特集記事「エネルギー国際情勢」(3) 米国が警戒する原子力覇権狙う中国

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カテゴリ: 特集記事


特集記事「エネルギー国際情勢」(3)
米国が警戒する原子力覇権狙う中国
日本テピア株式会社

窪田 秀雄 Hideo KUBOTA

1.はじめに
中国では、昨年から今年 7月にかけて合計 9基の原発が運転を開始したが、原発の新設はほぼ 3年間にわたって審査・承認が行われていなかった。新規着工も 2017年 12月の高速増殖炉実証炉( 60万 kW)を最後に途絶えていた。しかし、増設ユニットではない新規サイトの原発が年内にも着工する見通しとなった。それだけではない。浮動式原子力プラントとモジュール式小型炉(SMR)も年内に着工する。原子力船プロジェクトも動き出した。来年には、高温ガス炉(HTGR)実証炉(21万 kW)と国産の第 3世代炉「華龍一号」(PWR、100万 kW級)の初号機が運転を開始する。
2.新規着工が目白押し
2018年は中国の原子力界にとって記念すべき年となった。世界初の AP1000(米ウェスチングハウス社製 PWR)である浙江省の三門 1号機に続き、同じく世界初の EPR(仏フラマトム社製 PWR)である広東省の台山 1号機が運転を開始した。 AP1000採用原発については、 2018年から 19年にかけて三門 2号機、山東省の海陽 1・ 2号機が相次いで運転を開始した。 EPRの二号機となる台山 2号機も今年 6月に送電を開始した。これによって、 19年 8月末現在、中国国内で運転中の原発は合計 46基、約 4703万 kW(台山 2号機は集計に含めず)に達した。建設中は 11基、約 1171万 kWとなった。
ここ数年、中国国内の関心は、新規の着工に向けられていた。そうしたなかで、今年 3月、原子力規制当局である生態環境部(国家核安全局)は、福建省の.州 1・2号機と広東省の太平嶺 1・2号機の環境影響評価報告書を受理したことを明らかにした。これは、両原発の着工が大きく前進したことを意味している。 4基とも、フランスの技術をベースに中国が自主開発したとされる国産の「華龍一号」を採用する。両原発の各 1号機は年内の着工が有望視されている。
この 4基以外にも、ロシアの協力を得て建設する遼寧省の徐大堡 3・4号機と江蘇省の田湾 7・8号機、中国が国の重大特別プロジェクトと位置付ける国産の大型炉 CAP1400(AP1000の出力アップバージョンで中国が自主開発)の実証炉である山東省の栄成石島湾 1・2号機の合計 6基が年内に承認されるとみられている。このほか、標準化された中国版 AP1000である CAP1000を採用する三門 3・4号機(浙江省)や海陽 3・4号機(山東省)、陸豊 1・2号機(広東省)でも、着工に向けた準備が着々と進んでいる。
ほぼ 3年間にわたって新規原発の承認が行われなかった理由については、第 3世代炉の信頼性、安全性の検証に時間がかかったためとの見方が出ている。第 3世代炉
出典:筆者作成
図1 中国における原発の着工・送電(運転)開始基数の推移
出典:筆者作成
図2 中国で運転中・建設中の原発の設備容量の推移


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に位置付けられる AP1000や EPRの運転開始によって、第 3世代炉の技術が管理できるということを国が判断したことが承認の再開につながったと見ることもできよう。一方で、原発の審査・承認が遅れた背景には電力の供給過剰があるという指摘もある。再生可能エネルギーのコストが低下してきていることもあり、原発に対する差し迫ったニーズがなかったことも理由の 1つとしてあげられている。
3.「華龍一号」初号機が来年運転開始へ
中国を代表する国有の原子力事業者である中国核工業

集団有限公司(中核集団)傘下の原子力発電事業者である
中国核能電力股.有限公司は今年 3月、中国が輸出炉と
しても高い期待を寄せる「華龍一号」の初号機となる福建
省の福清 5号機が今年 12月 15日の燃料装荷を経て来
年 4月 27日に運転を開始する予定であることを明らか
にした。 6号機は 10ヵ月遅れて運転を開始する見通し。
両機とも工期は 62ヵ月間を見込んでおり、第 3世代炉
としては、 100ヵ月を超えた AP1000や EPRの工期を大
幅に下回る。
なお、英国において仏電力公社( EDF)と共同で「華龍

