プラント向けエッジ側状態監視処理システムの開発

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カテゴリ: 第16回
プラント向けエッジ側状態監視処理システムの開発 Development of Site Parameter Monitoring System with Edge Computer 二菱重工業 中重 佑一 Yuichi Nakashige Member 二菱重工業 鉄谷 祐二 Yuji Tetsutani Member 二菱重工業 河合 佑紀 Yuki Kawai Abstract In this paper, we propose a remote monitoring system for field instruments in plant operation using SMEc, which combines a camera with deep learning. By the needle position estimation logic, a recognition rate of 99% or more could be obtained within the target accuracy of 1 scale error. It was also confirmed from the response evaluation test that the dynamic behavior had sufficient responsiveness. Therefore, we believe that the introduction of SMEc has given us the prospect of realizing a system capable of "Introduction of systems without modification of actual machines" "Collecting field data in narrow areas" and "Data transmission with low communication capacity". In addition, continuous monitoring of plant facilities and equipment can be realized with a small capital investment, and contribution to the safe and stable operation of the plant can be expected. Keywords: Edge Computing, Remote Monitoring System, Deep Learning, Image Recognition はじめに プラントを運用していく上で、日々のプラント設備の状態管理は非常に重要である。 一方、多くの設備では、監視計器として現場指示計のみが取り付けられており、定期的なプラント運転員による巡回点検が必要不可欠な状態である。この際、巡回範 はプラント と 範 に るため、巡回業 に る負荷は高く、プラントの運用コストにも大きな影響を与えている。高い巡回頻度を実現する事も困難な状況にあり、異常発生から検知までに時間を要する可能性もある。 巡回業 の負荷軽減を目的に、遠隔監視できる計器を増設することを考えた場合、現場計器の交換や計器信号を監視制御室に伝送するための工事等に るコストインパクトが大きい点が問題となる。 そこで本書では、上記課題を解決すべく、カメラと深層学習を組み合わせたプラント向けエッジ側状態監視処理システム(以降、SMEc*1 と呼ぶ)を提案する。SMEc は、小 のシステムであり、現場計器を 影できる小なス ースがあれ 容 に取付けが可能である。これまでの類似システムでは、カメラ画像をサーバ伝送後にサーバ側で深層学習を行う構成であるため、画像を送るためのネットワーク負荷が高く、ネットワーク環境に制約があるプラントへの 用を考えた場合には課題が る。 絡先:中重、〒652-8585 神戸市兵庫区和田崎町1-1-1 二菱重工業 ICT ヅリューシ3ン本部 電気計装技術部 デジタル制御設計課、 E-mail: yuichi_nakashige@mhi.co.jp 一方、SMEc はカメラ画像をエッジ側で深層学習を行い、深層学習から得た計器指示値の推定値(小容量データ) をサーバ伝送するため、ネットワーク負荷を小 くできる。 SMEc 導入により、「実機改造レスでのシステム導入」、 「狭監部等での現場データ収集」、「低通信容量でのデータ伝送」を得ることができる。そのため、少ない設備投 でプラント設備?機器の 監視が実現でき、プラントの安 ?安定運転への貢献も期待できる。 *1 SMEc 当社開発のカメラと深層学習を組み合わせたプラント向けエッジ側状態監視処理システムであり、カメラの 影画像を利用したアナログメータの遠隔監視が可能である。アナログメータの読み取りに深層学習 (CNN*2)を利用し、データの小容量化(画像データ→ 数値データ)が可能である。また、フィールドバスやPHS のような既存ネットワーク上でのデータ送信が可能であるため、既存設備に手を加えるような大規模改造は必要なく、現場計器を 影可能な小ス ース えあれ 容に取付けが可能。 *2 CNN(Convolutional Newral Network) 局所的な情報の抽出化、及び位置普遍性を持たせた順伝播 ニューラルネットワークを利用したアルゴリズムである。DNN(Deep Newral Network)を2 データに せたもので、画像認識に して高いパターン認識を示す。 SMEc について モニタ画面 ( ンテナンス用) SMEc とは、プラント内の限られたス ースで、現場計器の遠隔監視を可能にするためのシステムであり、複数計器の 時監視も可能である。 要構成 は、カメラ、エッジコンヒュータ(GPU ユニット)、ゲートウェイユニット( 外伝送器)である。SMEc は、カメラ画像を用いてエッジ側で深層学習を行い、深層学習から得た計器指示値の推定値(小容量データ)をサーバ伝送することを特徴としており、ネットワーク環境に制約のあるプラントへの 用についても有効である。 C周辺機器 ( ンテナンス用) B ハブ B Fig.1 SMEc 外観 システム構成 SMEc のシステム構成をFig.2 に示す。深層学習はGPU ユニットで行い、USB カメラで 影したカメラ画像をインプットとする。深層学習と後述の針位置推定ロジックから得られた推定値(小容量データ)を 外伝送器によりサーバ伝送することで、これまで遠隔監視できなかった現場計器についても、離れた場所での遠隔監視が可能となる。