ライザーブレースアーム溶接部の構造健全性評価手法の検討

公開日:
カテゴリ: 第15回
ライザーブレースアーム溶接部の構造健全性評価手法の検討 Structural Integrity Assessment for Riser Brace Arm Weld 日立 GE 岩松 史則 Fuminori IWAMATSU Non-member 日立 GE 廣川 文仁 Fumihito HIROKAWA Non-member 東京電力 HD 神長 貴幸 Takayuki KAMINAGA Non-member Flaw evaluation method for riser brace arm weld was investigated in case of a flaw is detected in in-service inspection. Weld residual stress was evaluated using 3-D finite element model considering structure of riser brace. Fatigue and SCC crack growth evaluation was performed using evaluated residual stress and stress due to normal operation. Two methods, which are JSME fitness-for-service code and influence function method, were applied to estimation of stress intensity factor to investigate effect of stress distribution in SCC crack growth evaluation. Results of SCC crack growth evaluation indicated that small crack not to cause failure of riser brace was allowable due to limitation of evaluation method, which allows up to 80% crack depth of thickness. Therefore, SCC crack growth evaluation considering penetration, which means up to 100% crack depth of thickness, was performed. In addition, seismic evaluation assuming failure of one of four riser brace leaf was performed. Keywords: Fracture Mechanics, Finite Element Analysis, Weld Residual Stress, and Crack Growth Evaluation 1 緒言 ライザーブレースアーム(以下、ライザーブレース) の溶接部は、日本機械学会の発電用原子力設備規格維持規格(以下、JSME 維持規格)[1]に基づき経年劣化事象として応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)を対象とした検査が実施されている。当該部は、国内での”傷事例はないが、海外において数件の事例が されているた 、亀裂が検 された の法を検討した。国内プラントにおけるライザーブレースの構造は、図 1 に示す通り、オーステナイト系ステンレス鋼製であり、RPV のクラッド溶接上に施工されたパッド溶接に対して溶接により接続される。ライザーブレースの構造健全性上の懸念は、亀裂の進展によるライザー ブレースの破断である。このた 、溶接金属からライザーブレースの厚さ 向に進展する亀裂を想定した。ライザーブレースに想定した亀裂に対して、溶接残留応力を考慮した亀裂進展 および1箇所が破断した時の耐震性 の 法を検討した。 Fig. 1 Schematic of riser brace arm 2 亀裂進展評価 溶接残留応力評価 疲労およびSCC による亀裂進展に影響する溶接残留応力を、ライザーブレースの構造を考慮した三次元の有限要素 (FEA:Finite ElementAnalysis)により した。溶接残留応力 では、RPV の製造工 を考慮して、クラッド溶接、パッド溶接、ライザーブレース取付け溶接および各工 間の応力除去焼鈍(SR:Stress Relief Heat Treatment)を模擬した。沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)のBWR-5 型を対象に図2 に示すルを作成した。ライザーブレースおよび周辺構造の対称 性を考慮して、RPV の周 向15 度範囲を ル化の対象とした。取付け溶接近傍の応力分布に対して ル化範囲が影響しないよ-に、RPV の鉛直 向長さは2,000 mm 範囲を ル化した。 