一号」プロジェクト(ブラッドウェル B発電所)を進めて
いる中国広核集団有限公司(広核集団)は、同公司が「華
龍一号」の実証プロジェクトと位置づける防城港 3・4号
機の建設を広西荘族自治区で進めている。
英原子力規制局と環境庁は昨年 11月 15日、広核集

団と EDFがブラッドウェル B発電所で採用を予定している UK HPR1000(中国名「華龍一号」)の包括設計審査(GDA)の第 2ステップが終了し、第 3ステップに入ったことを明らかにしている。GDAは全部で 4つのステップで構成され、約 60ヵ月を要する。英原子力規制局と環境庁は 2017年 1月に第 1ステップを、また同 11月に
第 2ステップの審査を開始していた。
中核集団と広核集団の設計を統合して開発された「華

龍一号」は当初、戦略輸出の中心炉型と位置付けられて
いたが、 AP1000の建設プロジェクトが長期化を余儀
なくされたため、国内のプロジェクトでも AP1000や
CAP1000に代わって採用されるケースが増えてきてい
る。
4.HTGR実証炉も来年運転開始
山東省で建設中の HTGR実証炉(10万 kWのモジュール 2基で構成=出力 21万 kW)が来年上半期にも運転を開始する見通しとなった。中核集団の余剣鋒董事長が今年 4月、明らかにした。全国政治協商会議の委員を務める中核集団科技・情報化部の銭天林主任によると、実証炉に続く 60万 kW実用炉のプロジェクトもスタートした。すでに標準設計ならびにプロジェクト提案書の専門家による審査も終了し、現在、立地点の選定が行われている。60万 kW実用炉は、6基のモジュールで構成される。
銭主任は、 HTGRを用いて製造した水素を冶金に利用することを国家科学技術重大特別プロジェクトに組み込むことを提案した。同主任によると、今年 1月には、中核集団や中国宝武鋼鉄集団、清華大学が、世界をリードすることを目指して「核冶金産業連盟」を共同で設立するとした協力枠組み取決めを締結したことを明らかにした。
実証炉は、来年の完成に向けて、エンジニアリング設計と土木工事が基本的に完了しており、現在は機器・設備の据付と調整試験の段階にある。このうち、蒸気発生器(SG)は昨年 10月 31日、ハルビン電気集団有限公司傘下の哈電集団(秦皇島)重型装備有限公司(哈電重装)で検収にパスし出荷された。実証炉向け SGは、高さ約 25m、最大外径 4.5m、総重量 500トン。哈電重装による研究・製造期間は 10年に及び、高精密熱交換パイプの溶接工程やニッケル合金の自動 TIG溶接などでブレークスルーを達成し、 HTGR向けの SGの製造技術を完全に掌握したとしている。なお同社は、関係機関との間で、 60万 kW実用炉向けの原子炉圧力容器と SGの製造・供給について協議を終えている。
実証炉向けの燃料要素の製造も着実に進んでいる。中核集団傘下の中核北方核燃料元件有限公司が実証炉の核燃料要素生産ラインの建設を請け負った。生産ラインは初装荷燃料と取替燃料の要求をクリアーすることを目標として 2013年に着工し、2015年に完成。2016年に正式に生産をスタートした。同生産ラインでは、球状の燃料要素を年間 30万個製造できる。 2017年 7月 17日には 20万個目の球状燃料の製造に成功している。
中核集団の余剣鋒董事長は今年 8月 8日、HTGR実証炉の運転開始を早期に実現するとともに、標準化設計作業に直ちに着手し後続のプロジェクトの実施ならびに産業チェーンのイノベーションを推進する必要性に言及した。余董事長は、高温プロセス熱利用や熱電併給、水素製造、火力発電の代替等の市場に焦点を定めて、 HTGRの幅広い発展を実現するとの見解を表明した。
5.年内に SMR実証炉に着工
世界的に開発競争が激しさを増している SMR実証炉
が海南省で年内に着工する見通しとなった。中核集団は今年 7月 18日、海南省が挙行した自由貿易試験区建設プロジェクトの第 5回集中着工・契約活動の一環として、多目的 SMRである ACP100(中国名「玲龍一号」= 10万 kW級 PWR)の実証プロジェクトがスタートしたことを明らかにした。
