ふげんにおける廃止措置中の原子炉施設の保全について
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カテゴリ: 第16回
ふげんにおける廃止措置中の原子炉施設の保全について
Maintenance of reactor facilities under Decommissioning in FUGEN
日本原子力研究開発機構新型転換炉原型炉ふげん日本原子力研究開発機構新型転換炉原型炉ふげん日本原子力研究開発機構新型転換炉原型炉ふげん日本原子力研究開発機構新型転換炉原型炉ふげん
0林健太KENTA HayashiMember
伊藤健司KENJI Ito
松尾秀彦HIDEHIKO Matsuo
酒井康裕YASUHIRO Sakai
Advanced Thermal Reactor FUGEN had accumulated about 25 years of operation results and permanently shut down in March 2003. Currently, FUGEN has entered into the second phase of decommissioning (Reactor Periphery Facilities Dismantling Period). Regarding to the maintenance, facilities related to the safe storage of spent fuel have been reliably inspected in accordance with the inspection plan, while we have been rationalizing maintenance continuously.
In this paper, we report on the rationalization measures and improvements related to the maintenance and reactor facilities under decommissioning in FUGEN.
Keywords: FUGEN, Decommissioning, Rationalization of maintenance, Rationalization of equipment,
Cost reduction, Long-term maintenance plan, Equipment during the in-service termination measures
1 緒言
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 敦賀廃止措置実証部門 新型転換炉原型炉ふげん(以下、「ふげん」)は、熱出力557MW、電気出力165MW の重水減速沸騰軽水冷却圧力管型原子炉(ATR Advanced Thermal Reactor)の原型炉で、1960 年代後半から設計・建設が行われ、1978 年3 月に初臨界、1979 年3 月に運開した。初臨界後、約25 年間の運転を行い、2003 年3 月に運転を終了した。
設備利用率は約62%、総発電電力量219 億kWh、MOX 燃料 は772 で、 炉として 界のMOX 燃料使用実 を げ、1988 年 には、「ふげん」の使用済燃料から回収したPu を使用した運転(核燃料サイクルの輪の完結)を行った。これらの「ふげん」の実 を 、核燃料サイクル の 立に したこと及び自主開発によるATR の性能・信頼性を実証したことが評価され、2004 年4 月26 日には米国原子力学会(ANS)からランドマーク賞を我が国で初めて 賞した。
運転終了後は、廃止措置の準備として、炉心燃料(全224 )の取出し、系統化学除染の実施、原子炉冷却材の 出し及び (全49 )の取出し等を行った。設備の保全については、廃止措置移行後も施設内には
連絡先 林 健太
国立研究法人日本原子力研究開発機構 敦賀廃止措置実証部門 新型転換炉ふげん 廃止措置部 設備保全課
〒914-8510 福井県敦賀市明神町3 番地
E-mail: hayashi.kenta@jaea.go.jp
使用済燃料466 を貯蔵していることから、使用済燃料の安全貯蔵に係る設備(プール水冷却・浄化系等) 等、機能維持が必要な設備に対し点検計画に従い 実な点検を実施するとともに、継続的に合理化を図って きている。
