 超音波法をはじめ各種の非破壊的検査手法が適用されて きた。特に、超音波法は、き裂などのマクロな欠陥を検 出することを目的とした適用例は多い。しかし、照射劣 化の要因であるボイドの発生や炭化物の析出などのミク ロ組織変化を非破壊で定量的に評価する手法の開発が課 題であった。また、ミクロ組織変化の定量は、材料劣化 の初期の段階から損傷量を検出できる可能性があるため、 余寿命の予測精度を向上させ、構造物の信頼性向上に資 することが期待される。本研究開発では、米国高速実験炉である EBR-II の廃材 を用いて、構造材の照射による材料劣化を検出する手法 として、劣化の要因であるボイドや炭化物のようなミク ロレベルの組織変化を検出する非破壊検査技術の開発を 行った。具体的には、超音波の音速、底面波の解析によ る構造物の平均的なミクロ組織の定量評価技術、及び、 後方散乱波の解析による構造物深さ方向のミクロ組織分 布の定量評価技術の開発を行った。本報では、まずEBR-II 廃材の照射環境について調査し た結果を述べた後、中性子照射下で形成するボイド、炭 化物などミクロ組織と超音波信号との関係を明らかにす るために実施したミクロ組織観察及び超音波試験につい て述べる。最後に、超音波信号と照射下ミクロ組織の関 係について、実験的に検討を行った。
2. 非破壊検査技術開発
2.1 EBR-II 廃材の概要 1. 本技術開発で用いる照射された試験体であるEBR-II 廃 材(以下、照射ブロック材と呼ぶ)の概要について述べ る。照射ブロック材は、米国高速実験炉 EBR-II11(Experimental Breeder Reactor -II) の安心サブアセンブリー 内で反射材として用いられていた構造材 U9807 を構成し ていた、六角柱形状の部品である。EBR-II は、アイダホ 州アイダホフォールズに建設された電気出力 20MWのナ トリウム冷却炉であり、1963 年に臨界に達し、1994年ま で運用された。EBR-II 炉内の模式図を Fig.1 に示す。19807 は5体の六 角柱形状のブロック材とブロック材を格納するラッパー 管により構成されている。ブロック材の外観を Fig.2 に示 す。ブロック材及びラッパー管はいずれも同一組成の SUS304 により製作された。19807 は 12 年以上の期間 EBR-II の内部で照射を受けており、構造材内部ではミク ロ組織変化が生じ、材料劣化が進行していることが予想 された。REACTOR COVERCOVER HOLD-DOWN DEVICE-CORE SUBASSEMBLYNEUTRON SHIELDSAFETY SUBASSEMBLYCOOLANT OUTLETCONTROL SURASSEMBLYりTANKINNER BLANKET SUBASSEMBLYHIGH PRESSURE COOLANT INLETOUTER BLANKET SUBASSEMBLYLOW PRESSURE COOLANT INLETはるかSUPPORT GRIDFig.1 Schematic diagram of the EBR-II reactor28クロスカン10027.21 2010Fig.2 Appearance of irradiated Block materials2003 年にアルゴンヌ国立研究所においてブロック材が U9807 から取り出され、炉心下部に位置していたブロッ ク材から順に、Block1?Block5 までの番号が付けられた。 EBR-II の炉心高さ位置と各ブロック材の配置の概略図を Fig.3 に示す。 * 本研究開発で用いる照射ブロック材は Block 3 とBlocks であり、Block3 は、炉心に最も近い高さに設置し ていたものであり、Block5 は炉心より高い位置に設置さ れていたものである。 - Block3 及びBlocks の照射条件について詳細調査を実施 し、照射温度、照射量、照射履歴、寸法変化等の情報を 整理した。調査結果のうち、ラッパーー管の軸方向におけ る照射温度、照射量をそれぞれ Fig.4及びFig.5に示し日、 調査結果のまとめを Table.1 に示した。HighTopBlock5Block 4TemperatureBlock3| 30cmBlock2CoreBlock1LowbottomFig.3 Schematic view of core height and Block positionsFlat1 (surface facing the core) in Wrapper can (DPA)DPAFlat4 (Surface opposite to Flat 1) in wrapper can (DPA)Estimated linePosition (inches from core centerline)1 Block 3 BlockBlocksFig.4 Dose distribution of irradiated Block materials450 ,Maximum temperature during operationTemperature [°C]Average temperature during operationAverage temperature during operation350 - --20 -10_0_10_20Position (cm) L BLOCKS BLOCKAT BLOCKS Fig.5 Temperature distribution of irradiated Block materials72Table.1 Summery of investigation of BlockBlocks のスライス材は、原子炉下部方向からそれぞれ 5A Block IDBlock 3 Block 5~SD と識別番号を振った。 Face to faceBlock3 のスライス材のうち、3E、3D は最も照射量が高 52.3752.37 thickness [mm]く、Fig.4 からもわかるように、炉心に向いた面と反対の longitudinal length面で照射量の違いがあることから、照射ブロック材内部 243.28217.5 [mm]に照射下ミクロ組織分布は均一ではない可能性がある。 