中核集団は 2010年、ACP100の特別研究開発プロジェクトに着手。 2016年 4月には世界で初めて、国際原子力機関( IAEA)によって安全性が審査された小型炉となった。ACP100は、成熟した加圧水型炉(PWR)技術をベースに一体化原子炉の設計と受動的な安全システムを採用し、安全性は第 3世代炉水準に達しているという。なお、 ACP100実証プロジェクトは 2017年 5月、国家発展改革委員会から「前期作業」(着工までのすべての作業を含む)を実施する合意をとりつけている。
中国の原子力規制当局である生態環境部は今年 7月 12日、「海南昌江多目的モジュール式小型炉科学技術実証プロジェクト立地点選定審査意見書」(7月 11日付)を同プロジェクトの実施主体である海南核電有限公司に送付した。同公司が提出した安全分析報告に回答したもので、地方政府と協力し立地点の保護や公衆との意思疎通活動を積極的に行うよう求めた。また、建設許可証を取得する前に耐震構造物の基礎コンクリート打設工事を行ってはならないとした。生態環境部の審査意見書によると、実証プロジェクトでは ACP100(熱出力 385MW) 1基と関連補助設備が建設される。
ACP100は、一体化原子炉を採用し、原子炉モジュールは 57体の燃料集合体、 25体の制御棒ユニットと制御棒駆動機構、16台の貫流式蒸気発生器、4台の小型シールド一次冷却材ポンプ、 10組の炉心中性子・温度検査ユニット、4組の水位検査ユニットで構成されている。
中核集団傘下の原子力発電事業者である中国核能電力股.有限公司は今年 3月 11日に公表した「海南昌江多目的モジュール式小型炉科学技術実証プロジェクト環境影響評価報告書」の中で、中核集団が開発した SMRである ACP100を、既存原発(昌江 1・2号機)の西北側に建設する計画を明らかにしていた。事業主体の海南核電有限公司によると、今年 12月 31日に着工する。投資コストを削減するため、補助生産設備については昌江発電所の既存の施設をできるだけ活用する。工期は 65ヵ月を見込んでおり、 2025年 5月 31日完成の見通し。親会社の中核集団は ACP100の輸出を視野に入れており、海南核電も今回の実証プロジェクトが国際市場を開拓するう
6.浮動式原子力プラントの年内着工が有望
ロシアでは、小型炉を 2基搭載した海上浮動式原子力プラントの「アカデミック・ロモノソフ」(Akademik Lomonosov)が、極東地域北東端に位置するチュクチ自治管区のペベクに曳航され、今年 12月には電気と熱の供給ネットワークに接続される予定になっている。中国でも、初の浮動式原子力プラントの年内着工が有望になった。全国政治協商会議の委員を務める中国核動力研究設計院の羅琦院長が今年 3月に明らかにした。同院長によると、山東省の烟台に配備する浮動式原子力実証プラントの研究設計ならびに核心部品の生産が完了した。採用される原子炉は ACP100の海上版である ACP100S。総投資額は 140億元(約 2320億円)と推定されている。 2021年には運転を開始する見込みとなっている。
同設計院は 2010年、ACP100Sを搭載した海上原子動力プラットフォームの研究開発をスタート。同プラットフォームは台風や海氷、積雪の負荷等の影響を考慮して設計されており、衝撃試験なども実施し、安全性に問題がないことが確認されているという。
海上浮動式原子力プラントは、エネルギー供給源となる小型の原子炉を船体部に搭載したもので、船自体に推進装置が付いた設計もあるが、基本的に他の船舶によって目的地まで曳航される。沿海部の大型工業基地のほか、西沙諸島や南沙諸島等、遠海部でのエネルギー供給源として発電や海水の淡水化等に利用することが計画されている。
専用の小型原子炉は、中核集団が ACP100S(PWR、 10万 kW級)を、また広核集団が ACPR50S(同、 6万 kW級)を開発しており、2015年 12月には、国家発展改革委員会が 2つの炉型を「エネルギー科学技術イノベーション第 13次 5ヵ年計画」に組み込むことを承認している。
広核集団は 2016年1月、浮動式プラントのユーザーとして有力な中国海洋石油総公司( CNOOC)との間で小型炉開発を共同で進めるとした戦略協力枠組み協定を締結。また広核集団は同月、浮動式プラントの船体部分を担当する中国船舶重工集団公司との間でも戦略協力協定を締結した。同 11月には、傘下の中広核研究院有限公司と東方電気股.有限公司が「ACPR50S実験炉プラットフォームプロジェクトの圧力容器調達取決め」を締結し圧力容器を発注したと発表した。
えで重要な意義を持つと説明している。

