特集記事「エネルギー国際情勢」(1) 米国における事故耐性燃料の開発動向

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特集記事「エネルギー国際情勢」(1)「米国における事故耐性燃料の開発動向」

特集記事「エネルギー国際情勢」(1)
米国における事故耐性燃料の開発動向
日本エヌ・ユー・エス 株式会社

多原 竜輝 Ryuki TAHARA
1.はじめに(米国原子力発電の状況)
米国では現在 96基の原子力発電所が稼働し、国内電力の約 20%を賄っている。内訳としては、電力会社 20社が 64基の PWRと 32基の BWRを運転しており、 2基の AP1000型 PWRが現在建設中である。運転中のほとんどの発電所は、認可更新手続きによって当初の認可期間 40年を 20年延長して 60年間の運転期間が認められているが、他の電源とのコスト競争によって期限未満で運転を停止する発電所も出ている。一方で、 2度目の認可更新( 80年運転)を目指す発電所も最近ではみられている。運転中の発電所では、ここ数年の設備利用率が平均 92%という非常に良好な運転パフォーマンスを維持している(図 1)。発電コストは長期運転を目指した大型改造工事などの影響で 2012年にピーク( MWhあたり 41.35ドル)を迎えた後は少し低下傾向にあり、 2017年の合計発電コスト(MWhあたり 33.50ドル)は 2008年近くのレベル( MWhあたり 32.75ドル)まで減少している。しかしながら、天然ガスの値段が低下し、他の電源に対して補助金がついているために、必ずしも原子力発電の収益性は高くはない。そのため、後述の産業界団体の NEIが主導して、発電コストを 30%低下させるための活動(「原子力の約束の実現に向けて( Delivering the Nuclear Promise: DNP)」と呼ばれる)が 2016年に開始されている。

図 1米国原子力発電所の設備利用率 (NEI webサイトから )[1]

2.NEIによる産業界の支援と TIPアワード
米国には原子力エネルギー協会 (Nuclear Energy Institute: NEI)と呼ばれる産業界組織が存在する。NEIは 1994年に、当時存在していた 5つの産業界組織が統合して設立された。 2019年 5月時点で 300を超える原子力に関係する電力会社、プラントメーカー、研究機関、コンサルティング会社などが所属する巨大な組織である [2]。日本からも電力会社、メーカー、研究機関など様々な団体が NEIのメンバーに名を連ねている。NEIの目的は原子力技術の利用を推進することにあり、そのために政策上の重要な問題に関して産業界の統一見解を取りまとめ、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)、行政機関、州や地方政府機関への働きかけを行っている。また公衆への啓発を含め、原子力発電の地位向上に向けて様々な活動を行っている。
NEIではその活動の一環として、原子力発電所をより効率的に、より信頼性を高め、そしてより価格競争力を向上させる斬新なアイデアに対して、例年 Top Innovative Practice Award (TIP Award)と呼ばれる賞を授与している [3]。2019年 6月に開催された NEIカンファレンス( Nuclear Energy Assembly)では、 2019年の TIP Award が発表されている。受賞した 10件のタイトルを表 1に示す。
2019年の表彰で注目されたのは、 Southern Nuclear社が燃料関係で 2つの賞を獲得したことである。同社は燃料の中でも特に事故耐性燃料 (Accident Tolerant Fuel: ATF)に関する米国のワーキング・グループにおいてエグゼクティブ・スポンサーを務めており、今回受賞した 2例も ATFに関連している。
この受賞例からもわかるように、現在米国の原子力界では ATFが大きく注目されており、燃料ベンダ、電力会社、規制機関がそれぞれ実用化に向けて精力的に活動を行っている。
表1 2019年 TIP Award受賞者リスト [3]
受賞者 受賞事例
Dominion Energy カーボンファイバー樹脂を用いたサリー原子力発電所のパイプライン補強事例
Southern Nuclear GNF 沸騰水型軽水炉を対象にした、より効率的でかつ事故耐性を持つ新燃料の導入事例
Tennessee Valley Authority ブラウンズフェリー原子力発電所における遠隔操作型キャタピラクローラーによる輸送事例
PSEG ホープクリーク原子力発電所における高解像度カメラを備えた Framatome社製のマニピュレーターによる圧力容器内の清掃事例
South Texas Project 超音波を用いた循環水系パイプラインの評価技術
Talen Energy サスケハナ発電所における 3Dプリンティングを用いた試作部品の製造事例
Exelon カーボンフリー社会に向けた原子力発電推進運動
Arizona Public Service パロベルデ原子力発電所における熱交換器の効率性を向上させた新しい解析方法の事例
Southern Nuclear ボーグル原子力発電所2号機における Framatome 社製ATFの実装事例
Duke energy マクガイア原子力発電所2号機のフランジを交換する際に圧縮性のサーマルスリーブを用いることで工期を大幅に短縮させた事例

