六ヶ所再処理工場における保守管理改善の取り組み

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カテゴリ: 第15回
六ヶ所再処理工場における保守管理改善の取り組み The efforts or the improvements of maintenance activities in the Rokkasho Reprocessing Plant. 日本原燃掬川村優文MasafumiKawamura 日本原燃掬 服部 功三 KouzouHattori 日本原燃掬 三浦 進 SusumuMiura 日本原燃掬 新岡 将 TadashiNiioka 日本原燃掬 森榮 顕 KenMorie In the reprocessing facility of Japan Nuclear Fuel Limited, we had advanced the plant walk-down to put all equipment in the facility under our management. Throughout the plant walk-down, SANGENSYUGI (Going to the fields and observing equipment directory to understand their actual conditions) was thoroughly upheld. The trigger of the plant walk-down is the revelation, occurred in August 2017, of the fact that a part of static devices of important equipment to safety had not been under the appropriate maintenance management since the equipment was constructed. In this lecture, we present the status and future plans of the improvements of maintenance activities that we are advancing on the basis of our introspection. Keywords: Reprocessing Plant, maintenance, JNFL 1 はじめに 六ヶ所再処理工場においては、原子力発電所で実施し ている保守管理の え方(原子力発電所の保守管理規 JEAC4209)を とした、 つ 適 保守管理を実現することを目標とし、保守管理改善の取り組みを して実施している。 近年の取り組みとして、2013 年12 月に改正された原子炉等規制法(再処理工場の性能が技術上の基準に適合し、維持することを求める新規制基準が施行)の要求事項に確実に適合するよう、更に保全内容を適切にすべき項目を抽出し、改善した。 また、並行して保全対象範囲の策 、保全 要度の設 、保全 の策 等に をおくJEAC4209 を とした保守管理改善活動を していた。 方、2017 年8 月に 全上 要 設備(以下、「 設備」という)の静 機器の 部について、建設以降、保全が適切にできてい ったことが判明した。(事象概要を表1 に示す。) 本事象の発生は、設備とその状態の把握、保全 が十分では い部分が存在することを示すものである。 以上のことを踏まえ、三現主義(現場に出向いて現物に直接触れ、現実をとらえること)を徹底した「全数把握(現場ウォークダウン)」を始めとした「設備を管理下に置く活動」に取り組んでいる。(設備を管理下に置く活動の項目を表2 に示す。) 今回はこれまでの保守管理の改善に係る取り組み状況と今後の内容について紹介する。 連絡先 川村 優文 〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字駁字沖付4-108、日本原燃掬 再処理事業部 再処理工場 設備保全部 保全技術課 E-mail:masafumi.kawamura@jnfl.co.jp 表1 事象概要 事象概 非常用電源建屋に隣接する配管ピットB 内の燃料油配管(安全上 な で る非常用 ー ル 電 に燃料を する配管) の壁貫通部を通して非常用電源建屋に水が浸入した。 非常用電源建屋に浸入した水は、当該配管ピットに溜まった雨水で 、配管ピット内部に れている燃料油配管が水 していた。 