安全性向上評価制度の概要

公開日:
カテゴリ: 第17回
安全性向上評価制度の概要 Overview of Safety Improvement Assessment 九州電力 笠毛 誉士 Takashi Kasamo Member 九州電力 菅 能久 Yoshihisa Kan Non-member 九州電力 安東 潤一 Junichi Andou Member 安全性向上を意識した保全活動の実施に寄与することを目的として、原子力施設の安全性の向 上を目に見える形にするための仕組みとして導入された、安全性向上評価制度の概要を説明する。 As an introduction to the safety improvement evaluation session, the outline of the safety improvement evaluation notification to be carried out based on the Reactor Regulation Law will be explained. Keywords: safety improvement evaluation 1.安全性向上評価制度とは 東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて改正された「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」では、原子力施設の安全性を継続的に向上させていくことが原子力事業者の責任として新たに義務付けられ、また、原子力施設の安全性の向上を目に見える形にするための仕組みとして、安全性向上のための評価「安全性向上評価」を実施することが事業者に義務付けられた。 安全性向上評価は規制基準を満足したうえで、更 に自主的・継続的に原子炉施設の安全性・信頼性を向上させることを目的として、原子力発電所のリスクを合理的に可能な限り低減することを目標に実施するものである。 本評価は定期事業者検査終了後6か月以内に実施 し、その後遅滞なく原子力規制委員会に届出することとされている。 原子力事業者は、再稼働後に安全性向上評価を実 施し、届出を実施し、公開の場で規制と安全性向上のための議論を実施している。 1.1 安全性向上評価に係る法体系 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法) 〇 第四十三条の三の二十九 (発電用原子炉施設の安全性の向上のための評価) 「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」(実用炉規則) 〇 第九十九条の二~七 (安全性の向上のための評価の実施) (安全性の向上のための評価の実施時期) (評価の結果等の届出) (届出事項) (評価に係る調査及び分析並びに評定の方法) (評価の結果等の公表) 実用発電用原子炉の安全性向上評価に関する運用ガイド 〇 安全性向上評価届出書の構成例について定めた国の内規 2.安全性向上評価の概要 〇 原子炉等規制法第四十三条の三の二十九第1 項及び第3 項の規定に基づき、定期事業者検査終了後6 か月以内に本評価を実施し、その後、原子力規制委員会に遅滞なく届け出る。 〇 図1に示す「① 保安活動の実施状況調査」により発電所の最新の状況を調査し、これらを基に「② 確率論的リスク評価」・「③ 安全裕度評価」等を行い、保安活動の効果を評価するとともに、更なる安全性向上対策を抽出し実施することで、規制の枠に留まることなく、自主的・継続的な安全性向上を図っていく。 図1 安全性向上評価の主な項目 図2 安全性向上評価による継続的改善の流れ 届出書の構成 〇 安全性向上評価届出書 本文 第 1 章 安全規制によって法令への適合性が確認された範囲 第2 章 安全性の向上のため自主的に講じた措置 安全性の向上に向けた継続的取組みの方針 調査等 保安活動の実施状況 国内外の最新の科学的知見及び技術的知見 プラント・ウォークダウン 安全性向上計画 追加措置の内容 構築物、系統及び機器における追加措置 体制における追加措置 外部評価の結果 第3 章 安全性の向上のため自主的に講じた措置の調査及び分析 安全性向上に係る活動の実施状況の評価 内部事象及び外部事象に係る評価 決定論的安全評価 確率論的リスク評価 安全裕度評価 安全性向上に係る活動の実施状況に関する中長期的な評価 第4 章 総合的な評定 評定結果 安全性向上計画 届出書の内容 安全性向上評価は、許認可文書の最新化が行われ、事業者がしっかり管理していることを確認したうえで、評価期間中の安全性向上に寄与する設備改造、運用変 更について、確率論的安全評価の計算を実施し、定量的に安全性向上の度合いを示す。 また、プラントが地震・津波等の害的事象にどの程度まで耐えられるかのストレステストを実施し、更なる安全性向上の方策を検討する。 その評価結果を届出書にまとめて提出し、規制と事業者が議論を実施し、一体となって安全性向上の取組を継続して行っていく。 3.保全活動の重要性 プラント設備を設置することや、運用改善での安全性向上を図っても、保全に不備があれば、必要な場面で設備が使用できないこととなる。プラントの多種多様の設備が必要な機能を発揮するためには、劣化メカニズムを考慮した確実な保全活動が必須であり、更には、検査、補修等の新技術の開発が重要である。 保全学会の、今後の更なる活発な活動を期待する。 以上
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)