ケーブルルート実証技術の開発
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カテゴリ: 第17回
ケーブルルート実証技術の開発
Development of the cable route demonstration technology
東芝プラントシステム(株)
川副
英次
HidetsuguKAWASOE
Member
東芝プラントシステム(株)
西村
達仁
TatsutoNISHIMURA
Member
東芝プラントシステム(株)
岩崎
盛久
MorihisaIWASAKI
Member
東芝プラントシステム(株)
山田
穣
YutakaYAMADA
Member
東芝プラントシステム(株)
佐藤
善美
YoshimiSATOH
Member
Abstract
We aim at the unitary management of information relevant to design, construction and maintenance of cables and circuits in the context of information that should be controlled are widespread as well as are required to comply with nuclear-specific requirements such as seismic, radiation resistance and system isolation. In nuclear-specific requirement, not only cabling “from-to” management but also cable route (laid on what stage of cable tray etc.) management is required, but the only method we implement currently is a visual confirmation and it is difficulty to confirm especially at high and narrow places and requires massive effort to maintain and manage the consistency of cable route configuration management. In order to address this issue, we have been developing the cabling information collection system achieves confirmation of cable route and contributing to the unitary management of cable relevant information instead of relying on a human system by automatically collecting cable route of laid cable through multiple stationary detectors and information networks. (Previous report [1]). This time, we developed the portable cable route demonstration technology which and it is possible to identify the cable route without any incidental work such as installation of detectors with the aim of making it possible to confirm not only new lying cable route but also existing cable route. In this paper, we report on the outline of the development of this portable cable route demonstration technology.
Keywords:
CM, Cable detection, Portable, CVV,Top-Links?(Toshiba Plant System Link Cable Management System)
1.はじめに
原子力発電所のケーブル及び電路は、プラントの重要設備から周辺設備まで、全ての機能を稼働させるための膨大且つ長大な神経回路網とも言うべき重要なネットワークシステムである。また、耐震、耐放射線性、系統分離等原子力特有の要求もあり、管理すべき情報は多岐に渡っている中で、当社はケーブル及び電路に関する設計から施工、保全に係る情報の一元管理を目指している。一方、上記原子力特有の要求ではケーブルの布設管理
は起終点(From-To)だけでなく、布設したルートの妥当性確認(多段トレイの何段目に布設したか等)も含まれているが、現状は布設後の人間系による目視確認が唯
一の手段であり、特に高所や狭所は確認が容易ではないことから、ケーブルルートの構成管理(CM)の整合性維持・管理に多くの労力を要している状況であった。このような課題に対し、複数の据え置き型ケーブル検出器と通信網により布設したケーブルのルート情報を自動収集することで、人間系に頼らない布設ルート確認作業の実現を図り、ケーブルに係る情報の一元管理に寄与するケーブル布設情報収集システムの開発をこれまでに進めてきた。(前報[1])
本稿では、新規ケーブル布設時だけでなく、既設ケーブルに対するルート確認も可能にする事を目的として、ケーブル布設情報収集システムのケーブル検出原理を応用し、検出器据付などの付帯工事を伴わずに、ケーブルルートの特定を可能とした可搬型ケーブルルート実証技術の概要について報告する。
2.開発コンセプト
本技術は、目視確認が唯一の確認手段となっているケーブル布設ルートを、目視以外の手段を用いて特定し、ケーブルルートの構成管理を容易化、合理化することを目的として開発したものである。
① 検出器の据付などの付帯工事が不要
② ケーブル特定とケーブルルート確認が可能
③ 確認作業における高所作業や足場設置を削減
④ 活線ケーブルに近接したケーブルを検出可能
⑤ 他ケーブルの信号に影響を与えない
⑥ 長距離ケーブルを含めた全種ケーブルへの適用
⑦ 計画ルートと実績ルートの照合
