特集記事「量子ビームで拓く材料評価の特集にあたって」

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特集記事「量子ビームで拓く材料評価の特集にあたって」
量子ビームで拓く材料評価の特集にあたって
1.量子ビームとは
極微の世界では,粒子性と波動性を併せ持つ振る舞いがみられ、その性質を量子性という。その粒子には、光子、中性子、素粒子などがある。研究炉や加速器などの量子ビーム施設を有効かつ積極的に利用することで,新たな科学技術を切り拓くことが期待されている。
本特集では、材料評価のプローブとして利用される光子 (電磁波 )および中性子を利用した量子ビームの研究として、シンクロトロン放射光および中性子回折を利用した材料評価 (応力・ひずみ )を紹介する。
2.材料のミクロからマクロまでを観る
放射光X線は高輝度かつ高指向性のX線であり、任意の単色X線または白色X線を利用できる。放射光は、 μ mの空間の分析も十分可能である。また、高エネルギーX線または白色X線であれば、輝度も透過力も高く、 mm単位の内部測定もできる。中性子はさらに透過力があるので、 cm単位の内部も計測できる。まさに、ミクロからマクロまでのスケールで計測・観察できることが量子ビームの優れた点である。
大型放射光施設 SPring-8に代表される放射光施設をはじめ複数の放射光施設が設置されており、さらに建設中の施設もある。
中性子利用施設は、研究炉 JRR-3および高強度陽子加速器 J-PARCが茨城県東海村にある。 JRR-3は東日本大震災以降、運転停止していたが、 JRR-3の再開が進みつつあり、今後の利用が期待される。
3.先端科学施設利用と組織戦略の重要性
大型科学施設を利用することで、これまで解明困難であったことが明らかになる。また、研究室レベルではで
新潟大学

鈴木 賢治 Kenji SUZUKI
きない実験が実施できる。世界屈指の施設を使用するこ
とで、多くのアドバンスを得られ、成果に結びつくこと
も多い。
大型先端施設を利用した実験を効果的に遂行するに
は、組織的戦略を持つことが大切である。個人や担当者
の垣根を越えて、テーマを持ち寄り、関係する研究者や
技術者が集まってグループを作ることが効果的である。
今日では実験のスピードも向上して、大量の実験データ
を取り出すことができるので、共同で実験・解析しなが
ら、知恵と経験を交流する方が、成果が上がるはずであ
る。組織戦略を持つ時代になったと理解して、狭い範囲
から抜け出し、国際的競争力を持つべき時代ではないだ
ろうか。
量子ビームに限ったことではないが、検出技術の進歩
も著しい。ゆえに、新たな検出器の開発に刺激され、測
定技術も新しい手法が開発されている。検出器、装置お
よび材料評価などの多様なグループで実験することで新
しい発見もある。
本特集では、量子ビーム研究の第一線で活躍する方々
に執筆を依頼した。放射光および中性子に関する基礎的
事項を解説するために、まず「量子ビームを利用した応
力・ひずみ評価の基礎」 (秋庭義明 )を掲載した。次に、
放射光X線を利用した研究として、「放射光の応用 1 単
色X線を利用した応力評価」(鈴木賢治 )および「放射光
の応用 2 白色 X 線を利用した応力評価」(城 鮎美 )を
掲載した。中性子については、研究炉を利用した研究と
して「中性子の利用 1 研究炉 JRR-3 における中性子応力
測定」(鈴木裕士 )、また J-PARCを利用した研究として「中性子の利用 2 大強度陽子加速器を利用した材料評価」 (諸岡 聡 )を掲載している。本特集により量子ビームの利用が広がり,新たなグループの結成に結びつけば,望外の喜びである。(2020年 2月 27日)

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