本件では、ふげんにおける廃止措置中の施設の保寸 管理及び設備維持に係る合理化策・改善等を報告する とともに、廃止措置の全 計画も併せて紹介する。
2 廃止措置の全体計画
「ふげん」の廃止措置の ールをFig.1 に す。廃止措置計画については、原子炉等 法の改 をけて2006年11月7日に廃止措置計画認可申請を行い、国の審査を経て2008 年2 月12 日に認可された。
廃止措置を進めるに たって、「安全の 保」、「
の徹底活用による合理的な廃止措置」、「発生廃棄物の低減など環境への負 軽減」、「情報公開の推進」、
「地域社会の理解と支援が得られる事業の推進」を基本方針とし、安全かつ合理的に進めることとしている。
廃止措置の工程は、「重水系・ヘリウム系等の汚染の 除去期間」、「原子炉周辺設備解 撤去期間」、「原子炉本 解 撤去期間」、「建 解 期間」の4 の期間に区分している。
なお、2012 年3 月及び2018 年5 月の廃止措置計画の変更により、使用済燃料搬出期間を合計14 年間延長したものの、 終的な廃止措置完了は当初計画とおり2033 年 と計画している。
Fig.1 Schedule of FUGEN Decommissioning
この 4 の期間において、各々の主要施設の解撤去工事、汚染の除去工事、及び廃棄物処理・処分を 行うこととしている。
各期間における解 撤去のイメー を Fig.2 に すとともに、主要作業内容を以下に す。
重水系・ヘリウム系等の汚染の除去期間
① 使用済燃料の搬出
② 重水の搬出、残留重水回収及びトリチウム除去
[1][2]
③ 使用済燃料の保管に係る機能に影響を与 ない範囲で供用を終了した施設・設備の解 撤去[3][4]
原子炉周辺設備解 撤去期間
① 供用を終了した施設・設備の解 撤去
② 原子炉領域の遠隔解 置等の設置範囲に る干渉する原子炉周辺設備・機器の解 撤去
③ 蒸気放出プール、熱交換器類、ラド系タンク等の汚染の除去
④ 放射性固 廃棄物の処理 置の導入、処理
原子炉本 解 撤去期間
① 放射能が減衰する期間を 保し、かつ前記(1)、(2) の経 ・実 を活かした原子炉本 を 原子炉領域の解 撤去
② 汚染したすべての設備・機器等の解 撤去
③ 処理 置を必要に応じて導入し、廃棄物の処理、搬出の継続実施
④ 設備の解 撤去後、建 及び構造物の汚染の除去を行い、管理区域を順次解除
建 解 期間
管理区域を解除した建 、廃止措置対象施設をすべて解
Fig.2 Image of FUGEN reactor facilities dismantling
3 施設の維持管理と保全
運転終了後の設備維持管理
運転終了後、2003 年5 月に自 用電気工作物の廃止
報告を行い、電気事業法の発電所としての が解除された。これにより、発電所から需要設備に移行し、 発電所としての工事計画認可申請が不要となった。
2004 年 2 月には、「燃料を原子炉に できない措置」に係る 臣承認及び省令の改 「定期検査に関する 上の基準を燃料取出後の原子炉施設の安全 保
上の必要に応じたものとする」に従い、定期検査の項 目が102 から33 となり、現在は17 項目で る。 方、炉 法以外の法律で点検を必要とする設備は、補助ボイラ(ボイラ及び圧力容器安全則)、クレーン設備(労 働安全衛生法)、冷凍設備(高圧ガ 保安法)、消防設備(消防法)、放射線取扱施設(RI 法)等で る。
廃止措置中における設備維持管理
基本的な考 方
廃止措置中の維持管理は、原子力安全委員会の指針
「原子炉施設の解 に係る安全 保の基本的考 方」
(旧原子力安全委員会指針)に適合するように実施す ることとしている。
原子炉の機能を停止した後にも、施設内には有意な 量の放射性物質が残 することから、解 中においても周辺環境に影響を与 ないように、漏 い防止及び拡散防止のために「閉じ込め」機能を有する設備や公 衆及び作業員の被ばく抑 又は低減のために必要な放射線管理に係る設備、 た、作業で発生する廃棄物を適切に廃棄、処理するための設備等に対し、原子力安 全の 保のために、必要な期間、所要の性能を維持管理することが重要で る。
さらに、ふげんでは廃止措置移行後も使用済燃料が 施設内に貯蔵されていることから、それらを安全に貯 蔵するための(主に「冷やす」機能を有するための) 設備に対し継続的に維持管理を行ってきている。
なお、ふげんにおいては、運転中からの供用設備を 継続的に使用し、近年では高経年化への対応を図りつ つ、合理的な維持管理に努めることとしている。