また、計器位置の中心合わせ、及びレンジ設定などの SMEc 使用前に必要な初期設定は、モニタ画面、及び PC 周辺機器を接 するだけで簡単に行うことができる。 Fig.2 システム構成 針位置推定ロジック 針位置推定には、Fig.3 に示すような一般的な深層学習であるCNN と、誤推定防止のための補正ロジックを組み合わせたものを用いている。 深層学習には、様々な指示値を示した複数の計器画像を教師データとして与えて学習 せておき、これにカメラ画像をインプットとして深層学習を行わせる。基本的には深層学習から得た推定値を答えとして指示値を算出するが、使用環境や、計器の鏡面反射等の影響により、深層学習だけでは誤推定してしまう可能性がある。例え 、カメラ画像によっては正しい指示値の位置から180 度反転した向きを答えとして推定してしまう場合もある。そのため、上記のような場合でも、補正ロジック 用による認識率の精度向上について工夫した。 深層学習から得られた結果の尤度が高い場合には、深層学習の結果をそのまま推定値として出力するが、尤度が低い場合には、補正ロジックから得られる補正量と推定値から計算した補正値を出力する。補正ロジックにおける補正値は、「画像照合」、又は「前回値」の結果の比計算(重みづけ計算)から算出する。例え 、正しい指示値の位置から180 度反転した向きを推定値として深層学習が算出した場合(推定値の尤度は低くなる場合)、補正ロジックが有効となり、カメラ画像と計器画像をヒクセル単位で画像照合を行い、照合率として類似度を算出する。このとき、類似度が高い場合には、類似度を用いた補正計算が行われるが、類似度が低い場合には、前回算出結果との比較が行われ、比較結果から前回値との尤度が高けれ 、 様にこれを用いた補正計算を行う。 Fig.3 針位置推定ロジック 精度評価試験 圧力キャリブレータにて一定圧力を与えた場合の整定状態における指示値の読取精度に する試験を行った結果、後述の通り、針位置推定ロジックにより、誤 1 目 り以内(1.0kPa 以内)での読取精度は 99%以上となる結果を得た。 試験条件 試験条件を Table.1 に示す。1 のアナログメータを読取 として、圧力キャリブレータにて一定圧力を与えた場合の整定状態において、SMEc を用いた針位置推定を行う。 Table.1 試験条件*3 目標クライテリア 圧力キャリブレータにて一定圧力を与えた場合の整定状態において、SMEc による針位置の推定を行い、誤 1 目 り以内(1.0kPa 以内)での読取精度が 99% 以上であること。 試験結果 圧力キャリブレータにて一定圧力を与えた場合の整定状態における試験結果を Fig.4 に示す。圧力設定値16.3kPa に する推定値は 16.0kPa(推定値の 解能 kPa)となり、誤 1 目 り以内(1.0kPa 以内、 グラフの薄黄範 )での認識率は 99%以上となる結果を得た。 2 19 18 圧力 [kPa] 17 16 タ ン 処理 撮影 1 項目 条件 試験環境 屋内 設定圧力 試験条件による 試験時間 30 秒間 読取計器 数 1 計測レンジ -10~60kPa カメラ解像度 640X480 11223 time [sec] *3 針位置推定ロジックの設定値 1~ 4 については、設置環境に合わせた調整要素となり、設定要領、及び 設定値は社内ノウハウであるためここでは明記しない。 項目 結果 総データ数 247 点 正解点数 247 点 不正解点数 0 点 精度 100.0% Fig.4 精度評価試験 試験結果 応答性評価試験 16 実機 用を想定し、実際の現場計器を として圧 14 力変化 せた場合の試験結果から、SMEc の針位置推12 定ロジックに する 答性評価を行い、十 な追従性1 圧力 [MPa] を持つことが確認できた。8 6 推定値動画読取り値 試験条件 試験条件を Table.2 に示す。1 のアナログメータを読取 として、現場計器の圧力を動的変化 せた場合において、SMEc の針位置推定ロジックに する答性評価を行う。 4 2 11223 time [sec] Fig.5 答性評価試験 試験結果 試験結果 Table.2 試験条件 項目 条件 試験環境 工場現場 設定圧力 試験条件による 試験時間 30 秒 読取計器 数 1 計測レンジ 0~20MPa カメラ解像度 640X480 おわりに 本書では、プラント運用における現場計器の遠隔監視システムとして、カメラと深層学習を組み合わせた SMEc による手 について提案した。針位置推定ロジックにより、目 精度である誤 1目 り以内で99% 以上の認識率を得ることができた。また、 答性評価試験から動的挙動についても十 な追従性を持つことを確認することができた。このことから、SMEc 導入により、「実機改造レスでのシステム導入」、「狭監部等での現場データ収集」、「低通信容量でのデータ伝送」が可能なシステム実現の目処を得たものと考える。そ 現場計器の圧力を動的変化 せた場合の試験結果をFig.5 に示す。現場計器の値(動画読取り値*4)が 、SMEc 推定値が である。整定状態の計器圧力を 0 秒時点で1MPa から14MPa まで4 秒程度(5~9 秒時点) で急上昇 せた後、計器圧力を徐々に低下 せた場合の様 を示している。急上昇時の 期(5~7 秒時点) は針位置が かく れ、カメラ画像で針位置を明確に捉えることができないため、深層学習による推定がうまくいかず、現場計器との誤 が大きくなってしまう。しかし、 期以降に、針位置が落ち着いてくると、現場計器に近い値を推定値として算出するようになるため、圧力の動的挙動にも追従できていることが かる。 *4 現場計器は指示値を記録する機構を具備していないため、 答性評価試験では、動画 影後の指示値を目視確認にて記録している。 のため、少ない設備投 でプラント設備?機器の 監視が実現でき、プラントの安 ?安定運転への貢献も期待できる。 参考文献 NVIDIA Japan, “組み みシステム開発 リューシ ン| NVIDIA Jetson | NVIDIA” [オンライン] Evan Shelhamer(Barkeley Artifical Inteligence Reserch), “Caffe | Deep Learning Framework, “ [オンライン] Softing Industrial Automation, “FOUNDATION Fieldbus H1 Single Channel(Automatically as Visitor or LAS) USB Interface Card, “ [オンライン]
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