原因 配管ピット点検口の止水用パッキン、コンクリート蓋の止水用コーキング、非常用電源建屋と配管ピット躯体との接合部に る止水処が劣化して配管ピットに浸入した雨水が、非常用電源建屋と配管ピットの燃料油配管の壁貫通部における配管と止水板の隙間を埋める コーキングのひび割れを通して非常用電源建屋に浸入した。 保 管理 における問題点 当該配管ピットは内部に雨水が浸入しないよう防水性を有する 計としていたが、200 年の 、配管ピットの防水性に る部を点検対象としていなかったため、配管ピット点検口の止水用パッキン等の劣化に気付くことができなかった。燃料油配管自体も、 能確 は実施していたが、 全性に る点検を実施していなかった。 巡視・点検における問題点 当該配管ピットは、2004 年から運転員(委託員)による巡視・点検の対象としていたが、燃料油配管のフフンジ上部に れた点検口から目視点検を実施しておらず、 油口から目視点検を実施していた。また、2005 年のマニュアル改正において、2 箇所の点検対象 (配管ピットおよび隣接するケーブルピット)を1つにまとめて記載したこと、および点検対象の名称が現場に表示していなかったことから、ケーブルピットのみを目視点検し、その結果を配管ピットの点検結果としていた。 表2 設備を管理下に置く活動 活動項目 活動内容 活動状況 STEP 1 を全て し、 の状 を確 するとともに、保全計画の有無を確 する。 安 ( ) 非安 (実施中) STEP 2 を適切に維持・管理する観点で保全計画が適切なものとなっているか確 する。 2018年度中 予定 STEP 全 に対する保 管理計画を策定し、 の全性を継続的に維持・管理する。 (JEAC4209に基づく改善の取 組み) しゅん工までに継続実施 2 六ヶ所再処理工場における保守管理の改善の取り組み 2 1 設備の全数把握、設備の状態確認および保全計画の有無確認(STEP 1) 以下(1)~(3)の成果物を設 して現場ウォーク ダウン(以下、現場WD という)を実施した。 お、再処理工場ではこれまでにも、JEAC4209 をとした改善活動の中で、保全対象範囲の策 に向けた設備の「現場照合」を実施した経緯はある。今回の現場WD では、過去の現場照合の活動実績および反省 を 慮し、三現主義(現場に出向いて現物に直接触れ、現実をとらえること)を徹底した。現場照合および現場 WD の活動比較表を表3 に示す。 表3 場 場 活動 表 項目 現場照合 現場WD 実 間 201 年9 201 年5 201 年11 実施中 (残件 がほとんど無い屋外く原野エリア>) 対象 屋内 屋外 (従来の リ トに記載 れる屋内 屋外) 全屋内 全屋外 対象 新規制基 の適合に向け整 した、 リ ト に記載の ( に 記に示す ) を有する 配管・フフンジ クト 現場照合実施 の リ ト 壁・ ・ を含む エリア内に する全 対象数 屋内 約 800部屋(約4 0部屋) 屋内 約 800部屋(約4 0部屋) 屋外 約1 000エリア (括弧内はセル等、立入困難な部屋数) 班構成 平均2 人 平均5 人 ・現場責任者 ・進行役※1 班構成メンバー ・現場照合(マーカー)役 ・記録役 ・専門家※1(※2) ・記録役※1 ・写真 冶具約※1 ・マーカー役※1 (エリア規模によ 、※1は兼 可) 対 班数 ( 計 実施 ず) 約1 500班 ※2 専門家として、施 ( ・当 )、電気、計 、 管、 管、 防、 建、防 施 建 、メーカ(各専門家)を 定し、確 に含まれる に じて班編成を実施。 現場にある設備を全て把握すること。 <実施状況> 全設備を管理下に置くことを目 に、機械、電気、 装、土木・建築等、様々 分野の専門家により構 成する ー ( 約 1,500 ー )にて、現場に設置されている設備を把握し、その状態を確認した。 2017 年5 月現在の実績として、設備が とんい屋外エリア(原野)を き、現場WD を終了した。現場WD の物量および実施状況について図1に示す。 お、現場WD では、その確認範囲を屋内は部屋単位、屋外はエリア単位(1 エリア範囲 50mX50m) で設 し、 設備を含む範囲を優先して確認した。 く現場確認の実施状況> 安重設備以外 図1 場 の物量および実施状況 【参考】iPad を活用した業務効率化 現場 WD の実施にあたり、現場に設備情報リスト (紙面)、デジタルカメラ等を携行して確認を実施していたが、紙面へ記載した確認結果の電子化および写真撮影データの整理に時間を要したため、途中 ら現場への携行情報及び取得情報の入力をiPad を活用して行うことで、データ管理の効率化を実施した。効率化前後の作業フローを図2 に示す。 