方、廃止措置に係る工事を安全・ 実に実施するために必要となる解 撤去や廃棄物処理に係る 置の導入においては、各々に必要な機能を有する安全 保対策を講じたものとするよう、適切な維持管理を行う こととしている。
廃止措置計画認可後の設備維持
原子炉施設の運転状況をFig.3 に す。廃止措置中においても維持する設備については、その機能、性能を 適切に維持するため、先に述べた「原子炉施設の解に係る安全 保の基本的な考 方」等に基づいて、各設備に要求される機能、性能を維持することとし、廃 止措置計画申請書の添付書類 6 で る「廃止措置期間中に機能を維持すべき原子炉施設及びその性能並びに その性能を維持すべき期間に関する説明書」に記載し ている。
廃止措置中に維持する主要設備を以下に す。
① 放射性物質を内包する系統及び機器を収納する建
及び構築物
原子炉建 、原子炉補助建 、タービン建 、燃料貯蔵プール建 等
② 核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設
燃料移送 置、キャ ク取扱 置、使用済燃料貯蔵設備、プール水冷却浄化系、余熱除去系等
③ 放射性廃棄物の廃棄施設
液 廃棄物処理設備、固 廃棄物処理設備等
④ 放射線管理施設
放射線監視 置、主排気筒モニタ、放水槽モニタ、気象観測設備等
⑤ 換気設備
原子炉補助建 換気系、廃棄物処理室換気系、燃料貯蔵プール建 換気系等
⑥ 電源設備
電系統、ディーゼル発電機、直流電源等
⑦ その他安全保安上必要な設備
消火設備、原子炉補機冷却系、圧縮空気設備、ク レーン設備等
方、廃止措置中の保寸管理については、保安 定において、廃止措置計画にその性能を維持すべき原子 炉施設の保全のために行う保寸管理(点検、補修、取 替 、改造その他必要な措置)を実施するに たっては、「原子力発電所の保寸管理 程(JEAC4209-2003)」に従うことを基本とし、保寸管理計画を定めて行うこ ととしている。 た、廃止措置計画及び保安 定に基づいて保全プログラム及び保寸管理業務を実施するた め、保寸管理要領を策定し点検計画を定めている。
点検計画では、各機器の重要 (①安全上重要な設備、②安全機能を要求する設備、③安全機能を要求しない設備)に応じ、適切な保全方式(①時間計画保全、
②状態監視保全、③事後保全)を定めている。
Fig.3 Operation status of FUGEN reactor facilities
廃止措置計画認可後の施設定期検査
研究開発 発電用原子炉の設置、運転等に関する
則第44 条第2 項において、廃止措置の対象となる発
電用原子炉施設は、直近の施設定期検査が終了した日 以降 9 月を超 ない時期 でに次の施設定期検査を検することが定められている。その対象施設は、 則第41 条第2 項において、①「核燃料物質の取扱設備及び貯蔵施設」、②「放射性廃棄物の廃棄施設」、③「放射線管理施設」、④「非常用電源設備のうち、核燃料物 質の取扱い又は貯蔵に係るもの」で る。なお、検査項目は、運転中は 102 項目 ったが、現在は、使用済
燃料の取扱及び貯蔵に係る施設について 17 項目(13 検査)の検査を 検している。Fig.4 に、第 31 回施設定期検査(2018 年 )における検査項目の実 を す。
Fig.4 The 31st facility regular inspection (Fiscal year 2018)
保寸管理の合理化策
保寸管理に関し、ふげんではこれ でに幾つかの合理化を実施してきている。
① 長期期点検計画の見直し
廃止措置計画認可後の第21回定期検査以降の長期 点検計画について、保寸管理要領に記載されている 機器類を対象として点検頻 の見直しを実施した。Fig.5 に長期点検計画頻 見直しの ローを す。
Fig.5 Review flow of inspection frequency of long-term inspection plan
頻 見直しにおいては、JEAC の要求事項、設備の運用状況を反映し、改訂前の長期点検計画の頻 と整合を取りつつ、以下の項目を考慮し延長が可能な 設備に対しては、適切な点検頻 に延長した。
なお、保寸管理要領に記載されていない機器類の 点検頻 については、従来どおり設備保全課長がその都 定めることとした。
適用法令、適用 定及び適用 格
廃止措置計画認可申請書の認可後、新たに適 用された法令、 定・ 格が れば、これらに基づく頻 とする。
運転成 や故障実 、トラブル経 などの運転実
これ での点検で異常がなかった機器については、運転時間、処理量、設備の重要 を
