3D-CFD&FEMを用いたPTS時のRPV構造健全性評価と保全最適化
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カテゴリ: 第16回
3D-CFD & FEM を用いたPTS 時の RPV 構造健全性評価と保全最適化
3D-CFD and FEM Based Deterministic PTS Analysis for Optimizing RPV Maintenance Strategy
京都大学
玩 小勇
XiaoyongRUAN
Member
京都大学
水田 航平
KoheiMIZUTA
Non Member
京都大学
中筋 俊樹
ToshikiNAKASUJI
Member
京都大学
森下 和功
Kazunori MORISHITA
Member
Abstract
The structural integrity of reactor pressure vessels (RPVs) is an important issue in the field of nuclear power plants. The RPV contains a reactor core, which is impossible to substitute. The pressurized thermal shock (PTS) loading is a critical issue in assessing the safety of RPV. The most severe situation takes places during cold water injection in the cold legs when the emergency core cooling system (ECCS) is operated due to LOCA. Under these circumstances, the PTS loading may lead the RPV to brittle fracture due to neutron irradiation. In the present study, we focus on the perspective of an RPV maintenance. A reference design of a four-loop RPV is applied, and five different cases of ECCS water injection proposals which are symmetric or asymmetric situations are considered. For each case, 3D-CFD and FEM analysis were performed to provide the SIF (KI) as a function of the position of RPV. By comparing KI values in RPV for these cases, the proposal is finally discussed, which will provide a deep insight on more appropriate maintenance of an RPV.
Keywords: Reactor Pressure Vessel, Pressurized Thermal Shock, Maintenance, Three-dimensional Computational Fluid Dynamics, Finite Element Method
1 緒言
原子力 の機器は長期間の運転に伴い劣化する。こう た経年劣化に対 、部品を交換するなどの保全活
によって の 全性は されている。 ながら、原子 圧力容器(RPV) 容器といった交換ができない機器が 、これが原子力 の
となる可能性がある。RPV の経年劣化事 の とて中性子照射による照射脆化が挙げられる[1]。
何ら に原因により冷却材損失事故(LOCA)が起こると、RPV 内には非常用冷却水が大量に注入される。注水によってRPV は冷却され容器内表面と外表面での温度差が大きくなる。この温度差によって、RPV 内面に裔い引張応力が 生することが知られている。これを加圧熱衝撃(PTS)荷重という。中性子照射脆化が進んだRPV
にPTS が生じると、万 RPV 内にき裂が するとすれば、そのき裂が進展 RPV が破損する可能性がある。
このような事故を防ぐためには、圧力容器鋼の脆化度
いとき裂の らPTS 生 に るき裂進展の が れている。 、PTS の にはRELAP[2]のような による熱水力 が
れてきた。 ながら、 による では周方向の温度分布に 様性が仮定され、RPV の冷却の空間分布は再現できない。 方、三 熱流体(3D-CFD)を った場 はRPV の幾何学的な形 を考慮できること ら詳細な温度分布が計算できる。CFD ら得られたRPV の温度分布を用いてFEM により応力拡大係数KI が算出され、構造 全性 を うことができる。実際、文献[3]では、3D-CFD&FEM とRELAP の
結果をそれぞれ比較 、KI は3D-CFD&FEM のほうが
40%大きくなることが報告されている。
3D-CFD&FEM の利点の に、注水方式の空間分布
を自由に変化させる事ができるという点がある。通常の
全な原子 では、すべての安全系のポンプ ら注水が
れると想定されるが(対称注入)、 、大地震が起きたときには 系 の損 らすべてのポンプが 、非対称な注入になって う可能性 ある。非対称注入の場 は温度分布が異なり応力分布 異なるので、 部 により変化する。そこで非対称注入の場 のKI がどのように変化する することが必要となる。本研究では3D-CFD と有 要素法(FEM)を用いて対称注入 よび非対称注入の5 のケースに いて計算を った。注水ケースの違いによって、KI がどのように変化する に いて検討 た。
