九大・応用力学研究所における原子力材料照射影響下評価の取り組み

公開日:
カテゴリ: 第15回
九大・応用力学研究所における原子力材料照射影響評価の取り組み Study of irradiated nuclear materials in RIAM Kyushu University 九州大学 応用力学研究所渡邊英雄Hideo Watanabe非会員 Abstract The neutron irradiation of Fe based fusion and fission reactor materials lead to an increase in the ductile-to-brittle transition temperature (DBTT) with a decrease in the upper shelf energy. It is well known that the Cu content has a strong influence on the embrittlement phenomena; especially, the Cu-rich precipitates have been thought to be directly responsible for the embrittlement. In contrast, mechanical property studies for the steels with different Cu levels have shown that so-called matrix defects are dominant in the embrittlement of low-Cu steels as well as in that of high-Cu steels at high fluences. After the irradiation, microstructure was observed and analyzed by Cs corrected TEM (STEM)-EDS (JELOL ARM200FC). By using the technique, simultaneous observation of Cu-rich precipitates of about 2~3 nm and dislocation loops were possible. In RIAM, Kyushu university, a tandem accelerator attached with two ion guns is also used for ion irradiation. Keywords: Cu precipitate, dislocation loop, STEM-EDS, Cs corrected TEM はじめに 東京電力(株)福島原子力発電所の事故以降、運転 開始数十年を経過(高経年化と言う)した既存原子炉 の 性が とな た。 日 地区の 合、九州電力(株)玄海1 号炉の運転開始が1975 年と最も古く、 電力(株) 2 号炉が れに いていたがいずれも廃炉を決定し、長期に亘る廃炉処理を行う必要がある。原子力の に廃炉に関 る研究には、原発立地地域に根差した公平中立な立 か の基礎研究が必要である。応用力学研究所・核融合力学部門・先進炉材料 野では、長年に亘り核融合炉 有の高照射量下での構造材料開発に取り組んで来たが、原発事故によるエネルギー環境の激変に、い、これまでのRI 使用経験実績や応力研が進める 共同利用研究ネットワークを活用して、原子炉圧力容器鋼の照射脆化構の解明と炉寿命の高精度評価に関 る研究に着手した。平成24 年度概算要求にて、病院地区RI センター において、 差 を有する原子 電子顕微鏡を設置した。この電子顕微鏡は管理区域 設置の顕微鏡としては、 最高 ルの 解 を有し、高経年化した原子炉材料の 研究に大きな期待が持たれている。 照射材料の観察・分析や原子力人材育成に関わる取り組み 原子炉圧力容器は鉄鋼材料で製作されているが、長 年の中性子照射環境下での使用により、脆化(中性子 照射脆化と言う)する。圧力容器鋼の代表的な鋼種で あるA533B 鋼の照射脆化メカニズムとしては、2つの 構が されている。 ( ) が原 によるもの、(2)マトリクス欠陥(主に照射による転位ルー )よるものである。これ の 合 は使用環境下で転位と相互作用することにより脆化が進む。九州大・応用力学研究所では、 にマトリクス欠陥の形成に、う照射脆化のメカニズムを解明するために、照射欠陥 合 (格子間原子型(I)、空孔型(V)転位ルー )の形成挙動を明 かにすることが必要であると考ぇ主に電子顕微鏡を用いた研究を進めてきた(図 参照)。照射欠陥の形成には、鋼に添加されている様々な溶質原子が大きく関与していると考ぇ れており、に は不純 として含まれ最も重要な元素である。応用力学研究所では、いろいろなモデル合金を作製し、 電子線やイオン照射により原子炉照射条件を再現して、組 と材料の さ評価か 照射環境 有の現 を明かにしている。また、平成28 年度より上記電子顕微鏡を用いた実 を 原子力 材 成にも している。 (図2参照) 連絡先:渡邊英雄、〒816-8580 春日市春日公園6- 九州大学応用力学研究所 E-mail: watanabe@riam.kyushu-u.ac.p 照射環境整備に関わる取り組み 現在、 材料照射用原子炉は て停止状態であり、今後数年に亘り再稼働の見込みはない。先進炉材料野では、イオン照射施設の 備にも取り組み、九州大学・箱崎地区電子顕微鏡室廃止に、い不要とな た軽イオン源を筑紫地区に移転させ、既存のタンデムビームラインに併設することにより、 大学施設では例のない3重ビーム照射 として活用中である。(図3参照) 燃料被覆管(ジルコニウム合金)は、水環境下では水素を吸 して水素脆化し、最終的には破損に至る。また、高照射領域では、照射により形成される空孔型のC型転位ルー が水素化 の形成と密接な関係があることが報告されている。 研究では水環境下での中性子照射も模擬する目的でエネルギーの異なる水素イオンを照射(トリ ルビーム)することにより 装置を活用している。(図4参照) F g1 F g2 F g 3 F g 4 参考文献 Watanabe, H., Masaki, S., Masubuchi, S., Yoshida, N., Kamada, Y., Journal of Nuclear Materials 417(2011) 932. Watanabe, H., Arase, S., Yamamoto, T., Well, P., Onishi, T., Odette, G. R., Journal of Nuclear Materials 471(2016) 343。 Watanabe, H.,Takahashi, K., Yasunaga, K., Wan, Y., Aono, Y., Maruno, Y., Hashizume, K., Journal of Nuclear Science and Technology, to be published .
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)