原子力発電所の保守管理規程/指針(JEAC4209/JEAG4210)改定の検討状況
公開日:
カテゴリ: 第16回
原子力発電所の保守管理規程/指針(JEAC4209/JEAG4210)改定の検討状況
Progress report of Revising Code and Guide for Maintenance at Nuclear Power Plants
(一社)日本電気協会原子力規格委員会運転・保守分科会(保守管理検討会) 中部電力株式会社鈴木直浩NaohiroSUZUKIMember
九州電力株式会社笠毛誉士TakashiKASAMOMember
東京電力株式会社
真壁
知宏
Tomohiro MAKABE
関西電力株式会社
中廣
雄一
Yuuichi NAKAHIRO
一般社団法人原子力安全推進協会
堀水
靖
YasushiHORIMIZU
Member
Principles of Nuclear Power Station's maintenance was established as Code for Maintenance at Nuclear Power Plants (JEAC 4209) in 2003 and revised in 2007,2014 And also Guide for Maintenance at Nuclear Power Plants was established in 2007 and revised in 2014. Recently these Code & Guide were revised accordingly and published as JEAC4209-2016 and as JEAG 4210-2016. Revising these Code & Guide are now under review.
Points of the revision is to implement the new regulatory inspection system enforced in 2020 referring to the US-ROP, which requires constructing a new mechanism to realizing licennsee’s check of conformity to regulation requirement and promoting licennsee’s subjective and continuous enhancement of safety.
Keywords: JEAC, JEAG, new regulatory inspection, subjective and continuous enhancement of safety
1 はじめに
『原子力発電所の保守管理規程』【JEAC4209】は、「検査の在り方に関する検討会」で示された保守管理の基本的理 を け、2003年に規定 し、2007年、2014年及び2016年に改定を行った。また、『原子力発電所の保守管理指針』【JEAG4210】は、JEAC4209の改定に合わせ、2007 年に制定し、2014年及び2016年に改定を行った。
2007年の制改定では、2005年に再開された「検査の在 り方に関する検討会」の議論を踏まえた「新保全プログ ラム」を取込んだ。
2014年の改定では、原子力規制委員会が制定した新規 制基準における要求事項の反映、他の保全活動との連携、保全活動管理指標の更なる活用、状態監視の更なる活用の観点から改定を行った。
2016年の改定では、新規制基準の適用により重大事故等対処設備(SA設備)が導入されたことに伴い、保全に係る基本的なルールの反映、海外文献調査を踏まえ、保全活動におけるリスク情報を積極的に活用する観点から改定を行った。
今回は、2020年4月からリスク情報を活用した米国の原子炉監督プロセス(ROP Reactor Oversight Process)を参考とした原子力規制検査(以下、新検査制度という。) が導入されることになったため、制度 行に必要な事者検査 の反映、自主的安全性向上に向けた取り組みを促進する観点から改定の検討を行っている。
連絡先:鈴木直浩、〒461-8680 名古屋市東区東新町1 中部電力(株) 原子力部 運営グループ、
E-mail: Suzuki.Naohiro@chuden.co.jp
2 改定のポイント
2 1 事業者検査化の反映
これまで国が実施していた検査(施設定期検査、使用
検査等)を事 者の一 的 で実施することを反映予定である。また、検査の信憑性を高めるために設備の重要度に応じて、点検工事部署から独立した検査体制の整備についても反映予定である。
図1 新検査制度(事業者検査化の反映)
2 2 自主的安全性向上に向けた取り組み促進
新検査制度下においては、事 者が継続的な安全性向上を図るためにリスク情報を活用して、より安全性にフ ォーカスした保全活動への改善を行うことが必要である。
このため、米国ROP検査手順書等を参考にして、日米の保全活動のギャップ分析を行い、改善措置活動(CAP)及び構成管理(CM)の充実を図ることを反映予定である。
更にリスク情報を活用した 定の 体例として、米国10CFR50 69の検討事例や機械学会のリスク低減のための最適な原子力安全規制に関する研究会の検討事例等 を反映予定である。
図2 日米の保全活動のギャップ分析
図3 リスク情報を活用した意思決定(R sk-1nformed Dec s on-Mak ng: R1DM)
2 3 国内法規、民間規格?基準との整合性確認
新検査制度 行に向け、国は実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則、保安のための措置に関する運用ガ イド、品質基準規則等の見直しが行われている。また、 本規程/指針との関連性が深い『原子力安全のためのマ ネジメントシステム規程』【JEAC4111】についても改定 の検討が行われている。これらの内、主に国が新たに定
を行った「施設管理」や品質基準規則に追加された「21 項目」について、JEAC4111との整合性を図りながら必要な事項を反映予定である。
図4 施設管理とJEAC4111、4209
2 4 海外文献調査
2007年改定時から参考としてきた米国規格等 [1]に加え、保守管理に係るIAEAの安全基準 [2] [3]についても調査を行った。その結果を踏まえて、改善措置活動(CAP)、構成管理(CM)等の必要な事項を反映予定である。
3 おわりに
日本電気協会保守管理検討会では、発電用原子炉施設の安全性、電力の供給信頼性を確保するための保守管理の基本要件を規定するJEAC4209/JEAG4210の継続的な改善に向け、更なる改定の検討を行っている。
今回は、2020年4月から米国のROPを参考とした新検査制度が導入されることになったため、制度 行に必要な事 者検査 の反映、自主的安全性向上に向けた取り組みを促進する観点から改定の検討を行っている。
新検査制度導入後も、特に保全活動へのリスク情報を活用した 定の 体例に着目して、必要な改定を継続的に実施していく。
参考文献
NEI NUMARC93-01 (Rev.4F/2018.8) Industry Guideline for Monitoring the Effectiveness of Maintenance at Nuclear Power Plants
IAEA SSR-2/2 (2016) Safety of Nuclear Power Plants:
Commissioning and Operation (Rev. 1)(2016)
IAEA NS-G-2.6 (2002) Maintenance、Surveillance and In-service Inspection in Nuclear Power Plants