3.ATFの概要と研究背景
2011年 3月 11日に発生した福島第一原子力発電所事故では、大地震によって発生した津波が発電所内の施設を襲い、結果的に全電源喪失事故 (Station Blackout: SBO)が引き起こされた。福島第一原子力発電所の各原子炉は制御棒挿入によって核分裂反応の停止には成功したが、一方で SBOにより適切な炉心冷却を行うことが出来ず、崩壊熱の除熱が難しくなり、炉心の温度が上昇を続けた末に燃料が溶融するに至った。また、炉心の温度上昇により発生した高温高圧水蒸気が燃料被覆管材料と反応を起こした結果、大量の水素が発生し、最終的に 1、3、4号機の爆発事故につながった。
ATFはこのような過酷事故の発生リスクを低減するために開発された新しい燃料コンセプトである。ATFは主に反応度事故 (Reactivity Initiated Accident: RIA)と冷却材喪失事故 (Loss of Coolant Accident: LOCA)の 2種類の事故への対応を想定している [4]。
RIAは制御棒の急速な引き抜き等により燃料に過剰な反応度が加えられたときに発生する。わずかな時間の間に出力が急上昇するため燃料ペレットが熱膨張を起こし被覆管が歪むことが確認されている。代表的な事故としては 1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故が挙げられる。
このため、 ATFは従来の UO2燃料と比較して熱膨張率を抑制し、ペレット・被覆管機械的相互作用 (Pellet-cladding Mechanical Interaction: PCMI)が改善するように設計されている。
LOCAは SBOなどの理由により主冷却系が使用困難になり給水ポンプで炉心に冷却材を循環することができなくなる事故を指す。燃料の崩壊熱を除熱できないことから炉内の温度が上昇し続け、被覆管や燃料の溶融を引き起こす。商用軽水炉の燃料被覆管の材料として使用されているジルコニウム金属をベースとした合金は高温高圧水蒸気と反応して水素が発生する。この水素発生により燃料被覆管が膨張、そして破裂し、燃料中の放射性物質が外部の系へと放出される危険性がある。また、この水素生成反応は発熱反応であるため、炉内温度のさらなる上昇につながる。 LOCAの代表的な事故としては 1979年のスリーマイル島原子力発電所事故、 2011年の福島第一原子力発電所事故が挙げられる。
このため、ATFはジルコニウム合金と高温高圧水蒸気の反応性を低減させるように設計されている。また、今まで使用されていたジルコニウム合金とは異なる材料を

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4.米国における ATFの開発・試験動向
ATFの開発には Westinghouse社、Framatome社、GNF社の 3社が着手している。表 2にこれらの有力ベンダの主要ラインナップを示す [4]。特に近年は従来のジルコニウム合金の表面にクロム金属を薄くコーティングした Cr-coated ATFの開発が盛んに行われている。
表2  ATF開発における有力ベンダの主要ラインナップ [4]