Flatl: 26 - 33 |したがって、3E、3D は1面から 12.5 mm、25 mm、37.5 mm0-5 Irradiation doseの深さで、ミクロ組織観察を行った。Blocks のスライス Flat4: 20-23 (Estimated value)材は、0~5 pa程度の照射量が予測されているため、SA、 Average temperature415 370~410 | [C]SB は 12.5 mm、25 mm の深さで、5C、5D は 25 mm の深 (Estimated value)さで、それぞれミクロ組織観察を行った。ミクロ組織観察の定量結果は、Table.2 に記載した。 2.2 ミクロ組織観察Table.2 より、炭化物の析出量は、Block3 と Blocks におい 照射ブロック材に対する詳細試験として、ミクロ組織ても、また深さ方向においてもほぼ同等の値となり、深 観察を実施することにより、超音波信号とミクロ組織とさ方向にほとんど分布が見られなかった。 の関係について検討が可能になる。特に、本照射ブロッ クは面間距離が 50 mm 程度あり、照射量や温度勾配など、 複合的かつ経年変化する環境下で使用されていたため、 照射ブロック材内部方向(以下、深さ方向と記載)にお Block5 いても、照射下ミクロ組織が偏在する可能性がある。し たがって、照射ブロック材の深さ方向にミクロ組織観察Block4 を行った。ミクロ組織観察を行うための照射ブロック材切り出し 箇所の概略図を Fig.6に示す。なお、後述する超音波試験Block2 にも用いる切り出し材(以後、スライス材と記載)の識 別番号も記載する。Block1 Fig.6のように、Block3 のスライス材は、原子炉下部方 向からそれぞれ 3A~3E と識別番号を振った。同様に、Fig.6 Process of Cut out of irradiated Slice materials Table 2 Summary of microstructural observations for the investigated blocksFlat1FlatsFlat 225 mmFlatsFlat3Fla14FlatiFlat6Flat2P11-12:50 「あっちかなFlats5 minsBlock3Flat3Flat4Flat6Flat1Flat2517.5mmFlatsFlat3Flat4carbidevoidSlice material Ddepth form Flat1diameter [nm]volume ratio [%] number density [m-3]diameter [nm]volume ratio [%] number density [m-3) 0.467.1E+2012.5141.842.28+21203E1250.449.1E+20152.762.6E+212237.51.1E+211.951207.1E+201183D2.9E-21 2.3E+21 1.7E+21 3.2E+219.1E+2012.5 25 37.5 12.5 25280.52 0.13 0.50 0.73 0.34 0.31 0.321.1E+21231.18 2.94 2.08 0.52 0.47 0.311.2E+218E+202019/01/195A6.4E+208E+2011812 1012.51.2E+214.6E+205B250.396.4E+20120.475.9E+20215C12.50.46.3E+20134.2E+20180.29 0.235D250.48|6.3E+20|1313|3E+20一方、ボイドの発生量は、照射量に比例して Block 3 の スライス材の方が大きくなっている。また、3E、3Dの深 さ方向においては、ボイド分布が中心付近で最大となる 分布となっていることが分かる (Fig.7)。この結果は、y 熱によって照射ブロック材内部に温度分布が生じており、 中心付近でボイドの発生が促進された可能性を示唆して いる。6100nmFig.7 Microstructure observation in the depth direction of the 3D (right: 12.5 mm, center: 25 mm, left: 37.5 mm)2.3 超音波測定試験2.3.1 超音波音速解析 照射材中の超音波の音速は、ボイドの発生により低下 し、炭化物の析出により上昇することが知られている。 そこで本項では、超音波測定の音速解析について述べる。 1 まず、照射量が比較的高いBlock3 の1面から測定した 超音波音速結果を Fig.7 に示す。Fig.7 より、全体的に Block3 の超音波音速は、未照射材の音速である 5745 m/s より遅い結果となっており、炭化物の析出よりボイドの 発生が主であることを示している。また、音速が遅い領 域が5、6面側に偏っていることから、5、6面側が炉心に 向いていたと推測される。Flat5 |Flate1555720Flat15日Velosity (m/s)Flat4oscognoshi 01d0039 icoccesses 56855680com -5 | oocoop.3-5690 11000005695601 6100 rgton1899/12/15-15-SearneyanesenFlat251Flat2 50 O: Measurement point2 0200' Ultrasonic velocity of unlradiated material: 5745m/sFig.7 Ultrasonic velocity of Block31.次に照射ブロック内部の音速分布について、スライス 材の切断面より測定した結果を示す。3D、3B、5C の切 断面の音速分布を Fig.9、Fig.10、Fig.11 に示す。 3D の音速分布は、スライス材中心に音速の遅い領域が集中していることから、ボイドが中心付近に集中して発 生していることがわかり、この結果は TEM 観察の結果と 整合している。 - 3B の音速分布も、スライス材中心に音速の遅い領域が 集中しているが、3D と比較するとその変化の割合は小さ い。 5C の音速分布は、スライス材内部において大きな変化 は見られないが、未照射材の音速と比較して音速が 0.3% 程度高くなっていることがわかる。この音速変化から、 Blocks ではボイドの発生より炭化物の析出のほうが超音 波音速に影響を及ぼしていることがわかる。以上の結果より、本実験は超音波音速とミクロ組織に ついて定性的な関係を捉えていることがわかる。しかし、 得られた音速分布は、ボイド、炭化物などのミクロ組織 の影響を含んだ分布となっており、個々のミクロ組織の 分布を定量的に評価したものではない。したがって、2.4 節では超音波音速測定結果とミクロ組織観察結果の定量 的な関係についてさらに詳しく述べる。300Ultrasonic velocity (3D)Flat]5720 5710FlatzFlats2569056800Y_position (mm)Velocity (m/s)56809951915/06/301915/07/10Flat3]Flat!56505700円Flat4 Ultrasonic Velocity of unirradiated material : 5745 m/s-30-30-202030-10_ 0_ 10X_position(mm)Fig.9 Ultrasonic velocity between the cutting plane (3D)3075720Ultrasonic velocity (38)|Flat!! 65700 10 0 mm Flat625690Flat28Velocity (m/s)1901/11/25Y position om5700- BOS15680156901915/06/30...10「lat37Flat55650~2014Flat4 1:ttagon1 Veletity at utietadtate irate14a1:57450/6] 1-30 -20 -10 0 10 20 30Xposition ranFig.10 Ultrasonic velocity between the cutting plane (3B)74Ultrasonic velocity (5C)Fiat15770/01/01-57605750[Flat215740-Flat6Y_position (mm)お気にVelocity (m/s)- 5730 ト- 57200 1-5740- 5710 Flat3Flat5- 5700 15750 10Flata Ultrasonic Velcity of mirradiated Eaterial : 5745 a's -30 -30 -20 -10_ 0_ 10 20 30X_position (m)11Ultrasonic velocity between the cutting plane (5C)Fig.112.3.2 後方散乱波解析 照射材中の超音波は、中性子照射により生じたボイド などによって散乱され、後方散乱波として検出される。 その信号の変化を捉えることにより、照射ブロック材内 部のミクロ組織変化分布を検出できる可能性がある。そ こで、本項では、後方散乱波解析について述べる。 ・ まず、後方散乱波の解析手法について述べる。例として、後方散乱波の超音波信号を Fig.12 に示す。後方散乱 波の変化は非常に微小な変化であり、周波数に依存する ため、信号の微小変化を周波数ごとに捉えるために、FFT 解析を行った。また、深さ方向の変化を捉えるため、FFT 解析範囲(12 mm)を深さ方向に移動させながら、深さ ごとの後方散乱波の周波数分布を得た(Fig.13)。この周 波数分布のうち、6-9 MHz 間の信号強度を積分した値を 後方散乱波の積分強度と定義し、深さ 18 mm の位置で規 格化した値を積分強度比とした。 - 以上の解析手法により、スライス材 3D と 3B について 後方散乱波の積分強度比を算出した (Fig.13)。 Fig.13 よ り、スライス材の中心である 25 ~30 mm 付近において、 3B より 3D の積分強度比が大きく変化していることが分 かる。音速測定結果より、3D は 3B に比べてボイドの分 布が急になっていることから、このような変化が生じた ものと考えられる。..... The specimen thickness.. DepthAmplitude912 mmFFT analysis width - 40 45 --50 15055Time (105) Fig.12 Schematic diagram of the analysis of backscatter- 3B Fiat1 ... 3D Fiat1」Normalized Intencity- 0.6L 40.5 -0.42025303540““Depth (mm)Fig.13 Nomalized intensity of the backscatter(measurement from flat1 in 3B and 3D)2.4 照射下ミクロ組織の定量手法ミクロ組織変化と超音波信号との定量的な関係を明ら かにする上では、ボイド発生、炭化物析出が材料特性に 及ぼす影響を把握する必要がある。特に照射下ミクロ組 織と密接に関連している材料特性は、密度及び縦弾性係 数である。密度と照射下ミクロ組織の関係は、ボイドの 発生によって密度は減少し、炭化物の析出によって密度 は増加することが知られている)。しかしながら、炭化物 とボイドが共存する照射環境下において、炭化物析出に よる影響を含めた照射下ミクロ組織と縦弾性定数の関係 を定量的に扱った研究は少ない。そこで本節では、ミクロ組織観察の定量結果と超音波 音速測定結果を用いて、ミクロ組織変化と材料特性との 定量的な関係を導出する。超音波音速と材料特性の関係 式を式(1)に示す。y_ _E(I-V)VP(1+r)(1-2V) E:材料の縦弾性係数,p:密度, v: ポアソン比 まず、ミクロ組織変化と密度の関係について述べる。 ボイドの発生による密度の減少は明らかであるが、炭化 物析出による密度の上昇は、Spitzmagel らは固溶炭素がマ トリックスから抜け出ることによって母材の格子間定数 の減少し、密度が上昇すると理論的に評価している”。