フェイズドアレイ超音波を用いた埋込金物検査手法の開発

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カテゴリ: 第15回
フェイズドアレイ超音波を用いた埋込金物検査手法の開発 Development of Testing Technique on Embedded Plates Using Phased-Array Ultrasonic Testing 日本原燃掬 三浦 進 Susumu MIURA Member 日本原燃掬 関口 昭司 Shoji SEKIGUCHI 日本原燃掬 服部 功三 Kouzou HATTORI 原子燃料工業) O匂坂 充行 Mitsuyuki SAGISAKA Member 原子燃料工業) 小川 良太 Ryota OGAWA Member 原子燃料工業) 儀部 仁博 Yoshihiro ISOBE Member Non-destructive testing technique was developed for embedded plates using phased-array ultrasonic testing (PAUT). The bending angle of their studs was quantitatively estimated by using the sector scan of PAUT, which is usually difficult by using conventional UT. In addition, this technique is capable of visualizing the weld shape of the stud by using the linear scan of PAUT. Mockup tests were carried out in order to verify the effectiveness of the technique. Keywords: Phased-Array, Ultrasonic Testing, Non-Destructive Evaluation, Plate, Welding, Bending 1 はじめに 埋込金物は、コンクリート構造物における機器、配管 等の支持構造物の固定に広く利用されている。日本原燃 では、2015 年8 月に一般共同溝内の埋込金物に浮き上がりを確認した事象を受け、目視による外観点検、超音波 探傷試験(通常UT 測定)による健全性確認等を実施している[1]。このうち通常UT 測定ではジベルが短い、曲げ過ぎ等と評価されたものを規格外と分類するが、ジベル 曲がり角度の定量的把握には課題が残っている。また、 隅肉溶接されたジベルに対する通常UT 測定では、 超音波がジベルに十分に入射しない場合があり「、ジベル が欠損している」と誤判定する可能性も考えられる。 筆者らは、フェイズドアレイ超音波(PAUT)による セクタスキャン(広い角度範囲に超音波ビームを入射し エコーを合成、可視化)、又はリニアスキャン(広い領域 に超音波ビームを入射しエコーを合成、可視化)を応用 して(表 1)、通常UT 測定では困難であったジベルの曲がり角度を定量する手法、 ジベルの溶接部 を可視化する手法、の2つの測定手法を開発し、実機適用 高度化を進めている。本報では、これらの測定手法の 性を クア 試験により検 した を報する。 連絡先:匂坂充行、〒590-0481 大阪府泉南郡熊取町朝代西 1 目950 、原子燃料工業 、 E-mail: sagisaka@nfi.co.jp 表 1 PAUT の特徴 2 ジベルの曲がり、欠損測定 測定手法 本手法は、PAUT のセクタスキャン(表 1)を応用し、通常 UT では困難であったジベルの曲がり角度を定量する手法である。 曲がりの いジベルに対し、埋込金物 レート表らセクタスキャンにより超音波を入射する場合を考える (図 1 左)。入射した超音波がジベル底 で反射すると、ビーム に応 た に 一底 エコーが れる 、底 エコー ら一定の時間遅れを伴って ード変換エコーが れる。図 2 は、曲がりの いジベルに対するセクタスキャン であり、濃淡が淡→濃となるに従いエコーの が高いことを表している。曲がりの いジベルに対するセクタスキャンでは、 一底 エコーの は 超音波が金物表 ら垂直に入射した場合が最も強くなる。 一方でジベルに曲がりがある場合(図 1 右)、 一底 エコーの は、一般に超音波ビーム角度がジベルの曲がり角度に くに従い、高くなる がある。図 3 は 20゜の曲がりが るジベルに対するセクタスキャン であるが、曲がり角度20 に対応する超音波ビーム角度で 一底 エコー が最も高くなっていることがわ る。従って、 一底 エコーの が最も高くなる超音波ビーム角度 ら、ジベルの曲がり角度を定量する可能性がある。 本手法では、探傷子 ら底 までの距離を超音波の一底 エコー ら測定できるため、ジベルの欠損も併せて検出可能である。 図 1 セクタスキャンによるジベルヘの超音波入射 (左 曲がりなし、 右 20゜の曲がり り) 図 2 セクタスキャン (曲がりなし) 図 3 セクタスキャン (20゜の曲がり り) モックアップ試験方法 本手法の 性を検 した例として、ジベルに曲がりを付与した複数の クア に対して本手法を適用した を示す。 本検 では、 16mm、ジベル 120mm の埋込金物においてジベルに 25、30、40、50、 60゜の曲げを付与した クア を用いた。