国内初のPWR廃止措置系統除染工事について
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カテゴリ: 第15回
国内初の PWR 廃止措置系統除染工事について
The nation’s first FSD for PWR decommissioning
二菱重工業(株)沖村浩司KojiOKIMURANon-member
二菱重工業(株)
上田
剛史
Takeshi UEDA
Non-member
二菱重工業(株)
新田
義一
YoshikazuNITTA
Non-member
二菱重工業(株)
鬼塚
博徳
Hironori ONITSUKA
Non-member
二菱重工業(株)
上野
怜子
Reiko UENO
Non-member
原子カサ→ ビスエン
宮井
勲
IsaoMIYAI
Non-member
ビニアリン ビ(株)
原子カサ→ ビスエン
藤田
隆之
TakayukiFUJITA
Non-member
ビニアリン ビ(株)
原子カサ→ ビスエン
野村
厚夫
AtsuoNOMURA
Non-member
ビニアリン ビ(株)
Abstract
Mihama Unit 1 & 2 are the first decommissioned nuclear power plants in the Japanese PWR (Pressurized Water Reactor). FSD (Full System Decontamination) in PWR has never been conducted in Japan before. FSD in Mihama Unit 1 & 2 is the first one in the Japanese PWR. On the other hand, heat transfer tubes of steam generator are made of nickel alloy 690. Chemical decontamination for nickel alloy 690 has never been conducted in the world. As the result, the target which DF (decontamination factor) is over 30 is achieved in FSD of Mihama Unit 1 & 2. DF in the heat transfer tubes of steam generator made of nickel alloy 690 is well over 30.
Keywords: FSD, Decommissioning, PWR, Mihama Unit 1 & 2, Nickel alloy 690, DF
1 諸言
( )は、美浜 所1、2 号機は2015 3 月に廃止を決定し、 初のPWR 廃止措置プラントとなった。その廃止措置は、解体準備、原子炉周辺設備解体撤去、原子炉領域解体撤去、建屋等解体撤去の4 段階に区分して段階的に進 る計画 、最初の解体準備の一環
、三菱重工業は美浜 所1、2 号機の系統除染工事を受注し、1 号機は2017 8 月、2 号機は11 月下旬~12 月下旬に工事を実施した。PWR プラントの系統除染工事はこ は実施さ て 、 が 初のPWP 廃止措置系統除染工事となった。
系統除染工事は、系統中に循環させた薬品による化学 的作用を利用して、機 表面に付着した放射性物質を除去する工事 、 の機 解体 の作業環
(作業員の被ばく低減)、放射性廃棄物の放射能レベルの 低減を期待して解体準備の段階 実施した。ここ は、その工事の概要を報告する。
2 系統除染工事の計画
系統除染範囲
放射性物質は、原子炉運転期間中に原子炉を通過した1
に する機 表面に く して ると
るた 、PWR プラント 運転期間中に1 が主に循環する原子炉 系統、化学体積制御系統、余熱除去系統を系統除染工事の対象範囲とした(Fig.1)。
た、美浜 所1、2 号機に ける系統除染範囲の容
連絡先:上野 怜子
T652-8585 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1 番1 号三菱重工業( )
E-mail: reiko_ueno@mhi.co.jp
積及び表面積をTable1 に示す。Table1 に示すように系統除染範囲の表面積のうち、約80%をニッケル基合金が占
て 、このニッケル基合金の は 熱
る。そのた 、系統除染工事に て、
熱 の除染効果を得ることが必須となる。しかし、ニッケル基合金はクロムやニッケルを く含有して 、他の金属 料(ステンレス鋼等)と比較して、除染効果を得難 料 る上、美浜 所1、2 号機の
熱 に使用さ て る690 系ニッケル基合金は外 の化学除染実績がな 料 、 の系統除染工事は、690 系ニッケル基合金に対する 外初の化学除染 も った。
Fig.1 Coverage of FSD (Full System Decontamination)
Table1 Volume and Area for FSD in Mihama Unit 1&2
系統除染工法