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7.原子力船プロジェクトが具体化
7.1 原子力砕氷船
数年前から噂にのぼっていた原子力砕氷船の建造プロジェクトが正式にスタートした。中核集団は昨年 6月 23日、電子商取引プラットフォーム上に「原子動力砕氷総合保障船実証プロジェクト技術コンサルティング・サービス外部委託プロジェクト」の入札募集公告を掲載した。中核集団傘下の上海中核浦原有限公司が中核海洋核動力発展有限公司の委託を受けて入札を担当する。中核海洋核動力は 2017年 8月、中核集団傘下の中国核能電力( 51%)のほか、上海国盛有限公司(20%)、江南造船集団有限責任公司( 10%)、上海電気集団股.有限公司(10%)、浙江浙能電力股.有限公司( 9%)の共同出資に
よって設立。海洋原子力プラントの設備の開発や製造、
運営・管理、生産、電力や熱・淡水の販売等を手がける。
入札募集公告では、成熟した技術をベースとして中国

初の「原子力砕氷総合保障船」を建造するとしたうえで、
砕氷ならびに極地航路を開発する能力を備えると同時
に、電力供給や海上での補給及び救援等の機能を有する
必要があるとした。
具体的には、「原子力砕氷総合保障船」実証プロジェク

トの立案、実行可能性研究、設計、審査・評価、認証取得、
建造、調整試験等のプロセスにおいて、船舶と原子動力
装置の設計・験証、設計審査、技術コンサルティング等
の分野での技術サポートを要求しており、実証プロジェ
クト推進にあたって技術問題を解決する役目を担う。期
間は、契約成立から原子力砕氷船の運用開始まで。共同
入札は認めないとしている。
入札募集公告では、採用する原子炉の炉型に

は言及していないが、中核集団傘下の中国核動
力研究設計院が開発した海洋向け小型原子炉(ACP100S、
ACP25S、ACP10S)が採用されることは間違いない。
なお、中核集団と上海交通大学は昨年 8月 9日、戦略

協力を深化するという取決めに調印するとともに、「核
動力船舶・海洋装備研究院」を共同で設立する協力取決
めを締結している。それによると、原子動力技術の海洋
応用を促進するとともに海洋原子動力産業チェーンを
構築し、中国の海洋原子動力の研究開発に新たな局面を
切り開くとした。上海市も参加している同研究院の研究
テーマには原子力砕氷船が含まれている。