照 射下ミクロ組織と密度の関係を式(2)に示す。p =P(1-s + 0.33c) 1. : ボイド体積率 : 炭化物体積率 Pos: 初期密度次にミクロ組織変化と縦弾性係数について述べる。縦 弾性係数はボイドの発生により減少し、炭化物の析出に より増加することが知られているが、定量的に評価した研究は少ない。そこで、ミクロ組織変化と縦弾 性係数の関係を式(3)のように定義し、超音波測定とミク1751ロ組織の定量結果を基に関係式を明らかにした。E(s,c) = (1 -- As + Bc)E。 (3) : ボイド体積率 : 炭化物体積率 Er: 初期縦弾性係数 ミクロ組織観察結果と超音波測定結果のまとめを Table.3 に記載する。なお、ミクロ組織の定量結果は、ス ライス材ごとに平均値を用いており、超音波音速は14 面間の音速測定結果を用いた。Table.3 の値を基に重回帰 分析を行い、式(3)の係数を算出結果、式(4)を導出した。Table 3 Quantitative results of the microstructure andmeasurement results of ultrasonic velocitySlice materialvolume ratio of |void [3] 0.23volume ratio ofcarbide [%]Ultrasonic velocity [m/s]ID5D0.4857730.45774ル~5B0.390.365A0.50 2.07 2.180.32 0.453D5759 5696 56913F0.47-4| (1-2.5s + 3.5c)E(1-V) -VI-s+0.33c)P。(1 + 1)(1-2V) 式(4)の妥当性確認として、3D 及び 3E の深さ方向のボ イド分布評価を行う。各スライス材は、炭化物体積率は ほぼ一様であり、ボイド体積率は深さ方向に分布を持っ ていることが分かっている。そこで、炭化物体積率を一 定 (0.4%)と仮定し、3D の断面における音速測定結果と 式(4)を用いて、ボイド分布を算出し、TEM 観察から得ら れたボイド分布との比較を行った。なお、TEM観察結果は、3Dと3Eの定量結果の平均値を用いた。 ・ 算出したボイド分布と TEM 観察結果を Fig.14 に示す。 ミクロ組織における局所的なバラつきを考慮すれば、断 面の音速測定も TEM 観察結果と概ね一致する結果を示 し、相違は 0.5%以下であった。また、密度測定結果との 比較において相違は 0.3%以下であった。叩Calulated void distribution A TEM observation result |-日- Immersion densityProdotooo2004Volume ratio of void (%)-g。0 10 - 20 30Depth (man) Calculation and measurement of void distributionFig.143. 結言 * 本報では、EBR-II 廃材を用いてミクロ組織観察並びに 超音波測定試験を行い、中性子照射下におけるミクロな 組織変化と超音波信号の関係について実験的検討を行っ た。その成果は以下の3点である。 . 後方散乱波の解析から、構造物内部の照射下ミクロ組織分布を定量評価し得る可能性が示された。 超音波音速の解析による構造物の平均的な照射下ミ クロ組織の定量評価技術を開発した。 本手法は炉内構造物に対して、全体的な照射劣化状 況を把握するスクリーニング検査として、適用可能 であると考える。「謝辞本研究は、特別会計に関する法律(エネルギー対策特 別会計)に基づく文部科学省からの受託事業において得 られた成果の一部であり、ここに謝意を表します。参考文献 [1] 吉武庸光, 赤坂尚昭, 堂野前貴子, 宮川俊一他, “12% 冷間加工 316 ステンレス鋼の炉内照射損傷に及ぼす低は じき出し損傷速度の影響”, サイクル機構技報 No10 2001.3 [2] EBR-II REFLECTOR HEX BLOCK MEASUREMENT, Battele Memorandum No.8121,2003. [3] F. A. Garner, C. A. Black, D. J. Edwards, J. Nucl. Mater. 245 (1997) 124. [4] F. A. Garner et. al. , , International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems [S] 鈴木誠也他、“SUS304 のクリープ変形に伴う超音波 速度変化”, 日本材料学会, 22, 108 [6] 72 J. L. Straalsund and C. K. Day, “Effect of Neutron Hiradiation on the Elastic Constants of Type-304 Stainless Steel,““ Nucl. Tech, 20 (1973) 27. [7] J. A. SPITZNAGEL AND R. STICKLER, Correlation Between Precipitation Reactions and Bulk Density Changes in Type 18-12 Austenitic Stainless Steels, Metallergical Transactions Volume 5, JUNE 1974(平成24年7月 25 日)76“ “米国高速炉廃材を用いた照射下ミクロ組織の非破壊検査技術開発(1) 実験的検討“ “匂坂 充行,Mitsuyuki SAGISAKA,江藤 淳二,Junji ETOH,松永 嵩,Takashi MATSUNAGA,枝川 文哉,Humiya EDAGAWA,礒部 仁博,Yoshihiro ISOBE,沖田 泰良,Taira OKITA