⑧ プラントを選ばずにシステムの適用が可能
3.技術開発概要
ケーブルルートの確認方法について説明する。ルート確認対象ケーブルの一端に接続した送信機より、10kHz のパルス信号を印可し、当該ケーブルから発生する微弱な空間電磁界(信号)を可搬型センサで受信。信号を受信した場所を繋ぎ合わせることにより、ケーブルルートを特定する。ケーブルから発生する信号は、ケーブルとの距離が離れるほど弱くなるため、可搬型センサの信号受信レベルが一番高い場所にケーブルが布設されていることを確認できる。今回開発したシステム(図1)で は、可搬型センサがケーブルを検知した位置を現場用タブレットPCに表示した平面図(図3)上でポイントを指定し記録する。記録時は、使用した可搬型センサの受信レベルも同時に記録する。本システムによるケーブルルート調査手順の概要を図4に示す。
図1 全体構成図
図2 システム構成機器
次に、システム構成機器(図2)の概要を説明する。
① 信号送信機
ケーブルの起点に接続し、ケーブル検出用の10kHz のパルス信号を印加する。送信信号の電圧(12V/24V 切替式)を変更することで、可搬型センサの信号受信距離を変化させる。
② 終端装置
ケーブルの終端に接続、ケーブル検出信号の送信状態のモニタが可能で、終端抵抗の抵抗値を可変させることにより、可搬型センサの信号受信距離を変化させる。
③ 可搬型センサ
被検出ケーブルから発生する信号を受信し、現場用タブレットPCへ受信レベル等の情報を送信する。可搬型センサが信号を受信した位置の近傍にケーブルが存在することを確認できる。また、受信感度を変更する事により、検知信号の受信距離が変化し、被検出ケーブル位置の絞り込みが可能となっている。
④ 現場用タブレットPC
ケーブル検出信号の送信開始・停止の指示、ケーブル検出位置の記録を行う。
⑤高所作業用ポール
可搬型センサを伸縮式のポールの先端に取り付け、高所ケーブルを確認する際に使用する。
図3 ルート記録画面
図4 ケーブルルート調査手順
4.模擬現場環境における試験概要
試験概要
今回の技術開発では、当社所有の訓練施設に布設さ れているケーブル及び電路を使用したケーブルルート 実証能力の確認、原子力発電所で実際に使用している ケーブルトレイと同型の試験用ケーブルトレイモック アップに布設したケーブルから発生する信号の受信レ ベルの分布確認を実施した。また、過去の開発経験より、ケーブルから発生する信号は、ケーブル近傍が最も強 く、ケーブルから離れるにしたがって低下することが 分かっており、ケーブルから発生する空間電磁界と可 搬型センサの信号受信レベルの相関を周囲の空間電磁 界を測定(可視化)して確認した。
図5 訓練施設ケーブルトレイの状況
試験方法
(1) ケーブルルート確認
訓練施設の制御盤~端子箱間に布設されているケーブル(CVV 4C-1 2sq)を使用し、訓練施設ケーブルトレイ上でルート確認を実施した。
検知信号は、信号電圧(12V/24V)と終端抵抗の設定を組み合わせて確認を実施した。
(2) ケーブル検知能力確認
試験用ケーブルトレイモックアップ中心に試験用ケーブル(CVV 5C-1 2sq 約30m)を布設して検知信号を印加し、可搬型センサの信号受信レベルを確認した。
(3) ケーブル周囲の電磁界測定
試験用ケーブルトレイモックアップ中心に試験用ケーブル(CVV 5C-1 2sq 約30m)を布設して検知信号を印加し、ケーブル周囲の空間電磁界の分布を測定した。
試験結果
(1)ケーブルルート確認
図6に示すケーブル布設ルート上の確認ポイントで可搬型センサによりケーブルが検知できることを確認した。実際の現場作業において、フレキシブルなルート確認が出来るよう電圧、終端抵抗等の設定機能を設けており、作業状況や周辺の環境に対応可能であることが確認できた。
図6 訓練施設におけるケーブルルート確認結果
図7 ケーブルルート確認の状況
(2) ケーブル検知能力確認
試験用ケーブルに検知信号を印加し、可搬型センサが受信した信号受信レベルとケーブルからの距離の関係を図8に示す。ケーブル近傍の受信レベルが最大となり、ケーブルから離れるほど、信号受信レベルが低下していく。この信号受信レベルは、ケーブルを中心に同
心円状(図8)に分布している。また、適用可能なケーブル種類は、表1に示すケーブルの検出が可能なことを確認しており、同軸やシールドケーブルであってもケーブルルートの確認が可能である。
図8 センサ受信強度(左図)と空間電磁界分布※(右図) 表1 ケーブルの検出実績
ケーブル種別
芯数
サイズ
検出結果
600V CV
3C-1
5.5sq
○
CVV
5C-1
2sq
○
シールド
2C-1
1.25sq
○
同軸
1C-1
-
○
光ケーブル※
-
-
○
※テンションメンバが鋼製のケーブルの場合
(3) ケーブル周囲の電磁界測定
試験用ケーブルに検知信号を印加した際、ケーブル周囲に発生する空間電磁界を計測し可視化した結果を図9に示す。ケーブル周囲に発生する空間電磁界は、ケーブルに近いほど強くケーブルから離れるに従って弱くなる傾向を示しており、可搬型センサの受信レベルと同様の傾向となっていることが確認できた。
図9 ケーブルからの距離と受信レベル/空間電磁界レベル
5.まとめ
本技術開発では、ケーブルから発生する微弱な空間電磁界を検知する技術を活用し、ケーブルのルートを実証する可搬型システムを開発した。また、模擬現場環境での試験並びに、信号受信強度と空間電磁界を測定し、本システムがケーブルルートの実証に必要な基本性能を満たしていることを確認した。本開発技術を原子力発電所での作業に適用することで、これまで多くの労力を要していたケーブルルートに対する構成管理の整合性維持・管理(図10)を容易に行う事が可能になるものと考える。なお、当社はケーブル及び電路に関する設計から施工、保全といったライフサイクル全体を網羅した情報の一元管理、更にはその有効活用をTop-Links?構想(図1 1)として推進しており、本ケーブルルート実証技術の適用により施工及び保全(メンテナンス)領域のケーブルルート情報の最新化に寄与するとともに、他のシステムとも連携し、同構想を前進させる予定である。
図10 ケーブルルートに関する構成管理
(5) 今後の展開
今後、実機での運用に向けて、以下の対応・改善を予定している。
参考文献
図11 Top-Links?構想
・実プラント内での検証試験
・ルート確認エビデンス作成機能向上
・設計DB、3Dモデルとの統合(Dx化の推進)
「ケーブル布設実績収集システムの開発」、第1
6回保全学会 学術講演会 要旨集、於)リンクステーションホール青森、2019-7-24、pp.565-568.