法については、原子力安全基盤機構において実施されたニッケル基 金異材溶接部のき裂進展 技術検証プロジェクト(通称、FDM プロジェクト)を参考にした[2]。非定常熱伝導 および熱弾塑性 では、各材料の室温から溶融に至る高温までの材料特性が必要となる。ここでは、原子力安全基盤機構において実施された複雑形状部機器配管健全性実証プロジ ェクト(通称、IAF プロジェクト)において材料試験を実施して取得された材料特性を参考にした[3]。 には、汎用 FEA ソフトウェアの ABAQUS Ver. 6.13 を用いた。なお、プラントにより当該部の材料が異なる についても、強度レベルはほぼ同等の材料であることが想定される。このた 、応力 への影響は小さい。 三次元 ルを用いた非定常熱伝導 および熱弾塑性 により得られた溶接残留応力分布を、図3 に示す。 径、周および軸 向応力の等高線図から、溶接により生じ Radial Radial Hoop Whole model Hoop Detail of weld region Axial Axial る残留応力は周および軸 向が支配的となった。クラッド溶接およびパッド溶接により高い引張残留応力が生じ るが、各工 後のSR の施工により緩和するた 、ライザーブレース取付け溶接部近傍に生じる残留応力は、取付け溶接自体によって生じると考えられる。また、取付け溶接後の軸 向応力についても、幅 向端部で低下する領域を除いてはほぼ一様となった。これらの結果から、取付け溶接により高い引張応力が生じる幅 向中央部につい Axial (Z direction) Stress, MPa 500 400 300 200 100 0 -100 -200 -300 -400 -500 ては、軸対称要素を用いた二次元 ルにより できる可能性が示唆された。 RPV (SQV2A) 2000 Fig. 2 Analysis model for evaluating weld residual stress Fig. 3 Stress contour of weld residual stress 疲労亀裂進展評価条件 ライザーブレースにおいて疲労亀裂の発生を想定し、 JSME 維持規格に従った疲労亀裂進展 を実施した。 対象の BWR-5 型の設計時における工認応力計算書の疲労 ータおよび前述の残留応力 結果を用いて、疲労亀裂進展を した。過渡回数についても設計時のサーマルサイクルに基づき 条件を設定した。疲労亀裂進展 では溶接残留応力および通常運転時応力を考慮した。溶接残留応力は、図 3 に示した 結果を用いた。通常運転時の応力は、工認計算書の一次、二次およびピーク応力値を基に表面最大応力を設定し、曲げ応力分布として考慮した。 構造健全性上懸念されるライザーブレースの破断を生じ得る母材から厚さ 向に進展する疲労亀裂を想定した。 想定した亀裂を図 4 に示す。ライザーブレース厚さ 向 t = 9.6W = 114 の亀裂 法を亀裂深さa、幅 向の亀裂 法を亀裂長さ?8 Crack depth a, mm および亀裂の幅 向位置O を定義した。亀裂および進展 向は、RPV に対する円 系(径、周および軸 向)6 を用いて定義した。疲労亀裂進展 に用いる構造 法4 および初期亀裂 法は、ライザーブレース厚さt の9.6 mm 2 に対して、想定する初期亀裂深さa0 を0.05 mm および1.0 mm の2 通りとした。また、初期亀裂のアスペクト比a0/?00 (?0:初期亀裂長さ)は1/10 とした。亀裂の位置はライザーブレースの幅 向中央とした(O/W = 0.5)。ライザーブ Time, year 100 80 Crack length ?, mm 60 40 a0 = 0.05 a0 = 1.0 20 0 10 レースは、オーステナイト系ステンレス鋼製であるた 、疲労亀裂進展速度として JSME 維持規格の添付 E-2 に示されるオーステナイト系ステンレス鋼の BWR 環境中の疲労亀裂進展速度を適用した。疲労亀裂進展速度を決定する破壊力学パラメータである応力拡大係数は、JSME 維持規格の添付 E-5 に示される平板中の半だ円表面欠陥の応力拡大係数の算 法を適用した。 Pad weld Hoop crack Riser brace arm ThicknessCrack depth a t = 9.6 mm Crack length ? Axial (Z-direction) Radial Hoop Fig. 4 Assumed fatigue crack in riser brace arm weld 疲労亀裂進展評価結果 疲労亀裂進展 の結果を、図 5 に示す。初期亀裂深 さ a0 が 0.05 mm の は、運転期間として 40 年を想定しても進展量がごく僅かであった。初期亀裂深さa0 が1.0 mm の についても、当該部点検周期である10 年間における亀裂深さの進展量は 0.2 mm と僅かであった。さらに、亀裂深さa0 が1.0 mm の に、仮に40 年の運転期間を想定しても進展量は 0.9 mm であった。