高速炉材料として使用されるオーステナイト系ステン レス鋼では、中性子照射による照射硬化、延性低下など の材料劣化が構造物の重要な寿命制限因子の一つである ことから、照射によるミクロ組織変化を定量的に評価す ることは、炉内構造物の健全性及び余寿命評価を行う上 で重要である)。これまで原子力プラントなどの健全性評価のために、 超音波法をはじめ各種の非破壊的検査手法が適用されて きた。特に、超音波法は、き裂などのマクロな欠陥を検 出することを目的とした適用例は多い。しかし、照射劣 化の要因であるボイドの発生や炭化物の析出などのミク ロ組織変化を非破壊で定量的に評価する手法の開発が課 題であった。また、ミクロ組織変化の定量は、材料劣化 の初期の段階から損傷量を検出できる可能性があるため、 余寿命の予測精度を向上させ、構造物の信頼性向上に資 することが期待される。本研究開発では、米国高速実験炉である EBR-II の廃材 を用いて、構造材の照射による材料劣化を検出する手法 として、劣化の要因であるボイドや炭化物のようなミク ロレベルの組織変化を検出する非破壊検査技術の開発を 行った。具体的には、超音波の音速、底面波の解析によ る構造物の平均的なミクロ組織の定量評価技術、及び、 後方散乱波の解析による構造物深さ方向のミクロ組織分 布の定量評価技術の開発を行った。本報では、まずEBR-II 廃材の照射環境について調査し た結果を述べた後、中性子照射下で形成するボイド、炭 化物などミクロ組織と超音波信号との関係を明らかにす るために実施したミクロ組織観察及び超音波試験につい て述べる。最後に、超音波信号と照射下ミクロ組織の関 係について、実験的に検討を行った。
2. 非破壊検査技術開発
2.1 EBR-II 廃材の概要 1. 本技術開発で用いる照射された試験体であるEBR-II 廃 材(以下、照射ブロック材と呼ぶ)の概要について述べ る。照射ブロック材は、米国高速実験炉 EBR-II11(Experimental Breeder Reactor -II) の安心サブアセンブリー 内で反射材として用いられていた構造材 U9807 を構成し ていた、六角柱形状の部品である。EBR-II は、アイダホ 州アイダホフォールズに建設された電気出力 20MWのナ トリウム冷却炉であり、1963 年に臨界に達し、1994年ま で運用された。EBR-II 炉内の模式図を Fig.1 に示す。19807 は5体の六 角柱形状のブロック材とブロック材を格納するラッパー 管により構成されている。ブロック材の外観を Fig.2 に示 す。ブロック材及びラッパー管はいずれも同一組成の SUS304 により製作された。19807 は 12 年以上の期間 EBR-II の内部で照射を受けており、構造材内部ではミク ロ組織変化が生じ、材料劣化が進行していることが予想 された。REACTOR COVERCOVER HOLD-DOWN DEVICE-CORE SUBASSEMBLYNEUTRON SHIELDSAFETY SUBASSEMBLYCOOLANT OUTLETCONTROL SURASSEMBLYりTANKINNER BLANKET SUBASSEMBLYHIGH PRESSURE COOLANT INLETOUTER BLANKET SUBASSEMBLYLOW PRESSURE COOLANT INLETはるかSUPPORT GRIDFig.1 Schematic diagram of the EBR-II reactor28クロスカン10027.21 2010Fig.2 Appearance of irradiated Block materials2003 年にアルゴンヌ国立研究所においてブロック材が U9807 から取り出され、炉心下部に位置していたブロッ ク材から順に、Block1?Block5 までの番号が付けられた。 EBR-II の炉心高さ位置と各ブロック材の配置の概略図を Fig.3 に示す。 * 本研究開発で用いる照射ブロック材は Block 3 とBlocks であり、Block3 は、炉心に最も近い高さに設置し ていたものであり、Block5 は炉心より高い位置に設置さ れていたものである。 - Block3 及びBlocks の照射条件について詳細調査を実施 し、照射温度、照射量、照射履歴、寸法変化等の情報を 整理した。調査結果のうち、ラッパーー管の軸方向におけ る照射温度、照射量をそれぞれ Fig.4及びFig.5に示し日、 調査結果のまとめを Table.1 に示した。HighTopBlock5Block 4TemperatureBlock3| 30cmBlock2CoreBlock1LowbottomFig.3 Schematic view of core height and Block positionsFlat1 (surface facing the core) in Wrapper can (DPA)DPAFlat4 (Surface opposite to Flat 1) in wrapper can (DPA)Estimated linePosition (inches from core centerline)1 Block 3 BlockBlocksFig.4 Dose distribution of irradiated Block materials450 ,Maximum temperature during operationTemperature [°C]Average temperature during operationAverage temperature during operation350 - --20 -10_0_10_20Position (cm) L BLOCKS BLOCKAT BLOCKS Fig.5 Temperature distribution of irradiated Block materials72Table.1 Summery of investigation of BlockBlocks のスライス材は、原子炉下部方向からそれぞれ 5A Block IDBlock 3 Block 5~SD と識別番号を振った。 