4.1 Westinghouse社の開発動向 [4][5]
Westinghouse社は EncoreRと ADOPT.と呼ばれる 2種類の ATFコンセプトを発表している。
EncoreRは 2つのフェーズに分かれている。フェーズ 1として Westinghouse社は燃料被覆管材料に Cr-coated Zr-alloyを使用することを計画している。これは Westinghouse社の従来の被覆管である ZIRLORの表面にコールドスプレー法によって厚さ 20 ~ 30 μmの Crコーティングを行ったものである。この燃料被覆管に対して、 Westinghouse社は UO2燃料の代わりに U3Si2燃料の装荷を予定している。 UO2燃料と比べて U3Si2燃料は体積当たりのウラン濃度が 17%大きい。さらに U3Si2燃料は従来の燃料よりも熱伝導率が 550 %も高い。よって U3Si2燃料を用いることでより効率的なエネルギー利用を行うことができる。
フェーズ 2として Westinghouse社は燃料被覆管材料に炭化ケイ素 (SiC)を使用することを将来的に想定している。SiCは 2800℃で昇華するまで安定的に存在できることに加えて、従来の Zr-alloy材料と比較して高温高圧水蒸気との反応性が 1/10000であることから、 SiC被覆管の実現によってさらなる炉内の安全性を保障できるとしている。また、熱伝導率が従来被覆管材料よりも高いため、効率的なエネルギーの利用が可能になるとされている。こちらの SiC被覆管にも U3Si2燃料を装荷することを計画している。
もう 1つのコンセプトである ADOPT.は UO2燃料の代わりに Crをドープさせた UO2燃料を使用するというアイデアである。この燃料ペレットを使用することによって、 PCMIを改善することができる。 PCMIの改善により、仮に燃料棒に亀裂が発生したとしても、燃料ペレット自体の流出や核分裂生成ガスの放出を減らすことができると Westinghouse社は主張している。

4.2 Framatome社の開発動向 [4][6]
Framatome社は今日使用されている燃料よりもさらに安全な燃料を開発することを目標に掲げた PROtectプロジェクトを開始した。 PROtectプロジェクトでは短期と長期の 2つの計画が現在進行している。
短期計画では Framatome社は燃料被覆管材料に Cr-coated Zr-alloyを用いることを計画している。これは Framatome社の従来の被覆管である M5Rの表面に PVD法によって厚さ 8 ~ 22 μmの Crコーティングを行ったものである。特徴としては Westinghouse社の EncoreRよりも Cr コーティングが薄いことが挙げられる。この燃料被覆管に対して、 Framatom社は UO2燃料の代わりに Cr2O3をドープした UO2燃料の装荷を予定している。 Cr2O3をドープすることにより UO2燃料は粒径と粘塑性が大きくなる。燃料の粒径が大きいと、仮に燃料棒が欠損したとしても放射性物質の流出を抑えることができるというメリットがある。また、核分裂生成ガスの放出挙動が改善されるという報告もある。よって Cr2O3をドープした UO2燃料を用いることで更なる安全性の改善が期待できるとしている。
長期計画として Framatome社は燃料被覆管材料にセラミックス基長繊維強化複合材料 (Ceramics Matrix Composite: CMC)、特に炭化ケイ素強化複合材料 (SiCf/ SiC)の使用を検討している。 SiCf/SiCはセラミックス材料である炭化ケイ素 (SiC)を炭化ケイ素の繊維で強化し、セラミックス特有の脆性破壊挙動の克服を目指したもの

図2 ATF概略図(Framatome webサイトから)[6]


4.3 GNF社の開発動向 [4]
GNF社は ATFのコンセプトとして ARMORと Fe-Cr-Alの 2種類の材料を発表している。
ARMOR(Abrasion Resistant, More Oxidation Resistant)は従来の被覆管材料である Zircaloyに酸化防止のための薄膜をコーティングしたものである。ただし GNF社は ARMORの詳細について明らかにしていない。
Fe-Cr-Alは鉄、クロム、アルミニウムの 3種類の金属を用いた三元系ステンレス鋼である。従来材料よりも良好な酸化耐性を示していると GNF社は発表している。


4.4 ATFの試験動向 [4]
表 3に 2019年 6月までに行われてきた Cr-coated ATFの主要な試験を、表 4に今後計画されている Cr-coated ATFの試験予定を示す。 Cr-coated ATFの試験は 2010年代後半から開始され、 2018年と 2019年には先行照射試験燃料 (Lead Test Assembly: LTA)や先行照射燃料棒 (Lead Test Rod: LTR)が稼働中の商用炉に装荷されるという、実用条件に近い試験が行われた。今後も LTA、LTR装荷試験は計画されており、米国では燃料に関する技術的パラダイムシフトが巻き起こっている。