7.2 原子力実験船
一方、広核集団は今年 3月 14日、「(原子力)実験船プ

ラットフォーム建造プロジェクト入札公告」をウェブサイトに公表した。
それによると、当局からの同プロジェクトの承認は得られているとしたうえで、資金の出所は自己資金、入札管理者は広核集団傘下の中広核研究院有限公司であることを明らかにした。 2 × 25MWのコンパクト PWRを搭載し、原子炉熱出力は 200MW。実験船の設計パラメータは全長 152m、型幅 30m、型深さ 18mで、設計喫水 8.32m、設計排水量 3万トンとなっており、自力航行能力ならびに自動位置制御システムと独立した集中手動位置制御を備えることが求められている。原子動力あるいは補助ディーゼル動力での航行が可能で、最大航行速度は 11.5ノットなどとなっている。
入札内容を見ると、実験船プラットフォームの製造・設計、設備調達、建造、据付、燃料装荷、調整試験等が含まれ、プラットフォームの建造期間は 24ヵ月、調整試験期間は 15ヵ月などとなっている。応札の要件として、最近 5年内に排水量 3万トン以上の船舶の設計・建造実績があることをあげている。
入札公告では「実験船プラットフォーム」としか書かれていないため、憶測を呼んでいる。ロシアで就役中の原子力砕氷船より大きいことから、実験船が砕氷能力を持てば世界最大の原子力砕氷船が誕生するといった見方もある(ロシアで建造中のアルクティカ級原子力砕氷船は全長 173メートル、排水量 3万 3500トン)。しかし、入札案内では砕氷能力に全く言及されていない。また、原子力砕氷船プロジェクトはすでに中核集団が進めているため、中国を代表する 2大原子力事業者が並行して原子力砕氷船プロジェクトを進めるとは考えにくく、原子力空母建造をにらんだものではないかといった観測が出ている。
8.核熱利用を積極推進
昨年 3月開催の第 13期全国人民代表大会(全人代)第 1回会議と同時に開催された中国人民政治協商会議第 13期全国委員会第 1回会議では、原子力関連の複数の提案が行われたのを受け、国家能源局は同 11月、各提案に対する回答を公表した。
このうち、石炭に代わる代替エネルギーとしての原子力による熱利用(核熱利用)の提案については、北部地区において冬季に暖房用として核熱利用を行うことは汚染源を管理するという共産党中央委員会と国務院の方針に沿っているとしたうえで、核熱利用は広範な応用の見通しと市場ポテンシャルを持つとの認識を示した。このた
め、国家能源局としては、低温熱供給炉技術を含めた先
進的な技術を「エネルギー技術イノベーション『第 13次
5ヵ年』規画」に盛り込むとともに、関連組織が核熱供給
の核心技術の課題に取り組むことを支持しているとし
た。また、「北方地区の核熱供給暖房実験プロジェクト
行動プラン」の検討を行っていることを明らかにした。
こうしたなかで青海省政府は昨年 12月 24日、「国家
クリーンエネルギー実証省の建設行動方案(2018-2020
年)」を公表し、この中で核熱供給と原子力発電プロジェ
クトの「前期作業」を着実に推進するとした。同方案によ
ると、 2019年初めに核熱供給と原発建設プロジェクト
の初期実行可能性研究報告の作成作業をスタートし、立
地点の調査報告を完成させ立地点を確定するとした。ま
た、青海省政府は同 29日、中核集団や国家電網有限公司、
清華大学との間で、核熱供給と原発プロジェクトを共同
で推進するとした戦略協力枠組み取決めを締結した。
国家電力投資集団有限公司(国家電投)も核熱供給プロ
ジェクトを積極的に進めている。同公司は今年 1月、「原
子力暖房産業連盟」(「核能供暖産業連盟」)の第 1回理事
会を開催し、理事長に同公司の魏鎖・副総経理を選出し
た。同連盟は、黒竜江省人民政府との戦略協力を強化
する一環として設立されたもので、東北地方の振興に積
極的に取り組むうえで重大な貢献をすると期待されてい
る。