また本検 に対するジベル欠損の影響を確認するため、60゜の埋込金物につい てはジベル下端25%を切断したものを併せて用いた。 測定方法を図 4 に示す。それぞれの クア に対して、ジベル内に超音波ビームが直接入射するようPAUT 探傷子を走査して(図 4 左)、セクタスキャン画 における 一底 エコーの が最も高くなるビーム角度( 最大ビーム角度)を求めた(図 4 右)。 図 4 ジベルの曲がり測定 モックアップ試験結果 各 クア に対して本手法を適用し、 最大ビーム角度を求めた を図 5 に示す。曲がり角度が40゜までの全てのジベルに対しては、 最大ビーム角度は曲がり角度を概ね2~5 上回った。一方で、曲がり角度が50, 60゜(ジベルが25%欠損したものも含む) に対しては、 最大ビーム角度は曲がり角度を下回った。この理由は、ジベルに大きな曲がりがあることによ り超音波ビームがジベル底 に直接到達する経 が阻害され、曲がり角度を下回る角度で入射した超音波ビーム がジベル側 で反射して底 に到達するためと考えられる。なお曲がり角度60゜では 一底 エコーが観測されな ったため、 ード変換エコーによる 最大ビーム角度を参考値として示した。 本 クア 試験では、ジベルに欠損が く曲がり角度が50 までの範囲では、 最大ビーム角度は曲がり角度と3~5゜の範囲で一 し、曲がり角度を定量する可能性を見いだした。 本手法における誤差要因の検 として、超音波ビームがジベルの曲がり方 らずれている場合(図 6 左)、ジベルの中心 らずれている場合(図 6 右)について 最大ビーム角度ヘの影響を確認した をそれぞれ図7 図 8 に示す。いずれも 最大ビーム角度ヘの影響は2 の範囲であり、影響は小さ った。 図 5 ジベル曲がり角度と 最大ビーム角度 図 6 誤差要因検 超音波ビームのずれ 左 曲がり方 らのずれ、 右 ジベル中心 らのずれ 図 7 誤差要因検 試験 曲がり方 らのずれ 図 8 誤差要因検 試験 ジベル中心 らのずれ 3 溶接部形状測定 測定手法 本手法は、PAUT のリニアスキャン(表 1)を応用し、埋込金物ジベルの溶接部 を可視化する手法である。具体的には図 9 に示すジベル溶接部に対して本手法を適用することにより、同図(右)のように溶接部の 、 を把握可能である。 埋込金物表面溶接部形状測定結果 図 9 溶接部 測定 模 図 本手法の原理模 図を図 10 に示す。 が既知である 材に超音波を入射すると、 に対応するビーム で 一底 エコーが観察される(図 10 左)。一方、この 材の裏 に溶接部がある場合には、 らのエコーが観察されなくなる(図 10 右)。従って、このエコーの ら、その での溶接部の を判定できる。この原理を用いて、PAUT のリニアスキャンを用いて 材表 を 的に走査することにより、溶接部の や を視覚的に把握可能である。 図 11 には、実機環境の埋込金物で使用されている溶接方法の一部としてスタ ド溶接、隅肉溶接 あと施工アンカーの溶接に対して溶接部 測定を行った場合の、測定 の違いを模 的に示した。隅肉溶接の場合、スタ ド溶接と異なりジベルの周囲を溶接すること ら、ジベル軸中心部に溶接部が く のエコーが観察される可能性が考えられる。 図 10 溶接部 測定 原理模 図 図 11 溶接部 測定 各溶接方法に対する 模 図 モックアップ試験方法 溶接方法による溶接部 測定 の違いを クア 試験により検 した を示す。 本試験では、スタ ド溶接、隅肉溶接、あと施工アンカーの溶接、の3 種類を選 、これらの溶接方法を用いて、16(mm)の 材に対して19mm 径のジベルを取り付けた クア を製作した。 クア の外観 溶接部のおよその寸法を図 12 に示す。 モックアップ試験結果 各 クア に対する測定 を図 13 に示す。それぞれの測定 において、中央部に淡色で表示されている部分は らのエコーが れていない領域であり、溶接部と推定される。図 ら、隅肉溶接ではジベル軸中央部における らのエコーが れていること、また、溶接部寸法測定値はスタ ド溶接とあと施工アンカーの溶接とで顕著に異なっていること、がわ る。これらの特徴 ら3 種類の溶接方法を識別する可能性がある。それぞれの溶接方法における「溶接部寸法測定値」と「軸部における らのエコー 」を表 2 に纏めた。 図 13 3 種類の溶接方法による クア 測定 表 2 溶接方法による違い 溶接方法 溶接部寸法測定値 軸部における板厚位置 からのエコー有無 スタッド溶接 (ジベル径) + 5(mm) 無し 隅肉溶接 (ジベル径) + 9(mm) 有り あと施エアンカーの溶接 (ジベル径) + 12(mm) 無し スタッド溶接 隅肉溶接 4 まとめ PAUT を用いて、埋込金物ジベルの曲がり角度を定量 する手法、 ジベル溶接部 を可視化する手法を開発し、1種類の埋込金物タイ について クア試験によりそれら手法の 性を検 した。今後は、実機環境で使用されている様々なタイ の埋込金物に対する検 を進めるとともに、曲がり角度定量精度の 上等、高度化を図る予定である。 参考文献 あと施エアンカーの溶接 図 12 3 種類の溶接方法による クア 再処理施設 埋込金物の健全性確認の実施 況(概 要), 日本原燃 レスリリース, 2015.
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