Face to faceBlock3 のスライス材のうち、3E、3D は最も照射量が高 52.3752.37 thickness [mm]く、Fig.4 からもわかるように、炉心に向いた面と反対の longitudinal length面で照射量の違いがあることから、照射ブロック材内部 243.28217.5 [mm]に照射下ミクロ組織分布は均一ではない可能性がある。 Flatl: 26 - 33 |したがって、3E、3D は1面から 12.5 mm、25 mm、37.5 mm0-5 Irradiation doseの深さで、ミクロ組織観察を行った。Blocks のスライス Flat4: 20-23 (Estimated value)材は、0~5 pa程度の照射量が予測されているため、SA、 Average temperature415 370~410 | [C]SB は 12.5 mm、25 mm の深さで、5C、5D は 25 mm の深 (Estimated value)さで、それぞれミクロ組織観察を行った。ミクロ組織観察の定量結果は、Table.2 に記載した。 2.2 ミクロ組織観察Table.2 より、炭化物の析出量は、Block3 と Blocks におい 照射ブロック材に対する詳細試験として、ミクロ組織ても、また深さ方向においてもほぼ同等の値となり、深 観察を実施することにより、超音波信号とミクロ組織とさ方向にほとんど分布が見られなかった。 の関係について検討が可能になる。特に、本照射ブロッ クは面間距離が 50 mm 程度あり、照射量や温度勾配など、 複合的かつ経年変化する環境下で使用されていたため、 照射ブロック材内部方向(以下、深さ方向と記載)にお Block5 いても、照射下ミクロ組織が偏在する可能性がある。し たがって、照射ブロック材の深さ方向にミクロ組織観察Block4 を行った。ミクロ組織観察を行うための照射ブロック材切り出し 箇所の概略図を Fig.6に示す。なお、後述する超音波試験Block2 にも用いる切り出し材(以後、スライス材と記載)の識 別番号も記載する。Block1 Fig.6のように、Block3 のスライス材は、原子炉下部方 向からそれぞれ 3A~3E と識別番号を振った。同様に、Fig.6 Process of Cut out of irradiated Slice materials Table 2 Summary of microstructural observations for the investigated blocksFlat1FlatsFlat 225 mmFlatsFlat3Fla14FlatiFlat6Flat2P11-12:50 「あっちかなFlats5 minsBlock3Flat3Flat4Flat6Flat1Flat2517.5mmFlatsFlat3Flat4carbidevoidSlice material Ddepth form Flat1diameter [nm]volume ratio [%] number density [m-3]diameter [nm]volume ratio [%] number density [m-3) 0.467.1E+2012.5141.842.28+21203E1250.449.1E+20152.762.6E+212237.51.1E+211.951207.1E+201183D2.9E-21 2.3E+21 1.7E+21 3.2E+219.1E+2012.5 25 37.5 12.5 25280.52 0.13 0.50 0.73 0.34 0.31 0.321.1E+21231.18 2.94 2.08 0.52 0.47 0.311.2E+218E+202019/01/195A6.4E+208E+2011812 1012.51.2E+214.6E+205B250.396.4E+20120.475.9E+20215C12.50.46.3E+20134.2E+20180.29 0.235D250.48|6.3E+20|1313|3E+20一方、ボイドの発生量は、照射量に比例して Block 3 の スライス材の方が大きくなっている。また、3E、3Dの深 さ方向においては、ボイド分布が中心付近で最大となる 分布となっていることが分かる (Fig.7)。この結果は、y 熱によって照射ブロック材内部に温度分布が生じており、 中心付近でボイドの発生が促進された可能性を示唆して いる。6100nmFig.7 Microstructure observation in the depth direction of the 3D (right: 12.5 mm, center: 25 mm, left: 37.5 mm)2.3 超音波測定試験2.3.1 超音波音速解析 照射材中の超音波の音速は、ボイドの発生により低下 し、炭化物の析出により上昇することが知られている。 そこで本項では、超音波測定の音速解析について述べる。 1 まず、照射量が比較的高いBlock3 の1面から測定した 超音波音速結果を Fig.7 に示す。Fig.7 より、全体的に Block3 の超音波音速は、未照射材の音速である 5745 m/s より遅い結果となっており、炭化物の析出よりボイドの 発生が主であることを示している。また、音速が遅い領 域が5、6面側に偏っていることから、5、6面側が炉心に 向いていたと推測される。Flat5 |Flate1555720Flat15日Velosity (m/s)Flat4oscognoshi 01d0039 icoccesses 56855680com -5 | oocoop.3-5690 11000005695601 6100 rgton1899/12/15-15-SearneyanesenFlat251Flat2 50 O: Measurement point2 0200' Ultrasonic velocity of unlradiated material: 5745m/sFig.7 Ultrasonic velocity of Block31.次に照射ブロック内部の音速分布について、スライス 材の切断面より測定した結果を示す。3D、3B、5C の切 断面の音速分布を Fig.9、Fig.10、Fig.11 に示す。 