、可能なものについては分解点検及び開放点検頻 を適切な頻 に延長する。ただし、故障実 に基づくデータ分析の結果、故障の発生が多く点検頻 を見直す必要が るとされているものは、その内容を反映する。
た、過去のトラブル(不具合)の是 処置、予防処置として点検頻 を定めているものは、現行の頻 とする。
使用環境や設置環境
原子炉運転終了後の設備の使用環境や設置環 境について、運転中と比べ緩和されているもの が れば、これを考慮する。
劣化・故障モード
故障のデータ分析の結果、劣化・故障モード の観点から点検頻 を見直す必要が るとされるものについては、反映させる。
各種知見等
その他 新の知見が得られたものについては、これを考慮する。
その他
じ系統において、 じ機能が 2 基 る機器(ポンプ及び ァン等)については、1 基不具合となっても片方の機器により系統機能を維持することができることから、これを考慮した点検頻 とする。
主要な設備の例
・放射性液 廃棄物処理設備
蒸発濃縮器点検周期 約3 年→4 年
・復水移送ポンプ 点検周期 約5 年→8 年 等
② 般点検の直営化
長期点検計画見直しに基づき設備維持費の削減を 図る目的も め、設備点検において、これ で外で行っていた外観点検や計器校 等の 般点検作業
について、職員自らが行う(直営化)こととした。点検作業のための要領書の整備など 時的な負は ることになったが、職員の保寸 の 上と
設備維持費の削減を図った。主要な設備の例
・プール水冷却浄化設備、廃棄物処理設備、等
③ 維持する系統の見直し
廃止措置計画の認可により、維持する系統の見直 しを行い、複 号機 る系統は 1 系統(B 系統)のみ維持することとして、施設定期検査対象の削減を 図った。
主要な系統の例
・原子炉補機冷却系、非常用ディーゼル発電機
④ 放射線管理に係る計測機器点検の直営化
これ で外 していた計測器校 用照射 置の点検を直営化し、職員の保寸 の 上と設備維持費の削減を図った。
主要な設備の例
・放射線管理用監視 置、等
設備維持管理の仕組みの改善
ふげんにおいては、廃止措作業を通して、いくつか のトラブルを経 してきている。原因として、人的要因に係るもの、設備上の問題、管理上の問題が抽出さ れ、各々に対し、安全上の対策を施してきた。その中 でも、特に、管理区域での 置からの重水漏 いに係るトラブルを け、安全管理を 実にするため、設備の維持管理の仕組みの改善を行った。
具 的な内容として、Fig.6 に設備区分等の改善について、Fig.7 に供用終了措置に係る ローを す。
ふげんの設備は供用から解 へ移行する において、[供用中設備](性能・機能を維持する設備)、[休止保管設備]([供用設備]のうち当該設備の性能・機能の維持が必要となる での間、その性能・機能を休止する設備)、[供用終了設備](所要の措置を講じたことにより解 工事等の着手が可能となる設備)に区分されていたが、重水漏 いに係るトラブルにより次の改善を行った。
供用を終了させるための措置を完全に終 、解 工事の着手が可能となる での期間は、当該設備への
意を十分に払うことを目的とし、新たに【供用終了措 置中設備】と【解 設備】の区分を導入した。
た、QMS 図書「設備運用管理要領」において、[供用終了設備]に対し「所要の措置を講じたこと」によ
り「解 工事等の着手が可能」としていたものを、【供用終了措置中設備】に対し 供用終了措置の作業 が完了したものを【解 設備】とするとして定義を明
にした。
さらに、【供用終了措置中設備】に対し、漏 い防止及び拡散防止の機能が維持されていることを 認するため、 供用終了措置中設備の点検 を実施することとした。
Fig.6 Improvement of equipment classification
Fig.7 Flow of in-service termination measures
「供用終了措置中設備」
供用を終了した設備のうち、系統内に放射性気 及び放射性液 等が残 する 合は、残 所及び残 量を把握し、解 工事に着手する でに、供用終了措置の作業を完了する での設備。
「供用終了措置の作業」(Fig.8)
①系統の隔離及び密封、②機器の動力電源隔離、③ 機器の 電源隔離、④機器の 用空気の隔離、
⑤冷却水の通水停止、⑥機器及び配管の放射性気及び放射性液 等の 出 たは回収、⑦機器の警報消灯)
「供用終了措置中設備の点検」
・点検項目 般点検
・点検頻 1 年に1 回
