原子力プラントの現場作業を支援するウェアラブルシステム(2)

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カテゴリ: 第15回
原子カプラントの現場作業を支援するウェアラブルシステム(2) Wearable Computing for Support Systems at Work Site of Nuclear Plant(2) 東芝エネルギーシステムズ(株) 尾崎 健司 Kenji OSAKI Member 東芝エネルギーシステムズ(株) 加藤 貴来 Takaki KATO 東芝エネルギーシステムズ(株) 榎本 光広 Mitsuhiro ENOMOTO 東芝エネルギーシステムズ(株) 岡桂一朗 Keiichiro OKA 東芝エネルギーシステムズ(株) Abstract 伊藤悠貴 Yuki ITOH The support system which utilized the wearable devices which consist of a smart glass, a camera, a portable computer, a headset, etc., and aimed at the efficiency improvement of field operation was developed. The evaluation results in the actual plant about real time transmission of image and sound between work field and remote office, and the self-localization using VSLAM (Visual Simultaneous Localization and Mapping) technology are reported. Keywords: Maintenance work support, Wearable computing, VSLAM, Dose management 1.はじめに 原子カプラントの高線量/高汚染エリアの作業では、被ばく のために必要 員で作業を とともに、放射能汚染拡大防止のため図面や要領書等の書類の持ち込みも制限される。現場作業において事務所側に指 を仰ぐ必要が生じた場合、現状は、PHS 等の通話あるいは作業エリア ら一旦退避して確認する必要があるため、 現場状 の や 確 指 に時間を要してしま 課題があった。また、高放射線環境下での作業においては、さら る被ばく のため、リアルタイムでの放射線量の や高放射線エリアの可視化に対するニーズがある。 そこで、カメラやスマートグラス どのウェアラブル端末を装着し、端末の通信機能を活用して、事務所と現場間で映像や音声を共有できる現場 ステムを開発してきた[1][2]。また、リアルタイムに放射線量を計測可能 線量と位置情報を するセン を装着することで、現場の放射線量の情報を作業員、事務所で確認できるとともに、作業員の移動軌跡と各地点での放射線量 連絡先:尾崎 健司、〒235-8523 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8、東芝エネルギー ステムズ(株) E-mail: kenji.osaki @toshiba.co.jp をもとにした空間線量マップおよび滞在時間を考慮した被ばく線量マップを作成する機能を開発してきた[3]。 作業員の移動軌跡の計測に関しては、建屋内の作業では、GPS の が いため、 セン を用いて律航法による相対位置測定方式が採用されてきたが、累積誤差が蓄積する課題があることや、補正する場合も複数の補正用通信機材を作業エリアに設置する必要があった。そこで、作業員が所持するセン のみで、作業員の移動軌跡を計測する 法として、カメラ 像および 線深度セン の情報を用いる VSLAM ( Visual Simultaneous Localization and Mapping)技術を採用し、作業員の位置および移動軌跡を計測することを試みた。本報 では、 プラント環境下での現場作業 ステムおよび 己位置推定技術の適用評価結果を報 する。2.システム概要 現場支援システム 現場 ステムの 成を図 に す。現場側ではタブレット端末やスティックPC 等の可搬型情報端末にカメラを接続し、公衆回線等のネットワークを通じて事務所側に映像を配信する。ヘッドセットを接続し、事務所側と会話し がら撮影アングルの調整を可能とした。さらにスマートグラスを接続して、図面等の視覚情報を用 Worksite Public line Fig.1 Constitution of Support System いた事務所とのコミュニケー ョンを 現した。1 台の監視用PCで同時に4名とのコミュニケー ョンが可能である。 お、映像・音声の配信にあたり、特殊 暗号化技術を用い暗号化する どセキュリティに十分配慮した。今回開発した現場 ステムでは、図 2 に すよ にスマートグラスやカメラを呼吸保護具として装着する全面マスク内に格納できるよ 装着フレームに固定する一体 造を採用した。この 造により、放射能汚染の防止だけで く破損・部品脱落によるプラント機器への異物混入防止を 現した。さらに、装着フレームごと簡便に脱着できる 造としたことで、その都度 カ会社 ら貸与される全面マスクへの装着を可能とした。現場作業者の端末装着状 を図 2 に す。現場端末は放射能汚染防止のために着用する保護着の内部に装着することで、 直接 部に接触し いよ 配慮した。 また、可搬型情報端末の代わりに、 成簡素化のためカメラ等が既に内蔵されているスマートフォンを用いることも可能である。作業監督者 ど、スマートフォンを に持って作業が可能 場合に適している。 Fig.2 Apparatus of support system(Full-face type) 自己位置推定手法 被ばく線量マップを作成するには、作業員の移動軌跡を精度よく計測する必要がある。