国家電投は今年 2月には、吉林省白山市政府との間で「核熱供給実証プロジェクト協力取決め」を締結した。同
プロジェクトは、国家電投が吉林省で進めているクリー
ンエネルギーを利用した熱供給プロジェクトで、白山市
の 800万平方メートルに対して冬季に暖房用の熱を供給
する。国家電投によると、傘下の吉林核電有限公司が進
める白山核熱供給実証プロジェクトの初期実行可能性研
究報告が同 4月に開催された専門家による審査をパスし
た。これによって、同プロジェクトは立地点の選定に向
けて大きく前進した。国家電投は、このプロジェクトを
拠り所として、自主技術によって核熱供給産業チェーン
を構築することを計画している。
一方、海陽市政府と山東核電有限公司は今年 5月、海
陽原子力発電所を使ったクリーン供給プロジェクトを共
同で進めるとした契約を締結した。海陽原子力発電所Ⅰ
期及び以降のプロジェクトで建設されるユニットを熱源
として利用し、海陽の多くの地区に熱を供給する。とり
あえず 2019年には海陽原子力発電所周辺の 60~ 70万
平方メートルのユーザーに熱を供給する。山東核電の呉
放董事長は、今回の核熱供給プロジェクトは北方地区における冬季のクリーン暖房の推進を加速する一環であり、原子力総合利用の実証プロジェクトに位置付けられていると説明している。
9.原発部品の国際調達も拡大へ
習近平政権が打ち出した「一帯一路」構想の下、中核集団、広核集団、国家電投を中心に、とくに「一帯一路」沿線国家を中心として積極的に原発輸出を展開しているが、国内での原発建設の拡大にともない、原子力関連機器・部品の国際調達が拡大すると見込まれている。中核集団の余剣鋒董事長は 2018年 11月に開催された中国国際輸入博覧会で、同集団の今後 5年間の原子力関連調達額が 120億米ドルを超える見通しであることを明らかにした。
余董事長は、ロシアやフランス、ドイツ、米国等、40の国・地域とビジネス協力を展開してきたとしたうえで、世界最大の原子力発電国を目指すなかでさらに国際化を進める考えを表明した。同氏によると、中国の原発設備容量は 2030年までに 1億 2000万~ 1億 5000万.に達すると予想されており、これに海外で実施するプロジェクトも合わせると、輸入と現地での調達額が合計で 120億ドルを超えるという。
10.トランプ政権が対中原子力禁輸発動
米中貿易戦争が、米中のハイテク戦争にエスカレートする様相を見せるなか、米国のペンス副大統領は昨年 10月 4日、中国が人工知能( AI)などの世界の最先端産業を支配することを目指しているとしたうえで「米中衝突」の時代に入ったとの認識を示した。この発言を受けるかのように、米エネルギー省( DOE)は同 11日、中国によって米国の民生用原子力技術が不法に軍事用に転用されることを阻止するため、次世代原子炉技術の中国への輸出を禁止するなどとした政策( "U.S. Policy Framework on Civil Nuclear Cooperation with China")を公表した。
こうしたなかで米商務省は今年 8月 13日、中国の 3大原子力事業者の 1社である中国広核集団と子会社を米国の安全保障や外交政策上の利益に反する活動に関与しているとして、同 14日付けで「エンティティ・リスト」に加えると発表した。同リストに掲載されると、米国企業との取引が禁止される。
中国最大の原子力発電事業者である広核集団の原発建設計画に影響が出る可能性も指摘されているが、影響はそれほど大きくないとの見方もある。中国に対して民生

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用原子力設備を輸出する場合、国家核安全局の承認を得(CAP1000)の採用がすべて中止になった訳ではないものて登録・登記することになっているが、今年 8月 1日時の、中国に対して強硬な姿勢を見せるトランプ政権への点では、全部で 182社に達している。登記された企業数対抗措置といった見方もできる。が最も多いのはフランスで 46社、以下、米国 35社、ド米中がハイテク分野で熾烈な覇権争いを繰り広げる中イツ 28社、ロシア 19社などとなっている。日本は 8社で、ファーウェイ(華為技術)に続いて、中国を代表するである。こうした実態を踏まえ、禁輸措置は米企業に対原子力事業者が「エンティティ・リスト」に加えられたとする影響の方が大きいのではないかとの指摘もある。ちいうことは、中国が米国の原子力産業をおびやかすほどなみに、原子力機器・部品の設計や製造、役務の提供に世界で存在感を高めてきていることを物語っている。ついて国家核安全局から許可証を取得している中国国内企業は 8月 1日現在で 211社となっている。参考文献
広核集団は当初、広東省に建設を計画している太平嶺[1]テピア総合研究所:"躍進する中国の原子力産業と原子力発電所でウェスチングハウス社の AP1000の中国世界覇権戦略-アメリカ凋落の中で市場支配に照版である CAP1000を採用する計画を立てていたが、フ準"、 2018年 1月ランスの技術をベースに独自に開発したとされる「華龍[2]テピア総合研究所:"中国原子力ハンドブック 2015一号」に変更した。筆者の調査によると、広核集団が建-世界市場制覇に動き出した中国"、2015年 1月設を計画している原発の中には CAP1000の採用を予定している原発もあるが、太平嶺のケースと同じく、別に(2019年 8月 22日) CAP1000にする必要もないため、米企業との取引禁止もそれほど大きな影響はないだろう。広核集団としては、
著者紹介 
「華龍一号」はもちろん、台山発電所で採用したフランス製の EPRという選択肢もある。中核集団も当初、徐大堡発電所( 1~ 4号機)ではすべて CAP1000を採用するとしていたが、 3・4号機はロシア製の第 3世代炉である VVER1200に変更した。同一のサイトで炉型が違
著者:窪田 秀雄所属:日本テピア㈱テピア総合研究所専門分野:

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うということは、中国では普通考えられない。 AP1000

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