ライザーブレース厚さt は9.6 mm であり、疲労亀裂の発生を想定した は、ライザーブレースの破断に至る可能性は低いことが示された。 Fig. 5 Fatigue crack growth evaluation results see 亀裂進展評価条件 SCC 亀裂進展 においても、溶接残留力に加えて通 常運転時に生じる応力を考慮した。通常運転時の応力 には、溶接残留応力 と同様の図 2 に示した三次元 ルを用いた。 ルには、通常運転時の負荷を想定して雰囲気温度は276°C、RPV 内面に7.24 MPa の内圧を負荷した。また、内圧によってRPV に生じる軸力を考慮して、 ル上端面に軸力に相当する分布力として負荷した。さらに、ライザー管から受ける負荷として、軸力1,080 N、鉛直 向変位4.03 mm および曲げ ーメント 3,510 kN m を負荷した。通常運転時についても、温度上昇に伴-材料特性の変化を考慮するた 、溶接残留応力 と同様に IAF プロジェクトにより取得された成果を参考にした。 には、汎用FEA ソフトウェアのABAQUS Ver. 6.13 を用いた。 通常運転時の負荷により生じる変形状態を、図 6 に示す。変形図は、負荷により生じる変形状態の確認を容易にするた 実際の100 倍の変形量とした。SCC 亀裂進展 に用いる応力は、溶接残留応力と通常運転時応力の重ね せにより求 た。図 7 に示す通りライザーブレース厚さ 向の距離 d および ラインを定義して、溶接残留応力、通常運転時の応力および重ね せ応力を図 8 に 示す。距離 d が 0 の表面では、重ね せ応力として 200 MPa 近い引張応力が生じた。この重ね せ応力を用いたSCC 亀裂進展 の条件を検討した。SCC 亀裂進展における想定亀裂は、疲労亀裂進展 と同様に、図4 に示したライザーブレースの厚さ 向に進展する周 向亀裂とした。 この想定亀裂に対して、SCC 亀裂進展速度を決定する破壊力学パラメータである応力拡大係数の 法として、JSME 維持規格の添付E-5 に示される平板中の半だ円 表面欠陥の応力拡大係数の算 法[1]および影響関数法[4] を適用した。両 法の最も異なる点は、図 9 に示す考慮可能な応力分布の複雑さである。JSME 維持規格では、溶接残留応力のよ-な複雑な応力分布に対しても 可能なよ-に、亀裂深さ 向の応力分布を 3 次多項式により近似して応力拡大係数の算 に用いる。一 で、影響関数法では、亀裂面上の任意の応力分布を考慮可能である。 した応力拡大係数を用いてステンレス鋼製のライザーブレースにおけるSCC 亀裂進展速度を算 するたに、JSME 維持規格の添付E-2 に示されるBWR 通常炉内水質環境中の低炭素ステンレス鋼および鋭敏化 SUS304 のSCC 亀裂進展速度を適用した[1]。 条件をまと て表 1 に示す。 結果の整理と把握を容易にするた 、 条件は初期亀裂深さおよびSCC 亀裂進展速度に した8 ケースに分 した。初期亀裂位置および応力拡大係数 法の異なるSCC 亀裂進展 は、表の分 上は同ケースとした。初期亀裂深さa0 は、亀裂の進展性および検査における検 性を考慮して0.05、1.0、2.0 および4.0 mm とした。初期亀裂長さ?0 は、初期アスペクト比 a0/?0 が 1/10 となるよ-に設定した。 Fig. 7 Definition of distance d and evaluation line 400 200 Radial stress σr, MPa 0 -200 -400 0.00.20.40.60.81.0 Normalized distance d/t, - JSME 維持規格では亀裂幅 向、すな ライザーブレース幅 向の応力分布を考慮しないた 、幅 向中央に初 Fig. 8 Radial stress distribution on evaluation line in Fig. 7 期亀裂を想定した(O/W = 0.5)。影響関数法では、ライザーブレース幅 向の応力分布の影響について検討するた 、初期亀裂位置 O/W を 0.15 から 0.85 の範囲で変化させた。SCC 亀裂進展 では、亀裂深さa が厚さt の80% に到達、または運転期間が60 年に到達した時点で を した。 Stress distribution σ(y) (Constant in x-direction) Stress distribution σ(x, y) (Arbitrary distribution) Axial force due to internal pressure Z YX JSME FFS Code (b) Influence function method Fig. 9 Stress distribution to calculate stress intensity factor Table 1 Conditions of SCC Crack growth evaluation Vertical displacement Moment Case No. Initial crack