・点検の内容 系統内に放射性気 及び放射性液等が残 し、要求される機能を維持する必要のる 所について、設備の使用環境、使用材料等を考慮し 般点検のうち、該当する点検項目を実施。
・点検を行う期間 供用終了措置が完了する で
「 般点検項目」
・機器配管等を分解しない状態で外観点検し、かき 傷、打痕、クラック等の異常の有無を 認。
・漏 い防止又は拡散防止のために計測 置によって監視している 合は、計測 置の点検・校 及び設定値 認を行い、適 に計測できることを 認。
Fig.8 Work of in-service termination measures
設備維持管理の合理化
① 補助ボイラ小型化への合理化
運転停止後、蒸気を使用する負 は主に廃液処理、ランドリー、暖房で り使用量は運転中と比べ非常に少なく、これ で使用していた補助ボイラは、発電所供用中の仕様で り低負 では効率が悪いため、灯油を燃料とする小型貰流ボイラへ変更を行った。これにより燃料費及び設備維持費の削減を図るとともに、これ での連続運転から負 に応じた間欠運転としてランニングコ ト削減による更なる設備維持費の削減を図っている。Fig.9 に補助ボイラの合理化の内容を す。
Fig.9 Rationalization of auxiliary boiler
② 空気圧縮機設備の冷却系統変更
空気圧縮機設備の冷却系統変更の内容 Fig.10 にす。所内空気用圧縮機の冷却水には、原子炉補機冷 却系を使用していたが、 系統が 1 系統維持となったことで 系点検時には冷却水が停止となるため、この様な状態でも冷却水を圧縮機へ供給可能な局所 冷却系へ切り替 られるように接続を行うことで、代替設備を必要とせず設備維持費の削減を図ってい る。
Fig.10 Change of air compressor cooling system
③ 用圧縮空気設備の合理化
用空気設備は、施設の安全を 保する上で必要不可欠で り、今後も廃止措置完了 で使用する設備で る。
当該設備は設置以降約42 年が経過しており、高経年化による劣化が進行している。特に、劣化の進行 が早い動的機器の 2 台の圧縮機においては、廃止措
置移行後は 1 台運用に変更し設備維持の合理化に努めるとともに、圧縮機に不具合が生じた際には、運 用を休止した圧縮機から使用可能な部品を取り外し 再使用するなど、機能維持と点検コ トの削減を図ってきた。
しかし、現状において再使用できる部品もほぼ無くなり、故障した 合の部品供給が不可能な状況となり、さらに圧縮機のシリンダー等の劣化の進行が 著しく顕著になってきていた。
このため、高経年化対策として、2018 年3 月にクリ ー式の空気圧縮機と脱湿 置を設置し、 設の脱湿 置の供用を終了したことにより、点検コトの削減にもつながった。Fig.11 に 用圧縮空気設備の合理化の内容を す。
Fig.11 Rationalization of control compressed air equipment
④ 内給湯設備の縮小化
内給湯設備は、管理区域内の脱衣所のシャワーや手洗いに温水を供給する設備で る。この設備の設計は、運転中の定期点検等を考慮し、 型の設備となっていた。しかし、廃止措置移行後は使用量が減少してきており、現在の使用量に見合う温水を供給できるように、経年劣化に伴い 庭用の電気温水器に変更し、設備の縮小及び維持費の削減を図った。
⑤ 航路標識塔から灯浮標(ブイ)への更新
航路標識塔は、ふげんの取水端に設置されており、 船舶への標識で る。この標識塔の経年劣化に伴い、補修や更新を行うことを検討し、費用対効果の観点から灯浮標(ブイ)に更新を行い、維持費の削減を図った。
設備維持費の推移
これ でに述べた保寸管理の合理化等によって、設備維持費は削減を図ってきた。発電所運転中における 設備維持費に対し、発電所運転停止からこれ での設備維持費の推移は、運転停止後から廃止措置計画認可
では、省令の改 による施設定期検査項目の削減により約 31%に、 た、維持する設備の対象範囲縮小や長期点検計画見直しに基づく点検の合理化(点検頻 の延長、外観点検を中心とした保全移行)により約12% に、廃止措置計画認可後は、維持すべき系統の見直しや 般点検の直営化により約9%に、近年は設備維持として法令を遵寸するために必要な 低限の費用として約6%で推移している。Fig.12 に設備維持費の推移のグラ を す。
Fig.12 Transition of maintenance costs
今後の更なる設備の合理化について
以下の合理化を行うため、廃止措置計画の変更認可 申請を 2019 年 3 月 26 日に行った。Fig.13 にふげん設備の維持管理の概略図(変更前後)を す。