ここでは、作業員が所持するタブレット端末に搭載されたカメラ・ 線深度セン を用いて、周囲の物体の特徴点を抽出し、動 像を解析し物体の特徴点(例えば角 ど)をリアルタイムに追跡し、位置・姿勢、3D 情報を推定するVSLAM(Visual Simultaneous Localization and Mapping)技術を採用し、端末の位置を算出した。GPS が利用でき い屋内においても端末の位置の推定が可能と る。図3に、VSLAM 技術の概念図を す。点検開始箇所に配置する QR コード状のマーカー位置を起点(0 点)として端末の移動軌跡(3 )を算出した。 に 用した 己位置推定のための機器仕様を す。 Fig.3 Self-localization using VSLAM Table.1 Specification of self-localization device Items Spec. Sensor Ir Depth sensor Measurement distance ~4m Size 88.57x179.83x10.7mm Weight 259 g Mearing period 1 sec Data Time and position(X,Y,Z) 実プラントでの評価試験 現場支援システム評価試験 福島第一原子カ発 所 3 号機の廃炉工事に関連する遠隔操作型大型クレーン(クローラクレーン)を用いた機器の吊り込み、設置工事にて ステムの適用評価を 施した。工事では、現場 ら離れた場所にある免震重要棟内にある遠隔操作室(リモート室) らクローラクレーンを操作して重量物を移動する。通常は吊り込み先の監視員による指 とクローラクレーン本体に り付けた固定カメラの映像で操作するが、近接映像が れ い場合や、死角と る場所が存在するため、現場 ステムの映像で情報の補填を試みた。図 4 に映像配信の例をす。燃料 扱設備をレール上に設置する際の 観、現場 ステムの映像およびリモート室のモニタに された現場 ステムの映像を している。現場ステムを装着した作業者が移動することで任 のアングル ら近接して撮影できる利点を活 してクローラクレーン操作者 ら要求される映像を配信し、固定カメラのみでは が困難であったレールと車輪の位置関係を できることを確認した。 今回の試験では、福島第一原子カ発 所 内の公衆携帯通信回線を利用した通信を 施した。通信状 における問題は く、映像、音声ともに十分 品質であることを確認した。 また、本 ステムにより、作業中にリモート室との協議事項が生じた際、リアルタイムの映像で状 を確認し合い がら議論することが可能である。従来の連絡 段はPHS 等による通話に限られており、 機の 像を共有するためには現場 ら一度退避して協議し、再度現場に移動する必要がある。この場合、現場 らの退避にる移動時間と再度現場に戻る移動時間、さらに装備解除、 装着時間が余分に ることと る。試験時のタイムスケジュール ら試算すると一旦退避した場合90 分程度と 定され、現場 ステムを活用することで、現場で 定が可能と り現場作業時間の に 与できることが 証できた。 View of the fuel handling equipment The image by support system Remote control room Fig.4 The image of an actual plant examination of support system Move locus 1st round 2nd round Start/Finish Rail The gap with a locus and a rail position :about 50cm Fig.5 Result of self-localization test 自己位置推定機能評価試験 の工事の際、 レー ョンフロア上にて 己位置推定機能の評価試験を 施した。図 5 に レー ョンフロアの平面概略図を す。図中右側に QR コード状のマーカーを貼りつけ、計測時の起点とした。起点 らフロア上を 2 周したときの移動軌跡を図中に す。このとき2 周目は起点読 処理は ってい い。2 本のレールの ち、図中下側のレール上を移動したこと ら、全体の軌跡が 50cm 上下方 にずれていることが確認できるが、2 周分の軌跡は 一 することが確認できる。2 周分の軌跡のずれがわず であること ら、 50cm のずれについては、起点読 時の誤差の可能 が高いこと ら、起点読 時の処理について改 していく予定である。 おわりに 開発した現場 ステムを福島第一原子カ発 所 3 号機の工事にて評価試験を 施し、 プラント環境にて十分 品質で映像、音声の伝送できることを確認し、遠隔地にて現場状 を できるとともに、必要に じて現場作業員への適切 指 が可能であることを確認できた。また、作業員の位置、移動軌跡を計測する 法とし て VSLAM 技術を適用し、誤差 50cm 以内で計測できることを確認した。現状は、セン 内蔵の端末であるため、作業の邪魔に る可能 があるため、セン 部を分離する等、装着 を改良し、現場にて 用しやすいものとし、作業員の被ばく に貢献する ステムを 築していく予定である。 参考文献 重 蔵 尾崎健司 加藤貴来 原子カプラントの現場作業を するウェアラブル ステム” 日本保全学会 第13 回学術講演会予稿集 , pp. 367-370. (2016) 重 蔵 尾崎健司 加藤貴来, 原子カプラントの現場作業を するウェアラブル ステム”, 日本原子カ学会2016 年秋の大会予稿, 1G01 (2016). 重 蔵 尾崎健司 加藤貴来 藤原宏伸、 ウェアラブル端末を用いた線量情報収集の高度化”,第 22 回 動カ・エネルギー技術 ン ジウム, A231 (2017).
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