3D の音速分布は、スライス材中心に音速の遅い領域が集中していることから、ボイドが中心付近に集中して発 生していることがわかり、この結果は TEM 観察の結果と 整合している。 - 3B の音速分布も、スライス材中心に音速の遅い領域が 集中しているが、3D と比較するとその変化の割合は小さ い。 5C の音速分布は、スライス材内部において大きな変化 は見られないが、未照射材の音速と比較して音速が 0.3% 程度高くなっていることがわかる。この音速変化から、 Blocks ではボイドの発生より炭化物の析出のほうが超音 波音速に影響を及ぼしていることがわかる。以上の結果より、本実験は超音波音速とミクロ組織に ついて定性的な関係を捉えていることがわかる。しかし、 得られた音速分布は、ボイド、炭化物などのミクロ組織 の影響を含んだ分布となっており、個々のミクロ組織の 分布を定量的に評価したものではない。したがって、2.4 節では超音波音速測定結果とミクロ組織観察結果の定量 的な関係についてさらに詳しく述べる。300Ultrasonic velocity (3D)Flat]5720 5710FlatzFlats2569056800Y_position (mm)Velocity (m/s)56809951915/06/301915/07/10Flat3]Flat!56505700円Flat4 Ultrasonic Velocity of unirradiated material : 5745 m/s-30-30-202030-10_ 0_ 10X_position(mm)Fig.9 Ultrasonic velocity between the cutting plane (3D)3075720Ultrasonic velocity (38)|Flat!! 65700 10 0 mm Flat625690Flat28Velocity (m/s)1901/11/25Y position om5700- BOS15680156901915/06/30...10「lat37Flat55650~2014Flat4 1:ttagon1 Veletity at utietadtate irate14a1:57450/6] 1-30 -20 -10 0 10 20 30Xposition ranFig.10 Ultrasonic velocity between the cutting plane (3B)74Ultrasonic velocity (5C)Fiat15770/01/01-57605750[Flat215740-Flat6Y_position (mm)お気にVelocity (m/s)- 5730 ト- 57200 1-5740- 5710 Flat3Flat5- 5700 15750 10Flata Ultrasonic Velcity of mirradiated Eaterial : 5745 a's -30 -30 -20 -10_ 0_ 10 20 30X_position (m)11Ultrasonic velocity between the cutting plane (5C)Fig.112.3.2 後方散乱波解析 照射材中の超音波は、中性子照射により生じたボイド などによって散乱され、後方散乱波として検出される。 その信号の変化を捉えることにより、照射ブロック材内 部のミクロ組織変化分布を検出できる可能性がある。そ こで、本項では、後方散乱波解析について述べる。 ・ まず、後方散乱波の解析手法について述べる。例として、後方散乱波の超音波信号を Fig.12 に示す。後方散乱 波の変化は非常に微小な変化であり、周波数に依存する ため、信号の微小変化を周波数ごとに捉えるために、FFT 解析を行った。また、深さ方向の変化を捉えるため、FFT 解析範囲(12 mm)を深さ方向に移動させながら、深さ ごとの後方散乱波の周波数分布を得た(Fig.13)。この周 波数分布のうち、6-9 MHz 間の信号強度を積分した値を 後方散乱波の積分強度と定義し、深さ 18 mm の位置で規 格化した値を積分強度比とした。 - 以上の解析手法により、スライス材 3D と 3B について 後方散乱波の積分強度比を算出した (Fig.13)。 Fig.13 よ り、スライス材の中心である 25 ~30 mm 付近において、 3B より 3D の積分強度比が大きく変化していることが分 かる。音速測定結果より、3D は 3B に比べてボイドの分 布が急になっていることから、このような変化が生じた ものと考えられる。..... The specimen thickness.. DepthAmplitude912 mmFFT analysis width - 40 45 --50 15055Time (105) Fig.12 Schematic diagram of the analysis of backscatter- 3B Fiat1 ... 3D Fiat1」Normalized Intencity- 0.6L 40.5 -0.42025303540““Depth (mm)Fig.13 Nomalized intensity of the backscatter(measurement from flat1 in 3B and 3D)2.4 照射下ミクロ組織の定量手法ミクロ組織変化と超音波信号との定量的な関係を明ら かにする上では、ボイド発生、炭化物析出が材料特性に 及ぼす影響を把握する必要がある。特に照射下ミクロ組 織と密接に関連している材料特性は、密度及び縦弾性係 数である。密度と照射下ミクロ組織の関係は、ボイドの 発生によって密度は減少し、炭化物の析出によって密度 は増加することが知られている)。しかしながら、炭化物 とボイドが共存する照射環境下において、炭化物析出に よる影響を含めた照射下ミクロ組織と縦弾性定数の関係 を定量的に扱った研究は少ない。そこで本節では、ミクロ組織観察の定量結果と超音波 音速測定結果を用いて、ミクロ組織変化と材料特性との 定量的な関係を導出する。超音波音速と材料特性の関係 式を式(1)に示す。y_ _E(I-V)VP(1+r)(1-2V) E:材料の縦弾性係数,p:密度, v: ポアソン比 まず、ミクロ組織変化と密度の関係について述べる。 