系統除染範囲の面積の約80%を占 る 熱
の除染効果が期待 ること、除染による 廃棄物量が少な こと、除染 使用する薬品等が 所 の設備 処理 ること等を 慮して、美浜 所1、2 号機の系統除染工事 は、 外 のPWR プラントに対する系統除染工事に て豊富な実績を持つAREVA(現: Framatome)のCORD (Chemical Oxidation Reduction Decontamination)を 用した。
CORD は、①酸化工程、②除染工程、③分解工程、
④浄化工程を1 サイクルとし、 サイクル繰 返すこと 、目標とする除染効果を得る。1 サイクルの施工期間
は約1 間 る。各工程の 容につ ては 下に示す。
①酸化工程
主にクロム酸化物を溶解する工程 る。酸化剤として使用する薬品は、過マンガン酸 たは過マンガン酸カリウム+水酸化ナトリウム 、施工温度は約95℃ たは125℃ る。
②除染工程
鉄の酸化物を溶解し、かつ酸化工程 使用した酸化剤を還元して 成さ るマンガンイオンを除去する工程 る。使用する薬品はシュウ酸 、施工温度は約95℃ る。
③分解工程
廃棄物量を低減するた に除染工程 使用したシュウ酸を分解する工程 る。使用する薬品は過酸化水素水(+ 紫外線) 、施工温度は約60℃ る。
④浄化工程
除染工程や分解工程 成さ た金属イオン等を除去する工程 る。イオン交換樹脂に吸着させて除去する。
系統除染設備
系統除染工事 はプラント設備を有効活用して 、除染 の循環や温度維持、圧 調整等をプラント設備にて実施し、薬品の注入等を仮設設備にて実施する(Fig.2)。
プラント設備 は、1 ポンプは温度維持のた の熱源及び除染 の循環、充てんポンプ周辺設備は1
ポンプヘの封水注入及び除染 の循環、余熱除去系統設備は温度維持のた の 及び除染 の循環、アキュムレー は圧 制御として使用するが、 PWR プラントに ける系統除染は初 てとなるた 、各除染工程に ける各設備の運転要領や系統操作要領につ ては、プラント ーカとしての を て に を
、 PWR プラントヘの最適化を図った。
仮設設備 は、主要な設備として、減圧装置、フィル
、 ンク、ポンプ等の の装置か 成さ て るAREVA のAMDA(Automated Modular/Mobile Decontamination Appliance)を使用する(Fig.3)。AMDA
は、薬品の注入、除染 の分解?浄化、除染 サンプルの 取を実施する。
Fig.3 に示すように、プラント設備とAMDA は余熱除去系統の弁を利用して 続し、AMDA の減圧装置と高圧
ポンプによって、出入口の圧 を調整して る。
AMDA を 成する設備は基本的に原子炉格納容のオ レーシ ンフロアに設置し、イオン交換樹脂 は除染作業中に高線量となる設備 るた 、被ばくを 慮して原子炉格納容 の底 ヘ設置した。 た、各設備は非常に くの仮設ホース 続さ て るが、
放射能を含む除染 の を防止するた に、ホースの 続 は確実な施工 理を うと共に、万一の場合に備 て 防止の を設置するな の ックアップ対 も実施し、 続 か の を させることなく、全工程を終了することが た。
Fig.2 Schematic illustration of systems for FSD in Mihama Unit 1&2
Fig.3 Schematic illustration of auxiliary systems (AMDA)
3 系統除染工事の結果
の系統除染工事 得 た除染効果をTable 2 に示す。当初の目標 った除染係 30 上(除去率97% 上)を達成して 、系統除染 の線量当量率が比較的低 一 系統配 他につ ては0.05mSv/h 下も達成した。 た、 、 外 初の化学除染となる690 系ニッケル基合金製の 熱 につ ても、目標 上の除染係 を達成し、線量当量率も系統除染
桁程度低減することが た。
こ によ 、 のプラント解体 の作業員の被ばくを 幅に低減 ると共に、解体 に する放射性ダストを減少させることによって、作業員の 被ばくのリスク低減にも十分寄与 たと評価 る。
4 結言
の美浜 所1、2 号機に ける系統除染工事 の主要な成果を 下に示す。
当初の目標 った除染係 30 上(除去率97%
上)を達成した。
690 系ニッケル基合金製の 熱 につても、目標 上の除染係 を達成し、線量当量率も系統除染 桁程度低減することが た。
解体準備の一環として系統除染工事を実施したことによ 、 の廃止措置作業に ける作業環 の
幅な (作業員の被ばく低減、解体設備 の粉じん吸 込みによる 被ばくリスクの低減)、
放射性廃棄物の放射性レベルの低減が期待 る。
謝辞
美浜 所1、2 号機の系統除染工事実施に た 、
( )原子 事業本 廃止措置技術セン ー殿、美浜 所機械工事グループ殿をはじ とする
( )殿の 係者各位の なご指導を頂 、 た、
の系統除染工事の共同企業体を 成したAREVA 殿及び丸紅ユティリティ?サービス( )殿の 係者各位に
なご協 を頂 したこと、厚く御礼申し上げ す。
Table2 Decontamination factor & dose equivalent rate in Mihama Unit 1&2