depth Initial aspect ratio Initial crack position SCC growth rate a0, mma0/?0O/W 10.050.5 Axial force 0.5 (0.15---0.85) 21.0 0.5 32.0 (0.15---0.85) Low carbon stainless steel in BWR environment 44.0 1/10 0.5 Original Deformation (Scale: X100) Fig. 6 Deformation due to normal operating condition (Deformation scale: X100) 50.050.5 0.5 61.0 (0.15---0.85) 0.5 72.0 (0.15---0.85) 84.00.5 Sensitized Type 304 stainless steel in BWR environment see 亀裂進展評価結果 JSME 維持規格の応力拡大係数 法を用いた 結果を、図10 に示す。この8 ケースの では、いずれも亀裂深さ a が厚さ t の 80%に到達して が した。低炭素ステンレス鋼のSCC 亀裂進展速度を用いた では、初期亀裂深さa0 が4.0 mm のCase 4 を除いては、10 年以上の運転期間を要した。一 、鋭敏化SUS304 のSCC 亀裂進展速度を用いた では、初期亀裂深さa0 が0.05 mm のCase 5 を除いては、10 年以内に厚さt の80%に到達する 結果となった。亀裂長さ? は、図10(b)に示した通り、 時においてライザーブレース幅Wの114 mm の半分以下であった。亀裂深さa が厚さt の80%に到達した時点では、ライザーブレースは、破断には至らない と考えられる。また、図10(c)に示した亀裂深さa に対する最深点の応力拡大係数 K の変化は、外面側が圧縮応力となる応力分布の影響を受けて、亀裂深さ a が 4 mm を超えた 度からいずれのケースにおいても低下する傾向を示した。このた 、亀裂深さ a が厚さ t の 80%を超える範囲まで した 、SCC 亀裂進展速度はより低下する傾向となることが示唆された。 影響関数法による応力拡大係数 法を用いた 結果を、図11 に示す。図11 では、JSME 維持規格による 結果と比較するた 、ライザーブレース幅 向中央に初期亀裂を想定(O/W = 0.5)した 結果を示した。影響関数法による では、ライザーブレース幅 向の応力分布についても考慮しているが、初期亀裂位置O/W が 0.5 の には、JSME 維持規格と同様の傾向となった。さらに、影響関数法により初期亀裂位置O/W を変化させたSCC 亀裂進展 結果を、図12 に示す。図12 には、厚さ t の 80%に到達する運転期間および初期亀裂を想定したライザーブレース内面の径 向応力分布を示した。 結果から、表面(ライザーブレース内面)の応力分布と、亀裂進展速度は相関があると考えられる。ライザーブレース端部では、引張応力が低下、もしくは圧縮応力となるた 、幅 向端部に近づくにつれて亀裂進展速度が急激に低下した。JSME 維持規格では、亀裂幅 向には一定 0 mm および士40 mm 変化させた 結果を代表例として示した。初期亀裂位置 O を変化させた 、亀裂はライザーブレースの中央部に向かって進展した。 t = 9.6 8 Crack depth a, mm 6 4 2 0 0102030405060 Time, year Crack depth W = 114 100 Crack length ?, mm 80 60 40 20 0 0102030405060 Time, year Crack length 25 Stress intensity factor at deepest point K, MPa(m)0.5 20 15 10 5 0 の応力分布が想定されるた 、 に最も しい位置での 亀裂深さ 向の応力分布を用いることは、過度に安全側の結果となる があり得る。このよ-な には、影響 02468 Crack depth a, mm Stress intensity factor at deepest point t = 9.6 関数法のよ-な、より複雑な応力分布を考慮可能な法が有効である。影響関数法により した各初期亀裂位置 O/W の SCC 亀裂進展 により得られた亀裂形状の変化を、図13 に示す。図13 では、初期亀裂位置O を Case 1Case 2Case 3Case 4 Case 5Case 6Case 7Case 8 Fig. 10 Results of SCC crack growth evaluation by JSME FFS Code t = 9.6 8 Crack depth a, mm 6 4 2 0 0204060 Time, year Fig. 11 Comparison of crack depth between JSME FFS Code and Influence function method 2.6 貫通に至る運転期間の評価 JSME の配管破”防護設計規格には、破断前漏洩(LBB: Leak Before Break) のた に貫通亀裂形状の決定 法に関して記述している[5]。