お、iPad の現場携行については、現場 WD 終了後においても、 検準備や 検現場において現場携行物の集約化、各規 類および設備情報の携行情報充実化等の改善が期待されるため、 して更 る活用方法を検討中である。 事 現場 事 事 図2 ウォークダウン作業フロー(iPad による業務効率化) 【参考】ドローンを使用した屋外エリアの確認 実施中である事業者対応方針STEP1 における非 の屋外エリアの現場 WD において、目視確認 の実施には が う 等のエリアが存在するため、 全性や効率性を 慮してドローンによる 撮技術を利用することとした。 現在は飛行エリアの選 、 全性の評価、各法規制に基づく申請等の整理を実施中である。(2018 年6 月より運用開始を予 )各法規制に対する整理結果を図3 に示す。 図3 ドローン使用に向けた法規制情報の整理 設備の状態を把握すること。 合があるもの については、 適合の管理下に移行すること。 <実施状況> 設備について、直接目視可能であった機器の状態確認の結果、性能に影 を及 すよう は見られ った。 また、設備における些細 合(小さ 錆び等) を全て拾って事象登録を行い、是正処置プログラ 項 主な改善内容 保全計画はな が、 理下にあると判 可能な機器※ (図 ③、④-1、④- に該当) 保全計画の作成・制定 (保安規定 7 (保 理に る計画および実施)に基づく保 理 系に反映) 保全計画がなく、 理下にな 機器 (図 、 に該当) 保全 理計画の作成・制定 (保安規定 7 (保 理に る計画および実施)に基づく保 理系に反映) 当該計画に基づく点検(外観)の実施 その他の改善事項 構造上の担保の観点から、安菫設備の外観点検時には支持構造物 (配 サポート等)を同時に点検することを明確化 配 、 クト等、「建屋毎に一式」として た機器に ては、系統毎に分割して 理 雨水浸入に る貫通部に対する保 理計画を作成・制定 保全パトロール時に抜けが生じな よう、設計図面、安菫機器配置図 等をマニュアル(点検計画表)へ添付 等 (CAP)にて審議し、必要 ものは 適合の管理下に置いている。<現場WD に係るCAP 審議 数 約1,900 > お、直接目視 可である部屋(セル等)にある設備の状態については、代替確認として運転パラメータ確認、漏えい確認、ITV カメラを用いた外観確認、設 情報および使用前検査記録の確認等を実施し、設備の性能に影 を及 すよう が いことを確認している。代替確認について、図4 に示す。 保全 の有 を把握すること。 <実施状況> 設備の状況を確認した結果、 部の「静 設備」には、保全 が く、且つ管理下にあるとはいえ い機器が存在することが判明したため、早急に外観目視による健全性の確認と保守管理 系への反映を実施した。保全 の有 の確認結果を図 に、改善内容(保 規 に基づく保守管理 系への反映内容等)を図 に示す。 2 2 設備を適切に維持・管理する観点で保全計画が適切なものとなっているかの確認 (STEP 2 実施中 今後の対応) STEP2「設備を適切に維持・管理する観 で保全 が適切 ものと っている 再確認する。」に基づき、 細STEP 2-1 STEP 2-3 を設 して、STEP1 の活動内容を再確認する。 STEP 2-1 運転巡視マニュアルへの反映漏れの有 確認STEP1 の現場WD 実施結果 ら、人が 時立ち入り、 目視確認することが可能 場所にある設備のある部屋が運転巡視の対象と っている を確認し、必要に応じてマニュアルへ反映した。 STEP 2-2 現場把握(今後の対応) 所/ 部にあるため目視できてい い 間と設備の状態確認には、 場設置や保 去等の付 作業が必要であること ら、STEP1 では部分 状態確認に まっている設備に対し、 間および設備の状態を確認する。 STEP 2-3 保全 の内容の再確認(今後の対応) 機 、設置 、内 等の情報 ら保全マトリ 項 N 内容 機器 部屋・系統 理下 にある機器 保全計画がある機器 ・ の安菫設備は保全計画があり、これに基づく点検を実施。記録も存在。 7機器 677部屋・系統 ② ・セル内機器は、「セル内機器の健全性評価マニュアル」に基づき、年1回の評 価を実施。記録も存在。 1 901機器 93部屋・系統 定期的に設備の健全性の確認が実施され、か 記録も残されており、異常があれば検知・補修が可能な機器 ③ ・「設備パトロール実施マニュアル」で、外観点検対象とされ、定期点検により 健全性を確認。記録も存在。 3 機器 673部屋・系統 ④-1 ・フィルタ類は、「フィルタ類の 理基準マニュアル」に基づき、 理、 試験を実施。