2 構造健全性評価方法および結果
構 造 全性 の 連の流れを図1 に す。計算手順は3D-CFD による熱水力 、FEM による応力
、FEM による破壊力学 の三段階である[4]。3D- CFD で冷却水を注入 たときのRPV の温度分布の計算を う。得られた温度分布よりFEM を用いて熱応力を算出する。 た別途、溶 残留応力とRPV の内圧による応力を算出する。最後に仮想き裂を想定 、得られた応力分布を用いて破壊力学 を う。破壊力学 によって得られたKI と破壊靱性値KIC の比較によりRPV の構造 全性 を こなった。このとき、KI の注水ケース依 性に いて た。
熱水力解析
対 とするRPV は4 ープのRPV と た。図2 に三 の を す。図2(a)に すようにRPV にLeg 1 ~ 4 が され、Leg にSIP (Safety Injection Pumps)注水を う。注入された冷却水は、中性子遮蔽壁とRPV 内壁の間を通 て、 部 出される(図2(b))。
壁面の境界条件と てRPV 外壁では断熱と 、中性子遮蔽体と そうは共役熱伝導 と た。熱水力
手法を表1 に す。
注水はどの条件で SIP 計流量120 kg/s を固定とた これは、本研究では、注水の対称性 よび非対称性に着目 ているため流量の違いによる影響を 除するためである。Leg1 のみで注水 た場 をCase 1, Leg 1, 2 らの注水をCase 2, Leg 1, 3 らの場 をCase 3, Leg 1, 2, 3 の場 をCase 4, すべてのLeg ら注水 た場 をCase 5 との5 ケースと て設定 た。温度条件 ては
表1 解析手法 (3D-CFD)
Unsteady compressible
Fundamental equation
Navier-Stokes equation
SST k-ω
RPV 壁面と内部の水の初期温度は550 K と 、注水する冷却水の温度を293 K と た。表2 に各注水ケースの詳細を す。
図3 にCase 5 に るRPV の温度分布の 間変化を
す。注水開始 ら100 sec 後では全体は冷却され 、冷却水が通 た範囲のみ温度が低下 ている。1000、2000 sec ではRPV 内壁は全体的に冷却されて り440 K 程度 で温度が下がっている。これ ら るように、冷却水の流れによってRPV の温度分布は 様ではな
く、分布を ことが された。
応力解析
応力 では、熱応力、RPV の内圧による 応力よび溶 残留応力に いて計算を った。熱応力はCFD によって算出 た 間ごとの温度分布を入力 ータとて用いて算出 た。 応力 ではRPV の内圧の
Turbulence model
Buoyancy turbulence
modification
間変化を入力 ータと て 応力を算出 た。図4 に内圧の入力 ータを す。熱応力と 応力の 計値を
Discretization methodFinite volume method Velocity-pressure couplingCoupled algorithm Time integration methodSecond order implicit
表2 注水ケース
RPV の 生応力とする。
図5 にCase 5 のRPV のミーゼス応力分布を す。冷却水注入開始 ら100 sec 後は冷却水が通 た部分は温度勾配が大きいので周辺より大きい応力が 生 ている。1000、2000 sec ではRPV の温度が全体的に低下 て
Mass Flow Rate, [kg/s]SIP, SIP,SIP,SIP,SIP,temp
Leg 1Leg 2Leg 3Leg 4[K]
Case 1120
0
0
0
Case 260
60
0
0
Case 360
0
60
0
293
550
Case 440
40
40
0
Case 530
30
30
30
Initial temp [K]
いること ら、RPV 全面で応力が 生 ている。 た、
間が経 て 冷却水が通 ている部分に いてはRPV 内面がより冷却されているため、周りより大きな応力が 生 ていることが る。
破壊力学解析
RPV 造 に れた溶 による残留応力 き裂進展に影響を与 る。そこで、本研究に いて 溶 残留応力の計算を こない、KI の 考慮 た。表3 に
条件、図6 に ミ ー ン 、図7 に計算結果を す。溶 残留応力は、加熱部を中 に最 裔くなっている。
表3 解析条件(溶接残留応力)
Simulation methodFEM
Welding methodSubmerged arc welding Gaussian distributed heat
破壊力学 では応力 で得られた応力分布を入力値と 、KI を計算 た。
を うにあたって仮想き裂を設定する必要がある。給水配管 ら下方 3.5 m の 置の周方向 1 度毎にき裂を想定 た。き裂はだ 表面き裂(図8(a))とた。 、実際のき裂は、き裂先端に塑性域がて り、これを考慮することでより精度が裔い が可能となる。本研究では図8(b)に すような塑性域rp を
補正 を用いた。
塑性域rp は式(1)で与 られ、き裂半径は式(2)のように補正前の に対 て塑性域分を足 た のとなる
[5]。
Welding model
source
1K2
Welding speed and radius5 mm/s, 25 mm
Heat input35 kw
Welding pass5
p(i)
=(i) 6細 sy(i)
(1)
ae(i) = p(i) + a(i)(2)
対 とするき裂は、図9 のCase 5 に る1100 sec の温度分布の周方向の最 温度が低くなっている箇
(図9 に すように285°)にあるき裂と た。
本研究の構造 全性 はき裂進展を することである。き裂進展はこれ で得られている応力拡大係数KI と破壊靱性値KIC 比較することで できる。KI