この中では、厚さ t の 80%の亀裂深さ a まで有効な応力拡大係数 を用いて 100%貫通まで適用することは、貫通時の亀裂長さを大きく想定し、応力拡大係数 として安全側となるとしている。この規格では疲労亀裂を対象としているが、SCC 亀裂の進展速度が疲労亀裂と同様に応力拡大係数の指数関数で表現されるとい-前提に基づけば、SCC 亀裂に対しても安全側の となると考えられる。このた 、前述のJSME 維持規格および影響関数法の適用範囲を超える貫通に至る までのSCC 亀裂進展 を実施した。適用範囲を超える 応力拡大係数の算 では、JSME 維持規格の 法では補 100 Time to reach a/t = 0.8, year 80 60 40 20 0 0.00.51.0 300 200 100 0 -100 -200 正係数を、影響関数法では影響係数をそれぞれ外挿して に適用した。SCC 亀裂進展 では、亀裂深さa が厚さt の100%に到達、亀裂長さ 向に亀裂がライザーブレースの幅 向端部に到達または運転期間が60 年に到達した時点で を した。 Radial stress σr, MPa JSME 維持規格による貫通までを想定した SCC 亀裂進展 結果を、図14 に示す。亀裂深さa が厚さt の80% を超えると進展速度が低下することが確認された。いず Normalized initail crack position O/W, - Fig. 12 Effect of crack position on time to reach a/t = 0.8 O/W = 0.15 (over 60.0 years to reach a/t = 0.8) O/W = 0.5 (17.7 years to reach a/t = 0.8) O/W = 0.85 (23.1 years to reach a/t = 0.8) Fig. 13 SCC crack growth behavior every one year (ease 3, aO = 2 O mm) れの ケースにおいても亀裂深さa が厚さt の100%に 到達したケースはなく、亀裂長さ ? がライザーブレースの幅 W に到達するか、運転期間 60 年を超えて を した。これは、図14(c)に示した通り、亀裂深さa が厚さt の100%に到達する以前に亀裂最深点の応力拡大係数がほぼ 0 に近くなるた である。図 8 に示した応力分布は、溶接残留応力が支配的であり自己平衡性を持つと考 えられる。さらには、通常運転時の膜応力成分が圧縮側となるた に、このよ-な傾向となった。 影響関数法により初期亀裂位置O/Wを変化させたSCC 亀裂進展 結果を、図 15 に示す。図 15 には、亀裂深さa が厚さt の80%に到達時および貫通までのSCC 亀裂進展 結果による運転期間を示した。貫通までの進展を した 、初期亀裂深さa0 が2.0 mm のCase 7 においても10 年を超える結果となった。 以上の 結果より、点検期間として10 年を想定した に、検 可能な亀裂 法によっては亀裂深さa が厚さt の80%に到達する可能性があるが、2.0 mm 以下の亀裂 法であればSCC 亀裂進展による貫通は生じない結果となった。 t = 9.6 8 depth a, mm 6 4 Crack 2 60 JSME FFS Code Time to reach a/t criteria, year 50 40 30 20 10 0 0 0102030405060 Time, year Crack depth 0.00.20.40.60.81.0 Normalized initital crack position O/W, - Fig. 15 Effect of crack position on time to reach a/t = 0.8 and 1.0 W = 114 100 Crack length ?, mm 80 60 40 20 0 JSME FFS Code 3 耐震性評価 点検時に大きな亀裂が見つかった 、または点検時に破断していた を想定し、ライザーブレース溶接部4 か所の- 、1 箇所が破断した状態の耐震性 を実施した。ここでは、溶接部に、疲労やSCC による亀裂を想定した 、複数個所の溶接部が同時に破断に至る可能性は非常に低く、1 箇所の溶接部に亀裂が生じた を想定した。ジェットポンプの耐震性については、建設時の工認 において図16 に示す ルにより各部位に発生する荷重 0102030405060 Time, year Crack length 25 Stress intensity factor at deepest point K, MPa(m)0.5 20 15 10 5 0 を算 して応力 を実施している。ライザーブレースは、2 本のリーフを1 箇所がのビーム要素で ル化している。