表3 2019年 6月までに行われた主要な Cr-coated ATFの試験 [4]
試験名 参加ベンダ 備考
Halden IFA-796 Test Westinghouse Framatome ノルウェーのHalden炉にCr-coated Zr-alloy被覆管を装荷。約55日間の照射試験を行った。
MITR MITR-2 Test Westinghouse MITが所有する MITR試験炉に対し、燃料を積載していない Cr-coated Zr-alloy被覆管を装荷。 157日間の照射実験が行われた。
Ggen IMAGO Program Framatome 2016年にスイスの Gsgen発電所に対して燃料を積載していない Cr-coated Zr-alloy被覆管を装荷。 2023年に取り出し予定。
Lead Test Rod Irradiation Programs @Hatch GNF 2018年に米国の Hatch発電所に対して ARMOR被覆管に UO2燃料を装荷した試験燃料体を装荷した。 2020年にプールサイド試験 (PoolSide Experiment: PSE)を実施予定。
Lead Test Rod Irradiation Programs @Vogtle Framatome 2019年4月に米国の Vogtle発電所2号機に対してCr-coated M5R被覆管にCr2O3 doped UO2燃料を積載した試験燃料集合体を装荷し、運転を再開させた。

表4 今後計画されている Cr-coated ATFの試験予定 [4]
試験名 参加ベンダ 備考
Lead Test Rod Irradiation Programs @Byron Westinghouse 2019年に米国の Byron発電所に対して Cr-coated ZIRLOR被覆管に U3Si2燃料を積載した試験燃料集合体と、ADOPTTM燃料を積載した試験燃料体を装荷予定。
Lead Test Rod Irradiation Programs @ANO Framatome 2019年に米国の Arkansas Nuclear One発電所に対して Cr-coated M5R被覆管にCr2O3 doped UO2燃料を積載した試験燃料体を装荷予定。
ATR ATF-2 Test Westinghouse Framatome 米国の INLが所有する ATR試験炉に対して UO2燃料を積載した Cr-coated ZIRLOR被覆管と Cr2O3 doaped UO2燃料を積載した Cr-coated M 5R被覆管を装荷予定。冷却水ループを稼働させながら中性子を照射させる。
HFIR at ORNL Framatome GNF 米国の ORNLが所有する HFIR炉に対して Cr-coated M5R被覆管と ARMOR coated Zircaloy-2被覆管を装荷予定。

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図3 Hatch発電所における ATF試験燃料体の装荷の様子(NRC webサイトから )[7]


図4 Vogtle発電所における試験燃料集合体の装荷の様子(Southern Nuclear webサイトから )[8]

5.ATFに関する米国の法規制
米国における燃料に関する規制要件として、米国連邦規則 (Code of Federal Regulation: CFR) 10 CFR 50.46「軽水炉の非常用炉心冷却系の許容基準」がある [9]。当然ながら ATFもこの規則に準ずる必要がある。
一方で、 10 CFR 50.46は燃料被覆管の材料を Zircaloyもしくは ZIRLORのみに、燃料ペレットの材料を UO2のみに制限しており、他の材料の使用の一切を認めていない。米国連邦規則 10 CFR 50.12にて規定されている
免除申請事項を適用すれば例外的に使用することは可能であるが [10]、一般的には現状の規則において ATFを商用炉に適用するのは不可能である。
この 10 CFR 50.46であるが、現在改定に向けて議論されている。 NRCの原子炉安全諮問委員会 (Advisory Committee on Reactor Safeguards: ACRS)、NRCスタッフ、そして産業界は規則改定案について議論を行い、 2016年 3月 16日付けの報告書 (SECY-16-0033)にて 10 CFR 50.46cの最終規則案を NRCに提出した [11]。この規則案は、従来規則の「 Zircaloyまたは ZIRLOR製円筒形被覆管内の酸化ウラン・ペレット」という規定を削除することを提案していて、現在 NRCの承認待ち状態にある。
また、 NRCは近年 ATFの開発が活況を呈しているのを考慮し、 2017年 12月 21日に ATFの認可、規制のために必要となる活動の計画を示したプロジェクトプラン案を官報 (82FR60633)でコメントを求めて公表した [12]。さらに、 2018年 4月 12日に NRCスタッフと産業界が ATFについて NRCに説明するためのブリーフィングが開催された [3]。ブリーフィングには NRCスタッフ、連邦エネルギー省 (Department of Energy: DOE)、Southern社、電力研究所 (Electric Power Research Institute: EPRI)、及び憂慮する科学者同盟 (Union of Concerned Scientists: UCS)が参加し、ATFの実用化に向けて様々な議論が交わされた。
このように、米国では規制機関も含めて ATFの実用化に向けた様々な取り組みが行われている。
6.ATFの課題 [4]
米国では ATFの実用化に向けた開発や試験が進むにつれていくつかの問題が明らかとなった。特に現在精力的に研究開発が進められている Cr-coated ATFに関しては次の技術的な問題が指摘されている。
・Cr-Zr合金の溶融挙動