ボイドの発生による密度の減少は明らかであるが、炭化 物析出による密度の上昇は、Spitzmagel らは固溶炭素がマ トリックスから抜け出ることによって母材の格子間定数 の減少し、密度が上昇すると理論的に評価している”。照 射下ミクロ組織と密度の関係を式(2)に示す。p =P(1-s + 0.33c) 1. : ボイド体積率 : 炭化物体積率 Pos: 初期密度次にミクロ組織変化と縦弾性係数について述べる。縦 弾性係数はボイドの発生により減少し、炭化物の析出に より増加することが知られているが、定量的に評価した研究は少ない。そこで、ミクロ組織変化と縦弾 性係数の関係を式(3)のように定義し、超音波測定とミク1751ロ組織の定量結果を基に関係式を明らかにした。E(s,c) = (1 -- As + Bc)E。 (3) : ボイド体積率 : 炭化物体積率 Er: 初期縦弾性係数 ミクロ組織観察結果と超音波測定結果のまとめを Table.3 に記載する。なお、ミクロ組織の定量結果は、ス ライス材ごとに平均値を用いており、超音波音速は14 面間の音速測定結果を用いた。Table.3 の値を基に重回帰 分析を行い、式(3)の係数を算出結果、式(4)を導出した。Table 3 Quantitative results of the microstructure andmeasurement results of ultrasonic velocitySlice materialvolume ratio of |void [3] 0.23volume ratio ofcarbide [%]Ultrasonic velocity [m/s]ID5D0.4857730.45774ル~5B0.390.365A0.50 2.07 2.180.32 0.453D5759 5696 56913F0.47-4| (1-2.5s + 3.5c)E(1-V) -VI-s+0.33c)P。(1 + 1)(1-2V) 式(4)の妥当性確認として、3D 及び 3E の深さ方向のボ イド分布評価を行う。各スライス材は、炭化物体積率は ほぼ一様であり、ボイド体積率は深さ方向に分布を持っ ていることが分かっている。そこで、炭化物体積率を一 定 (0.4%)と仮定し、3D の断面における音速測定結果と 式(4)を用いて、ボイド分布を算出し、TEM 観察から得ら れたボイド分布との比較を行った。なお、TEM観察結果は、3Dと3Eの定量結果の平均値を用いた。 ・ 算出したボイド分布と TEM 観察結果を Fig.14 に示す。 ミクロ組織における局所的なバラつきを考慮すれば、断 面の音速測定も TEM 観察結果と概ね一致する結果を示 し、相違は 0.5%以下であった。また、密度測定結果との 比較において相違は 0.3%以下であった。叩Calulated void distribution A TEM observation result |-日- Immersion densityProdotooo2004Volume ratio of void (%)-g。0 10 - 20 30Depth (man) Calculation and measurement of void distributionFig.143. 結言 * 本報では、EBR-II 廃材を用いてミクロ組織観察並びに 超音波測定試験を行い、中性子照射下におけるミクロな 組織変化と超音波信号の関係について実験的検討を行っ た。その成果は以下の3点である。 . 後方散乱波の解析から、構造物内部の照射下ミクロ組織分布を定量評価し得る可能性が示された。 超音波音速の解析による構造物の平均的な照射下ミ クロ組織の定量評価技術を開発した。 本手法は炉内構造物に対して、全体的な照射劣化状 況を把握するスクリーニング検査として、適用可能 であると考える。「謝辞本研究は、特別会計に関する法律(エネルギー対策特 別会計)に基づく文部科学省からの受託事業において得 られた成果の一部であり、ここに謝意を表します。参考文献 [1] 吉武庸光, 赤坂尚昭, 堂野前貴子, 宮川俊一他, “12% 冷間加工 316 ステンレス鋼の炉内照射損傷に及ぼす低は じき出し損傷速度の影響”, サイクル機構技報 No10 2001.3 [2] EBR-II REFLECTOR HEX BLOCK MEASUREMENT, Battele Memorandum No.8121,2003. [3] F. A. Garner, C. A. Black, D. J. Edwards, J. Nucl. Mater. 245 (1997) 124. [4] F. A. Garner et. al. , , International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems [S] 鈴木誠也他、“SUS304 のクリープ変形に伴う超音波 速度変化”, 日本材料学会, 22, 108 [6] 72 J. L. Straalsund and C. K. Day, “Effect of Neutron Hiradiation on the Elastic Constants of Type-304 Stainless Steel,““ Nucl. Tech, 20 (1973) 27. [7] J. A. SPITZNAGEL AND R. STICKLER, Correlation Between Precipitation Reactions and Bulk Density Changes in Type 18-12 Austenitic Stainless Steels, Metallergical Transactions Volume 5, JUNE 1974(平成24年7月 25 日)76“ “米国高速炉廃材を用いた照射下ミクロ組織の非破壊検査技術開発(1) 実験的検討“ “匂坂 充行,Mitsuyuki SAGISAKA,江藤 淳二,Junji ETOH,松永 嵩,Takashi MATSUNAGA,枝川 文哉,Humiya EDAGAWA,礒部 仁博,Yoshihiro ISOBE,沖田 泰良,Taira OKITA