本研究では、ビーム要素の断面性状(断面積、断面二次 ーメント等)を1 箇所分に置き換え、1 箇所破断の状態の剛性を ル化する。上下 2 本のリーフの破断箇所の違いにより、 密には地震応答が変化するが、 3 m のライザー管長さに対して上下のリーフ間隔は 90mm であり破断位置の相違は小さいと判断した。 破断後の 用死荷重(流体反力含む)は、破断前の設計死荷重を基に、破断前後の自重応答 の応答値から破断後の死荷重を推定し安全側に設定した。地震荷重地 02468 Crack depth a, mm Stress intensity factor at deepest point t = 9.6 震荷重は鉛直・水平震度を用いて静 による応答 からライザーブレース溶接部に発生する反力からマージ ンを考慮し設定した。震度は安全側の となるよ-、各プラントの確定地震動 Ss の包絡値を用いた。 に用い Case 1Case 2Case 3Case Case 5Case 6Case 7Case Fig. 14 Results of SCC crack growth evaluation over a/t = 0.8 by JSME FFS Code た震度は、鉛直 向に1.48 および水平 向に2.08 である。 ライザーブレース溶接部 1 箇所が破断した の耐震性 結果を表2 に示す。許容応力には、SUS304 の許容応力に継 効率 0.65 を考慮した。左右に分かれているリーフの- 、2 本残っている側が健全側、1 箇所破断している側の残り 1 箇所が破断側である。表に示す通り、破 断側の剛性が低下した分、健全側がより荷重を受け持つが、許容応力以下であり、耐震成立性が示された。 RPV 貫通までを想定した SCC 亀裂進展 の結果から、点検期間の 10 年を想定した に 2.0 mm 以下の亀裂 法であれば貫通は生じないことを示した。 ジェットポンプ耐震 ルを用いた耐震試 結果から、ライザーブレース溶接部一カ所が破断したの、耐震成立性を示した。 RPV x y z RPV 謝辞 本研究は、東京電力ホール ィングス(株)、東北電力(株)、中部電力(株)、北陸電力(株)、中国電力(株)、日本原子力発電(株)、電源開発(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)、日 立GE ニュークリアエナジー(株)の共同研究にて実施した Shroud support plate Shroud support plate Fig. 16 Seismic safety evaluation model of jet pump with riser brace Table 2 Result of seismic evaluation Position Stress intensity Pm+Pb, MPa Allowable stress, MPa Failure-side riser brace 174 253 Non-failure side riser brace 239 253 4 結言 検査によりライザーブレースの溶接部に亀裂が検 された の 法を検討した。ライザーブレースを破断する 向の亀裂を想定し、疲労亀裂進展 、SCC 亀裂進展 および 1 箇所が破断した時の耐震全性 の 法を検討し、以下の成果を得た。 溶接残留応力 結果と疲労亀裂進展 により、点検周期である 10 年間における亀裂深さの進展量は僅かであった。亀裂の発生要 として疲労を想定した は、ライザーブレースの破断に至る可能性は低い。 ライザーブレースの幅 向中央に初期亀裂を想定したSCC 亀裂進展 から、JSME 維持規格による 結果と、亀裂面上の任意の応力分布を考慮可能な影響関数法による 結果は一致した。 SCC 亀裂進展 により、亀裂が厚さの 80%に到達するまでの運転期間を した結果から、亀裂が厚さの 80%に到達した時点ではライザーブレースの断面積の半分以上が残存していることを示した。 成果の一部である。本研究の遂行にあたりご協力頂いた関係各位に感謝申し上げる。 参考文献 一般社団法人 日本機械学会、“発電用原子力設備規格 維持規格(2012 年版)”、JSME S NA1-2012、2012. 立行 法人 原子力安全基盤機構、“平成22 年度ニッケル基 金の溶接部のき裂進展 技術検証(FDM)に関する事業 書”、11 原高 -0005、 2012. 立行 法人 原子力安全基盤機構、“複雑形状部機器配管健全性実証(IAF)事業 原子炉圧力容器の異材溶接部に関する高温材料特性 ータ集”、JNES- RE-2012-0024、2013. 岩松史則、宮崎克雅、白鳥正樹、“影響関数法による任意分布応力 における表面き裂の応力拡大係数と疲労き裂進展 法の開発”、日本機械学会論文集(A 編)、77 巻、782 号、2011. 一般社団法人 日本機械学会、“発電用原子力設備規格 配管破”防護設計規格”、JSME S ND1-2002、2002.
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)