保全活動における補修等の是正措置の位置付けについて

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カテゴリ: 第15回
保全活動における補修等の是正措置の位置付けについて Study on the Position and Role of Corrective Measures in Plant Maintenance 東北大学青木 孝行Takayuki AOKIMember There are three technologies for facility maintenance, i.e. inspection, aging degradation evaluation and corrective measure. It was discussed that it was important to develop them systematically to be able to cope with any situation which occurs in industrial plants. Keywords: Maintenance, Inspection Technology, Aging Degradation Evaluation Technology, Corrective Measure Technology はじめに 保全は経年劣化の生じるハードウェアから成る機械系 とその経年劣化に対応する人間系で構成されており、それは全体として大きなシステムと見ることができる。ま た、その内部を見てみると、経年劣化が生じる機械系を検査するための検査計画を立案し(Plan)、それを実行し (Do)、そしてその結果を評価して是正計画を立案し (Check)、それを実行する(Act)、といつ所謂PDCA を繰り返すことによって機械系の機能を維持している。このPDCA に して検査技術、経年劣化評価技術、是正技術の 3 つの保全技術は重要な役割を担っており、必要不可欠なものとなっている。 本論文では、保全における 修等の是正措置の位置づけについて検討するとともに、是正技術の重要性について検討する。 保全の基本的考え方 保全の基本的事項を以下に列挙する。 一般に原子力発電所のよつな産業プラントは、安全性と経済性(生産性あるいは稼働率)が同時に確保されないと社会の中に存続できない。 原子力発電所は多くの系統、機器から成っている大規模複雑システムであり、個々の系統に故障が発生したときの影響度(安全性あるいは経済性(発電継続性) への影響度)はそれぞれの系統によって異なる。個々の機器に故障が発生した も同 に、それぞれの機 連絡先:青木孝行、〒980-8579 仙台市青莱区荒巻字青莱 6-6-01-2、東北大学大学院工学研究科、E-mail: takayuki.aoki@qse.tohoku.ac.jp 器によって影響度が異なる。したがって、影響が大きい系統あるいは機器(重要度の高い系統あるいは機 器)の信頼性を優先して確保するのが効率的効果的である。 原子力発電所の各種機能は、通常、系統単位で発揮される。したがって、系統単位で保全活動を考える視点が必要である。 原子力発電所を構成する個々の機器の 全性は、「検査」「評価」「是正」の保全3技術が適用されて確認・確保される。 機器の 全性を確認する で保全3技術は いに完関係にある(図1)。 図 1 検査、評価、是正の保全3 技術の補完関係 機器の における 全性は、検査に用いる「検査」技術とその結果を踏まえた評価に適用する「評価」技術の組 せで確認することになるため(図2)、その組 せの 度/性能が か、確認が必要である。 図 2 機器の将来における健全性確認方法 (検査と評価の関係) 3.検査と評価の結果に基づく保全措置一是正措置とその課題一 検査と評価の結果に基づき、機器に是正措置を講じる の状況には多種多 なものがある。以下に思いつくままにそれらを列挙してみる。なお、ここでは予防保全と事後保全のつち、事後保全(亀裂等の欠陥や漏えいの発生した後実施する保全)を想定して検討する。 亀裂等の欠陥やシール部劣化の発生・進展が懸念される ①「検査」と「評価」に な保守性がある 予想よりも劣化進展が少なく 許容値内 予想通り劣化が進展 許容値内 許容値に近い c )予想以 に劣化が進展 許容値に近い 許容値超え ②「検査」と「評価」に大きな不確定性がある 予想よりも劣化進展が少なく 許容値内 予想通り劣化が進展 許容値内 許容値に近い 予想以 に劣化が進展 許容値に近い 許容値超え 亀裂等の欠陥やシール部劣化の発生・進展が高じて発生した漏えいを取り扱つ 漏えい率は 小さく、増加も少ないb)漏えい率は小さいが増加しつつあるc)漏えい率が大きい これ以外にも多種多 な状況が考えられる。そのよつな多種多 な状況に適した 理的な是正技術が開発されていれば、それを適用するのが最も良い保全の選択肢とな る。そこで、 記を踏まえて、検査、評価、是正の3 技術に対してどのよつなニーズがあるか、整理してみた。それを表I~3 に示す。 表 1 検査技術に対するニーズ 表 2 是正技術に対するニーズ 是正技術に関する課題 前項までの検討を踏まえ、是正技術に関する課題について検討した。以下にそれらを列挙する。 (I)多種多 な適用 面を想定して、それに 理的に対応できる保全3 技術を体系的に整備する必要がある。 検査方法と是正工法等の新技術の有効性を確認する第三者機関の設置を含む民間の制度 (確性試験に代わる仕組みの確立) 検査のPD 制度と同 に是正工法のPD 制度を確立する必要がある。第三者組織を設置 検査、是正を含む保全作業のための保全管理ガイドラインを策定する必要がある。(これについては、現在、保全学会内に設置された保全標準化推進検討会で検討中である。) 記の活動を促す規制環境を整備する必要がある。 まとめ 保全の目的は、「安全性と経済性の同時最大化」を追求することである。安全性は勿論のこと、経済性も追求し一定以 のレベルを確保する必要がある。なぜなら、経済性の低下は、安全性向 や人材を含むリソースの確保への投資を難しくし、安全性に影響を与えかねない事態に陥る可能性があるからである(図3)。 是正措置技術は、検査技術及び評価技術と相侯って、機械系の 全性・信頼性を維持・向 し、その結果として保全目的(与えられた条件下での安全性と経済性の同時 最大化の追求)を達成する で必要不可欠な重要技術である。しかしながら、これら3 技術はプラントに発生する多種多 な経年劣化や故障、あるいはそれらでプラントが置かれる多種多 な状況に 対応できるほど体系的に整備されていないのが現状である。たとえば、運転中に発生した漏えいに即応できる暫定的な 修工法が 整備されているとはいえない。検査技術、評価技術もこのよつな観点から検討され、整備されているとは必ず しもいえない。 記のよつな観点から保全3 技術がしっかりとした技術的基盤の に透明性の高い適切なプロセスを通じて実証され、体系的に整備されことが強く望まれる。 図3 安全性と経済性の関係
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