Cr-coated ATFの温度が 1332℃を超えたとき、局所的な溶融が確認された。この溶融による被覆管全体への影響は今のところ確認されていないが、今後も 1332℃以上における材料の挙動に注意を払うべきである。
・LOCA時における ATFの脆化挙動

クエンチ後延性 (Post Quenching Ductility: PQD)評価の結果、 Cr-coated ATFは従来の被覆管と比べて材料が脆化するまでの時間と温度の余裕が確認された。ただし、脆化を完全に防げるわけでは無く、むしろ従来の被覆管・Cr コーティング上に発生するクラック
Cr-coated ATFに対して 4%の歪みを加えると Crコーティング上にクラックが発生することが確認されている。通常運転時では問題が無いものの、仮に LOCA時において燃料棒にバルーニングが発生した場合 10 ~ 50 %の歪みが燃料被覆管に加えられることが予想されている。この時の Crコーティングの状態の検証が必要になる。
・Cr-coated ATF被覆管の金属疲労挙動
Crコーティングを行うことによって従来の材料よりも早く疲労効果が表れることが確認された。コーティングにより材料表面の微構造が変化したことが理由であると考えられている。この疲労挙動の変化が原子炉全体にどれぐらい影響を与えるのか検証しなくてはいけない。
上記の他にも、ノルウェーの Halden炉が 2020年に停止する影響から、ATFの試験施設が少なくなるという問題や、 ATFの輸送に関する規則が不明瞭であり LTAや LTR挿入の際に問題となることが指摘されている。
7.まとめ
福島第一原子力発電所事故を経て、従来のジルコニウム合金燃料被覆管と UO2燃料に代わる、過酷事故の発生リスクを低減させる ATFのコンセプトが注目を集めている。米国では Westinghouse社、Framatome社、GNF社といった燃料ベンダと Southern Nuclear社などの電力会社、そして原子力規制機関である NRCが一丸となって ATFの実現に向けて様々な取り組みが行われている。特に 2018年から 2019年にかけて LTAや LTRの商用炉への装荷という大規模な試験が開始され、燃料の技術的パラダイムシフトが起きつつある。


参考文献

[1]U.S. Nuclear Industry Capacity Factors
https://www.nei.org/resources/statistics/us-nuclear-
industry-capacity-factors

[2]About NEI https://www.nei.org/about-nei
[3]Awards https://www.nei.org/about-nei/awards
[4]PNNL, "Degradation and Failure Phenomena of Accident Tolerant Fuel Concepts, Chromium Coated Zirconium Alloy Cladding,"January 2019.
[5]Westinghouse EnCoreR Fuel http://www.westinghousenuclear.com/about/news/ features/view/enhancing-safety-the-pursuit-of-accident-tolerant-fuel
[6]EATF The Next Evolution of Nuclear Fuel https://nextevolutionfuel.com/
[7]NRC: Accident Tolerant Fuel https://www.nrc.gov/reactors/atf.html
[8]Southern Nuclear: Plant Vogtle Unit 2 begins new fuel cycle, installs world's first complete advanced fuel test assemblies https://www.southerncompany.com/our-companies/ southern-nuclear/southern-nuclear-news-stories/vogtle_ atf-190405.html/
[9]U.S. NRC, 10 CFR 50.46 Definitions[10]U.S. NRC, 10 CFR 50.12 Definitions[11]SECY-16-0033, "Draft Final Rule . Performance-Based
Emergency Core Cooling System Requirements and Related Fuel Cladding Acceptance Criteria," March 16, 2016

[12]82FR60633,"Preparing to License Accident Tolerant Fuel,"December 21, 2017
(2019年 8月 1日)

著者紹介 

著者:多原 竜輝
所属:日本エヌ・ユー・エス株式会社エネルギー事業本部エネルギー技術ユニット
専門分野:原子力安全

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