① 使用済燃料が十分に冷却されていることを反映した設備合理化
前述のように「ふげん」では、使用済燃料 466 を使用済燃料貯蔵プールに保管しており、その冷却 設備としてプール水冷却浄化系を、 たその後備冷却設備として余熱除去系を維持管理している。
これら設備への電源供給は、常用電源として275kV 敦賀線(2 系統)で けており、非常時電源としてB ー非常用ディーゼル発電機、77kv 立石線(1 系統) の計4 系統で構成されている。
「ふげん」の使用済燃料は運転停止後、16 年以上経過し十分に冷却されていることから、以下の事項 について設備縮小・合理化を行う。
a プール水の温 が52℃(設置許可申請記載)を超 ないことが明らかと評価できたことから、プール水の冷却機能及び、後備冷却系統で る余熱除去系を不要とする。
b 非常用ディーゼル発電機は、余熱除去系の設備を維持管理不要することに伴い、非常用電源設 備として維持管理する必要がなくなり、経年劣 化による故障のリ クを低減するための設備更新に わせ、施設の安全 保上必要となる適切な容量の予備電源設備とする。
② 電気設備の合理化
廃止措置を進める過程で、所内電源負 の減少に合わせ、運転中から供用している現在の 275kV 系敦賀線よりの 電から、所内電源不可を十分に 保できる77kV 立石線への 電切替 を行う。
電切替 においては、77kV 開閉所設備を更新して高経年化対策を図るとともに、前述の通り安全
保上、商用電源喪失時においても適切な容量の電源
保用として、小型ディーゼル発電機の設置を行う。なお、275kV 系敦賀線からの 電が不要となった
時点で、275kV 開閉所設備及び各変圧器の供用終了措置を行い設備維持費の削減を図る計画で る。
③ 原子炉補機冷却系負 分散化改造工事
原子炉補機冷却系は、廃止措置移行後、A 系・B 系の2 系統からB 系の1 系統を使用する運用に変更したが、設備容量に対する各負 の熱負 は 変小さく、オーバー ベックの状態となっている。 た、現状のB 系運用に当たっては、冷却水ポンプの運転容量を維持するため、 に解 に移行できる設備へも通水を行っており、それらの設備は解 撤去へ着手できない状態に る。このため、廃止措置終盤で運用予定で る廃棄物処理設備や換気設備等、冷却の必要な設備については、代替冷却設備を設置し、 現状の冷却水ポンプや熱交換器の供用を終了する。
本工事により、原子炉周辺設備の解 撤去に支障なく着手出来るとともに、 型機器の維持管理が不要となり、設備維持費の削減と漏 い等に係るリク低減も図ることができる。
Fig.13 Schematic of operation equipment of FUGEN
4 結言
廃止措置の各 の保安管理に必要となる設備を、保安 定と定期検査で適切に保寸管理している。
廃止措置の各 において、設備の状況や要求される機能を考慮して維持管理対象設備を縮小・ 適化し、安全を 保しつつ設備維持費を削減している。
設備の経年劣化が進 中においても、要求される機能を維持しつつ、廃止措置計画に影響のないように設備の合理化を進め、継続的に、設備維持費の削減とリ
ク低減を図っている。
継続した保全の合理化を実施していくとともに、今後の原子炉本 の解 撤去工事に けて、「ふくい マートデコミッショニング 開発拠点」[5]を活用した原子炉解 モックアップ試 を通じて、安全を 優先に合理的な廃止措置を目指していく。
参考文献
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“「ふげん」の廃止措置に係る重水回収及びトリチウム除去における除去 及び除去状況の 認 の検討”, 日本原子力学会2012 秋の 会予稿集, 広島, 2012 年9 月19 日-21 日, 2012f 巻G31(2012)
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香田有哉, 柳原敏; “「ふげん」廃止措置における実 データの分析”, 日本原子力学会2018 秋の 会予稿集, 岡山, 2018 年9 月5 日-7 日, 2018f 巻1F107(2018)
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瀧谷啓晃, 荒谷健太, 粟谷悠人, 石山 弘, 手塚将志, 水井宏之; “新型転換炉原型炉ふげんの廃止措置状況”, デコミッショニング 報, 第59 号, 2-12(2019)