記録も存在。 13機器 ④- ・試験検査細則にて、グローブボックス内機器は点検実施が困難な場合は、作動確認や巡 ・点検と った機能維持を確認できる他の点検方法による代用も可能とすると規定。 運転巡 により「 による異常の有無」を確認しており、記録も存在。 186機器 60部屋・系統 理下になかった機器 ・配 等、点検計画が「建屋全域(一式)」として る機器は「設備パトロール実施マニュアル」にて外観点検す き部屋を 定・明記。 点検す き部屋に一部抜けがあることを確認したもの。 93部屋・系統 ・遮へ 蓋の静的安菫設備は、点検計画表が存在せず、か 、健全性確認 行為も実施された記録なし。 39 機器 合計 97機器 1 996部屋・系統 クス 3 および代替確認マトリ クス 4 を作成する。 また、保全 の内容の優先順位を決 するための保全 要度分類を作成する。 3 保全マトリ クス 化メカニ を に、機 に保全パターンをまとめたものを「保全マトリ クス」という。 4 代替確認マトリ クス 保全方法が代替確認と る場合は、その代替方法をまとめたものを「代替確認マトリ クス」という。 作成後、それらを 照して設備における現状の保全 が妥当 ものに っている について検討し、必要に応じて標準類の改正作業を行う。 2 3 全設備に対する保守管理計画の策 および継続的な維持・管理(STEP 3 今後の対応) STEP 3 の活動は、これまでに実施してきたJEAC4209 を とした保守管理改善の取り組みであり、STEP 1 およびSTEP 2 の成果を落とし込み、保守管理 を改めて策 するものである。 本活動は 過性の活動では く、図7 に示す保守管理の実施フロー(PDCA サイクル)に基づき、 設備の維持・管理活動を実施していく。 現在検討中の事項について下記に示す。 図7 保守管理の実施フロー 腐食の進展に係る 新の知見等、更 る知見を入手し、STEP2 の保全 の内容をより にして充実させる。 ・改善を推進するための明確 ルール化 「再処理工場 保守管理要領(仮称)」を制 し、保守管理の実施フローに基づく「P 保全対象範囲の策 」、 「P 保全 要度の設 」、「P 保全 の策 」、 「D 保全の実施」、「C 検・補修等の結果の確認・評価」、「A 検・補修等の結果の確認・評価」、「A 検・補修等の 適合管理及び予防処置」、「A 保全の有効性評価」及び「保守管理の有効性評価」に係る事項について明確化し、社内規 に める。 ・新保全業務システ の構築 現在、エクセルを用いた簡易ツールで管理している 「保全に関する情報(設備仕様、 検 表、 検結果等)」について、保守管理の実施フローに基づく保全業務の運用に向けた、本格 保全業務システ の構築を進める。 3 保守管理以外における改善活動 ( 場対応者の意識向上に向けた改善) 2017 年8 月に発生した事象を踏まえ、会社大で根本要 因分析を実施し、保守管理の以外においても、改善活動を実施している。 再処理工場のしゅん工、 全・ 操業の実現には、社員が「自らが気づき、速や 対応に繋いでいく」よう、意識を向上させ、改善文化を根付 せていくことが必須である。これに向けた対策を 化し、 することにより、意識醸成を図っていくことを目 とした「社員の力量・意識向上に向けた取り組み」における活動内容例を下に紹介する。 教育・研修の実施 ・巡視・ 検時の「モノの見方」の係る教育 ・現場管理職に対するマネジメント教育 ・ 全上の要求事項、設 根拠、設備構造等、および過去のトラブル事例等の 系 教育 ・CAP 運用の改善( 適合情報だけで く気づき事項を取扱う)に向けた教育 ディスカ ションの実施 ・当社幹部と事業部課長級との 期 意見交換 ・「自らが気づき、改善すること」等をテーマとした現場でのグループディスカ ション マネジメントオブザベーション(MO)の実施 ・管理職による MO を通じた部下への期待事項の伝達とその達成状況 ら、自ら え気付く力を醸成 電力会社による支援強化 ・電力会社の保全技術者の当社への出向によるノウハウ 承、保全技術力の向上 ・当社技術者を電力に出向させることによる運転・保全技術力、トラブル対応力等の向上 4 参考文献 尾形 圭司、北条 隆志、日本原燃掬 「六ヶ所再処理工場の設備の保全」 日本保全学会 第11 回 学術講演会要旨 川村 優文、尾形 圭司、新岡 将、須田 憲司 日本原燃掬 「六ヶ所再処理工場における保守管理改善の取り組み」 日本保全学会 第13 回 学術講演会要旨
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